あらすじ
マルクス・アウレリウスの生涯は,「哲人皇帝」にふさわしいものであったのか.終わらない疫病と戦争というローマ帝国の実態のなかに浮かび上がるのは,心労を重ねながらも,皇帝の職務をひたむきに遂行しようとする人間の姿であった.歴史学の手法と観点から,『自省録』の時代背景を明らかにすることで,賢帝の実像に迫る.
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Posted by ブクログ
いわゆるローマ帝国の五賢帝の最後の皇帝で、「哲人皇帝」と称されるマルクス•アウレリウスの生涯と、彼が生きた時代のローマ帝国の社会、文化を重ねて記した著作。
単に皇帝その人を記すだけでなく、当時の時代背景や人々の考え方なども、豊富な文献と知見から示されており、とても理解しやすかったです。
次々と起こる厳しい状況の中、皇帝としての務めを果たされたマルクス•アウレリウスの姿に感銘しました。
Posted by ブクログ
自省録が有名なマルクスアウレリウスとは何者なのか興味を持って読む。
当時のローマの時代背景や周辺環境、人の繋がりについて詳細に書かれており、マルクスがどのように育ち、何に苦悩したかがわかる。
かなり詳しく研究してまとめられていて、ローマ史の本としても学ぶことは多い。
自省録がどのような思いで書かれたのかもよくわかり、また読みたくなった。
しっかりとした本でありながら読みやすく、タイトルと中身も符合した良い本です。
ローマの風呂は汚く水道も整備が足りず、川に汚物垂れ流してたのは結構衝撃。
Posted by ブクログ
哲人皇帝と呼ばれるが、哲学者というわけではない。先帝を模範として統治に臨んだ皇帝。
戦争や疫病がなければ彼にはやりたいことがもっとあったのではとも思う。
Posted by ブクログ
マルクス・アウレリウスの生涯を、著作の「自省録」とともに俯瞰した一冊です。
マルクス自身は哲学者であった訳だが、その政治は色んなしがらみにより現実に即した従来からの政治の延長上にあったということがよくわかりました。
Posted by ブクログ
五賢帝の1人だけど『自省録』と映画の『グラディエーター』冒頭くらいしか分からないので、即位前の生活や即位後の疫病やパルティアやガリアでの戦争の話など歴史の話が良かった。 どこかに『自省録』があるから探して読もうかな。
Posted by ブクログ
先に読んだ「『自省録』精神の城塞」は自省録の思想的な面に注目した本だったが、こちらは歴史的背景から自省録を見てマルクス・アウレリウスを読み解こうとする本。
マルクスはストア派の思想にのっとったいわゆる哲人皇帝というよりは、現実的にアントニヌス・ピウス帝を手本にした政治をしただけで、哲学は個人的な思想の範囲にとどまっていたというのが著者の考えで、結構面白かった。また、自省録では死を自然なものとして受け止めるよう繰り返し書かれているが、これは疫病ののパンデミックと終わらない戦争という二重苦であまりにも死が身近だったマルクスの環境を考慮して受け止めるべきとあって、なるほどと思った。
この著者の本は前にローマ五賢帝のものも読んだが、それも分かりやすく面白かったし違うものも読んでみたい。
Posted by ブクログ
哲学、歴史それぞれに解釈されてきたマルクスアウレリウス(圧倒的に哲学者からではあるが)、について歴史的背景を紐解きながら、どのような政治を行ったかを歴史家による解説。
結論としては、育ての父であるアントニヌス帝の元老院を立て、皇帝としての職務を全うするという方針をつらぬいたとして、ストア派としての哲人皇帝という見方とは違う点を強調している。歴史については客観的事実が述べられており、破綻はないとはいえ、自省録には政治の話はほとんどなく、どのようにマルクス帝が考えていたのはいまいちつかみにくい。