あらすじ
二千年に及ぶ歴史を通じて,欧米の文化の精神的支柱としての役割を果たしてきたキリスト教.本書を読めば,ユダヤ教を母体として生まれ,独立した世界宗教へと発展し,諸教派に分かれていったその歴史と現在や,欧米の歴史,思想,文化との深い関係を学ぶことができます.異文化理解のための,教養としてのキリスト教入門.
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Posted by ブクログ
ドストエフスキーで正教会が出てきたので、キリスト教をざっくりと理解するために再読。
キリスト教の歴史は、世界史と切っても切り離せない。
キリスト教は大きく分けて、ローマ・カトリック教会、東方正教会、プロテスタント教会。
キリスト教と一括りに言っても、全く違う。
聖餐でパンに酵母を入れるかどうかから始まり、十字架の形が違ったり、イコンの有無、神・キリスト・マリアの立場の考え方が違ったり、聖書に書いてあることだけを正しいとするかどうかなど、多岐にわたる。
教会の権威において、ローマ・カトリック教会は中央集権的、東方正教会が地方分権的というのは興味深い。
ちなみに、日本の正教会はロシア革命の混乱期に、ロシア正教の修道司祭ニコライが伝道したもので、東京復活大聖堂(ニコライ堂)は1891年落成したもの。
Posted by ブクログ
キリスト教を理解するためにはかなりの良書。カトリックとプロテスタントの違いなんかはもちろんのこと、世界史のざっくりとした流れなんかも理解できて良かった。
Posted by ブクログ
キリスト教と言っても、一言で言い表すことは当然のことながらできず、様々な流派があり、場合によっては他宗への不寛容が社会的な事件を引き起こすこともあるということが心の隅に引っ掛かった。
また、時代の流れと共に内容の解釈が困難になることは珍しくない宗教にあって、今後の多様性をどこまで認めることができるのかが課題にあると思っている。
本書はできるだけ多くの視点からキリスト教を解説しており、周辺知識も教養として十分な量を保っているため、上記のような問題意識や当事者意識をもって課題を考えることができるようになるだろう。
ジュニア新書ではあるが、宗教観を学ぶ上で、万人にすすめられる一冊に仕上がっている。
Posted by ブクログ
山我哲雄(やまが・てつお)
1951年,東京生まれ.北星学園大学教授.同大学大学院文学研究科教授を兼任.北海道大学文学部非常勤講師.専攻は聖書学,宗教学,キリスト教学.日本聖書学研究所所員.岩波書店版『旧約聖書』(旧約聖書翻訳委員会訳)では「出エジプト記」,「レビ記」,「民数記」を担当.主著に『聖書時代史 旧約篇』(岩波現代文庫),『海の奇跡 モーセ五書論集』(聖公会出版),『一神教の起源 旧約の「神」はどこから来たのか』(筑摩書房),『聖書』(PHP研究所),『図解これだけは知っておきたいキリスト教』(洋泉社)など.訳書にノート『旧約聖書の歴史文学』(日本基督教団出版局),シュミート『旧約聖書文学史入門』(教文館)など.共編に『旧約新約聖書大事典』(教文館),『新版総説旧約聖書』(日本キリスト教団出版局)など.学会関係では,日本宗教学会評議員,日本基督教学会理事,日本旧約学会会長などを歴任.
「キリスト教文化圏では、復活祭はクリスマスと同じぐらい盛大に祝われますが、日本ではキリスト教徒以外には今一つ人気がないようです。一二月二五日に固定されているクリスマスとは異なり、毎年日付が変わる移動祭日なので、あまり一般化しにくいのかもしれません。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
「ローマを中心とする西方教会とギリシアを中心とする東方教会では、時と共に異なる伝統が形成され、それが後のローマ・カトリック教会と東方正教会の違いに繫がっていきます。最大の違いは、教会の組織で、直前にも述べたように、ローマ・カトリック教会がさまざまな国にまたがる中央集権的な世界教会であるのに対し、東方正教会は国ごと、場合によっては地方ごとに独立した国民教会を形成し、それぞれの正教会ごとに首長である総主教や大主教、府主教が置かれます。教皇に当たるような、全体を統括する単独の教会首長は存在しません。「東方正教会」とは、それらの独立した諸教会の総称なのです。ローマ・カトリック教会の首長である教皇は、本来はローマ司教なのですが、キリストから全権を委ねられた使徒ペトロ(第 2章参照)の後継者として、全教会に対する「首位権」を主張しました。これに対し、東方正教会は、各地の総主教の同格性を強調しました。東方正教会から見れば、教皇はあくまで「ローマの総主教」にすぎないのです。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
「教皇は前教皇が死去したり退位した場合、八〇歳未満の枢機卿たちの中から互選で選ばれます。バチカンのシスティナ礼拝堂の中で外部との連絡を絶った秘密会議で選ばれるので、教皇選挙はイタリア語で「鍵をかけた」を意味する「コンクラーベ」の名で呼ばれます。枢機卿たちは議場で一日複数回の投票を、三分の二以上の得票者が出るまで繰り返します。場合によっては何日間も決まらないので、わが国では「根競べ」というダジャレもあるほどです。外部への連絡は、投票用紙を暖炉で燃やした煙によります。再選挙の場合には普通の黒い煙ですが、新教皇決定の場合には薬品で白い煙が出るようにします。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
「この間、全世界の報道はバチカンの一本の煙突にカメラを釘付けにし、煙の色に一喜一憂します。聖ペトロ大聖堂前の広場は、新教皇の最初の祝福を受けようと世界中からやって来て、徹夜で待ち構える信徒たちで埋まります。まさに上を下への大騒ぎで、カトリック世界最大のイベントとも言えます。一九七八年に即位したヨハネ・パウロ 1世は、在位わずか三三日で急死した(暗殺説も出たほどです)ので、当時は一か月強のうちにこれが二回繰り返されました。関係者はさぞたいへんだったことでしょう。ちなみに、二〇一三年に即位したアルゼンチン出身の現在の教皇フランシスコは、ペトロから数えて第二六六代に当たります。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
「 黒船来訪を経た一八五四年、幕府は開国に踏み切ります。居留する外国人のための教会堂建設は認められましたので、横浜と長崎にカトリックの天主堂が建てられますが、キリシタン禁令は続けられました。ところが、長崎の大浦天主堂が完成すると、一八六五年の三月、長崎市北部の浦上の隠れキリシタンたちが礼拝のために名乗り出てきたのです。このことは、迫害を乗り越えて信仰を守った美談として世界中に報じられ、大きな反響を呼びましたが、幕府は主だった信徒を捕縛し拷問するなどして弾圧に乗り出しました。明治維新(一八六七─六八年)後の新政府もキリシタン禁止政策を継承し、浦上のキリシタン三千人以上を逮捕、各地に流刑するなどして弾圧を続けましたが、これが信教の自由をめぐる外交問題に発展し、欧米からの厳しい批判を受けました。そこで明治政府は一八七三年、やむを得ず、各地に掲げさせていたキリシタン禁止の「高札」を撤去しました。これが事実上のキリスト教解禁に当たります。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
「 「プロテスタント教会」とは、西方教会において一六世紀以降、宗教改革によってローマ・カトリック教会から分離独立したり、新たに創建された諸教会の総称で、実際には一枚岩ではなく、神学や伝統、教会組織などによってさまざまに異なる教派に分かれています。なお、「プロテスタント」とは「抗議する者」の意味で、神聖ローマ帝国(ドイツ)皇帝カール 5世がシュパイアー国会(一五二九年)でルターの改革運動への弾圧政策を進めようとした際に、改革支持派の諸侯が「抗議状」(プロテスタティオ)を提出したことに由来します。日本では、キリスト教的「福音」の原点に帰るという意味で、「福音主義」とも呼ばれます。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
「ルターが宗教改革の牽引力として、どちらかといえば直情的で痛烈、挑戦的な文章を得意とし、その著作の多くも聖書注解を除けば、カトリック教会を痛罵し信徒の奮起を促すような短いパンフレット状のものが多かったのに対し、もともと学者であったカルヴァンは論理的思考と体系的論述に優れ、スコラ哲学に基礎を置くカトリック神学に対抗し得るプロテスタント固有の神学体系を確立したと言えるでしょう。なお、この著作の最初には大胆にもフランソワ 1世への手紙が置かれています。この著作は、宗教改革を弾圧するフランス王に対して、福音主義の正当性を擁護する目的で書かれたのです。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
「プロテスタントは一般に、世俗の職業労働に価値を置きます。ルターは職業を「天職」と位置付けましたし、カルヴァンは「神の栄光を現す」ために働くことを勧めました。単に生活のためや、金もうけのためにではなく、神のために働くというのです。神のために誠実、勤勉に働けば当然利潤があがります。他方でウェーバーは、プロテスタントの倫理の本質を、カトリックの修道生活のような「現世逃避的禁欲」ではなく、世俗の世界に留まりながら浪費を避け、質素堅実に生きる「現世内禁欲」に見出しました。勤勉な労働の結果である利潤を節約して無駄な消費に回さないのであれば、余った利潤は再び職業のための「資本」となって仕事に投資されます。こうして結果的に、営利活動が積極的に推進され、資本主義的なプロセスが生まれたとされるのです。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
「日本に最初に伝わったキリスト教はカトリックであり(第 5章参照)、しかも江戸時代以降、日本は鎖国によって長らくキリスト教世界とは切り離されていました。一八五四年(嘉永七年)の開国後もしばらくは禁教体制が維持されましたが、明治政府は「和魂洋才」を標榜して西洋の知識や技術の導入を奨励しましたので、日本宣教の志に燃える主としてアメリカのプロテスタント系の宣教師たちは、開国直後の一八五九年頃から洋学教師や医師として来日し、密かに日本人青年たちへの接触を始めました。浦上事件に関連して一八七三年(明治六年)にキリスト教禁教の高札が撤去され、キリスト教の布教が事実上解禁されると、彼らの活動はにわかに活発化し、続く各派の宣教師たちの来日も著しく増加しました。初期のプロテスタント伝道の中心となったのは横浜、熊本、札幌で、それらの土地にできたプロテスタントの青年たちの群れは、「若者の集まり」という意味で「バンド」と呼ばれます。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
「まず、各地にいわゆるミッションスクールが建てられ、キリスト教主義に基づく教育が行われ、特に従来軽視されてきた女子教育が推進されました。主たるプロテスタント系の学校としては、北海道では北星学園と酪農学園、東北では東北学院と宮城学院、関東では関東学院、立教学院、青山学院、明治学院、桜美林学園、女子学院、東京女子大学、フェリス女学院、中部では金城学院、関西では同志社、関西学院、神戸女学院、平安女学院、四国では四国学院、九州では西南学院、活水学院などがあります。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
「しかしながら、昭和に入って日本の政府と軍部が軍国主義に傾き、天皇を現人神(人間の姿をした神)とする国家神道が強制されるようになると、一神教であるキリスト教は、しだいにさまざまな統制を受け、国威発揚や戦勝祈願などの戦争協力を強いられるようになります。キリスト教徒にも天皇崇拝や宮城遥拝(皇居に向かって敬礼すること)、神社参拝が義務づけられ、拒否や批判をすれば、不敬罪で投獄され、拷問されました。教会での礼拝や説教にも憲兵の監視がつくのが日常茶飯事になり、ミッションスクールでもキリスト教教育が禁止されました。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
「 ③統一教会──「統一協会」とも書きます。正式名称は「世界基督教統一神霊協会」です。韓国の文鮮明(一九二〇─二〇一二年)が一九五四年にソウルで設立、全宗教を統一し、さらには宗教と科学をも統一する「統一原理」を説きます。旧新約聖書を教典とすると称しますが、事実上は教祖の教説をまとめた『原理講論』が教典的な位置を占めます。 同書などによれば、人類の祖先(アダムとエバ)が堕天使と淫行したことにより、人類にはサタンの血が混入しました。イエスはサタンの支配する世界の罪を贖って「地上天国」を実現するために遣わされたのですが、ユダヤ人の不信仰により、使命を完全には果たせないまま十字架上で死んでしまいました。しかしイエスは救いの業を完成させるため、二〇世紀の初めの頃「東方の国」に再臨したとされます(教祖自身が再臨の救世主であることが強く示唆されています)。現在はサタンの力(共産主義はその一部)と神の力が最終的な決戦を行っている、(旧約時代、新約時代に継ぐ)「成約時代」であり、ついには「第三次世界大戦」によりサタンの勢力が殲滅されて「地上天国」が実現する、とされます。 統一教会では、サタンの血を浄めるために、教祖の指名する集団結婚を行います。わが国では、著名な芸能人がこれに参加して話題になったこともあります。世界本部はソウルにあり、世界一九〇か国以上に支部があり、信徒数は約一六〇万人とされますが、実際の活動の中心は韓国と日本とアメリカで、信徒数も多分に誇張されているようです。大学などの「原理研究会」などを活動の拠点とするほか、最近では実態を隠したサークル活動などの名目で勧誘を行っているようです。その特異な布教方法や、「悪霊が憑いている」などとして除霊のための印鑑や壺などを高額で売りつける「霊感商法」などを通じた強引な集金活動をめぐって、数々の社会的な問題が指摘され、損害賠償を求める訴訟なども多数起きています。「地獄に落ちる」など恐怖を煽る布教方法が、マインドコントロールに当たるという批判もあります。教祖の死後は後継をめぐっていくつかの団体に分裂しましたが、多数派は「世界平和統一家庭連合」の名称で活動を続けています。」
—『キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)』山我 哲雄著
Posted by ブクログ
一番わかりやすいキリスト教の本。「はじめに」にもあるように、非キリスト教徒が教養としてキリスト教を知るのにぴったり。とりあえず一回読んで!と勧めたい。
神の国の考え方や、カトリック、プロテスタント、東方正教会の歴史など、世界の3割の考えのベースを知れると、世界が広がる気がします。
しかしながらどの宗教も、宗教とそれに絡む政治が原因で戦いが起こっている事実が本当に......
なんなんだろうと考えてしまいます。
Posted by ブクログ
何かの本で紹介されていたため手に取った。今まで読んだキリスト教関連の本で最もわかりやすい。
キリスト教の成立過程を、ユダヤ教から遡り、イエスの思想や言動を、神話的にではなく現代的な解釈を交えて伝えてくれるため、とても納得感があり分かりやすい。特に、キリスト教が、キリスト教として生まれたのではなく、ユダヤ教イエス派として解釈できることは恥ずかしながら知らない背景だった。
ペテロやパウロなど名前が似ていて覚えづらい登場人物のバックグラウンドや思想の変遷、磔刑前後の役割なども理解しやすかった。
そして、キリスト教成立後の、ローマ・カトリック協会、東方正教会、プロテスタント協会への分化やそれぞれの思想・慣習についても、歴史的背景から丁寧・平易に伝えてくれる。
科学技術が進展するなかで、現代の「聖書の非神話化」の動きや、米国大統領戦で度々話題になる米国の福音派とメインラインの動向も理解できた。欧米の文化や価値観を理解するうえで、キリスト教の理解は土台であり、もっと早くこの本を読んでおきたかったと思える本。
Posted by ブクログ
名著。非常にわかりやすい。
キリスト教の誕生から分離、現在に至るまでが非常にわかりやすくまとめられている。かなりスッキリ理解できた。おすすめ。
Posted by ブクログ
こちらの本でキリスト教の歴史をおさらいしてみました。岩波ジュニア新書は、本来中高生くらい向けのものと思いますが、これが侮れず、あるテーマについてレベルを極力落とさず、しかしなるべく平易にかつ読みやすく、その分野の一流の方が執筆されているものも多く、「大人の学び直し」にも有用と思います。
この本も良書でした。「キリスト教入門」というより、正しくは「キリスト教の歴史入門」というべき内容ですが、コンパクトな中にとても要領よくかつ分かりやすくまとめられており、復習&勉強になりました。
Posted by ブクログ
キリスト教の全体像をわかりやすく学ぶことができる。まさに入門に持ってこいの本だった。比較的平易な文章で読みやすく、理解もしやすかった。
イエスからローマ・カトリック・東方正教会から宗教改革についてまで、幅広く学ぶことができ、深く理解することは出来ていないと思うが、知るということが出来たのが凄く良かった。
キリスト教について忘れてしまったら、一度この本を読み直したいと思った。
Posted by ブクログ
2025.4月分読書
非キリスト教徒がキリスト教の歴史と信仰の概略を学ぶ入門として適切な1冊だと思った。また、高校世界史などで宗教史(キリスト教史)に苦手意識があったり時系列がごちゃごちゃになっている人にも薦められる内容だと思う。また、自分自身はプロテスタントの細かな教義や日本での広がりの知識が乏しかったので、その点を知れてよかった。東方正教会についても、組織の特徴など興味深く確認できた。
個人的に印象的だったのは、キリスト教と仏教の重なる部分を感じられたことだった。親鸞の悪人正機説とイエスの教えや、ユダヤ教からキリスト教への流れと上座部仏教から大乗仏教への流れなど、救いを求める人間の普遍的な部分を感じることができた。
Posted by ブクログ
〇〇入門って、内容難しいこと多いですが、この本も難しかったです。
基本的には、キリスト教の歴史についてわかりやすく(簡単ではない)まとめてくれています。
ユダヤ教から始まり、イエスの史実的な解釈、カトリック、正教、プロテスタントへ別れていった経緯、などなど
私が小さかった頃、両親が聖公会に所属していて、よく連れてかれていました。当時は訳も分からず、日曜学校で礼拝して遊んで、ミサに参加したり、しなかったり。いろんな記憶の断片が残ってます。
私にとってのキリスト教は聖公会の時のイメージしかなかったんですが、それが実はプロテスタントから派生していて、カトリックの特徴をたくさん残してるなんて知るよしもありませんでした。
自分のルーツにもちょっと詳しくなれたような気がします。
でも難しかった。。細かい内容は全然覚えてない、、
Posted by ブクログ
ジュニア新書ということで、子供向けかと思いきや、非常に重厚かつ内容的にも分かりやすくなっている。非信者にとっては良い入門書だろう。
プロテスタントの流派が数多くあるのは知っていたが、掻い摘んでそれぞれ解説してくれており、勉強になった。
Posted by ブクログ
いろんな芸術作品を味わうために必要な知識が歴史的な背景も含めて詳しく書かれている。
新約聖書に書かれているパウロの宣教活動については、この本を読むと概要が理解しやすい。
宗教と政治が複雑に絡んでいるので、世界史の授業で聞いた単語がたくさん出て来て、試験勉強してる気分になった。
イエスキリストとされた人物が存在していたことは、歴史的研究でも証明されているらしいから、それから2,000年経っているということは事実として、それ以前にも人類の文化にはたくさんの神様が崇められていて、古代の解明されてない文明にもなにかしらを崇拝してる跡がある。
その中でも、ひとりひとりを平等に救済すると説いた宗教はめずらしかったのかもしれない。
日本のキリスト教の布教とともに、自由人権運動や他の社会福祉活動も発展してきた経緯は、ありがたいことだなと思った。
Posted by ブクログ
キリスト教を勉強してみたくなり、入門書を探しており、こちらを購入。
世界史のバックグラウンドがないとちょっと難しいかなと感じますが、コンパクトにまとまっていると思います。
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キリスト教を学ぶとなると、ユダヤ教なしには話が進みませんが、ユダヤ教の言わば「閉鎖的」な部分の改良版的に始まった点などは、実はあまり知られていないかもしれません。そうしたキリスト教の端緒やユダヤとの違いは、簡潔で分かりやすかった。
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まあ、キリスト教というと、カトリック、プロテスタント、正教と分かれていることは多くの人がぼんやり理解していることと思います。本作はそれぞれの流派の歴史をたどるのは当然のことながら、逸話というか、小噺みたいなものをちょいちょい挟み、それが良かったと思います。
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例えば、カトリックも正教もそうですが、聖人崇敬の話。
キリスト教が一神教ということは有名ですが、その一方で聖〇〇とかっていうじゃないですか。立教とかSt. Paulだし、サンフランシスコも聖フランシスコじゃないですか。何なのよ聖って? って感じしませんか? んでもってたまに、聖〇〇に祈りをささげるとか、って洋モノの小説にさらっと出てきたりするじゃないですか。何だよお前、キリスト教って一神教じゃないのかって思いませんでしたか?
本作によるとキリスト教の偉大な貢献者や殉教者などを聖列するといって、簡単に言えば名球会みたいにすげえぞ名簿みたいなのに登録するらしいです。で、そういう方々へお祈りすることで、自分のお祈りを聖人を介して神様に「とりなして」もらうそうな。ややこしいな。あと、神への崇拝はWorshipでそれ以外の聖人への崇敬はvenerationというらしいです。むう。
で、実はこうした区分や整理は、そもそも土着の民俗学的な背景を取り込んで宗教が成り立ったということに起因しているそうです。なるほど。
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それと、プロテスタントというとルター、っていのが世界史の常識かと思いますが、青年ルター君の話も良かった。
自己肯定感の低いルター君は、自分は天国に行くような人間じゃないと悲観していたそうだが、信仰義認説を実存的に理解して、そこから現状の教会組織に疑問を感じ始めたそうな。で、そうした問いをラテン語で貼り付けたのが「95箇条の提題」。要は一部のインテリにだけ分かるようにあえてラテン語で書いたんですね。たぶんシャイなんだな。したら誰かがドイツ語に翻訳し、リツイートしたもんで、バズってヨーロッパ中で話題になっちゃったということらしい。プロテストというより炎上?だったのかもしれません。
まだまだ面白い話が幾つかあるのですが、備忘のために書いておくとヘンリー八世の英国国教会成立の話も面白かった。いやあ、良く分からなかっんですよ、国教会ってカトリック?プロテスタント?って。このあたりの事情も書かれていて参考になりました。
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ということでキリスト教入門の本でした。
一通り読んで、大学教養課程くらいの濃さはあるなあと感じました。そして興味のない方にとってはもう気絶するほど詰まらなく感じるのでは、と察しました。
ということで、キリスト教に興味がある方はもちろん、西洋史・宗教史に興味がある方、西洋文化に興味がある方、美術史に興味がある方、欧米文化に興味のある方等々には楽しんでもらえると思います。
Posted by ブクログ
キリスト教の成立と発展、ローマカトリックと東方正教、宗教改革という内容構成となっている。個人的には、前半のキリスト教の成立と発展の部分の記述に魅力を感じた。もちろん聖書の解説が中心となるが、宗教的バイアスを排除して客観的にイエスの生涯と思想を検討する「歴史的イエス研究」の内容を絡めて解説されており、合理性をもってキリスト教を考えることができた。ローマカトリックと東方正教の項は前半と比してストーリー性に欠け、宗教改革および清教徒革命の説明はやや簡素すぎる印象を受けるが、前半のみでも読む価値のある書籍である。
Posted by ブクログ
キリスト教の入門としてとてもコンパクトにまとまっていた。
十二弟子についてとか、東方正教会の組織とか20世紀のカトリックの変化のすごさとか、勉強になった。
新約聖書の約は契約の約だというのは改めて学べてよかった。
Posted by ブクログ
非常に読みやすい入門書。
ユダヤ教からの流れからイエスの生涯、布教の過程と広がり、諸派の教義の違いなどを聖書を引用しながらわかりやすくまとめられている。
専門的すぎない、しかしポイントはしっかり学ぶことが出来る。「知識」としてキリスト教に触れる第一歩としてピッタリな内容。この一冊で概要を掴むことができる。
中高生向けの新書だが社会人の教養本としても十分な良書。