あらすじ
能は退屈どころか、本当はとてつもなく面白い。700年におよぶ日本の伝統文化の蓄積があるからだ。太閤・秀吉や五代将軍綱吉は相当な能狂いだった、桃山時代までの能は今のおよそ2倍の速度で演じられていた、世阿弥の晩年はよくわからず、その著書『風姿花伝』は明治末年まで一般にはその存在すら知られていなかった――等々、能の歴史を楽しく学びつつ、日本の伝統芸能の本質も理解できる。日本人なら教養として知っておきたい、確かな史料に基づいた能楽史の入門書決定版。
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Posted by ブクログ
これまでどうやって能が生まれ、盛衰していったかを一つにまとめた本、猿楽の能を始めた能の原点に振り返りながら、観世流、宝生流、金春流、金剛流、喜多流とどのようにして権威を保ってきたかを武士や公家などとの繋がりから説明している。能の本質的な芸の深さなどは風姿花伝の内容からでしか触れていない印象。能自体を学ぶとなると別の本がいいのかも
Posted by ブクログ
国宝から歌舞伎観に興味が湧き、
その元は何かといったら能楽ということで
読んでみました。
私のようなど素人には
入門的に良かったかもです。
歴史が好きなので、歴史的にどうだったた
と言われるとなんとなく頭に入ってくれる
そんな感覚がありました。
能は高校時代に一度だけ観に行かされました。
が、その頃は、全くと言っていいほど
自国の文化に興味がなかったため、
ただただ退屈だっただけですが、
この作品でも後半の方で紹介されていた
秀吉時代の能の復刻版は観てみたいと思いました。
また、先日、謡の体験してみて、あの独特な節回しで
何を言ってるのか、聞いてて分からないものが
意外とちゃんと日本語だ〜(当たり前だけど)
と妙に感動して、ちゃんと観たら面白いかも
と思いました。
Posted by ブクログ
能の歴史を概観している本です。
能についての解説書では、多くのばあい能の大成者である世阿弥に多くのページがあてられていますが、本書は700年におよぶ能の歴史の全体像を提示しています。とくに、豊臣秀吉や徳川綱吉が能に傾倒したことや、明治維新以降に幕府の庇護をうしなって苦境に陥った能が、天覧によって復権の手がかりをつかみながらも、その後の政治に翻弄されていったことなどが説明されています。
巻末の「むすびに」で著者は、「能は、具象性を極限まで削ぎ落とし、抽象性の極致にある芸能だ」といい、そうした能の本質を理解する観客をそだてていくことが、これからの時代に能が受け継がれていくための道ではないかと語っています。そして本書は、そうした能についての理解をひろめていくことをねらいとしています。
ただ、本書の叙述はもっぱら歴史的な事実を説明することに終始しており、著者の理解する能の本質がいったいどのようなものなのかということについては、明確に語られていないように思います。「能は、具象性を極限まで削ぎ落とし、抽象性の極致にある芸能だ」と著者が語る理由について、もうすこしくわしく語ってほしかったという気がします。