道尾秀介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アマチュアバンドの練習後に、かつてのバンドメンバーであり、主人公の交際相手でもある女性の死体が見つかった。表面的には事故のように思えるが、彼女への複雑な思いを抱えていた者もおり...
地味な設定、絞り込まれた登場人物、過去のトラウマ、二転三転する展開、そして意外な結末など、以前に読んだ「シャドウ」と共通する要素が多いのだが、倫理的にあまり読みたくない要素も共通しており、これはちょっときつい。
世評高い「向日葵の咲かない夏」もすでに買っているのだが、読むのが今から不安。
余談だが「虫がすだいて鳴く」なんていう表現はこの作品で初めて知った。 -
Posted by ブクログ
海辺に引っ越してきた小学生の慎一と、似た境遇の春也は、学校に居場所がないもの同士で仲良くなり毎日のように海辺で遊んでいた。あるとき山の中に手頃な窪みを見つけ、そこに潮溜まりをつくり、海辺で捕まえた生き物を飼おうと画策する。その中で捕まえたヤドカリを神様「ヤドカミ様」と称して燃やすと願いが叶う、という遊びを実行した。その後、同級生の女の子・鳴海の参加や家族の変化があり、2人の周囲を取り巻く環境が変わっていく…というストーリー。
海辺の風景描写が鮮やかで、潮の香りが感じられるようだった。生き物の描写もかなりわかりやすい。
登場人物は小学生が多いものの、大人から見たかわいらしい子どもという感じではなく、子どもらしくない面もあるリアルな小学生の心情や態度を上手く表現していた。この年代の子ども特有の生き物を平気で殺してしまう残酷さもしっかり描かれていた。小学生が主人公の物語にしてはかなり暗くてドロドロした印象。子どもは大人が思ってる以上に物事を理解しているぞ、というのがわかる作品だった。 -
Posted by ブクログ
世の中にすでに存在する写真に文を添えることで、まったく新しい物語が産まれた……。
写真と連動したショートストーリー。写真から新しい物語を生成するという、道尾秀介さんの新感覚小説です。
小説と言うか、50篇収録された話のほとんどか1ページくらいで、コンセプト的にストーリーごとに写真が1〜3枚くらい挟まるので、あっという間に読み終わります。気分的にはほぼ絵本。内容は少々ブラックですが。
ああ、とすぐ納得できる話もあれば、いまいち腑に落ちないもの、理解には都市伝説などの事前知識が必要そうなものなども。
読んだあとで考察サイトなんかを見て一緒に考えたりするのが楽しそうです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレサイコパスな主人公の殺人の記録かと思いきや、視点の切り替わりがあり、実は双子の兄がやったことだったというトリックはいつもの道尾作品という感じで良かった。弟が自分の血を嫌って血圧を上げる薬を飲んでいるのに対して兄は逆の薬を飲んでいる対比もおもしろい。母が殺されて養護施設に入っていた2人が、兄だけ引き取られたことで生活環境が変わり、殺人衝動を解放したい兄と抑えたい弟の構図になってしまったのが全ての原因といえる。このストーリー展開も素晴らしい。ただサイコパス特有の心理をもっと描いてほしかった、少し「殺し」にフォーカスし過ぎてエンタメの部分が大きいのが気になる。
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Posted by ブクログ
それぞれの章がある種のパラレルワールド、違う世界線での出来事を描写しており、その中で身近な人を失う辛さや悲しさ、そこにある喪失感を描いている。一つ一つの話を別の世界でのことと押さえながらそこからその人たちそれぞれの人間性を読み浸っていくようなイメージで読み進めた。連作小説であるが独立した章ではなくその中に貫いている悲しみや喪失、その中でどう生きているのかを様々な角度から読み解くことで、その世界を生きている人たちの人となりを考え、感じ、味わうことができるのであろう。
生きていく中で必ず起こるあの時ああしていれば、あの時ああしなければなどの描写からバタフライ効果のように大きく世界が変わってしまう。それは読み手の私たちにとっても実は日々起きていることであり、私たちが選んだこの今の世界は、他の世界の私たちは選ばなかった世界かもしれない。その中で選んだこの世界で起こったことに向き合いながら自分として精一杯生きてみようという気持ちも大切だと思う。