道尾秀介のレビュー一覧
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ネタバレ道尾秀介の短編集。
知的で幻想的、じっとりと仄暗い。全編にわたり、文体が醸し出す雰囲気がとても素敵でした。道尾さんって、いつもこんな感じだっけ?
特に好きだったのは、「ケモノ」。
猟奇殺人の足跡を辿りつつ、最後にはそれが主人公と重なるという衝撃のラスト。
文字を用いた面白い構成だったし、叙述トリックにも上手く騙されたし、凄く好みでした!
他の作品も素敵で、奇抜な設定や妖しげな雰囲気が読む手を止めず、退屈しなかったです。
ただ、オチの説明が省かれて、こちらに投げかけてくるテイストのものが多く、やや難しい印象も。
「箱詰めの文字」については、オチの意味をあまり汲み取れませんでした…。
面白 -
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それぞれの章では逃れられない不幸や登場人物の些細な行動をきっかけとして、大切な存在が失われてしまった家族の話が描かれる。
あと一歩早ければ。あんな言葉をかけなければ。どうすることもできない自分。そんな起きてしまった誰のせいでもない不幸に苦悩し、悶々とした日々を過ごす登場人物たち。そんな彼らの人生を6つのパラレルワールドを通して見ていくことになる。
この作品をより深くより難しいものにしているのは、残酷な分岐が必ずしも悪い方向だけに作用してはいないということ。
不幸が起きたからこそ、他の世界線ではなんともない関係だった姉の友達に特別な感情を抱くことになったり、不幸が起きなかったからこそ、遠い未来 -
Posted by ブクログ
ラジオパーソナリティを務める素敵な声と冴えない容姿の持ち主・桐畑恭太郎は、仕事終わりにいつもの仲間たちと飲みかわすべく、行きつけのバー『if』へ訪れる。大雨のその夜、びしょ濡れになった美女・三梶恵がバーに迷い込んだことをきっかけとして、『if』に集うメンバーは彼女の殺害計画を手伝わされることに。
恵の計画に振り回される愉快な飲み仲間たちと恭太郎。恭太郎は傍若無人な恵に呆れつつも次第に心惹かれていき……。そんな道尾秀介先生の描くドタバタコメディと思いきや、最後にはまさかの結末が。テンポよく進んでいくギャグのような掛け合いも、このラストのためだったのかと思えるほど。
気になって読み返すと、いたる -
Posted by ブクログ
滑り込みで夏の読書となったクリスマスのお話(^^;
最初のお話好きだなぁ。騙されてあっという間に真相がわかる叙述トリックもあり(笑)
苦手なファンタジー要素は出てくるものの、童話の世界だと分かっているので、なんでもアリな感じではなく想像もしやすい。全然問題なかった。
圭介の作った物語もおじいさんが作ってきた物語も優しくて好き。
ただ、3話目の「あのね…」で話が途切れる箇所が何回かあるのがもどかしい。結局何なのか分からなかったのは、私の読解力のなさかな。
最後に出てきた若い男女はあの2人ではないの?(他のサイトで違うこと書いてあるの見た)とか。
とても感動する良いお話だっただけに、ちゃんと理 -
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ネタバレ【収録作品】静かな午後/さがしもの/お兄ちゃんの髪は濡れてた/行方/能才/ジャンプ力/ごめんね/デュロン/手紙/習慣/人のもの/つちのうま/今夜/聞いてごらん、と言った女性の肌は濡れていた/何日か経つと静かになった/世界平和①/世界平和②/手羽先/往復書簡①/往復書簡②/悩み/いかないで/どちらか/よくいるクレーマー/ダイイングメッ……/成長は難しい/大丈夫/盲点/ちょっと遅かった/中身は家の裏に埋めたそうな/ウミガメのスープ/干しガキ/生き餌/FはFlee/FreeのF/ハツカネズミと人間/弟は野良猫とビーグルのあいだだった/夢/ひとをうたがうべからず①/ひとをうたがうべからず②/指/髪飾り
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ネタバレ【収録作品】「ある部屋にて」 今村昌弘/「転んでもただでは起きないふわ玉豆苗スープ事件」 結城真一郎/「二〇XX年の手記」 潮谷験/「血腐れ」 矢樹純/「同好のSHE」 荒木あかね/「モーティリアンの手首」 白井智之/「ハリガネムシ」 道尾秀介
「ある部屋にて」 倒叙形式に一ひねり。
「転んでも……」 「ゴーストレストラン」を舞台にしたブラックな安楽椅子探偵もの。シリーズの1編。燃えさかるアパートに、「女」はなぜ勇んで飛び込んでいったのか。
「二〇XX年……」 近未来の独裁国家のある特別な人間を集めた集落で起きた事件を描く。
「血腐れ」 ホラーミステリ。
「同好の……」 夜行バスで出会った二