【感想・ネタバレ】月と蟹のレビュー

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Posted by ブクログ

小学生の少年がヤドカリ様に祈りをするというストーリー。子供ならではの残虐性や考え方など、もう子供じゃない自分が読むと感慨深いものがあった。大人になるということについて考えさせられたのもよかった。物語自体はすごくダークで惹き込まれる。誰もが経験したことのある感情が比喩を用いて明瞭に描かれており、共感することが多かった。直木賞は伊達じゃないと思われされる作品だった。

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2024年04月14日

購入済み

中二病前夜の年頃を描く

⚫️小学校高学年とは、何も分かっていないようで大方のことは識っている年頃だ。そんな子供達の心象言動について、空恐ろしいほど鋭く生々しく描かれている。⚫️それにしても、養育とは難しい。この物語で、子供にとって肉親は胸襟を開ける相手ではなく、教師は登場しない。大人から子供への接し方を考え込まされる。⚫️大人は子供を少々ムリがあっても一人前に扱うことで、真に頼られる存在となり得るのかもしれない。これは大人と子供を目上と目下に言い変えても同じであろう。自分の職場での目下に対する態度が脳裏に去来し反省しきりである。

#深い

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2023年10月07日

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小学5年生、少年から大人に向かおうとする子ども達の話。

心理描写が的確過ぎて、昔を思い出して
胸が痛くなる。

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2023年07月15日

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ネタバレ

小学生の男の子が主人公だけれど、とてもヘビーな心理描写だった。初めて本物の殺意を抱いた少年がどんな顔をしていたか、考えるだに恐ろしい。
ただただ友だちと馬鹿なことをして笑い合っていた頃から、闇が押し寄せるまでの経緯が、丁寧に大胆に描かれていて引き込まれた。少年が色んな気持ちを味わうのがひしひしと伝わってくる。少年の心に「上手くいかない」と思わせる細々とした色んなこと。人がどのようにして引き返せないところまで来てしまうかがよく分かる。
子どもの頃の謎の遊び、残酷な思い付き、飢えたような感覚、自分たちで決めたルールや暗黙の了解、急によそよそしくなる瞬間。子どもの頃に経験した色んな気持ちが呼び覚まされていった。
口に出さないだけで誰しも内に抱えているものがあって、なんとかバランスを取って生きているということを、登場人物たちに再認識させてもらった。物語はハッピーエンドとはいかなかったけれど、生きていればいつでも再スタートできるから、慎一には頑張ってほしいな。親戚の子か何かを見守るような気持ちだ。

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2022年06月15日

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もう少し爽やかなことが起きてもいいような舞台(海のある田舎、葉山かな?)で、すごくグロい、ハラハラしてしまうような日々の描写。
しかし、なんていうか子どもたちは人の心が読めすぎ、爺ちゃんを除いて大人たちは何も気づかなすぎ(気がついても見なかったことにするのも含めて。)大人と子どもの違いなのか。

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2022年05月07日

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大人と子供の境目、見えないのに確かにある気がしている。「子供なんだから」「大人のくせに」日常会話にもよく出てくる。乳飲み子にはなかったはずのドロドロとした負の感情は、いつから子供の心に芽生え育ち始めるのだろう。自分の古い記憶に、楽しさや喜びと同じ数くらい、憎しみや恨みなんかもあることを、この子たちの物語を辿り終えた時、自覚させられた。

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2022年02月27日

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国語の受験問題に出てくる本って、問題の中ではわからなかったけど、ちゃんと読んでみるとこんなに面白いんだって気付かされた本。
向日葵の咲かない夏と同じ著者って知らなかった。
グロテスクでダークな表現が上手で、すごく好みな文章。
他の作品も読みたい

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2021年12月19日

大切な存在を近くで発見できる

子供時代、それがこの世のすべてだった。そんなことを懐かしく思い出させてくれる物語です。ちょっと切ない異性との関係、絶望的な大人との関係。その時は何が起こっているのか、ちゃんと理解できていなかったはずなのに、分かったつもりでいた。同級生の変化、自分の変化、町の変化、3人で決めた不思議な儀式。。。読み終わったとき、とても切なくなって、小学校の卒業アルバムを開きたくなった。この作品は直木賞を受賞している。しかし、決して娯楽作品ではない!

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2013年10月09日

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ネタバレ

一体、何匹のヤドカリが炙られただろうか。海から取ってきたヤドカリを『ヤドカミ様』として崇め、少年たちは願う。心が『無』になるまでの過程が丁寧に描写されており、かつての言葉にし難い感覚に共感を覚えた。心の廃退とヤドカリの子の成長の対比が印象的。物語の後半~終盤にかけての畳み掛ける疾走感。暗闇の中の月は悲しくも美しかった。

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2023年09月13日

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道尾秀介さんが好きな友からのお勧め。

読んでいるこちらが苦しくなるような灰色の閉塞感が終始漂っていて、
「今のタイミングで読むのしんどいかも…」なんて思っていたが、鳴海が慎一家に遊びに来た辺りから目が離せなくなった。

子供の無邪気な残酷さ、後ろめたさや不安からくる、下腹の辺りがムズムズするあの感覚。
心理描写が見事で、子供の頃抱いた事のある仄暗い感情を思い出した。

道尾さんの作品はどれも一気読みしてしまうなぁ。

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2023年09月09日

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ネタバレ

何も知らずに読み始めたので、いつ殺人事件が起こるんだろう、、と思ってたら読み終わった
読後感がなんとも言えない、叫び散らしたい
小学校高学年ともなれば思考は大人、でも経験値の浅さからか物事の判断力は子供、みたいなちぐはぐさが、なんとも懐かしいような、恥ずかしいような気持ちになった
あと爺ちゃん好き

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2023年09月02日

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どんよりと暗く重い灰色の印象の作品でした。
子供特有の残虐性、繊細さ、悲哀が詰まっています。心の機微をこれ程までに細やかに表現できるのかと驚きました。
当たり前ではありますが、子供といえども社会があり、自己があり。大人が思うよりもずっと複雑で繊細なのだと改めて考えさせられます。
そして、子供だからこその歯止めの効かない狂気も感じる事ができました。
ひたすらに苦しく報われず幸せになれない作品です。じゅくじゅくとした擦り傷を砂で汚れた指で弄くり回すような陰湿な痛みが表現されています。が、人生ってきっとこうなのだよなと個人的には清々しく感じました。

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2023年07月30日

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子どもたちの世界が舞台だが
おじいちゃんの「腹の中で変なもの育てすぎるなよ」が見事に話をシビアにしてく感じがして、のどかだけど緊張感のあるいい話でした

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2023年05月11日

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直木賞、納得。
少年の閉塞感、胸に迫る。
読んでいて、目が離せない、やるせない、しんどい。こんなに感情移入して読むのは久方ぶり。

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2022年12月04日

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「道尾秀介」の長篇作品『月と蟹』を読みました。

『鬼の跫音』、『龍神の雨』、『球体の蛇』、『光媒の花』、『月の恋人―Moon Lovers』に続き「道尾秀介」作品です。

-----story-------------
あの夏、海辺の町で少年は大人になる涙を知った
孤独な子ども達が始めた願い事遊びはやがて切実な思いを帯びた儀式めいたものに――深い余韻が残る少年小説の傑作。

海辺の町、小学生の「慎一」と「春也」はヤドカリを神様に見立てた願い事遊びを考え出す。
無邪気な儀式ごっこはいつしか切実な祈りに変わり、母のない少女「鳴海」を加えた三人の関係も揺らいでゆく。
「大人になるのって、ほんと難しいよね」―誰もが通る“子供時代の終わり”が鮮やかに胸に蘇る長篇。
直木賞受賞作。
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2011年(平成23年)に第144回直木賞を受賞した作品なので期待しつつも、小学5年生の少年が主人公の物語で、ミステリ色が薄そうだったので、イマイチかなぁ、、、

と思っていましたが、子どもたちの心理描写にリアリティがあり、自分が子どもの頃に抱えていた思いや、子どもならではの不可解な行動や遊び、狭い世界での閉塞感、仲間外れ、嫉妬、自意識過剰等の封印していた傷の部分を含め、当時のことが掘り起こされた感じがして、とても印象深い作品でした。


小学5年生の「慎一」と「春也」は、秘密の場所でヤドカリを神様に見立てた「ヤドカミ様」なる願い事遊びを考え出す… 100円欲しい、いじめっ子をこらしめる――他愛ない儀式はいつしかより切実な願いへと変わり、子どもたちのやり場のない「祈り」が周囲の大人に、そして彼ら自身に暗い刃を向ける、、、

東京から転校してきて、地元の子どもたちとは馴染めず、癌で父を亡くし、祖父の家で母と一緒に暮らしている「慎一」、関西から転校生で父から虐待を受けている「春也」、そして、クラスメイトで父子家庭の「鳴海」… 複雑な家庭事情を抱える三人の、家族を含めた微妙で複雑な関係が、ひと夏の出来事を通じて瑞々しい筆致で描かれていました。

愛する家族や友人にとって、自分はナンバー1でありたいという強い願望と、それが裏切られたと感じたときの憎悪や怒り、、、

愛する家族や友人との間に第三者が出現することによる嫉妬や焦り、猜疑心、やり場のない気持ちと複雑な心境… 等々の描き方は、ホントに巧いなぁ と感じましたね。

三人っていうのは、二人に比べ関係性のバランスが保ちにくくて、ちょっとしたバイアスがかかるだけで崩れてしまうんですよね、、、

そのバランスが崩れたときに生じる感情の奥底から突き上げてくる奇怪な瘤のような塊、惨酷な興奮、その暗い感情を抑制できなくなったときに、邪魔と思える人物を消したいと願うようになり、殺人を犯しかねないまでの事態に発展… 終盤はミステリを読んでいるようなドラマティックな展開で、どんどん先を読みたくなる気持ちを抑えるのが大変でした。

子どもって、素直さと惨酷さが同居しているし、心がピュアなだけに、周りの影響を受けて反応しやすいんですよね… でも、最後の最後で、自分の暴走に気付いてくれたので、救われた感じがしましたね、、、

三人は、これで大人への一歩を踏み出せたんだと信じたいですね。

「鳴海」の父と、自分の母の密会… 逢引きで使われているヴァンの前に飛び出したあと、、、

「慎一」の目に映った、ぎくしゃくと動く影… 二人の背後から後ずさるように遠ざかって行った影は、「春也」だったのか、それとも自分の分身だったのか… 答えは、読み手に委ねられていますが、私はきっと後者だったんだと思います。

読み応えがあり、印象に残る作品でしたが… ちょーっと、暗い面が強調され過ぎな感じはしましたね、、、

でも、それが「道尾秀介」らしさかな… ミステリではなかったけど、興奮したし、深い余韻が残った忘れられない作品です。

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2022年10月19日

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著者の記念すべき直木賞受賞作品。子供の気持ちを描く事にこれより前までの作品では苦労されていたのだろうに。ずっと読んできた読者からしても、不遇な少年少女のミステリで受賞したことは、作風に対する評価でもあると納得できたのではないだろうか。この先もあっと驚かすミステリを期待してしまう。

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2022年09月30日

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大人になった今もこんな感情を抱くことはある
ましてや子供時代はもっと複雑だった
見事に表現されているが、読後感は良くない
しかし一読の価値はあり

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2022年08月10日

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初めて道尾秀介さんの小説を読んだ。
読んでいてもやもやさせられた。
天才作家をまた発見してしまった。

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2022年05月17日

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小学生は悩みなんてなさそうでいいよな、なんていつからか思うようになっていた。
かつて自分が大嫌いだった大人がそうだったように。
読み終えてそんなことに気づかされました。

メインキャラクターとなる慎一・春也・鳴海たち三人は皆「悩み」を抱えている。逃げ場がない分、彼らにとってその辛さは時として大人以上のはず。
自分自身、子どもの頃は少なからずしんどく、憂鬱で何かが削れていく感覚を味わう日々があったことが、道尾さんの解像度の高い心理描写でまざまざと蘇りました。
中盤、慎一の感情に引っ張られてズブズブと黒い感情が溢れていたかと思えば、春也の事情と吐露で一気にそうだような辛いよな...となったり。とにかく揺さぶられました。
終盤の疾走と焦燥といい、劇的な展開があるとは言えないのにすっかり引き込まれる物語としての引力が強い。
どんでん返しがとにかく有名な作者が、本作で直木賞を受賞したというのも読んでみて納得しました。
読後は決してすっきりとは言えませんが、行きついたその景色は目が離せない程に自分の原風景と重なるような気がしました。

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2022年05月13日

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月と蟹、最後にタイトル回収!
カミサマへの最後の願い事。
ラストは、慎一が思い直して
取った行動の描写がたたみ込む
ようなクライマックスだった
道尾秀介の描写は、登場人物の
心情表現が秀逸

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2022年03月10日

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ネタバレ

子供ならではの独占欲とか嫉妬心みたいなものが明瞭に書かれていていいなあと思った。
いつかのことを語る春也が印象的。彼らはそれぞれどんな大人になるんだろう。

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2021年11月10日

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ネタバレ

慎一も春也も残酷な描写が多い。丸っきり残酷なのではなく、身近な人を心配したり悲しんだりするような心はもっているが、『どうすればいいの』『逃げ出したい』と傷ついているときに一層残酷的になっていたと思う。

春也が何を考えて慎一を追い詰めるようなことをしていたのかが個人的にははっきりとはわからなかった。
一周目の前提を踏まえて、二周目を読んだときに行動の動機等また新たに気づくことができるかもしれない。

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2021年10月16日

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こういう少年や少女が主人公の小説で、日本人が書いたものは何だか読んでいてつらくなる。何度もやめてくれ、と思いながら読み飛ばしてしまった。
スティーブン・キングとかのは楽しめるのに。あまりに自分の子供時代と近すぎるからか。
逆に多分小説としては秀逸なんだろう。

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2024年05月19日

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ネタバレ

 両親の離婚、クラスに馴染めず不登校、母が出会い系で別の男を探してた、わたしの中学生時代の何もかも嫌になった時期を思い出した。
 1つ嫌なことがあると、他のことも上手くいかないって思ってどんどんネガティブ思考になって抜け出せないんだよなぁ。周りの些細な表情や言葉も敏感に感じ取っちゃって生きづらかったあの頃は...。

「何か、粘着質の音が聞こえた。鳴海の父親の、微かな声。同じくらい微かな、純江の声。そしてふたたび静かになった。その静けさの中に、先ほどと同じような粘着質の音が、また聞こえた」(P222)

慎一が車にて、母と鳴海の父の密会現場に潜むシーン。口付けを「粘着質の音」と表現してるのが印象的。母が他の男と性的行為をしてるのを想像するだけでもゾッとするのに、慎一は現場に居合わせちゃうんだからすごい度胸。俺だったらその後、まともに母と顔合わせられないかも。

「鳴海は昼寝から覚めたように、しばし春也に顔を向けていたが、さっと恥ずかしそうに身体を硬くし、それから相手に笑いかけた。前髪で隠れた額は軽く汗ばみ、耳たぶが熱ってピンク色になっていた」(P259)

 慎一、春也、鳴海の三角関係は台詞を使わず表情や仕草だけで、照れ、嫉妬、ショックなどを表現してるのが上手い。鳴海と春也の距離がだんだん近づき、慎一が可哀想になってきて切ない。

「『ね』って、逃げてく奴をロープか何かで捕まえとるみたいやろ。このほら、縦の棒が人やとして、首んとこからぐるぐる巻いて、ぎゅっと掴んで」(P34)

 春也が「ね」を書きまくる場面が狂気を感じで怖い。他にもヤドカリを躊躇なく潰したり「あ、こいつサイコパスや...」って序盤から感じた。慎一宛のイタズラ手紙はなんとなく「春也が書いたんだろうなー」と予想してたので、慎一が春也が書いたのだと見破るシーンの驚きは少なかった。

 最後鳴海の車に乗ってたのは春也なのかヤドカリ神なのか気になる。でも父親を結局殺せなかった春也が慎一のためとはいえ、鳴海の父を殺そうとするかなぁ。モヤモヤして気になる。

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2024年03月31日

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それぞれが暗い現状に悩まされている少年少女の慎一、春也、鳴海。彼らは理不尽を打破するために、海と山に囲まれた小さな町でヤドカリを使った神様を作り出す…!
小学生の抱える闇を圧倒的な筆致で描いた青春小説とでも言えるだろうか。心理描写には息を呑むものがあるが、話は終始暗い雰囲気が漂う。
道尾秀介さんはラストに伏線が次々回収される技巧派のイメージがあったので、それとは対を成すといえる。
自分の勝手な期待でしかないのは重々承知しているが、もっとどんでん返しのような展開を期待してしまった。
ただ、心理描写をメインにした純文学作品としては楽しめると思う。直木賞受賞作と聞いていたのだが、エンタメに全振りしたものだけが直木賞ではないようだ、不勉強を痛感…。

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2024年03月30日

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海辺の町で小学生の三人はヤドカリを神様に見立てた願い事遊びを始めるが……。
大人になるにはこの運命は辛すぎる。
大人たちの「本当の顔」に気づく時の衝撃度はそれほどではないが、一つの小説として面白い作品と言える。郷愁に吹かれる一作だ。

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2024年03月12日

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道尾さんの作品の中で直木賞を受賞された作品とのことで期待して読んだ。子供ながらの残酷感はあったし、子供ながらの悩みの中で苦悩するのもとても伝わった。どんでん返しという点を期待して読んでいたこともあり、そこまで衝撃を受けなかったため評価はこの程度。ただ、登場人物へとても感情移入できた。人に勧めたくなるという訳では無い。

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2023年03月19日

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子どもって純粋で残酷で。そして少し大きくなって周りが見え出した頃には寂しさや処理できない感情に戸惑ってしまう。作者は僕が子どもだったころの気持ちを知ってるのか?と思うくらい自分の苦い思い出がよみがえる・・・。

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2023年01月15日

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子供の持つ、純粋がゆえの心の奥に巣くう闇の部分が静かに描かれていて、はやくここから脱したい、そう思ってしまうほどの不安に心が苛まれました。少年ゆえの苦悩、人生を生き様々な経験を積んだ祖父の心の内。大人である昭三が子供である慎一に対して対等に、一人の人間として向き合う姿・言葉がとても響きました。数十年後、大人になった慎一は、いつか自分の子供の頃のあの体験や気持ちを、どんな想いとともに思い出すのでしょうか。

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2022年11月23日

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少年期の純粋さと哀しみと残虐性が子供達を寡黙にさせるているかのようで、暗然とした小説でした。
父を病気で亡くし、海の事故で片足を失った祖父と母親と暮らす少年。貧しく父親からの暴力を隠し通す友人。少年の祖父との事故で母親を亡くした少女。三人は、いつしか親しくなり、ヤドカリを神様に見立てた秘密の儀式に、願いを込めるようになる。
それぞれの子供達から見た大人達が描かれる。大人達への寂しさからの不満が彼らの気持ちを支配していく。気持ちを表現できないのではなく、耐えている姿が痛々しい。抑えきれなくなった気持ちをぎりぎりのところで親達が受け取る。大人になるには、まだ早すぎたんですね。

直木賞受賞作として読み始めたら、鎌倉の建長寺が登場してきて、そうだ、建長寺へ行こうと思い立ち半僧坊まで登ってきました。なかなかハードなのでお子様は気をつけましょう。鎌倉の街や相模湾まで見れます。お天気が良かったので富士山も見えました。

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2022年11月10日

Posted by ブクログ

直木賞と言う事で読んでみた。子供の話しなのに読み始めると暗くなかなか前に進まない。何度か止めようか迷いつつ読破。でも読んで良かった。小学生の不器用さや純粋さ、成長過程での迷い等が上手く表現出来る作者に脱帽でした。

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2021年10月09日

Posted by ブクログ

少し難しい内容だなと思った。少年少女の成長が描かれている。面白いことは面白いが他の作品と比較すると少し退屈に感じた。

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2021年09月25日

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