• 月と蟹

    大切な存在を近くで発見できる

    子供時代、それがこの世のすべてだった。そんなことを懐かしく思い出させてくれる物語です。ちょっと切ない異性との関係、絶望的な大人との関係。その時は何が起こっているのか、ちゃんと理解できていなかったはずなのに、分かったつもりでいた。同級生の変化、自分の変化、町の変化、3人で決めた不思議な儀式。。。読み終わったとき、とても切なくなって、小学校の卒業アルバムを開きたくなった。この作品は直木賞を受賞している。しかし、決して娯楽作品ではない!

    2
  • 紙婚式

    結婚って憧れるほど良いもの?

    著者は身近なテーマを繊細な言葉で紡ぐ名手である。時には冷たい、突き放す恋愛を描くこともあるが、今回は「結婚」をテーマに、どちらかというと優しく見守ってくれる短編集になっている。恋愛~結婚に理想を持つことは危険だけど、第3者から見れば面白い「ズレ」を生む。でも恐ろしいのは自分自身が傍観者でなくなる場面が想像できることである。これを読めば結婚に夢も希望もなくなる?いやいや、とりあえず紙婚式まで一度試してみたくなるでしょう!

    0
  • 刑事のまなざし

    読み終えるのが惜しい傑作!

    本当に丁寧に人間を描く著者の、優しさが詰まった傑作です。これまで少年犯罪の被害者など、つらい境遇が最初から最後まで重苦しく包む作品が多かったのに対して、同じく哀しい過去を抱きながらも、主人公が温かい言葉で事件を解決していく姿を、彼の過去を知った読者は涙なしには追いかけられないでしょう・・・。

    0
  • 三匹のおっさん

    確かにおっさんが活躍するけど

    痛快、痛快!ニヤニヤしながら安心して3人のおっさんたちのキャラクターを楽しむことができます。でも、確かにおっさんたちが活躍するんだけど、やっぱり有川作品には、ラブコメ要素が用意されているんですね~。。。満足・・・。

    4
  • ルームメイト

    ついに映画化!みんな騙される!

    大学に通う春海とルームシェアをしていた麗子が突然姿を消した。快適だったはずの共同生活が、麗子の失踪とともに謎めいたものに変わっていく。よくある二重人格もの?と序盤で興ざめになる暇を与えてくれない麗子の不可解な二重、三重の生活。しかし、本当の謎はもっと、もっと違うところに、深く、深く隠されているのですよ・・・。

    0
  • ヒストリエ(1)

    世界には面白い人がいる

    主人公のエウメネスは子供の頃から数奇な運命をたどるが、自分の周囲から知識を吸収し、工夫を重ね、誰もが認める知恵者になっていく。一時は奴隷にまで身を落とすが、彼にはピンチも次のチャンスにしていく図太さがあったのだ。アレキサンダー大王の書記官になる彼の、謎に包まれた若かりし日の活躍を岩明均が軽やかに描く。ニヤニヤすること間違いなし!

    2
  • ちはやふる(11)

    ひたすら前向きに!

    いままでで一番楽しかった。そして、いままでで一番悔しかった。都大会団体戦決勝は、千早と仲間たちをさらに前向きにさせる出会いを生んだ。息を呑む緊張感溢れるシーン、それに続く千早とお母さんとのエピソードにホッとさせられる。早く次の千早たちの成長を読みたくなるぞっ!

    0