【感想・ネタバレ】月と蟹のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

小学生の男の子が主人公だけれど、とてもヘビーな心理描写だった。初めて本物の殺意を抱いた少年がどんな顔をしていたか、考えるだに恐ろしい。
ただただ友だちと馬鹿なことをして笑い合っていた頃から、闇が押し寄せるまでの経緯が、丁寧に大胆に描かれていて引き込まれた。少年が色んな気持ちを味わうのがひしひしと伝わってくる。少年の心に「上手くいかない」と思わせる細々とした色んなこと。人がどのようにして引き返せないところまで来てしまうかがよく分かる。
子どもの頃の謎の遊び、残酷な思い付き、飢えたような感覚、自分たちで決めたルールや暗黙の了解、急によそよそしくなる瞬間。子どもの頃に経験した色んな気持ちが呼び覚まされていった。
口に出さないだけで誰しも内に抱えているものがあって、なんとかバランスを取って生きているということを、登場人物たちに再認識させてもらった。物語はハッピーエンドとはいかなかったけれど、生きていればいつでも再スタートできるから、慎一には頑張ってほしいな。親戚の子か何かを見守るような気持ちだ。

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2022年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一体、何匹のヤドカリが炙られただろうか。海から取ってきたヤドカリを『ヤドカミ様』として崇め、少年たちは願う。心が『無』になるまでの過程が丁寧に描写されており、かつての言葉にし難い感覚に共感を覚えた。心の廃退とヤドカリの子の成長の対比が印象的。物語の後半~終盤にかけての畳み掛ける疾走感。暗闇の中の月は悲しくも美しかった。

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2023年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何も知らずに読み始めたので、いつ殺人事件が起こるんだろう、、と思ってたら読み終わった
読後感がなんとも言えない、叫び散らしたい
小学校高学年ともなれば思考は大人、でも経験値の浅さからか物事の判断力は子供、みたいなちぐはぐさが、なんとも懐かしいような、恥ずかしいような気持ちになった
あと爺ちゃん好き

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2023年09月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

子供ならではの独占欲とか嫉妬心みたいなものが明瞭に書かれていていいなあと思った。
いつかのことを語る春也が印象的。彼らはそれぞれどんな大人になるんだろう。

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2021年11月10日

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ネタバレ

慎一も春也も残酷な描写が多い。丸っきり残酷なのではなく、身近な人を心配したり悲しんだりするような心はもっているが、『どうすればいいの』『逃げ出したい』と傷ついているときに一層残酷的になっていたと思う。

春也が何を考えて慎一を追い詰めるようなことをしていたのかが個人的にははっきりとはわからなかった。
一周目の前提を踏まえて、二周目を読んだときに行動の動機等また新たに気づくことができるかもしれない。

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2021年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 両親の離婚、クラスに馴染めず不登校、母が出会い系で別の男を探してた、わたしの中学生時代の何もかも嫌になった時期を思い出した。
 1つ嫌なことがあると、他のことも上手くいかないって思ってどんどんネガティブ思考になって抜け出せないんだよなぁ。周りの些細な表情や言葉も敏感に感じ取っちゃって生きづらかったあの頃は...。

「何か、粘着質の音が聞こえた。鳴海の父親の、微かな声。同じくらい微かな、純江の声。そしてふたたび静かになった。その静けさの中に、先ほどと同じような粘着質の音が、また聞こえた」(P222)

慎一が車にて、母と鳴海の父の密会現場に潜むシーン。口付けを「粘着質の音」と表現してるのが印象的。母が他の男と性的行為をしてるのを想像するだけでもゾッとするのに、慎一は現場に居合わせちゃうんだからすごい度胸。俺だったらその後、まともに母と顔合わせられないかも。

「鳴海は昼寝から覚めたように、しばし春也に顔を向けていたが、さっと恥ずかしそうに身体を硬くし、それから相手に笑いかけた。前髪で隠れた額は軽く汗ばみ、耳たぶが熱ってピンク色になっていた」(P259)

 慎一、春也、鳴海の三角関係は台詞を使わず表情や仕草だけで、照れ、嫉妬、ショックなどを表現してるのが上手い。鳴海と春也の距離がだんだん近づき、慎一が可哀想になってきて切ない。

「『ね』って、逃げてく奴をロープか何かで捕まえとるみたいやろ。このほら、縦の棒が人やとして、首んとこからぐるぐる巻いて、ぎゅっと掴んで」(P34)

 春也が「ね」を書きまくる場面が狂気を感じで怖い。他にもヤドカリを躊躇なく潰したり「あ、こいつサイコパスや...」って序盤から感じた。慎一宛のイタズラ手紙はなんとなく「春也が書いたんだろうなー」と予想してたので、慎一が春也が書いたのだと見破るシーンの驚きは少なかった。

 最後鳴海の車に乗ってたのは春也なのかヤドカリ神なのか気になる。でも父親を結局殺せなかった春也が慎一のためとはいえ、鳴海の父を殺そうとするかなぁ。モヤモヤして気になる。

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2024年03月31日

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