道尾秀介のレビュー一覧
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人は、いかに主観だけで物事を捉えているかを思い知らされる作品だった。
散りばめられた「思い込みの種」があまりに巧みで、それによって導き出した結論めいたものがことごとく覆されていく。
どんでん返しの快感を存分に味わえた。
さらにストーリー展開の面白さに加えて、引き込まれるのは登場人物たちの複雑な感情の描写だ。
特に姫川の深い哀しみや、母との関係に苦しむ場面の表現には胸が締めつけられる。
思い込みは、その対象への想いが強いほど誤った方向へと勝手に歪んでいく。
原因は愛なのか、憎しみなのか、それとも執着のような感情なのか……。
そしてエピローグが素晴らしい。
疾走してきた物語は、ここで -
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ネタバレ道尾秀介さんの作品は、大好きなので、読み漁っている感じなのですが、前に読んだ「I」と同様に、新感覚のエンターテイメント小説であり、非常に面白かったです。
1話目の「聞こえる」は、最後に、殺された夕紀乃の父親を装った男が荷物を回収しに来ますが、その男こそが、犯人であったことに、寒気を感じました。
2話目が、個人的に1番怖く、叙述トリックのような形で紡がれていた感じでした。音を聴くことによって、自分は今まで何を読まされていたのだろうと思わされぐらい、ミスリードが巧みでした。講演者と主人公の境遇が、全然違ったことに、戦慄を覚えました。
3話目は、唯一のハートウォーミングであったような終わり方で -
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ネタバレゲオスミン→ペトリコールの順で読みました。
書き出しで恋愛っぽいのより不穏な方からのほうが読みやすいかなと思って選びました。
娘さんが自死された二人の父親の話が悲しすぎてミステリーを読んでると言うのを忘れて泣きながら読んでいました。
道尾秀介さんは情景描写もすごく丁寧で好きです。
洞窟の中で雪夫が腕を広げて回数を数えている所、海辺へ酒を持って向かう時の砂を踏むジャリッとした感覚、ハロウィンパーティーの翠の恥ずかしそうな嬉しそうな表情、汚れたテントの中で髪を切っているところ、スマホに伸びるカーテンからの光など、それが映画を観てるような感覚と言うより、私も同じ場所で同じ空気を吸っているかのような -
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タイトルからは夏のお話だということは想像がついていましたが、主人公の道夫君の夏休みの出来事という軽い感じのイメージでちょっと読み始めました。ただ、S君が、名前を伏せてあったので、S君が絡んでいるんだろうなとは思ったんですけれども、そもそも後半に行くにあたっていろんな人の言動、あと子供の解釈というところでちょっと見方がいろいろ変わってくるのかなというところはありました。ただそれを持っても、最後の方で道夫君の頭の中というのがすごく子供の中の頭の考え方なんだなというところで、ちょっと衝撃的な最後かなとは思いました。最後の捉え方というところは人それぞれ変わってくるのかなと思うんですが、自分的にはちょっ
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ネタバレ読んだ順
【名のない毒液と花】
【眠らない刑事と犬】
【落ちない魔球と鳥】
【笑わない少女の死】
【消えない硝子の星】
【飛べない雄蜂の嘘】
文章冒頭を読んだ時のイメージと直感で選んで読んだ。面白かった。1話目に出てきた名前もない人達が、後々の主人公となったり、重要な人物となったり…。
私は普段から、登場人物の名前を覚えるのが苦手で、出てきた人物(犬含めて)を全員メモしながら読んでいる。それのおかげで、一度だけ出てきた人が、別の話で登場するたびに、「あなただったのかー!」と、1人ワクワク嬉しくなりながら読めた。
冒頭の文だけを読む時点では、本当にこの物語は繋がっていくのかと不安になる。特 -
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ネタバレ★5.0
凄く好みの分かれる作品ではあると思うけど、めちゃくちゃ刺さる作品でした。 重いミステリーの中に非現実的な描写が織り込まれてるのに違和感を感じさせない 書くわけじゃないけど、とてもじゃないけど真似出来ない作品でしたほんとにすごい ミステリーとしても面白いけど、扱う題材がすごく面白くて重い作品ではあるけど1度は読んでみて欲しい語り継がれる名著でした。
以下ちょっとネタバレ
叙述トリックと言われてはいるけど、個人的にはそう感じなくて。
人それぞれ自分に都合の良いというか自分を守るための物語/嘘を作り上げているよなと痛感した作品。
トリックというよりはその人にとっての嘘も含めた真実を語 -
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ネタバレ道尾秀介さんの本は向日葵の咲かない夏、いけない、に続き3作目。向日葵の咲かない夏と同様不穏で重苦しいのに読み進めずにはいられない。以下ネタバレ含む感想。
わりとはじめの方で脅迫者は父の死を知らず父を脅しているつもりなのでは、過去の件で脅しているのでは、という可能性に思い至ったのだけれど、その後の丹念なミスリードによって主人公が犯人で脅迫者は勘違いをしていて姉は主人公の犯罪をやめさせようとしてるのでは、と考えてしまった。さすがに終盤ミスリードあからさまだったのでこれはやはり・・・と勘付いたけど。あと手紙は二本の線以外にも「、と十」を書き出してるのではないかと思ったけどこれは私の勘違いかもしれ