道尾秀介のレビュー一覧

  • ノエル―a story of stories―

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    ネタバレ

    児童文学でつながる3編の連作小説

    それぞれの話の中、不穏な空気は漂いつつも、だれも悲しくさせない結末に辿り着いてにっこり
    特に「光の箱」が好きだった(ミスリードにもちゃんと引っかかったし)

    作中に出てくる児童文学、本当に絵本になってくれたらいいのに
    蛍とカブト虫とヤモリの話とか、大人も考えさせられる絵本になりそう

    お話を自分で作ることは難しい
    でも、誰かが作ったお話の中に逃げ込む感覚は身に覚えがある
    本を読む時間、物語に潜り込む時間は孤独ではあるけど
    みんなそうやって逃げ込める場所を持ってるのかなと思うと少し安心する

    物語好きを包み込むみたいな優しいお話だった

    0
    2023年03月28日
  • 光媒の花

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    陰鬱な雰囲気にぐっと吸い込まれそうでした。
    重く、決して明るくはない話が、後半に向かって光が射してくるところがよかった。ラストの章、主人公の心の声に思わず目頭が熱くなる。
    この世界は光ったり翳ったりしながら動き、高い場所から見てみれば、全てが流れ繋がり合い、いつも世界は新しいと。
    ミステリー要素というより、物悲しい過去を持っていたり、今も心を閉ざしている登場人物の心情描写が繊細で美しく凄い。静謐さ、匂いまで沸き立つよう。
    特に印象的だったのは、第1章、第2章、第4章。家族間の悲哀が表現され、そしてあたたかさを感じた。家族(血の繋がり)は困難に直面しても向上させる力がある…と、そう伝わりました。

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    2023年03月22日
  • 片眼の猿―One-eyed monkeys―(新潮文庫)

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    盗聴専門の探偵が、受けた依頼によって巻き込まれる事件
    彼を取り巻く人々やその過去
    新しくスカウトした同業の女性

    複数の要素が出てくるけど、短い章立てで組み立てられていてするすると読める
    でも、この"するする読める"ということすらたぶん罠

    本を読むとき、目の前にあるのは文章だけで
    その文章を頭の中に取り込んで映像化してそれを動かしている、という感覚がある
    "するする読める"と感じているとき、その映像は滑らかで滞りない
    頭の中の映像が恣意的なものであることも自覚せずに、物語の中を進んでいる

    自分の描いてた映像がことごとく間違いであることが、この本の最後

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    2023年03月18日
  • 球体の蛇

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    さすが道尾先生というか、このもどかしさとやりきれなさから更にずぷりと沈め込まれるような痛み、心グサグサやられてしまう。毎回しんどさのメーター振り切れるんじゃないかってくらいなんだけど、これがクセになるんだっ。やめられない重痛の魅力。
    主人公の床下の行動は乱歩作品みたいな変質っぷりだなぁと引いてしまいましたが(笑)
    タイトルへの繋がりが出てくるたびにいつも成程、と息が漏れます。こんな自分が嫌なのに、嫌だから更に上塗りしてまた嫌だなと嘆く。誤魔化しながら、言い訳しながら、欲に手を伸ばして。主人公のみならず、自分までグサグサ刺される。
    重なる嘘は、どれがどこから何が嘘で真実だったのか。その明確な答え

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    2023年02月22日
  • 鏡の花

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    『光媒の花』と同じくリンクしていく連作短編集。各章共通する登場人物達なのだけれど、全く違う道を歩んでいるお話。生と死と、昏く重みある先に、光を見出すような最終章のまとめかたが相変わらず凄い。
    あの時ああしていれば、そんな生きていく上で思わずにはいられない幾つもの「もしも」。分岐の世界の中にも更なる「もしも」に捉えられていく。
    最終章に到達するまでとんでもなく各章、やりきれない思いが胸を打つ。苦しく、悲しく、後悔と絶望、罪として責めるほどの喪失。
    この思わず頭を抱え唸りたくなるような悲劇の書かれ方が道尾先生作品だーっとなる。そこにきちんと温かさも存在する。でも重い。でも一筋の光がある。まるっとス

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    2023年02月22日
  • シャドウ

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    重い溜息が出るわぁ…
    道尾秀介氏の作品は「そう来たか」としか言えないけどまじでやられた。
    これは確かに界隈で有名な作品として挙げられるわ。面白かったぁ。

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    2023年02月19日
  • サーモン・キャッチャー the Novel

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    妻子と別れ落ちぶれた風情の『大洞』。娘『明』に良いところを見せようと、世話を任されていた鯉を盗み、彼女のバイト先の釣り堀『カープ・キャッチャー』へ放すが失敗。一方明は、Wev受講しているヒツギム語の講師が拉致されるのを目撃してしまって以来、身に危険を感じていた。
    その後大洞は鯉の持ち主である富豪の老婦人『霧山』から大金で捜索を依頼され釣り堀に向かうも、その鯉は『神』と呼ばれる釣り名人『ヨネトモ』に釣られた後だった。大洞と明、明に一目ぼれした引きこもりの『賢史』と妹の『智』、ヨネトモ、さらには訳ありそうな婦人『市子』が集まり、夜の川で鯉の捕獲作戦を決行する。

    場末の釣り堀から始まる群像劇。短い

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    2023年02月13日
  • 鏡の花

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    あの行動をとらなければ、あの時ほんの少し違ったら、別の世界になる。
    これは家族を失う喪失の物語だ。
    だが次の章になると家族の中の生者と死者が入れ替わり、残された家族の人生が全く違ったものになる。その時、家族の別の一面が明らかになる。
    そしてある家族の喪失の物語が別の家族の物語へと繋がっていく。
    なんて哀しくて不思議な物語だろう。
    中表紙にある挿し絵のように、一輪の百合を角度を変えた鏡で写していくと、少しづつ違った百合の姿を写しながら無限に広がっていく。目眩を感じる世界。幻想的で怖く、美しい。

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    2023年01月23日
  • 貘の檻

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    おもしろかった。誰が悪い訳でもなく、思い込みと思い違いが悲しい結果を生んでしまっていて、それが最後まで重なり合う事はなかった。結局子供であるはずの俊也が一番素直で冷静でたくましかった。
    途中の悪夢の回想部分が少しくどくどしくて苦手だった、、。

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    2023年01月04日
  • サーモン・キャッチャー the Novel

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    あー面白かった!!
    上質コメディです。
    道尾秀介さんの小説って映像が浮かぶんですよね。もうコメディドラマか漫画を見ているようでした。
    一つ一つのエピソードは重いのに、どうしてもこんなに軽やかな読後感。爽快感半端ない!
    本当に楽しいひとときをもらいました。

    ヒツギム語、本当にあるの?と思って検索しちゃいました。笑
    ずらかれがモヤシッコ、ただいまがイソジンって…もう作者、遊びすぎでしょ!!

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    2022年12月31日
  • 光

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    田舎町で暮らす少年少女の物語。毎日が冒険で友達と過ごす日々は本当に光り輝いていた。成長物語の要素はもちろんのこと、ちゃんとミステリの要素もある。道尾秀介さんはホラーなんかもあるため身構えることも多いけれど、本作は爽やかな読み心地なので安心して読んでほしい。自分の子供の頃を思い出すからか心に残った作品になった。

    0
    2022年12月30日
  • 月の恋人―Moon Lovers―

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    久しぶりにただただ好き!となる本に出会った感じ。途中であれ、これ誰の本だっけって作者を見返したくらい、道尾秀介っぽくない文章だったけど、あとがきを読んで納得しました。確かに読んでる時ずっと映像が脳内にあったかも!雨とか風景の描写、ここまで分かりやすく表現されるのねって思ってたらそういう事だったのか。

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    2022年12月29日
  • 片眼の猿―One-eyed monkeys―(新潮文庫)

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    ミステリーだけではなく、外見や見えるものだけで判断することついて考えさせられた。
    自分の外見を気にしないからこそ強いのだと。
    そして、どんな人にでもただの一人の人として向き合うことの意味を学んだ。
    ミステリーとしてではないがとても面白い作品だった。

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    2022年12月28日
  • カラスの親指 by rule of CROW’s thumb

    購入済み

    カラスの親指

    おもしろい

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    2022年12月27日
  • 片眼の猿―One-eyed monkeys―(新潮文庫)

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    とても良かった!犯人が想像ついてしまっていたので、そこは少し残念だったけど、それよりも主人公の心情や周囲の人たちとの関係がとても良かった。
    大好きな叙述トリックでいえば、もう最初の章から騙された。そしてそれを知った後も勘違いしていたとは…うまいなぁ
    冬絵と同じ悩み持ってる…

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    2022年10月29日
  • 球体の蛇

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    ネタバレ

    最近読んだ中小説の中で一番好みな作品。
    実に美しく物語が展開され、また収束していく。
    終盤ギリギリまで本当に救いようが無い息苦しさを感じさせ、最後は読者に任せる形を取っていたのも良かった。
    小賢しい人間に特に刺さる傑作だと思う。

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    2022年10月02日
  • 光媒の花 3

    匿名

    購入済み

    みっちりと密度の濃い漫画でした。ふつうの少女漫画だと3巻はあっという間に読めますが、こちらはじっくり時間をかけてよみこんでしまう。
    悲しいけど充足感と未来への淡い希望が残る、そんな作品です。

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    2022年09月30日
  • 本格王2022

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    みんな良かったです!
    読んだことのない作家さんのお話は興味深く、次に読む本をどれにしようかな~、と迷ってます!

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    2022年07月13日
  • 球体の蛇

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    ネタバレ

    自分が殺した人。
    自分が殺す原因を作った、あの人。
    罪なき失敗を殺人と見なし、殺してしまった自分。

    そして、誰かを守るための嘘。

    少し沈んだ調子で物語は進むが、読後感は爽やか。彼らの明るい未来を祈らずにはいられない。

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    2022年06月05日
  • 光

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    ネタバレ

    デパートのとこ、油断してたからギャップにめちゃくちゃ泣けた。自慢しぃだけど、熱いハート持ってるじゃんか。

    キヨもばあちゃんもカッコイイし、キャラクターがみんな魅力的で楽しかった。

    冒頭の一文は、解説を読むまで「私は知らんけど有名な本の引用なのかな」と思ってました。

    意味もなく「…なのねす」って言いたくなる。
    私の学生時代も「模試」が「もち」になる先生いたなぁ

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    2022年06月04日