道尾秀介のレビュー一覧
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ネタバレ二つの中編小説を読む順番を変えて読むとストーリーが大きく変わるという小説。
私は本をさかさまにして読むのが面倒だったので、後半の『ゲオスミン』から読みました。
『ゲオスミン』
形成外科医の田釜雪夫56歳は野宮という三十年以上刑事をやって今、ホームレスになってしまった男と知り合います。
野宮は娘の明日美を去年、風邪薬の摂取過多で亡くしていました。
田釜もまた中学生の一人娘を自殺により亡くしていました。
田釜は娘を死に追いやった者たちを殺したいと思い野宮にとある相談を持ちかけますが…。
『ペトリコール』
高校一年生の小峰夕歌は両親を殺された有名な惨殺事件の生き残りでした。
とあるきっかけ -
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いやー。ヤベー本に出会っちまったな。
まず最初に公式のこの「I」の紹介文を読んで欲しい。
「二つの章から成る物語。読む順番は自由。
あなたの選択で、結末が変わる。
「一冊の本」の概念を壊す道尾秀介、
(2025年11月現在)累計35万部突破『N』を凌ぐ衝撃。」
で、次に道尾秀介自身の紹介文
「本作は二つの章から成る物語です。読む順番は自由ですが、その選択により、結末は大きく変わります。どちらかの順番で読むと、二人の主人公を含め、多くの人が命を失います。別の順番で読むと、彼ら(彼女たち)は生き残ります。殺すか、救うか。あなたの選択が、人の生死を決定します。後戻りはできません。/著者より」
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ネタバレ帯に挙げられた『N』は、全六章をどの順で読んでもよいというコンセプトだったが、6!=720通りのうち1通りしか読んでいない。本作『I』は、全二章をどの順で読むかによって結末が変わるという。読み方はたった2通りしかない。
本作は、二つの章が上下逆転して印刷されており、どちらの章も本のほぼ中央から読み始めることになる。そのため、巻頭に置かれた約束事を読んでおらず、読み終えた後に早とちりしてしまった。約束事に注意して、読み返してみると…。
二つの章は、それぞれ物語として完結しているし、どちらも重い。ネット上にネタバレを公開しないようにとのお願いが載っているが、自分が読んだのは多くの人が命を -
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ネタバレ事件の犯人が二転三転する物語に、どんでん返しがあると分かっていてもやはり驚いた。全ての疑問、残された謎がしっかりと回収されきる快さを感じた。エピローグも、良い方向に物語が進んでいきそうな明るさがあって爽やかな終わり方となっていた。姉の事故とひかりの事件を重ね、父と自分、母と桂、姉とひかりを重ねて、過去と現在に繋がりを持たせながら登場人物の内面を描いて進んでいく構成が見事だった。
やはり、道尾秀介の書く作品は単なるどんでん返しミステリでは済ませられないと思う。「方舟」や「十角館の殺人」、「葉桜の季節に君を想うということ」など、素晴らしいどんでん返しがあるミステリを読んできたが、本作を読んで改め -
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各章の読む順番によって見え方が変わる道夫秀介のトリッキー作品。
とある小さな町で起こる6つの短編を綴った物語。
本の最初に各章の冒頭部分のみが書かれている。
気になった章から好きな順番で読んで良いとのこと。
まず驚くことに全て章の冒頭が扉として秀逸すぎる。
冒頭だけでも買った価値がありました。
そして本編も道夫秀介の独特で深みのある人間模様と先の読めない展開が癖になる。
順番を変えたときにどう見えるのだろう、あの人の印象はどうなるだろう、そんなことを考えながら読む内に気づけば終わっている、そんな作品でした。
「物語を多角的に見れる」そんな勧め文句を友人から頂いたがまさにその通り、素 -
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9億円売れている道夫秀介氏の妙作。
主人公のミチオが同級生の首吊死体を発見するところから始まる作品。
構成、トリック、情景描写、全てが絡み合って読者の足を引っ張り、道夫ワールドの深淵に引きずり込んで来ます。
セクションごとに現れるミスリードとその解決がテンポの良さを生み出し、生理的に嫌悪される表現が苦手な自分でも一つの「ミステリー」として読めました。
何度も脳を殴られながら辿り着いた結末は全く予想できないもの。これを名作と呼ばずしてなんと呼ぶか。
是非この本を以て貴方の世界を一つ外側に押し広げられてみては如何でしょうか。
「君と僕の赤が同じ色だとしたら、この世界がこうも歪むはずがない