道尾秀介作品の、様々な色の謎と不安と情景が少しずつ絡み合って糸になり、それが最後にはモザイクアートのように浮かび上がる…そんな展開が大好きだ。
世界観に没頭してしまうので、次の日休みの夜に一気読みが理想。
ぼやけていたものが鮮明になっていく心地良さは本当に癖になる。眠かったはずなのに目が冴える。時間
...続きを読むがあっという間に過ぎていく。
日本人なのでコナン・ドイルの貝の砂の話よりもついつい『風が吹けば桶屋が儲かる』がよぎった。
私がこの本を手に取った時を思い返し、ギョッとする。
本来は別の小説を大型書店に買いに行ったのだが、それが実は来月の刊行で。せっかくだからと物色し、新しいシリーズモノに手を出した。それが意外に面白くて、2巻を買いに近所の本屋へ。しかしそこにはあまりメジャーじゃない出版社(失礼)はあまり揃っておらず。でも何か読みたいんだ!!と、また物色していたら、普段は行かないマイナーな出版社(失礼)コーナーで道尾秀介を発見。一旦スルーしつつ、残り1冊しかないことと内容で購入決定。
あの時近所の本屋に目当ての小説があったらこの本は買っていなかっただろう。
そもそも、私がおっちょこちょいで、ありもしない新刊を探しに行かなければ。
そう考えると、今いる場所、していること、考えていること、食べたもの、着ているもの…全て過去の選択の重なりで出来ているのだなと思う。
誰かにとって不幸だったことが、巡り巡って自分の幸いになることもあるだろう。逆も然り。
とても、おもしろいものだ。