あらすじ
ホラー作家の道尾は、取材のために滋賀県山中にある仏像の工房・瑞祥房を訪ねる。彼がその夜見たものは、口を開けて笑う千手観音と、闇の中で血を流す仏像。しかも翌日には仏師が一人消えていた。道尾は、霊現象探求家の真備、真備の助手・凛の三人で、瑞祥房を再訪し、その謎を探る。工房の誰もが口を閉ざす、二十年前の事件とはいったい? 愛ゆえの哀しき結末とは――。
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なんか事件が起きてそうで特に起きていない前半。道尾さんの作品は、そんな感じで進み、実はいろいろと伏線が散りばめられていると感じる。この作品も後半に向けて物語がどんどん加速していく。真備のキャラは好きだけどもうちょっと周りに真相教えてあげてたら被害は少なくなるんじゃないかなぁとか思う。
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前作も面白かったのでシリーズものとして読んでみた。
いやぁ、今回も凄まじい量の伏線回収が最後の最後まで炸裂していた。
途中まで少し退屈する場面が続くが、すでに真実に繋がる鍵は出てきているため要注意。
全く予想はつかなかったし、登場人物それぞれが抱える思いや決意が交錯したどり着くラストには、心が震えた。
あと、道尾さん自身の知識量が尋常でない。
フーダニット、ホワイダニット、ハウダニットの3つどれもが物語にしっかり組み込まれていて、総合力の高い作品だなと思いました。
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”笑う仏”、”血を流す仏”、”ばつ2”、”返却された仏”どれも物知りでないと
分からないトリックや理由で真備さんでないと解けなかったさすが名探偵。
最後が衝撃的だった。
毎回事件を持ってくる道尾くん、何かしらやってくれる道尾くんが愛くるしい。
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再読。真備シリーズ2作目。
今回の舞台は滋賀県山中の仏像工房。前作「背の眼」のような、非科学的な心霊感はなかったのでホラーが苦手な私は助かったけれど、冬の山中で沢山の仏像に囲まれて起きる事件には、物理的な薄気味悪さがあって結局背筋がゾクゾクしました泣。
このシリーズに出てくる「道尾くん」てちょっとヘタレな感じだけど、一般人としては(変人真備さんやしっかり者の凛ちゃんに比べると)一番リアルなリアクション。おかげで一気に感情移入できて、臨場感半端ないです!
道尾さんの作品の中では割とミステリー(謎解き)感がある作品かな。
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ホラー作家の道尾さんが仏像の工房で、口を開けて笑う千手観音と血を流す仏像を見てしまって…から始まるミステリー!
題材に馴染みがないので、用語は分からないことが多いのになんでこんなに読みやすくできるんですかね?
最後までぶっ通しで読みました。
一人一人のボタンの掛け違いから、起こってしまった悲しい事件。最初から散りばめられた伏線が、徐々に明らかになっていき、最後の最後まで、目が離せない。
他の作品も読もう〜!
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デビュー作である「背の眼」がおもしろかったので作家道尾と霊現象探求家の真備と助手・凛のシリーズ2作目
仏像を作る工房が舞台となっていて、仏像という神聖なもののようでいて、でも暗がりやずらっと並ぶさまは不気味に思えたり仏像の両性ぽい造形からくる神秘性をうまく作品に落とし込んでいると思った
前作の「背の眼」でもそうだったんだけども犯人の悪意や作為のもとに事件が起こるわけではなく、ちょっとした人間の行動がもたらすボタンの掛け違いの連鎖が悲劇になっていくのが特徴だと思う
でも強烈な、それこそ昨今流行りの因習村的なものよりも個人的には物語とは人間同士のあいだに起こり得る意思の疎通やその齟齬からなるものだと感じられて好きだ
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前作の「背の眼」がホラーミステリだった為、今度もホラーなのかと思っていたら騙された。ホラーと見せかけて純ミステリという、前作の事が頭の片隅にあったからこそ、最後まで展開が予想できなかった。
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【真備シリーズ2】
作中ホラー作家の道尾が訪れたのは、滋賀県の山中にある仏像の工房。
そこで急遽、宿泊した夜中、笑う千手観音、血を流す仏像、聞こえてくる「…マリ…マリ…」と声。
ホラー体験慣れしている道尾は、悲鳴を上げて失神しない(笑)
東京に一旦戻り『霊現象探究所』真備と助手:凛と3人で再び仏所を訪れる。閉鎖された仏像工房と隣接する瑞祥寺。20年前の事件と失踪した人たち。
反転を繰り返し、哀しい真相へ導かれた。釈迦如来、菩薩、明天など、仏像のお勉強をしつつ、後半から怒涛の展開。一気に結末まで読まされた。
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道尾秀介のミステリー小説。
ホラー小説家が主人公で、知人の探偵役
が、仏師達がタブーとしている20年前
のある事件について、謎解きに挑む。
主人公と探偵の関係は、島田荘司の作品
に登場する、御手洗を連想した。
伏線は、後の解決編で見事に消化されて
いて、完結に至るまで無理のないストー
リーであった。
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めちゃくちゃ面白かった!誤解が不幸を招き、遊び心が鬼を呼んだ。道尾が体験した心霊現象が解き明かされていくのも面白かったし、全員が異なる真実の上で会話を重ねていたのに、会話が成立してしまってたのも興味深かった。
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「道尾秀介」のミステリー長篇『骸の爪(むくろのつめ)』を読みました。
『背の眼』が予想以上に愉しめる作品だったので、『背の眼』に続き「真備シリーズ」を選択… 2作連続で「道尾秀介」作品です。
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ホラー作家の「道尾」は、取材のために滋賀県山中にある仏像の工房「瑞祥房」を訪ねる。
彼がその夜見たものは、口を開けて笑う千手観音と、闇の中で血を流す仏像。
しかも翌日には仏師が一人消えていた。
「道尾」は、霊現象探求家の「真備」、「真備」の助手「凛」の三人で、「瑞祥房」を再訪し、その謎を探る。
工房の誰もが口を閉ざす、二十年前の事件とはいったい。
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個性的な探偵「真備」とその助手「凛」、そして、ちょっと頼りない相棒「道尾」という三人が活躍する「真備シリーズ」の三作目… ある意味ミステリーの王道的な組み合わせの作品です。
今回は仏像を作成する工房「瑞祥房」で起きた仏師の失踪事件、、、
二十年前の失踪事件との関連が徐々に明らかになる… という展開です。
今回もホラー作品の雰囲気を漂わせながら、全ての謎が合理的に説明されるミステリー作品でしたね。
本作は以下の八章の構成になっています。
■第一章 笑う仏
■第二章 血を流す仏
■第三章 殺す仏
■第四章 消える仏
■第五章 生きている仏
■第六章 宿る仏
■第七章 最後の仏
■終章 仏は人を殺すか
滋賀県の山中にある仏像を作成する工房「瑞祥房」という閉鎖的な空間で起きた事件ということで、加害者も被害者も、ある程度、絞り込めるのですが、、、
それぞれ、断片的な事実を知っている登場人物が、その知識の中で、それぞれの思いで行動したことが、偶発的に有機的な結びつきを持ち、結果的に悲劇的な事件を生じさせることになります。
直接的には手を下さないにしても、過去の悪事を知っており、懲らしめてやろうとした行為、
偶然から父親の死の原因と、その後、母親が歩まざるを得なかった辛く苦しい人生の理由を知ったときの復讐の気持ち、
過去の悪事への禍根と復讐されることへの恐怖、
妹(又は娘)の辛さを理解してやれなかったことへの後悔、
それぞれを巧く絡ませて、一気にエンディングまで読ませますね。
年代や登場の仕方から、犯人をミスリードしてしまう仕掛けもあって、騙されたなぁ… と感じさせるところも、ミステリーのツボを押さえていますね。
でも、最後の死は防ぎたかったなぁ… 哀しい自死となりました。
仏像を小道具として使ったり、同じ発音の"鎌"と"窯"をミスリードするように使ったりというところは、「道尾秀介」作品らしい巧さを感じましたね。
死体の処分方法や隠し方は、仏像を作成する工房ならではの方法で、良く考えられた状況設定だと思います。
ちょっと気になったのは、二十年前に起きた失踪事件の真相… 殺意が芽生えるには動機が弱い感じがしましたね、、、
世間から隔絶された世界、集団での異常心理と解釈するしかないですかね。
あと、闇の中で血を流す仏像の血の正体は、こんなに上手く偶然が重なるかな、ちょっと出来すぎかな… と思いますが、全体の流れの中では違和感がないので、ヨシとしましょう。
「道尾秀介」作品は2作目ですが、なかなか面白い… 時代背景が異なりますが、「横溝正史」のおどろおどろしい雰囲気を現代に蘇らせた感じがして、今後も期待できそうな感じがします。
Posted by ブクログ
仏像、仏所、宗教それらの専門的な知識があればこそ成り立つトリックというより真実で
ホラーはあまりなく最後まで理屈で説明できる
謎の解明で前作の背の眼よりも好きな終わり方でした。
死体を,仏像の中に入れてるのだろうなーとは思ってたけど、最後まで綺麗に分からず楽しめた。
珍しいウンチクも盛り沢山で仏教や仏像の由来などなど面白かったです。
幽霊が怖いと思う人でなければ幽霊系のホラーは成り立たない分、
私は幽霊や非現実的のホラーは怖くないので、
人間の恐ろしさで描くホラーのほうがリアルでゾッとするから、これは後者よりで個人的には好きでした。
Posted by ブクログ
血を流す仏像に笑う仏像、呪いや霊にどうしたって結びつけてしまう現象を見事に理屈で解決していく様が素晴らしい。最後には恐怖は微塵も残らず、少し拍子抜けもする。前作の背の眼のように、少しでも霊の要素が残った方が面白かったような気もする。
仏像の製造法からダニの習性まで本当に幅広く調べてよく書かれていると思う。数多の伏線をきっちり回収して終わる様はまさに本格ミステリーといったところ。仏所という馴染みのない空間のことも知られておもしろかった。
ただ、背の眼の方がおもしろかったけど…
Posted by ブクログ
☆4ではあるが、☆5に近い。
多種多様なトリックが用いられており、前作とは違って霊はあまり関わってこないものの、「仏像」という神秘的な小道具がそれに代わる役目を果たしている。
まず、トリックとしては、
立像→隆三、釜→釜、といった作者が読者に仕掛けるわけではないが、一種の叙述トリックともいえるものや、赤い血が実はダニだった、というトリック。
そして、やはり一番驚いたのが、「死体に漆を塗り、仏像にしてしまう」というトリックだ。
どれも見事。
幽霊の言葉ではなく、浄めのための経であった。
仏像が笑ったのではなく、それは仏像が裏返されて現れた12個目の面であった。
部屋の仏像が動いた気がしたのは、犯人が使える像がないか物色していたから。
などなど、今作では前作と違ってオカルトに頼らず、全ての謎を論理的に解決している点も好印象。
だが、今作の良さはトリックだけではない。
全てが"いたずら"や"勘違い"によるものであったという運命ともいえる偶然によって事件が起こっていたという真相は、怖ろしさ、そして同時に切なさを感じさせる。
立ち並んだ仏像が作り出す恐ろしげな雰囲気や、まるでクローズドサークルのような環境、どれも高レベルないくつものトリック、伏線回収、人物描写、終盤のどんでん返し。
ミステリーに必要なものが詰まっており、とても完成度が高い作品だった。
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瑞祥房という仏所を仕切る当代房主の松月。
庭師唐間木老人。韮澤隆三という仏師の失踪事件。
真備庄介(真備霊現象探求所)が解決を図る。
鵜枢沙摩(ウズサマ)明王。世の穢と悪を焼き尽くす。全身が火炎に包まれていることから火頭金剛(カトウコンゴウ)とも言われる。
不動明王を中心に、降三世(ゴウザンセ)、軍荼利(グンダリ)、大威徳(ダイイトク)、金剛夜叉を加えて五大明王。
天台宗では、金剛夜叉が鵜枢沙摩に変わる。
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「骸の爪」
背の眼に続く真備庄介霊現象探求所シリーズの第2作目。
「背の眼」に続く、とありながら、前作は未読です。道尾秀介作品はオカルトジャンル以外を読む方なので、こちらは未開。どうやら前作とは、場面やオカルトテイスト、謎解明までの起承転結等が異なる模様。
ホラー作家の道尾が訪ねた滋賀県の仏像工房・瑞祥房。彼はそこで恐怖の体験をする。笑う千手観音に、頭から血を流す鴉枢沙摩明王。そして、ある女性の名前を呼ぶ声を聞く。翌日、工房の仏師の一人の行方が分からなくなる。道尾は霊現象探求家の真備とその助手・凜と再び瑞祥房を訪ねるが、そこには20年前の事件の因縁が潜んでいた。
表にあまり出てこないエバさんと惚けた当間木老人に比べると、他の登場人物達はアクは薄めではあるが、全員が醸し出す濃淡あるミスディレクションがGOOD。どんな些細なことであっても無駄な動きをしている人間はいないと言うのは、本書の性質をズバリ言い当てている。
無駄な動きは無く、濃淡なミスディレクション。これにストレートな起承転結があり、伏線をしっかり回収する辺りも秀逸な気がするが、一番はオカルト→ミステリーへの変貌ぶりとタイトルの使い方。前者はオカルトでもやもやすること無く、しっかりとした裏付けがある点は、腹落ち具合が良かった。後者については、上手くストーリーに落とし込んでいて、道尾秀介の力量を感じる。最後の最後まで骸の爪が意味を持っていた訳で、辛い終わりではあるが、全体的に見たら必要だったのだろう。
真備庄介シリーズは初読であったが、真備と凛、道尾秀介のワトソン的な立ち位置もバランスよく感じ、道尾秀介のホラー作品の一発目としては、最適だった。
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久しぶりに、読書をしていて純粋にワクワクした。ポップな横溝正史のように感じた。閉塞的な集団の独特な空気感に、宗教(仏教)が絡んできたら、大抵のオカルト好きは興奮するに決まってます。同音異義語がキーワード。うまくミスリードされながら、物語の奔流の中に身を任せる心地良さがたまらなかった。骸って、亡骸のことかと思ってたけど、たぬきのことなのね。タイトルの割に、読みやすかった。
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シリーズ二作目。
ホラーの要素を取り入れた謎の提示と、仏像工房という舞台の特殊性による、怪奇色を強めた雰囲気の作り方がとても巧いと思います。
終盤の畳み掛けるような伏線回収も素晴らしく、その鮮やかさにはただただ脱帽です。
ミステリとしての見事な収束と、物語としてのやるせなさと悲しさが、印象に残る一冊でした。
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背の眼が面白かったので、道尾シリーズ2作目。
仏像に自分が興味ないせいか、1作目よりははまらなかったけど、このシリーズの雰囲気は相変わらず好き。
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中学生のころ、何の取り留めもなくイオンで購入した初めてのミステリー小説でした。それまでは山田悠介などばかりを読んでおり、本格的なミステリーは初めてでした。
内容も詳しく覚えておらず、特に刺さった記憶もないのに友だちに薦めて貸したという思い出がある本。
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まさかの道尾さん出演
お寺さんとか仏像とか
あまり馴染みのないテーマだっただけに
頭に思い描くのに難儀しました
道尾マジックによって
わかりやすくはまとめてあってよかったんだけど
今まで読んだ道尾作品と比較したら
という星数。
あと長い。
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真備がシリーズものと知らず、16年経って初めてよんだ。好きです、こういう和風ホラーミステリ
ホラーではないか
もう少しホラー欲しかった
こいつはなぜいつもスルメを持ってるのか
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前作のようなホラー感があまりなかったせいか霊現象とミステリーがうまく組み合わさったストーリーではないが、非常に面白かった。
勘違いが重なり合ってしまったがゆえのラストは切なさを覚えた。
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最近話題の道尾秀介作品。「背の眼」の続編に当たる物語。
作家・道尾は、取材の為に滋賀県山中にある仏像の工房「瑞祥房」を訪れた。
夜、彼は笑う観音像や血を流す仏像、そして気味の悪い声を聞く。
その事を仏師に尋ねると、それまで丁寧に対応してくれていた仏師や庭師に「帰れ」と言われてしまう。
しかし、彼の撮った写真にはやはり仏像が頭から血を流す姿が写っており、気味の悪さが抜けない道尾は、
彼の友人であり「霊現象探求家」である真備と、その助手である北見凛に相談を持ちかける。
そして3人はで瑞祥房の謎を探るべく、再びその地を訪ねるが。。。
前作よりも不気味さは抑え気味だが、相変わらずの伏線と回収の上手さが光る。
続編とは言うものの、前作を読んでいなくても十分謎解きと面白さは理解出来るだろう。
(ただし、前作を知っていればより楽しめる)
そして相変わらず真備は物知りであり、かつ秘密主義の為
読者は真備が実際に説明してくれるまで、道尾や凛と同じ気持ちで進む事になる。
これを良しとするかどうかは個々の好みで分かれるであろう。
個人的に、不気味さが減ってやや堅実になった部分に物足りなさを感じてしまったのと
道尾秀介が得意とする「ミスディレクション」に引っ掛かるまいと構えて読んでしまったのがあって
夢中で読み進める、とまではいかなかった。
前半部分に説明が多く、話の進行が遅かったのも一つの要因かもしれない。
ただ、一番最初に読んだ道尾秀介作品『向日葵の咲かない夏』で受けた印象は完全になくなった。
この作者は引き出しが多い。今後も他の作品を読みたいと思う。
Posted by ブクログ
面白かった。
暗いし悲しい話なのに、しつこくなくて、ホント軽く楽しく読める。
人が死ぬところだけ、何故か物凄いリアルだったりするのは何でだ。
仏師の話、もっとうんちく欲しかった。