あらすじ
読み進めるごとに出来事の〈意味〉が反転しながらつながっていき、数十年の歳月がひとつの大きな物語に変わる──。解説を寄せるミステリー評論家の千街晶之氏が「その執筆活動の集大成である」と絶賛する、道尾秀介にしか描けない世界観の傑作ミステリー。
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Posted by ブクログ
やはり道尾秀介さんの作品は面白い。
言葉選びや文章も頭の中でイメージしやすくすっと映像が思い浮かぶのに、独特な表現や擬音語を使う。まず単純に小説としての読みやすさの評価が高く、次にストーリーと展開が神がかっている。
最初は変哲もない話で何が伝えたいかモヤッとしているが、後半にかけての伏線回収で全ての登場人物が絡み合って物語を構成している。
偶然の重なりで人生が作られていることを感じる良い作品だった。
Posted by ブクログ
めちゃ、良かった!
根底にあるテーマは「許し」
だと感じた。悪事をはたらいた人も
事情があって、許し合うことで、最後は
みんなが、ひとつの情景に溶け込むような美しいラスト。ウミホタルは
読者の心の中で、光るかのごとく。
頭の中に
登場人物や風景が
自然とうかんで、
なんだか香りや風や
光や影まで感じられる
素晴らしい文章。
少年少女の淡く苦い恋。
小5のまめとでっかちコンビの友情と冒険。
この2つの話が
繋がって、
他の登場人物たちやエピソードも
繋がって、
パズルのピースが綺麗にはまっていく感覚が、心地よい。
Posted by ブクログ
一章ずつに分かれているけどストーリーは時間軸を変えながらすべてが繋がっている。
なんか不思議な構造だなぁと思いながらも、それぞれの人生、その人たちの生きた時代を追体験していく感じで読みました。
誰の人生でも、こういうことが起こっているんだとは思うけど、改めて物語として読むと、すごいなー。
奇跡というか、偶然というか、必然ってあるよなぁ~などと思います。(この語彙力なんとかならんかね~)
Posted by ブクログ
連作中編集。
3つの中編とまとめ的な1編の構成。
上上町と下上町での出来事が各パートで語られ、その登場人物たちがリンクしていく。
各パートごとでも謎や解決があるが、次のパートで見方が変わり真実が明らかになったりする。
ミステリーではあるけど、ヒューマンドラマ的な感じ。
1編目 漁師見習と女子高生の恋愛物語。女子高生は家庭の事情で引越すことが決まっている中、彼氏が事故に遭い死んだと告げられるが、数年後再会する。
2編目 まめとでっかち小学生2人の物語。
3編目 女子高生の家庭の事情は祖父の会社が起こした事故と隠ぺいなのだが、それが事故ではなく人的に起こされたことが真実として語られる。
読み終えて細かい疑問残るところ、スッキリしないところもあるが面白かった。
Posted by ブクログ
再読。4篇の連作短編集。遺影専門の写真館のある町を舞台に、35年前と今、そしてその後の長い時間を通じて絡み合う物語。読み進めるほど、こんなに隅々まで伏線が張り巡らされてるうえにちゃんと全部回収されてるのが驚きというか…道尾先生の凄さを改めて実感します。
昔どこかで吹いた小さな風の影響が今の自分や大切な人たちをつくっている、不思議な縁と優しい気持ちに包まれます。途中登場人物が多いのと時代を行ったり来たりするのとで混乱しかかりましたが、丁寧な描写のおかげで戻ってこれました笑。
Posted by ブクログ
ミステリー感はあまりない。運命に翻弄される人々の連続短編集といった位置付けで、最後にその運命が繋がるといった感じです。目立ったどんでん返しもなく、謎の部分はあんまりですが、純愛も友情も運命も素敵な物語でした。物語事態は普通に面白かったです。個人的には雷神と同じでミステリー以外が面白いミステリー小説。
Posted by ブクログ
3章+エピローグで構成される物語。
どの章も、登場人物が遺影専門の写真館•鏡影館を訪れるところから始まります。
昔の恋人との思い出を回想する、病気で余命わずかの女性(第一章 心中花)
学生時代の同級生と悪い奴らを倒した記憶を振り返る男性(第二章 口笛鳥)
死の間際に、生前自分が犯した大きな罪を告白する老女(第三章 無常風)。
ささいな嘘がきっかけで、その後の運命が大きく左右されーー
何年もの月日を経て、謎が解明していく。
どのお話も繋がっており、さすがは道尾さん、伏線回収が綺麗だなぁと毎回感心させられます!
数ある道尾作品の中でもセンスが溢れた作品だと思います。
個人的には、第二章 口笛鳥が特に好き。まめとでっかちの関係性が良い!
Posted by ブクログ
積読してたので読んでみた。
大ベテラン漁師のささいな嘘が、女子高生と若き息子漁師の運命を変える-「心中花」
まめ&でっかち、小5の2人が「鏡影館」で遭遇した事件-「口笛鳥」
自らの死を前に、老女の社長は過去の許されざる罪を打ち明ける-「無常風」
各章で出てくる登場人物達が、時代を超えて繋がり合う、まあそれはそれはあちこちでつながり合うので、読んでいて「あぁ、この場面はこういうことだったのか!」と何度もなります。
「上上町」と「下上町」の間にら流れる「西取川」の護岸工事にて、有害物質が川に流れ、隠蔽が発覚してしまう事件が発生。
下町に住む家族、遺影専門店「鏡影館」、有害物質隠蔽してしまった「中江間建設」の社長家族、新しく工事を請け負った「野方建設」の社長老女等々、異なる視点から同じ瞬間が描かれています。
一つのほんの些細な行動や言動により、その後数十年苦しむことになったり、生まれるか否か自体が左右されたり、かけがえのない思い出となったり…
普段の日常の出来事一つ一つが、思いもよらぬ事柄で互いに影響しあい運命を変えることもあるのだなと、人生は面白いなと思いました。
Posted by ブクログ
最初の2章を読んでいるときはそこまでだったが、3章の中で過去の事件の裏で起きていたことがつながり、見え方が変わってくるのが読んでいて気持ちよかった
冒頭とエピローグで引用されてるように、ちょっとしたことがその後の大きな出来事に繋がっていたのが印象的だった
Posted by ブクログ
タイトルはどういう意味だろ〜と考えながら読んでいたけど、なるほど!と感服。
最後の方、話中の人がどんどん繋がっていき、真相もわかったので気持ち良く読み終われました!
個人的には一章の「心中花」の事件がひっくり返るのかと思い読んでいたため、★4にしました。
Posted by ブクログ
3つの話と終章で紡がれる物語は、其々が心の奥底をゆっくり温められるような優しさがあるが、それらが繊細且つ複雑に繋がりあっていることに何より感動する。"風って、どうやって吹くのかな。"作中の問い掛けが今なお心に残る。
Posted by ブクログ
一言で言い表すなら『偶然が偶然を呼んだ物語』であると感じる
母親の遺影を取りに行く少女
母親のずいぶん前の恋物語
そこでの青年とのやりとり、青年に起こった悲劇、隠された思い
転校してきた小学生とその友達
自身の母親といつか恋をした青年との出会い
もうさまざまな偶然が重なってこの結末になったとしか思えない。
道尾秀介さんの小説は読みやすく感情移入もしやすいように書かれておりとても引き込まれる作品であった。
私がこの作品と出会ったのも何かの偶然かもしれない。そんなふうに思わせてくれたこの作品は本当に素晴らしいものなのだと感じている。
Posted by ブクログ
まさに数奇な運命!
伊坂幸太郎さんみたいな書き方で面白かった〜!
色んな偶然が重なり合って現在私たちが存在しているんだよね
どうやったらこんな上手く話つなげられるのって感動したもん
Posted by ブクログ
世間は狭いということ、
そしてバタフライエフェクトの力を思い知った一作
自分が何気なくついた嘘が
良くも悪くも他人の行動に影響する
優しい嘘は人を守ると思っていたが本当にその優しさは他人の為であるか考えるべきだと思う。自分を守る為ではないのか?
自ら起こす行動1つ1つに必ず意味があり
その結果今があるということ、そして今の行動によって
自分の未来が変わるということを心に留めておきたい
Posted by ブクログ
3部作の短編かと思いきや、違う視点の2つのお話だけど、最終章で全てが繋がる。
1話目の2人のもどかしさときたら!
2話目の少年たちが可愛くて面白かった!
Posted by ブクログ
「好きとは言えないのに読んでしまう作家」のうちのひとりが道尾秀介なのですが、本作を読むと、私やっぱり彼が好きなのかもしれないと思うのでした。
裏表紙から想像したのは、ちょっとオカルトの入ったミステリー。遺影専門の写真館が舞台で、死んだはずの人が写っているとなればそう思いませんか。
だけどちがった。いったい各章の登場人物はどう繋がっているのか。とってもややこしいので、500頁弱のボリュームでもとっとと読むことを勧めます。でないと、誰が誰かわからなくなる。
どの人もいろいろある人生だったけれど、いろいろあったからこそ今がある。あなたがいる。よかった。
Posted by ブクログ
2021年、16冊目は、追いかけてる作家の一人、道尾秀介。
下上(しもあげ)町、上上(かみあげ)町、そして、二つの町の間を流れ、海へと注ぐ西取川。約40年前の西取川の護岸工事に端を発する、幾つかの出来事と、それに関わる様々な人々が交錯して行く。
道尾らしい作品。実に上手いこと、伏線回収していった感がある。読後感も悪くない。
さらに「解説」を読んで驚いたのは、第二章『口笛鳥』が中編として発表され、それに肉付けする形で、第一章。第三、四章が加えられ長編となった事実。確かに、連作短編的触感はあったが、独立した一編からとは。
第四章では、カーテンコール的にオールキャスト勢揃いも、今回は何だか「ほっ」とさせられる。
多少の事件性や死者は出るものの、ミステリーとしては控えめ。『貘の檻』がボタンの掛け違いなら、『風神の手』は連鎖的ポイント切り替えで迷走するも無事に目的地到着って感じかな。
分量はソコソコあるが、読み憎さはなく、展開ドライブ感もあり。文句ナシで、★★★★☆評価。
Posted by ブクログ
うわぁー短編同士のリンクが、、、うますぎる、、、、
あとがき読んだら、男の子二人の話が最初にできて、いつの間にやら残りの話もそこから派生して行ったっていうから、驚き。
一番好きな話ではあった。
よくありがちな、男の子の話。
話盛りがち。
やんちゃなふりしがち。
そんな男の子二人の関係が何とも言えなくて。
この二人の話のオチがまた。
え、、、本当だったの?っていう。
何とも言えない気持ちにさせられます。
全体通して、なんだか救われない気分にさせられるものの、こうやって最後まで読ませてくくれるのは道尾秀介だからだよなぁ。
なんだか、暗そうだな。
なんか、嫌な気持ちで終わりそう、なんかなぁ、釈然としねぇ。
って話なのに、ちゃんと最後まで読めちゃうのは、やっぱり道尾秀介だからなんだろうなぁ。
もう少しだけ、希望の光が欲しかったなぁ、、、、
#道尾秀介
#さすがです
#短編
#リンクの収束
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#バタフライエフェクト
#そんな感じ
#ちょっと暗い
#薄暗い
#釈然としないまま終わる
#男の子の話は面白い
Posted by ブクログ
大きく3つの章に分かれているが、全て繋がっている。
1つの嘘が偶然を呼び、さらに偶然につながる。
人生はそれの積み重ねだと実感できた。
しかし、あまり刺激が足りなかった。
Posted by ブクログ
無関係のように見えた事件が、お互いに影響しあい交差していくというお話。
事件のきっかけを作った井川の心理描写が少ないところが物足りないけど、最後にお互いに被害者であり加害者であった当事者たちがウミホタルを捕まえるために集まるというのがいいね。
Posted by ブクログ
【数十年にわたる歳月をミステリーに結晶化する、技巧と世界観】と本の紹介にはあったので、もっとミステリー要素の強いのかな、と思って読み始めたが、読んでみての個人的な印象としては、ミステリー感は薄かったような気がする。
とは言え、章が進むごとに、見えていた事実が事実とは異なり、新たな事実が見えてくる。そんな物語の進み方は、やはり道尾さんらしいミステリーとも言えるのかもしれない。
この小説では、「嘘」が1つのキーになっていると思う。嘘にも、色々と種類があって、人を騙すための悪意ある嘘だけではなく、逆に人を思うが故の嘘もあるし、自分のつらさやコンプレックスを隠したいだけの嘘もある。ちょっとしたおふざけのこともある。
けれど、そんな様々な「嘘」が、複雑に絡み合って、思いもよらないことが起き、人の生き方にまで影響を及ぼしていく、、、やるせない気持ちにもなった。
Posted by ブクログ
次々と明かされていく、色んな事実の絡み合い的な物語。よく考えられてるな、構想の緻密さとそれを書き切る素晴らしさがあるんだけど、そもそも盛り上がりにかけてしまった感じがあるので、少し残念
Posted by ブクログ
カラスの親指か、カエルの小指の解説でこの小説を賞賛していたので、読んでみた。確かに、一度認識した事実が、読み進める中でその意味を変えていくというところはあったものの、ミステリ要素というか、毒というか、事件というか、もっと刺激が欲しかった。
日常の人生の挫折や転機も、違う角度から見たり、新たな情報を合わせて見ると、全く違う色合いを見せるのかもしれないと思わせてくれた。
Posted by ブクログ
「風って、どうやって吹くのかな」
「最初に、何があるんだろ」
この世は偶然の産物であることを、
まさに「風が吹けば〜」で示した物語。
あの日、あの時、あの場所で…
「トゥクトゥン!」と何度か小田和正が脳内再生された。
道尾さんお約束の数々の伏線回収も見事だが、
『雷神』とは打って変わって、そよ風を思わせる心地よさがあった。
クラゲパチンコ、やってみたいな。
Posted by ブクログ
遺影専門店という珍しい写真館の『鏡影館』
その写真館がある町で起こる人々の分岐点。
第一章 心中歌
母の遺影を撮りにきた親子の物語り。
その鏡影館で目にしたある写真から始まる謎。
第二章 口笛鳥
まだ、鏡影館が普通のカメラ屋さんの頃の話し。
2人の小学生が大胆な作戦である人物を救い出す。
第三章 無常風
ここで、第一章と第二章がガッツリと絡む。
過去の謎を探るための調査。
果たしてその結末は…
第四章 待宵月
締めの物語り。ほのぼのです。
人間の嘘・勘違い・すれ違い・・・そんな偶然が重なり私たちはここにいるんでしょうね〜。
というか、題名の『花鳥風月』…気づかなかった〜(汗)
Posted by ブクログ
自分は今、あと片手ほどで還暦を迎える人間なのだが、高校生になりたての15歳の時、とあるアルバイトを始めなければ現在22歳となった我が家の長男は間違いなく産まれていない。
別段、その職場で知り合った女性と18年間愛を育んだ末に息子が産まれた訳ではないし、愚息の母親はそのバイトと一切関わりなく、更に彼女と知り合った時、私はもう28歳だった。
どこがどうなって、と言えば遡る事は可能だと思うが、かなり煩雑なルートを辿る筈である。
『風吹けば桶屋が…』と言うけれど、
世の中にはそういった運行がきっとあるのだろう。
ただ、以前にも綴ったと思うけれど、その運行が人の人生全てを決定する訳では無いとも思う。
あくまでも与えられるのは状況であって、それがどれだけ狭くとも、選択の余地は必ずあると思っている。
例え、それが人様からうしろ指を指される結果になったとしても、それは自分の下した選択の結果であって、勿論自分一人が引き受けるべきものなのだろう。
と、思えるのは以前に読んで感銘を受けた警察小説の小さな巨人の影響だ。