あらすじ
あの日、風が吹かなければ、私は生まれてこなかった――。藤下歩実は母の奈津実とともに遺影専門の写真館・鏡影館を訪れた。病を抱えた母の撮影のために。そこに飾られた一枚の写真を目にして、母はひどく動揺した様子を見せる。小学五年生の男子二人組、入院中の高齢女性。川沿いの町に暮らす人々が発した幾重もの嘘が、思いもよらぬ場所へと流れ込み……。奇跡の本当の意味を知るミステリ。(解説・香山二三郎)
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道尾秀介さんのOfficial Webサイトに「あなたへのオススメ作品検索」というのがあり(心理テストみたいで楽しかったのでお時間ある方はぜひ♪)、
やってみたらこの作品をオススメされたので読んでみた。
そしたらやっぱり面白くて、読んでよかった。
奈津美の嘘がいつバレるのかヒヤヒヤしたり、
まめとでっかちの写真は遺影じゃなくてホッとしたり、
中江間建設の消石灰流出の隠蔽事件は、え?そうだったの?だったり、
どんどん話がつながって楽しかった。
道尾さんの地の文が好き。
あれは何と呼ぶのだろう、とか挟んでくる感じ。
語り手の気持ちに入り込めて、するっと読める。
エピローグで源哉と歩実が変わらず仲良くしていてよかった。
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雷神を読んで、この作者の別作品も気になったので手に取りました。
雷神同様に、本書も読んでいてその情景を読者が想像しやすい作品です。とくに登場人物の息遣いが伝わってくる……というか、過剰な心理描写もないのでとても読みやすい一冊でした。
中身については風吹けば桶屋が儲かるというかバタフライエフェクトというか……。
ここに自分が存在する理由って、いろんな事象が重なっている結果なのだなと思わせられます。
そして終盤の伏線回収といいますか、答え合わせは美しいですね。ああなるほどな……と感じるばかりです。
良い作者見つけました、自分を褒めたい笑
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めぐりあわせ
あれがあったら、これがなかったら
考えてしまう
でも過去違う選択をしていたら今の自分はきっといない
今生きてるんだから生きるしかない
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「龍神の雨」「雷神」と合わせて神三部作と呼ばれている作品。だけど、中身の繋がりは特に無く、ただ神という文字が付く作品ってだけ。
中身は連作小説で、中身はどの話も"遺影専門の写真屋"にまつわる話。で、この遺影専門の写真屋さんっていうのが個人的にすごい好きな設定で、そのお店はその名の通り、利用者は生前に自身の遺影を撮りに来るわけやけど、撮影後大体どの人も最後の二枚でどちらにするか迷うんだとか。その時にお店から「もし迷われているようでしたらこちらがお決めいたしましょうか?」って提案して、選ばれなかった方をお店に並ばせてもらうんよ。だからお店は色んな方の遺影候補だった写真が並んでるわけやけど、物語の登場人物がその並んで遺影を見て「…この人は」みたいな感じで話に入ったりして、もうその感じがめっちゃくちゃ好きやった。
で、三篇+エピローグが収録されてるんやけど、話の繋がり方がすごい!もうお見事!そこも繋がるのね!って感じで、繋がりすぎてもうややこしく感じたところもあった!繋げすぎ!あほか!
ほんで、最初の話「心中花」にめちゃくちゃロマンティックで素敵なところがあったんよね。別に「ほらっこれっロマンティックやろー?」って感じで書いてるわけではなくて、結構サラッと書かれてるんやけど、もう個人的に「キャー」って枕に顔をうずめながら足をバタバタさせたくなった。おじさんやけど。
ただ、話の中で「風はどこから吹くのか。風が吹く最初には何があるのか」みたいな疑問を解説するところがあるんやけど、そこがマジで意味わからんかった!意味わからんかったから是非読んでみて欲しい!意味わからんから!
Posted by ブクログ
どこかひとつでも縁が繋がらなければ、
生まれてこなかった。
良い縁も悪縁もひっくるめて、
出会いの連続と連鎖、様々な要素が重なり合って、
奇跡的に生まれてくる。
ひとつの命が生まれる奇跡。
ホラーではなく、命の物語。
道尾秀介作品の幅広さと人の温かさを感じました。
Posted by ブクログ
道尾秀介の長篇ミステリ作品『風神の手』を読みました。
『いけない』に続き、道尾秀介の作品です。
-----story-------------
遺影専門の写真館・鏡影館。
そこに飾られた一枚の写真が、絡まり合った嘘と誤解を解きほぐす。
幾重もの?が奇跡へと鮮やかに変貌する超絶技巧ミステリ。
あの日、風が吹かなければ、私は生まれてこなかった――。
藤下歩実は母の奈津実とともに遺影専門の写真館・鏡影館を訪れた。
病を抱えた母の撮影のために。
そこに飾られた一枚の写真を目にして、奈津実はひどく動揺した様子を見せる。
小学五年生の男子二人組、入院中の高齢女性。
川沿いの町に暮らす人々の幾重もの?が、思いもよらぬ場所へと流れ込み……。
奇跡の本当の意味を知るミステリ。
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2014年(平成26年)から2017年(平成29年)にかけて『朝日新聞夕刊』や朝日新聞出版が発行する季刊小説誌『小説トリッパー』に掲載された作品を収録して2018年(平成30年)に刊行された作品……神シリーズとか神三部作と呼ばれているシリーズの第2作、本シリーズは7年以上前に読んだ第1作の『龍神の雨』以来なので久し振りですね。
■第一章 心中花
■第二章 口笛鳥
■第三章 無常風
■エピローグ 待宵月
■解説 香山二三郎
彼/彼女らの人生は重なり、つながる……隠された“因果律(めぐりあわせ)”の鍵を握るのは、一体誰なのか、、、
遺影専門の写真館「鏡影館」、その街を舞台に、男子小学生から死を目前に控えた老女まで、様々な人物たちの人生が交差していく……数十年にわたる歳月をミステリに結晶化する、技巧と世界観。
朝日新聞連載の「口笛鳥」を含む、道尾秀介にしか描けない、その集大成といえる傑作長編小説……読み進めるごとに出来事の〈意味〉が反転しながらつながっていき、数十年の歳月が流れていく、、、
ささいな嘘が、女子高校生と若き漁師の運命を変える――『心中花』
まめ&でっかち、小学5年生の2人が遭遇した“事件”――『口笛鳥』
自らの死を前に、彼女は許されざる“罪”を打ち明ける――『無常風』
各章の登場人物たちが運命にいざなわれて一堂に集う――『待宵月』
道尾秀介にしか描けない世界観の傑作ミステリ。
松明の火で鮎を網に追い込む火振り漁が有名な海辺の町……西取川を境にした、上上町(かみあげちょう)と下上町(しもあげちょう)を舞台に、遺影専門の写真館・鏡影館を訪れた人々の数奇な運命を綴った物語でした、、、
『第一章 心中花』では、漁師の父がケガを負い、跡を継ぐために帰ってきた青年・崎村源人と、高校生の中江間奈津実の切ない恋、奈津実の経営する中江間建設がある事件をきっかけに倒産し、一家が町を去るまでが描かれ、
『第二章 口笛鳥』では、小柄なまめ(茂下駄昴)と転校してきた大柄のでっかち(佐々原學)がカメラ店の万引き事件をきっかけに知り合い、子どもらしく他愛のない法螺話をしながら友情を深め、ささやかな冒険を繰り広げ、
『第三章 無常風』では、、崎村源人の息子・源哉と奈津実の娘・藤下歩美、そして中江間建設倒産後、護岸工事を引き継いだ野方建設社長・野方逸子が登場することで、新たな事実が判明、
『エピローグ 待宵月』では、物語を通じた謎が解き明かされ、全ての伏線が回収される……そんな展開でしたね。
物語を通じて"嘘"が重要な役割を果たしており、嘘や偶然といった日常の齟齬から生み出される悲喜劇が巧く描かれていたと思いました……幾多の嘘が見たこともない奇跡を呼び起こす物語でしたね、、、
物語のワンシーン、ワンシーンに、懐かしい気持ちを感じながら読めたことが印象的でした……切ない恋心や子ども同士のわたいのない嘘 等、自分にも心当たりがあって、登場人物に感情移入しながら読めたからなんでしょうね。
悲しい過去をもつ人々が数奇な巡り合わせに翻弄される物語……愉しめました。
Posted by ブクログ
風神とか雷神、鬼とかいう題名に、弱いのです。
手にとって、読んでみたくなる、キーワードのようです。
はじめから、遺影専門の写真館という、不可思議な場所があることで、物語にグイッと引きこまれます。
けれど、その後しばらくは、女子高校生の、夏休みの何気ない、ちょっと甘酸っぱいドキドキの話が続いて、安心してしまうのです。
物語は、ダレかが投げた小石のように、はじめはただゆっくりと飛びはじめ、だんだんと風を集めてぐんぐんスピードをあげ、最後にストンと落ちていきます。
第一章を読んで、なんとなく話が上手くまとまって終わったので、第二章はべつの話かと思ったくらいなのです。
第二章から第三章へと、謎を追う加速度が増していきます。
謎が、広がっているようでもあり、ある一点に向かっているようでもあり。
偶然が絡まりあった結果のできごとは、最終的にそれぞれの人生に影響をあたえたという事なのか。
ミステリーかもしれないけれど、殺人や刑事事件の謎を解くわけではない。人が生きていたら、もしかしたらあるかもしれないような、偶然の重なりあいをときあかす、そんな話です。
少しだけ、そこまでの偶然は、あるものなの?と思わないでもないのです。
第二章の話、嘘をつくことがどういった事なのかを考えさせる内容で、そこだけでも十分という気がすることを考えると。
ここまで積みかさねる必要があったのか?
風神を題名にするのは、少しムリがあるのではないか?
と、思うこともあるのですが、きっと、コレはコレで良いのでしょうね。
Posted by ブクログ
人が殺されるだけがミステリーではない。
様々な伏線が回収されていく爽快感。
ミステリーだけど嫌な気持ちが一切生まれない良きミステリー。
道尾秀介ならではの語彙力にも圧巻する。
西取川が流れる町を舞台に、様々な嘘が絡み合い、謎が生まれては謎が解ける。
短編集となってるが、登場人物が複雑に絡み合い、何度も出てくる人物や少しわからない出来事も最後には綺麗に回収されていく。
もはや美しいといいようがない。
恥ずかしながら読みながら笑ってしまってる自分がいた。
人と人ってほんの僅かなすれ違いや出会いで決まっていくんだろうな。
誰かがこうしなければ、こうならなかった。
そして私は存在しなかった。
常日頃感じてることをこの本が体現してくれた。
もし過去の過ちがあれば、この考えをすれば後悔だけではなく、少しは前向きになれるんじゃないかな。
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風神の手が、悲劇を生み、命を生んだ。
風が吹けば桶屋が儲かるというけど、まさにその話。
どの出来事がどう作用するのか、誰にもわからない。
嘘はいけないことだけど、その嘘が知らないところで誰かの幸せに繋がっているかもしれない、不思議な縁の話だった。
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人生は色々な運と縁と偶然から出来てるな〜と改めて思った。読み進めていくうちに、色んなところで繋がりがあって、段々と伏線を回収していくところが良かった。
Posted by ブクログ
もっと物騒な話かと思ったが人は思いもかけないところで他人の人生に深く関わっていくという改めて考えると深い話。
自分の視点と他人の視点、思っていたこと想像していたこととは真逆の事実。
私たちはそれに気づかず生きていることがほとんどではないか。だから切ないし苦しいしそしておもしろい
Posted by ブクログ
スルスル読めた。
この出来事がなければ自分は産まれてこなかったさらーーというのは、自分が生まれてきたことを肯定できる人の考えって感じがした。
いろんな人の嘘がきっかけになったり、作用しあってたりしたことの繋がりが種明かしされるのは面白かったけど、一部その嘘はついちゃダメじゃない?保身過ぎない?と思う部分があった。
内面描写の量の話なのか、私が保身をひどくネガティブに捉える性格だからなのかはわからない。
Posted by ブクログ
登場人物の色々な嘘が複雑に絡みあい思いもよらぬ方向へ…
序盤の展開はゆっくりで3章から展開が早くなる。
謎が魅力的ではないという難点はあるが、多視点による群像劇は重厚な人間ドラマを紡ぎ出す。爽やかな余韻を感じるラストも良し!
Posted by ブクログ
短編連作と思いきや、最後に収斂されていく物語。
「風が吹けば桶屋が儲かる」や「バタフライ効果」とか言ったものを連想します。
最後伏線がすべて回収されてスッキリ。
ちょっとした嘘が人生を変える
嘘がテーマの物語です。
■心中花
歩実は母親の奈津実とともに、奈津実の撮影のため、遺影専門の写真館を訪れます。そこで見つけた一枚の写真。
そこから、奈津実の過去が語られます。
西取川で行われる鮎の火振り漁。
そこで知り合った崎村という男性。
当時、西取川で起きた奈津実の父親の会社の事件。
また、崎村の父親の事件。
そして、火振り漁の最終日に起きた大きな悲劇。
しかし、その真相は...
■口笛鳥
ひょんなことから知り合った小学5年生の二人。でっかちとまめ。
何気なく、ついていた嘘。
そして、でっかちの父親が拉致されたことを知った二人は、救出に向かいます。
そこで起きたこととは..
■無常風
入院中の高齢女性。彼女の人生は、西取川で起きた事件と共にありました。
西取川で起きた事件の真相に絡んでいた高齢女性。
今まで語られた物語が伏線として回収されていきます。
別の視点から見るとそういうことだったのね。
という感じ。
■待宵月
エピローグですね。
結局のところ、落ち着くところに落ち着いた物語。
帯には
「奇跡の本当の意味を知る感涙のラスト」
とありましたが、感涙のラストというより、
「へぇ、よくまとまったね。」って感じでした。
人は関連して生きているということが伝わる物語です。
Posted by ブクログ
短編小説かとおもったら、最後は全部繋がってやっぱりそういうちゃんと伏線回収するとこ道尾さんぽいなと思った!
驚きまではいかなかったのでちょっと物足りなく感じた。龍神と雷神は好き
Posted by ブクログ
写真館を舞台に、人が絡み合って、過去も絡み合って、最後はこんなご縁だったの、びっくりストーリー。因果応報とは違うが、正当な生き方をしないと。あれ、小説なのに、こんな事感じてる(笑) ちょいとドキドキしながら楽しく読めました。
Posted by ブクログ
奇跡、偶然とはどういうことか
短編集と言うよりは連作小説の形式
すごく綺麗な作品であり読みやすく感動できる
青春小説のようでもあり推理小説のようでもある色々な要素が混ざりあって一体化してる
真相を知ってしまうとちょっと哀しい雰囲気にもなってしまうがそれも含めて良いエッセンスとなっている
ジャケット裏のあの日、風が吹かなければ、私は生まれてこなかった
この意味は最後まで読めばわかるだろう