道尾秀介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ各章の最後に割と色々ひっくり返る要素が追加されており、新鮮な読書体験だった。
一章について誰が死んだかわからないという意見が散見されるが、地図を見比べれば章内で完結できる、と思う。
事故を起こした十王還令会の車両は、事故現場に花を添えた後ゆかり荘の前に差し掛かった。つまり北から南に車を走らせていたことになる。一章終了時点で死亡疑惑があるのが、邦夫、雅也、隈島の三人であるが、ここでP80「右側から人影が現れ」で、邦夫ではないことがわかる。
両者のゆかり荘までの経路は、雅也が商店街突き当たりを左折、隈島は迂回している。ここで最後の地図を参照する。ゆかり荘は道路の向かい側、西方向から道路が延びた突き当たりに位置する。通常、雅也の経路で向かうと、到着までに北上する必要があり、そこまでの任意のタイミングでゆかり荘がある海岸側に渡ることが可能である。急接近する車に気が付かない可能性は低い。一方回り道をすると、ほぼ確実にゆかり荘前西側に伸びている道を通ることになる。この道は正面にゆかり荘があり、左右確認を怠ると事故は防げない。
上記のことから、回り道をした隈島が、ゆかり荘の正面の道路を通り、対岸に渡る際に左右確認を怠った結果自動車と衝突してしまった。とわかり、その大きなヒントとなるのが一章最後の地図なのである。 -
Posted by ブクログ
本屋で目に留まり購入。道尾ワールドが好きで。文庫で500P超えは久々というか、初めてかも。今まで読んだ道尾さんの作品とは少し違った毛色の作品のような気がしました。最初に出てきた女の子、夕見が起こした事故を中心に話しが進むのかなぁと思いきや、全く違う軸の話しが続く。いつになったら最初の事故の話しに戻るのかと思いきや結局その違う軸の話しで終結。
しかし、「何が不運の始まりなのだろうか」という最後の最後のパートのクダリで、最初の事故のことが出てきて、そこで全てが繋がっていくのかと気付かされたところは鳥肌ものでした。ストーリーとしては、いつもの道尾ワールドにある痛快さなどは無くむしろ物悲しい雰囲気が続く物語。こんなにも不運な人生があるのかと思うくらい。神のみぞ知るというくらい偶然に偶然が重なる人生がなんとも同情すらしてしまう。そう考えると“雷神”というタイトルはこの物語の全てが詰まったタイトルだと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ雨が降ったせいで人生が大きく変わった。ー
殺したいと思っていた血の繋がっていない父親を殺してしまった妹の楓。
兄の蓮は妹を守ろうとするが、犯罪は誰かにばれていて脅迫状が送られる。
半沢という超最低男がすごい。登場当初はなかなか良いおじさんっぷりでなかなかナイスガイ(見えるのだが、裏でやっていたことが酷すぎる。
蓮と楓にはあまりよい未来が見えず、バッドエンド感があるが、それでも2人が前向きなのが救い。妹が兄の性格を分かりきっているのが良い!
辰也、圭介兄弟はこの話の根幹に振れてはいないがただの反抗的なだけのガキに見えた辰也が意外に圭介のことを見ていた事が分かるラストのエピソードも良い! -
Posted by ブクログ
ドタバタコメディミステリーで小学生でも読める。
道尾秀介にしては、おどろおどろした所がなく、
爽やかで切なく温かい作品。
4歳の娘を亡くした主人公二美男は、
兄の賢い娘汐子を引き取る。
酒浸りの日々を乗り越え、
汐子と愉快なアパートの住民と祭りの日、
みんなの協力を得て、事件を起こす、
汐子の同級生のために起こしたこの事件が、
みんなを巻き込んで、あらぬ方向へ向かう。
人の心理を上手く捉え、日々の葛藤や、
普通に暮らす人々の善意の温かさが感じられ、
何となくほんわか温まる本でした。
道尾秀介らしくないと言おうか?
ダークさを抑えたコメディミステリー。