道尾秀介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ストーリーも、読書体験としても面白かった!
少しずつ重なり合う6つの物語。
主人公も物語のメインの時間軸もバラバラだが、シルバーウィーク最終日に光の花が咲く、あの瞬間だけ視線が一つに重なる。
どの短編から読んでもよいが、どの物語にも「脇役だがとても気になる人物」がいる。
ありがたいことに、気になる人物のより詳しいエピソードは、別の短編で語られている。
わたしは「人に歴史あり」と思わせるエピソードが好きなので、
『笑わない→硝子→眠らない→毒液→魔球→雄蜂』
という順番が時系列としても、登場人物の繋がりとしてもオススメです。
実際読んだのは、魔球→雄蜂→笑わない→硝子→毒液→眠らないの順 -
Posted by ブクログ
★4.4
この作品は、小説のおすすめ紹介など本に関する内容を動画投稿している『ほんタメ』というYouTubeチャンネルの、ミステリー小説好きであるたくみ氏が
「全ての小説の中で一番面白い、オススメ」と、何度も発言していたので、さすがに気になり読んでみた。
結論、確かにとても面白かった。
終始無駄なところが一切なく、途中に何度も、あえて濁すような気になる伏線を散りばめていることもあり、常に先を気にならせ、ページを捲る手が止まらなくなるような構成力を感じた。
ハードルが上がっている状態で読んでもしっかり楽しめたので、他の道尾秀介作品も読んでみたいと思った。 -
Posted by ブクログ
読む順番で、世界が変わる。
全6章、あなた自身がつくる720通りの物語。
「本書は6つの章で構成されていますが、読む順番は自由です。はじめに、それぞれの章の冒頭部分だけが書かれています。読みたいと思った章を選び、そのページに移動してください。物語のかたちは、6×5×4×3×2×1=720通り。読者の皆様に、自分だけの物語を体験していただければ幸いです。/著者より」未知の読書体験を約束する、前代未聞の一冊! この物語をつくるのは、あなたです。
すべての始まりは何だったのか。
結末はいったいどこにあるのか。
「魔法の鼻を持つ犬」とともに教え子の秘密を探る理科教師。
「死んでくれない?」鳥がし -
Posted by ブクログ
全体は2つのパートに分かれていて、どちらを先に読み始めるかで結果が変わってしまう、という作品。
そんなん可能なんかな、と思いながら決めた順番で読み終わりミステリーとして楽しめたけど、あれ、これを逆に読んだら結末が変わる?と不思議な感覚。
順番逆にして読んだらどうなるんだろうと、しばらく考えて、そのカラクリに気付いて驚いた。よくこんなカラクリを考えたものだ。
一度決めた順番で読んでしまうと、逆順で読んでも、既にある知識が邪魔して素直に読めない。
2つのパートはそれぞれ独立したテーマがあるし、それぞれで最後に謎が明らかになるミステリーとして読み進められる。その上で、2つの作品が互いに密接に絡 -
Posted by ブクログ
道尾秀介さんが手がけたミステリーゲーム「detective」をプレイし、小説家という枠に収まらない立体的な才能に感心して本作を手に取りました。
一言で言って、まさに「パラダイムシフト」を体感できる驚愕の小説です。
全6章、どの順番で読み進めるかによって読書体験が全く変わるという構成は、ただただ「奇跡」としか言いようがありません。
同じ出来事でも、見方によれば「悲劇」にもなり、別の視点からは「救済」にもなる。そんな非常に本質的なメッセージが、『N』というタイトルと、本を反転させるという物理的な構造によって見事に表現されています。
読書という行為そのものの概念を覆す、すごい作品。未読の方はぜひ -
Posted by ブクログ
720通りの読後感を
道尾秀介さんはこれまでも様々な読書体験をテーマに音声や写真の活用、読む順番というギミックを使って読者に多様な読後感を味わってもらう作品が多かった。今作品「N」は6個の短編をどの順番から読んでも良いという仕掛けであった。
それぞれが少しだけ関係性を持った独立した短編を読むにあたり大事なことは読み手によって、読む前の「前情報」が異なるということ。人によっては前の章で謎であった因果関係が明らかになる人もいれば、新たな謎な因果関係を生み出す読み方もあり、同じ本であるのに、違う読み方ができるということが画期的であった。
作品のそれぞれの内容も明らかにされない部分などは仕掛け上 -
Posted by ブクログ
ネタバレ闇金業者からの借金で人生を狂わされた男・武沢竹夫は、入川鉄巳と詐欺を生業として暮らしている。ある日、ひょんなことから彼らの家に河合やひろ、まひろ姉妹とその彼氏・石屋貫太郎が転がり込む。第140回直木賞候補作。
小話のクオリティが高い。
私は、春のお堀端を走るタクシーの中でタケさんとテツさんが話していた鴨とカモ、鷺とサギのかかった話や家族が一緒にいる重要性を実際に五指を用いて説く話が特に気に入った。こういう本筋でないところでウィットに富んだ雑談をさせられるのってセンスだよなあと感心しきり。こういう余分な贅肉の部分こそが、物語の旨味であり滋味である。
ラストはどうだろう。
私は、盗聴器バスター -
Posted by ブクログ
オムニバス形式で舞台装置(登場人物や小物、場所など)が共通しており、世界観を少しずつ拾っていける楽しさがある作品だった。
若干の引っかけもあり(苦しくはないか……と思うことはちょっとあったけど)過去に読んだ箇所から拾ってこれると点と点がつながった喜びもあり、
本を読む楽しさというよりかは他分野を学習したことが下地となり、世界が広げられた高揚感が強く感じられる作品だと個人的には感じた。
読む順番によってきっと寂しいまま終えることもあるだろうけど、その読後感のばらつきも読書体験として面白い。
もうちょっと各短編の紐付きが強いとより良いかな、と主観では思ったが、良い体験をしたと思う。