道尾秀介のレビュー一覧
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ラジオパーソナリティの恭太郎が主人公の物語を読み終えました。
最初は「ある殺人計画」って…ほんとに成立するの?とツッコミながら楽しんでいたのですが、最後にはなるほどと思える展開に。
軽妙なやりとりの裏に、人が抱えるコンプレックスや嘘の必要性が描かれていて共感できました。
つらい経験を乗り越えるためには、時には事実よりも物語が支えになることもあるんだなと感じます。
恭太郎が前を向き続けた結果、かけがえのない仲間に出会えたことがとても温かくて印象的でした。
読み終えて願うのは、登場人物それぞれがこの先、幸せに生きていけますようにということです。 -
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4.飛べない雄蜂→1.名のない毒液→3.笑わない少女→5.消えない硝子→6.眠らない刑事→2.落ちない魔球
の順で読みました。説明書きに忠順に、冒頭に惹かれた順です。
同じ町(3.5は海外)を舞台に別々の人物を主人公とした短編集であり、独立した話だけど互いに少しずつ干渉し合っているという構成です。
時期にはズレがあるので、あの人の過去か、とかあの子の未来か、という風に楽しめます。
登場人物が多い小説なので、感情移入して没頭するというよりは俯瞰的な読み方になるなと私は感じました。
正直、読む順番で世界が変わるというほどではないかも…読後感は変わるかもしれませんが。 -
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6つの短編集。
その6つがそれぞれにリンクしており、どの順番で読み進めるかで全体の印象が変わると言う作りで、その数は720通り。
すなわち、720通りの物語があると言う触れ込み。
読み進む場合の連続性をリセットするために、一つずつの物語が上下反転しているところも印象的。(その分、話の初ページを探すのがでちょっと面倒ではあるけれど。)
そうはいっても最初の印象を後日上回るのは厳しいと思われるので、初読が大事。
私はひとまず最初から順番に読んでみた。
読み進めるたびに、あれがあそこに繋がって、これがあの人でと、そのリンクや伏線が回収されていく感覚は楽しいものだった。
6つの物語の最後にどの話を読 -
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この小説は、ただのミステリーというより、ある種の「読書体験の装置」だと思う。
少年が経験する出来事、死んだS君の「声」、そして進んでいく物語の全てが、常に読者の想像力を揺さぶり続ける。本当にこれは現実の出来事なのか? 主人公は一体何を隠しているのか? ページをめくる手が止まらない、という月並みな表現では追いつかない、プロットの強度とドライブ感は圧巻だった。
読んでいる間、私はある種の『呪い』にかかっていた。それは夕木春央の『方舟』が植え付けた、「最後に世界観をロジックで粉砕するような、超弩級の衝撃」への期待だ。
『方舟』が冷徹なロジックとパズルの完璧さで読者の脳を凍結させるなら、『向日葵の咲か -
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ネタバレ※過去に読み終わった本のため、うろ覚えで書いてます。
文章✖️写真で推理をする、新感覚なミステリー小説
サクサクのサクっと読み終えてしまうほど、面白い小説でした。
他の方の解説や評価でも見られるように、最終的には犯罪を犯した人が全員捕まらずに生きているという展開に面白さに拍車をかけました(全員だったよな、、?)。
雨穴先生の変な家や変な絵シリーズを先に読んでおり、イラストから推理するというミステリー小説にハマっていた頃に、このいけないに出会いました。
各章のタイトルにもちゃんと意味があり、意味がわかったときにはすっきりした気持ちを味わえます。
個人的には、難易度が低めと感じ、もう少し推 -
Posted by ブクログ
2人の少年が両端から綱渡りするみたいに保っていたバランスが、鳴海が加わることで崩壊していき、さらに人生まで狂っていく様子を直視したくなくて、半ば祈るような気持ちでページをめくっていた。小学生って、自分の欲望に対してある意味で大人よりはるかに残酷だ。加減を知らないというか、浅はかさ、認識の甘さが裏返って悲惨な結末を呼ぶ。それを針の返しに喩えた道尾さんはすごい。刺さるのはあっけないけれど抜くときに激痛を伴う。これって何気ない一言や行為が、とんでもない恥や痛みを連れてくるのと同じだ。
子どもの、死に触れるまでの鈍感さと、誰かを亡くしてから極端に鋭敏になる死への恐れが見事に表現されていた。死という概