道尾秀介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレこういうギミック系を前面に押し出して売り出す作品を遠目から冷笑し、敬遠していたのだが、いざ読んでみるととんでもない。同じような冷笑してる人にもかなりおすすめです。読む順番で結末が変わるなんてどうせ解釈的な差異であって大したもんじゃないだろうと疑っていたのですが、表紙詐欺ではありませんでした。ギミックを成り立たせるためにとある登場人物の言動が極めて不自然という弱点はありますが、それを差し引いても、とにかく読ませる力があり、ちゃんと伏線を記憶させてくれる良い作品です。
【以下未読の方はスルー推奨】
自分はバッドエンドの順番で読んでしまったのですが、これは明確に読者の意思でキャラクターを殺してしまったということになります。何気にウルチモ・トルッコ(読者が犯人)を成立させている稀有なミステリーということになりませんか?屁理屈?読者としては、なぜこれで結末が変わるのだろうと物語に散りばめられた手がかりから推理しながら読むわけですから、本格ミステリというジャンルに1票を投じます。
たださあ、前情報は「読む順番で結末変わります」だけでよくねえか 救うか○すかあなた次第みたいなの言っちゃうと衝撃薄れるじゃん。それでマーケティングに成功してるなら仕方ないのだけど -
Posted by ブクログ
ネタバレ雨が引き起こす不幸の連鎖により全体的に暗く悲しいストーリー展開で救いのない話かと思いきや、散りばめられたニュースの描写や神話のモチーフから幸せな結末を願わずにはいられないオチに収束する、物語の余白に唸らされたお話でした。途中にいろんな違和感が出てきますが、鬼の正体はさすがに読みきれず見事に騙されました...(笑)
辰也と圭介と対照的に蓮と楓は闇に堕ちていくような終わり方だったので、いくつかのニュースの通り「雨のせい」ですべて洗い流されていたらいいな、と切に願います。
今回は単行本で読みましたが、小説版の解説が面白かったと評判なのでぜひ探して読みたいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレペトリコール、ゲオスミンという二つの物語があり、読む順番で結末が変わるという。
◎ゲオスミン
休職中の医者・田釜と、ホームレスの元刑事・野宮は娘を自殺で亡くしている。自殺のには当然きっかけがあり、それが長年二人を苦しめている。
◎ペトリコール
女子高生の夕歌はガラス職人の律子と暮らしている。夕歌は一家殺害事件の生き残り。もう一人、拓人もガラス職人見習いとして律子にお世話になっている。
この二人、実は出生届を出されておらず無戸籍である。そのため生きづらい人生となっている。
この二つがうまいこと絡み合い、結末へ。
以下ネタバレ(覚書)
田釜の娘・翠を自殺へ追い込んだと思われる夕歌。
その夕歌を田釜の妻が撲殺。
→実は夕歌は二人いた。姉(夕歌)、妹(結)。
ペトリコールでの主人公は夕歌だが、妹の方。
妹は無戸籍であり、自殺した(田釜によって殺害された)夕歌は、妹への手紙(遺書)に名前をプレゼントした。
発見された身元不明の遺体は無戸籍の結として永遠に身元不明のまま。
野宮の娘は、たまたま赤い傘をさしていただけで、カップルから盗まれたと言いがかりをつけられて、いじめにより自殺。
この赤い傘の時系列で野宮は殺人をしてしまうのかがポイント。
よくできた物語に驚きしかない。
気になるのは本当の夕歌の性格。なぜ翠へひどいメッセージを送ったのか。
登校拒否になっているのに、なぜ翠とは普通にやり取りができるのか。
多重人格?
ただ、とても暗い内容なので読み返す気になれず。
読んでいて辛くなったので⭐︎4で。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私はバッドエンドを選んでしまいました。ラストシーンがもうめちゃくちゃ怖かったです
半分読んで「あーこれはバッドエンドだな」と思ったんですけど
それにしても後半の話の暗くて重いこと…
休職中の田釜先生と無職の野宮刑事の会話も
もう辛くて辛くて読むのが辛くて
でもページを捲る手は止まらなくて
お姉ちゃん、なんであんな事を…
自分が不幸だとずっと思っていて、みんなにも不幸になって欲しかったのかな…
生存ルートで読み直しても、バッドエンドの影響が大きすぎて「???これでどうして生存ルート?」と頭の中がぐちゃぐちゃに
時系列にまとめても
わざとわかりづらく書いてあるし
他の方の解説を読んでやっと納得しました。これをさらっと読んで理解できる人はすごい
確かに結末は全く違うものになるし、話自体も面白かったのだけど
それでも⭐︎5をつける勇気がありません…
ただ、この体験はして良かった。
誰が悪かったのか
何が悪かったのか
このテーマがしばらく胸にずーんと響きそうです…
私にも後悔していることがいっぱい
生きるって難しいよね -
Posted by ブクログ
『N』に続いて読んだ道尾秀介さんの作品。読み始めはサスペンス色が強く、どこか不穏で緊張感のある物語が続くのだが、読み進めるほどに、それぞれ独立しているように見えた人生が少しずつつながっていく。その構成が本当に見事だった。
特に印象的だったのは、登場人物たちが意図せず誰かの人生の「媒介者」になっていること。ある人物の何気ない行動や出会いが、別の人物の人生に影響を与え、それがまた次の物語へと受け渡されていく。読み終えて振り返ると、すべての人生が静かに連鎖していたことに気づかされる。
前半のサスペンスから、後半に向かうにつれて人間の優しさや温かさが浮かび上がり、最後の「遠い光」では、まさにタイトル通りの光を感じた。この着地がとても好き。
『N』の大胆な仕掛けも面白かったが、個人的にはこちらのほうが好み。『向日葵の咲かない夏』のような大どんでん返しを描ける作家が、こんなにも丁寧に一人ひとりの人生を紡げることに、ただただ感服。道尾秀介さん、人間を描くのが本当にうまい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ章ごとの終わりに画像が載ってて真相が明らかになる斬新なミステリー。だが自分は何も分からなかった。そんな人にも楽しめるようにQRコードを読み込むとヒントが出るようになっててそこでようやく真相を理解した。一つ一つの章の最後でひっくり返る様な物語の構成力、一文に二つの意味を重ねる遊び心と周到さによるなせる技だと思う。振り返ると違う意味になるみたいな気づきもまたこの物語の魅力だった。そしてタイトルの回収も凄まじく最後の街の平和を信じては「いけない」は最後の画像により殺人などを犯した者たちが全てこの町では捕まっていない事がわかる。これが平和と言えるだろうか。凄まじかった。自分の思考では到底及ばないからこそ面白い。単純に見るだけでは終わらせない。自分の物語に無理やり引き込む、それが道尾ワールド。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ娘の本棚から。
6編の短編集。
読む順番によって違う印象をもたらす物語体験を、という趣向のよう。
一編一編は全く別の物語たが、所々に他の物語と繋がる部分があって、読む順番によってそれがどう繋がっているのか見えている場合と、別の編で読んだときに改めて未来や背景という形で浮かび上がってくる場合とがある。
仄かな希望を漂わせて終わる物語もあれば、極めてビターなエンディングを迎える物語もある。
全部読み終わったときに、それぞれの繋がりから環のような、織物のような物語世界が頭の中に出来上がっている。
人物相関図を作りながら読んだら面白そうだなと思った(やってないけど)。
こういう物語ってどうやって書くのか不思議。
ましてや本書の短編たちの初出は小説すばるへの掲載。
1番早いやつで2019年10月号で1番遅いやつが2021年6月号。
1年半後に書く物語との繋がりをその時点で意識して書いてたの?
一方向的に繋がっているわけじゃないから書き直しとかしたくなる気がするんだけど。
それとも最初の時点で全体はあらかた書けていて、1年半かけて小出しにしてったこと?
それはそれで気の長い話。
初稿から改稿して書籍化しましたみたいな断りもないし。
うーん、不思議。 -
Posted by ブクログ
2026年21冊目
星4.5くらい
さすが道尾秀介先生の書いた小説
すごく面白かったです。
最初の半分まではペース遅めでゆっくり読んでいましたが、中盤〜終盤にかけて、続きが気になる!早く次の展開を知りたい!という気持ちで、夢中になって読んでいました。
なんとなく、最後の展開は読めてきたなと思っていたが、これがミスリードなのか…うまく騙されました、、
特にあのある仕掛けには、あ!そっちなんだ!と予想が外れてしまうことに笑。
自分の中では、最後こうなるだろうと思い描いていたものがありましたが、上手く引っくり返されました。
そういうことなのか!と驚嘆と面白さでニヤニヤ。
神様はいるのか、なぜ人は人を殺すのか、なぜこうも物事は思ってもない方向に進んでしまうのか、、
物語への没入感も強く、登場人物だけでなく読んでる私まで心がしんみりとします。幸せに生きてるだけで良いんだなと改めて感じます。
館系とかクローズドサークルとか、私の好きなミステリ要素は少なかったですが、全く気にすることなく最後まで楽しめました。
ありがとうございましたm(_ _)m