道尾秀介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人が殺されるだけがミステリーではない。
様々な伏線が回収されていく爽快感。
ミステリーだけど嫌な気持ちが一切生まれない良きミステリー。
道尾秀介ならではの語彙力にも圧巻する。
西取川が流れる町を舞台に、様々な嘘が絡み合い、謎が生まれては謎が解ける。
短編集となってるが、登場人物が複雑に絡み合い、何度も出てくる人物や少しわからない出来事も最後には綺麗に回収されていく。
もはや美しいといいようがない。
恥ずかしながら読みながら笑ってしまってる自分がいた。
人と人ってほんの僅かなすれ違いや出会いで決まっていくんだろうな。
誰かがこうしなければ、こうならなかった。
そして私は存在しなかった。
常日 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ終章で、物語はずっと未来に向かって進んでいたんだな、ということがわかった。
読んでいて思い出したのは、私は学生の頃、加害者の立場だったな、ということ。ここまで酷い行為ではなかったし、陰口程度のものだったけど。
忘れていた。
いくは謝ることで、過去と決別できた。
敦子は赦すことで、前に進むことができた。
逸夫が人形に何を託してダムに落としたのかは語られないけれど、たぶん「普通がつまらない」と思っていた過去の自分なのではないかと思う。
自分の日常が「普通」で平凡だと思うとき、考えは自分に向かっていて、他者には思いが至らない。
ほんとうは、蓑虫の蓑みたいに、自分が見ているのは蓑だけで、その -
Posted by ブクログ
デビュー作である「背の眼」がおもしろかったので作家道尾と霊現象探求家の真備と助手・凛のシリーズ2作目
仏像を作る工房が舞台となっていて、仏像という神聖なもののようでいて、でも暗がりやずらっと並ぶさまは不気味に思えたり仏像の両性ぽい造形からくる神秘性をうまく作品に落とし込んでいると思った
前作の「背の眼」でもそうだったんだけども犯人の悪意や作為のもとに事件が起こるわけではなく、ちょっとした人間の行動がもたらすボタンの掛け違いの連鎖が悲劇になっていくのが特徴だと思う
でも強烈な、それこそ昨今流行りの因習村的なものよりも個人的には物語とは人間同士のあいだに起こり得る意思の疎通やその齟齬からなるものだ