道尾秀介のレビュー一覧
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語り手の「私」である利一が、小学4年生の夏休みから春休みまで、自分と友達に起こった出来事を書き起こしています。
なんたって小学生。スキあらば何か(ちょっと悪いこと)を思いつき、何かを発見し冒険し。友達にイラッとしたと思えば何かしてあげたいと思ったり。ケッタイな作戦を練ってはうまくいったり、と思ったら大失敗して叱られたり。
この子らはとにかく事件を起こします。最初はちょっとした冒険やイタズラだったのが、どんどんシャレにならなくなって…読んでるこっちは気が気じゃない。早く落ち着きたい一心でダッシュで読むハメに。
(カメの「ダッシュ君」もいい味出してます)
道尾作品で小学生がメインのものだと、問題を抱えた大人がたくさん出てきてズーンとなりがちなのですが…今回は大人も魅力的だったなぁ。
ちょっとした小道具たちが後からいちいち効いてくるところにもシビれました!全部回収されてました。
あと、解説読んでクーッ!となったところがあって…自分で気づきたかったっ。 -
Posted by ブクログ
ラジオパーソナリティの恭太郎が主人公の物語を読み終えました。
最初は「ある殺人計画」って…ほんとに成立するの?とツッコミながら楽しんでいたのですが、最後にはなるほどと思える展開に。
軽妙なやりとりの裏に、人が抱えるコンプレックスや嘘の必要性が描かれていて共感できました。
つらい経験を乗り越えるためには、時には事実よりも物語が支えになることもあるんだなと感じます。
恭太郎が前を向き続けた結果、かけがえのない仲間に出会えたことがとても温かくて印象的でした。
読み終えて願うのは、登場人物それぞれがこの先、幸せに生きていけますようにということです。 -
Posted by ブクログ
2人の少年が両端から綱渡りするみたいに保っていたバランスが、鳴海が加わることで崩壊していき、さらに人生まで狂っていく様子を直視したくなくて、半ば祈るような気持ちでページをめくっていた。小学生って、自分の欲望に対してある意味で大人よりはるかに残酷だ。加減を知らないというか、浅はかさ、認識の甘さが裏返って悲惨な結末を呼ぶ。それを針の返しに喩えた道尾さんはすごい。刺さるのはあっけないけれど抜くときに激痛を伴う。これって何気ない一言や行為が、とんでもない恥や痛みを連れてくるのと同じだ。
子どもの、死に触れるまでの鈍感さと、誰かを亡くしてから極端に鋭敏になる死への恐れが見事に表現されていた。死という概念を、身体を以て理解するタイミングは人それぞれなのだろう。祖父がくちびるの皮をべろんとめくるところとか、人間の老いた部分を直視する暴力性が現れている。自分が小学生の頃、背中の曲がったおばあちゃんを見るだけで胸がきゅうとなって居心地の悪さを覚えた。心が綺麗とかそういう問題ではなく、自分が悲しくならないために目を背けたいだけだという、あのなんとも言えない罪悪感と哀愁。
そんな中で語られる祖父のセリフが悲しいし心にずっしりくる。「お前、あんまし腹ん中で、妙なもん育てんなよ」という一言に、母よりもずっと孫を見つめてきたのが凝縮されている。男同士だからか、漁師だった祖父のさっぱりとした気性なのか、年の功なのかわからないけれど。女である私が(いや、女だからこそかもしれないが)母親に嫌悪感を抱くのは、慎一を通して子ども時代の心細さや母への依存を想起し、しかし実の母とは重ならないフィクションの母(純江)に情が生まれるわけもなく、ただ怒りを覚えるからだろうか。あるいは大人になった身として、慎一が不安定になる原因は純江の監督不行き届きだと感じるからかもしれない。過去と現在、二重の怒りが存在しているような気がする。
傷ついて傷つけて恥ずかしくて、その痛みや後悔や恥や矛盾に耐えられなくなった結果、苦肉の策で痛みに鈍感になることが、大人への第一歩なのか?
その過程で、どうすれば相手を不快にさせ、自分をすっきりさせられるのか、賢くなっていくのだろうか。諭すような口調の方がいっそう相手を傷つけられると発見するように。そして、自分の加虐性を自覚して、それに恐れを抱いてようやく、むやみに人を攻撃すべきではないと理解するのかもしれない。動物だったらそのうち淘汰されていくだろうけど、なまじ賢くてしぶとい人間はそれくらいじゃ死なないので、たまに行き過ぎた一部の人だけが、法を破ることになるのかもしれない。子供とは、大人が予想できないような罪を犯す危うさとつねに背中合わせの生き物に思えてくる。
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Posted by ブクログ
ネタバレ1作目同様、さくっと読めてよかった。
前作とのつながりはほぼないが、ある人物の弟が登場。
「クマの手」というワードが出てきて、聞いたことあるワードだと思った。
前作よりわかりやすく、写真を見るより前にわかってしまう章が多かった。
第一章は写真を見て、悲しい結末であることに気づいてた。
最後まで読んでも動機がわからず(死体を見られたから?)。
最初の写真もしっかりつながっているとは…。
第二章は自殺してしまったのはわかった。過去のできごとがフラッシュバックして、甥からの言葉で限界になってしまったのだろうと後から思った。
第三章はわからなかった。
真相がわかった後も結構無理があるなとは思った。
殺人を犯して動揺している中、ドライブレコーダーでの偽装や、床下に埋めて車を森まで走らせ戻ってくるのを一晩でやるというのは。
思考的にも、作業的にも。
最後の章でドライブレコーダー偽装の理由は判明するが。
終章を最初に読んだときは、事件解決のチャンスを失ったのだと勝手思っていた。床頭台ではなく窓際のチェストに花を置いたとあったので、スマホに気づけずに終わったのかと思った。
それでも全てがつながって、すっきりした気持ちでいた。
その後ネタバレを見ると、明神の滝に願ったものの願いは全て叶い、願っていないものの願いは叶わなかったこと、刑事がまだ代償を払っていないことを知って、よくできていると思った。
最初は星3、ネタバレを読んで星4になった。