道尾秀介のレビュー一覧
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小学四年の利一とその友達の半年を描いた物語。
写真家の父を持ち、金持ちをちょっと鼻にかけた宏樹。
離婚した母を小学二年で失い、祖母に育てられている清孝。
お調子者で不器用だが憎めない慎司。
そして慎司の二つ上の姉で、利一の憧れの人悦子。
この五人が女恋湖の伝説をめぐる冒険をしたり、アンモナイトの化石のレプリカを作ろうとしたり。
人魚伝説、冬の花火大会、アンモナイトの化石など、子ども時代ならではのエピソードの数々が楽しい。
五人のグループは…実際の子ども集団にはそれくらいの人数のことだってあるけれど、物語での子どもグループとしては多すぎはしないか?と最初思った。
ドラえもんだって、のび太、ジャイアン、しずかちゃん、スネ夫の四人だ。
多いとキャラがかぶるし、読者の方でも覚えきれない…とも思えたが、さすがそこはうまく描き分けられている。
気になったのが、視点人物で、本筋の物語の語り手でもある利一がやけに大人だなあ、というところくらい。
しかし、この利一少年が小4として不自然なくらい繊細で大人びたキャラクターなのは、この物語内物語がどういうものなのかが明かされていく最終章を読んで納得する。
そこも含めて、周到に考えられたということだったのか、と感服する。
清孝が、とてもいい。
小学校二年で母親を失って、強くなるしかなかった少年だ。
この子が、おばあちゃんである「キュウリー夫人」を思っていうセリフが泣かせる。
「(ばあちゃんは)俺たちよりずっとたくさん生きているから、足だって腰だって、俺たちと同じことしても、俺たちより、何倍も何倍も、疲れるから、俺が(買い物に)行くんだ!」
自分もおばあちゃんっ子だったが、この年齢でこのやさしさはなかった。
強いこととやさしいことが両立する、これまたすごい小学四年生であった。 -
Posted by ブクログ
「好きとは言えないのに読んでしまう作家」のうちのひとりが道尾秀介なのですが、本作を読むと、私やっぱり彼が好きなのかもしれないと思うのでした。
裏表紙から想像したのは、ちょっとオカルトの入ったミステリー。遺影専門の写真館が舞台で、死んだはずの人が写っているとなればそう思いませんか。
だけどちがった。いったい各章の登場人物はどう繋がっているのか。とってもややこしいので、500頁弱のボリュームでもとっとと読むことを勧めます。でないと、誰が誰かわからなくなる。
どの人もいろいろある人生だったけれど、いろいろあったからこそ今がある。あなたがいる。よかった。 -
Posted by ブクログ
普段、あまり恋愛小説は読まないんだけど
道尾秀介さん作品は好きなので挑戦
面白かったけど、やっぱり道尾さんはミステリーかな、という感想なので星は4つ
すんごいリメイクされまくりの映像化があるらしいけど
意外と恋愛ものも、映像より活字で読む方が実は何倍も面白いのかも…と思った
登場人物の言動や行動は
それこそドラマに出てくるようなセリフや行動まんまで
終始これだけのお話なら非現実的なおとぎ話な気がするんだけど
ゲンゴロウのロナウドだとか
おんちゃんの巨大明太子おにぎりだとか
細かい設定がなんか現実的過ぎてしっかり頭の中で映像化されるし、
最初はかっこつけに見えてた蓮介がだんだんと魅力的な人間に見えてきて
蓮介…ていうか蓮介みたいなキャラクターを描ける道尾さんが素敵だ~~と思った
再読はないかもしれないけど
またもや道尾さんが好きになった一作でした! -
Posted by ブクログ
2021年、16冊目は、追いかけてる作家の一人、道尾秀介。
下上(しもあげ)町、上上(かみあげ)町、そして、二つの町の間を流れ、海へと注ぐ西取川。約40年前の西取川の護岸工事に端を発する、幾つかの出来事と、それに関わる様々な人々が交錯して行く。
道尾らしい作品。実に上手いこと、伏線回収していった感がある。読後感も悪くない。
さらに「解説」を読んで驚いたのは、第二章『口笛鳥』が中編として発表され、それに肉付けする形で、第一章。第三、四章が加えられ長編となった事実。確かに、連作短編的触感はあったが、独立した一編からとは。
第四章では、カーテンコール的にオールキャスト勢揃いも、今回は何だか「ほっ」とさせられる。
多少の事件性や死者は出るものの、ミステリーとしては控えめ。『貘の檻』がボタンの掛け違いなら、『風神の手』は連鎖的ポイント切り替えで迷走するも無事に目的地到着って感じかな。
分量はソコソコあるが、読み憎さはなく、展開ドライブ感もあり。文句ナシで、★★★★☆評価。