道尾秀介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「ミステリー」と一括りにジャンルを分ける事があるが、それはあくまで大枠であり、小さく絞っていけば他種多様な枠組みに落とし込む事が出来る。
筆者の作品は、単純にミステリーという大枠にありながら、かなり独創的な、彼にしか思いつかない様なストーリーを読者に提示する。(いかにエンターテイメントとして読者を楽しませるか。その努力は小説だけではなく様々なチャレンジをしており、驚かされる。)
今作も簡単に言ってしまえば街でたまに見かける室内釣り堀の話が起点だ。その事を土台に、どの様な話になるのか。と序盤は全く意味不明だったが、これを「ミステリー」のジャンルまで引き上げ、こんなに面白い作品に仕上げてしまうのだから脱帽だ。
構成、イメージは「カラスの親指」に似ている。
作風として、登場人物それぞれの過去のトラウマ、後悔をベースにしながら、「鯉」の捕獲という共通の目標に向けて全てのキャラクター達を集結させ、怒涛の如く伏線を回収していき、エピローグまで繋げていく。圧巻の物語だ。
最初から登場人物達には癖や影が存在しており、プロローグにおいては全く訳の分からない話だったが、だんだんと関わりが広がっていく。文庫版では最初の数ページが登場人物達をモチーフにした絵画風のデッサンになっており、それが各章の構成とリンクしている事もこの小説の魅力だ。
気になる点は、余りにも伏線を繋げすぎているため、驚嘆が小さくなってしまう点だ。本当に物語の1mmまで伏線を繋げてくるのでいよいよ疲れて苦笑いしてしまった。伏線回収は小説やあらゆるエンタメの肝だが、物語の分量に応じて適切で無ければ胃もたれする事がわかってしまった。(大好きなお菓子を食べ過ぎて後悔する時と似てる(笑))もしくは、せっかくならもっと話を長くして、店長やポーさんなどスポットライトが少なかったメンバーまでも回収していればもっと凄い着地になったのかもしれない(胃もたれすると言ってはいるが、好きなものは好きなんだ)
総じてとても面白かった。子供の頃の様な、無邪気さと少し残酷な部分が混ざった様な作品だった。 -
Posted by ブクログ
面白かった。4.5くらいかなぁ
読書YouTuberがおすすめしていたので読んでみました。 短編集で、1章でなくなってた人物が、第2章では死ぬきっかけとなった事象を回避して生き残っ手いたならばというパラレルワールドのような世界観で各章進んていく
事前のあらすじ説明を知らずに読んでたらたぶん混乱してただろう(笑)
人は誰でもあの時こうすればよかった、そうしなきゃよかったという行動が誰しもあるかと思う、それが家族を失う行動であったら尚更である。
ある章では病気や事故等によりその人物はなくなっている話で展開されているが、次の章ではその人物がその危機を脱して生きていたならば?という話で物語が進んでいく。
あのときの行動をとらずにいたならば大切な人を守れたかもという自責にかられあのとき戻れるならと思う登場人物もいるが、
「逆に大切な家族はなくすものの、悲しみを乗り越え、新しい人との出会いも当然あると思う。
その人たちとの新たな関係や思い出が構築されていけばいくほど、この人達との関係をすべてなくしてまであの瞬間に戻ろうとは思わない この人達を忘れたくはないという」描写もあり 色々考えさせられる作品だった。
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匿名
購入済み細部まで計算されていて、全体の構成も見事。
めちゃくちゃ面白いです!
そして、途中で感じるであろう違和感をすべて吹き飛ばす驚きのラストが待っている。 -
Posted by ブクログ
プロローグ読むだけだとストーリーの方向性がまったくわからず、始まってみれば釣り堀が舞台みたいだし、釣りに興味ない私は、『面白いのかなこれ?』とやや疑心暗鬼に。
でも結果から言うと、大丈夫でした!(笑)
登場人物たちそれぞれの事情がわかってくるし、彼らの行動に繋がりも見え始めるので、そこからは途端に先が気になって一気読み。釣りのこと知らなくても問題なく楽しめた。
ハラハラドキドキするシーンや深刻な場面もあるんだけど、全体的にちょっと遊んでるなって感じがあって。コミカルなところも多かった。小説には珍しく、何度か小さく吹き出したくらい。
意外な展開をこまかく繰り返しつつのラスト。割とみんないいところに着地してて良かったんだけど、ラストの後はどうなったのかな。あれっ終わり?という物足りなさが少し残った。
でもストーリー以外のところでも楽しめたので、読後の満足感は大きかった。
それはヒツギム語。何度も登場してくる異国のことば。ツボにハマってしまい、ずっとニヤニヤしたりプッと笑ったりしながら読んでた。
一番理解に時間がかかったヒツギム語は「アラマタシノ」で、一番好きなヒツギム語は「デマカサズ」です。
昔、ともだちとバル語というのを作って、日本語から変換しては大笑いしていたことを思い出した。青春。
最初の方に、登場人物がタロットカードみたいに描かれているページがある。読む前に見ると『雰囲気があるイラストだな』くらいで終わるんだけど、読み終えてから見ると全部意味がわかるので楽しい。
余談。
タイトルに「the Novel」とついているからノベライズなのかと気になっていたところ、最後に書いてあった。
『道尾秀介とケラリーノ・サンドロヴィッチ、二人が打ち合わせを重ねてひとつのコンセプトを創り上げ、』と。映画版の「the Movie」は制作中らしい。それはともかく、ケラリーノ・サンドロヴィッチって誰よ?と思って調べたら、有頂天のケラさんだったのでびっくり。知らなかった!
いやケラさんのこと特に詳しくはないけども。ナゴムレコードの主宰者と知って二度びっくり。
そして超余談。
この本、本屋さんで手にとってしばらく眺めて、買おうかなと思って少し歩いたんだけど、さっきブラシを買ったしなあ…と思ってやめて。
そしたらそれを見ていた次女がこっそり買ってくれていて、お誕生日プレゼントで渡してくれたのでした。うれしかったよ。