道尾秀介のレビュー一覧
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ー お話の世界に逃げ込むという意味じゃないんだ。物語の中で、いろんなものを見て、優しさとか強さとか、いろんなものを知って、それからまた帰ってくるんだよ。誰かのつくった物語でも、もちろんいい。でも、自分でつくったほうが、知りたいものを知れる。もし知りたいものが何なのか、わからなかったとしても、きっと見つかってくれる。自分でつくる物語は、必ず自分の望む方向へ進んでくれるものだから。
「それを聞いて初めて、やってみようって思った。強くなるのでもいいし、優しくなるのでもいいし ー とにかく、変わりたかったんだ。そのときの自分を変えたかった。そうすることで、自分のいる世界を変えてやりたかった」 ー
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夫の浮気による離婚。
夫と2人で始めようとしていた移動デリの仕事。
姉の弟との同居。
主人公のナツは、リアルな現代の女性像を
ありのままに描かれている。
女の強がり、見栄、本音の寂しさ、
意地。負けん気。
そんな事を言ってられない現実。
そんな中、有名女優の姉のスキャンダルを
もみ消したいアイドルのカグヤ一味による
ナツの拉致事件。
姉のスキャンダルを暴露させまいと
作戦を練り協力していく様が、
面白おかしく描かれている。
衝撃の黒幕。からの黒幕。
みんな人間で、心があって、
本音を隠しながら強がって、
それでも生きてるんだ。
それが家族なんだと。
著者が男性なのもまた、一興。 -
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ネタバレそれが当たり前であるかのように高校生の甘酸っぱい青春を描いた物語を読んでも自分にはあまり共感できないことが多いが、本作が描いている小学生時代の好奇心や思い出には懐かしい気持ちを味わうことができた。登場人物の小学生らしい天真爛漫な言動は大人になった自分にはとてもまぶしい。とはいえ、ただそれだけでは終わらないのはさすがの道尾秀介。最後の解説を読むまでは市里修太という作家は実在するのだと思っていた。
道尾秀介作品は文体というか全体的な雰囲気として独特の寂寥感を感じるものが多いと思っているが、『光』は物語のテーマも相まって特にその色が強く感じた。またさらに年を取ってから改めて読みたい作品だ。 -
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中学生の逸夫と敦子。
逸夫の家は旅館を経営してて、女将を引退した祖母いくの過去には、嘘と罪が。
敦子は母子家庭で、まだ小さな妹がいる。
そして、学校では過酷ないじめにあっていたが、逸夫はそれに気付かずにいた。
ふたりは文化祭をきっかけに交流をもち、夜の小学校に忍び込んで、タイムカプセルを開け……。
いくと敦子、それぞれの嘘。
蓑虫。べっちゃんぐるま。たづちゃん。ダム湖。
生きてくうえで、辛い何かを、忘れるのか、乗り越えるのか。
呆けて、忘れてしまったようにみえたいくが、なお自分の罪の思いから開放されていなくて、涙して謝る姿が胸に痛い。
人の罪は、誰かに赦されないとならないのかもしれな -
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ー もし子供を持っていたなら、あるいは将来的に持つことがあるなら、どうしても教えてあげたいことが一つある。
息子でも娘でもいい。わたしたちは二人並んでゆっくりと歩いている。足下にあるのは、ぬかるんだ土かもしれないし、乾いたコンクリートかもしれない。周囲の風景に、色は多いかもしれないし、少ないかもしれない。どこだって関係ない。いつの季節だって同じことだ。
わたしは子供の顔を振り向かず、景色にも目を向けず、ただ顔を少し上向けて、あの頃を見る。そして教える。
もし本当に綺麗な、眩しい光に出会いたいと思うなら。
いつでも目を開けていなさいと。何があっても、両目に映る景色がどんなものであっても、決し -
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ネタバレ連作短編集風だが、3つの物語が最終章で重なる長編小説だと思う。
最初の章でいきなりどんでん返しをくらい、その逆転が心地良かったので次はと期待するがそれほどどんでん返しがある訳ではない。
まったく別々の3つの物語が1つのところを収束というか、つながりがあったという物語。
童話がいろいろ出てくるのだが、その童話が面白く本当に絵本で読んでみたいと思えるほどのクオリティー。
とにかく一番面白かったのが、全体を通してではなく、
最初の一遍目。
分かれたカップルが再開し誤解を解く話で、まったく別人と彼女が結婚し、元彼は事故で亡くなってしまった様な描き方をされていて、それがどんでん返しとなるのでビック -
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2018年、29冊目は道尾秀介。
小学四年生の利一、親友の慎司、その姉で六年生の悦子、写真家の父を持つ同級生の宏樹、キュウリー夫人とあだ名される祖母と二人暮らしの清孝。田舎町での五人の冒険譚。
赤く染まった川、湖の人魚伝説、アンモナイトの化石、冬の蛍……etc。少年の物語としては、直木賞作品『月と蟹』より、コチラをススメる。
各章にちりばめられた、道尾らしさ。そして、物語全編に大きく仕掛けられた道尾流フック。ミステリーの流儀を踏まえ、どちらも上手く機能している。特に、物語全編に大きく仕掛けられた方は、一つは何となく気付いたが、もう一つは、解説で気付かされるといった具合(その解説が、ちょっ