道尾秀介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
背負った「贖罪」を「嘘」で塗り固めて得た「平穏」と、背負った「贖罪」の「真実」を語りたいと思う人とは
道尾秀介さんの作品は毎回読後に考えさせられるものが多い。世間から離れた「周縁」の人物が、日常から離れた「周縁」の出来事に出会い、そして「周縁」の存在であった自分の「社会」としての「家族」としての、「自分」としての存在価値を見つめ直す。物語の構造としてそこには確かに「行って、戻ってくる」、「カタルシス」などが存在する。
その中で今回は前述した「嘘」と「真実」について考えた。自分に引け目を取る、贖罪の意識があるとき、「嘘」を付くことで得られるものはなんだろう。一時の平穏、自分にとって都合の良い -
Posted by ブクログ
ネタバレ過去に友人の保証人になって飛ばれた男。
落ちていく中で、詐欺師としての生き方を選ぶ。
その中で相棒と呼べる相手や、ゆきがかりで家族みたいになる子たちが集まって。思いがけないわちゃわちゃ共同生活。
主人公は、自分の人生をめちゃくちゃにした相手を騙して復讐しようとする。
だけど読者には、全てがうまくいきすぎているような、ハッピーエンドのためにしくまれた劇の中にいるような違和感を覚える。
私はテツさんと寛さんが怪しいとずっと思っていた。
娘たちがちゃんと自分の足で人生を歩めるのなら…
それを目的に動いたテツさんは偉い。それが間接的に、主人公も寛ちゃんの人生も救ってるんだもんね。
しからもただお金を -
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Posted by ブクログ
種明かしをされても前作程の驚きは無かった。主人公が仕掛ける側だった為か緩急の落差が前作程大きくなかったからではないかと思う。
またキョウについても不憫には思えど、主人公に責任を取らせるという考えはあまりに筋違いで、境遇や年齢、性格等を鑑みても納得いかず、まひろほどではないが親身な心持ちにはなれなかった。主人公は最終的に全部キョウに騙されていたのかも、と懐疑的だったが、キョウには危ういところが多いのでさすがに買いかぶりかと思う。結果オーライで良かったね、取り返しがつかないことにならなくて良かったねとやや冷ややかな感想になってしまった。
前作の登場人物達が真っ当な人生を歩み、親交を温めている様子が -
Posted by ブクログ
目次のあとにあるタロットカード風のイラストは、最初に見た時と読み終えた後とで印象が大きく変わった。
読み始めは怪しい雰囲気や色味から「ミステリーなのかな」と勝手に想像していたのに、読み終えた頃には「たしかにこのイメージがピッタリだ」と思えて、少し可笑しくなるほどだった。
一番のお気に入りの場面は、大洞さんがカープ・キャッチャーで釣りをするシーン。
無口な人が淡々と、しかし計画的に動いていく姿が妙に魅力的で、登場人物たちが次第に集まっていくあの場面は特に印象深い。
大洞さんの行動の背景には、離婚した娘の様子をブログのフォロワーとしてそっと見守りながら、娘が「バイト先の景品であるあの箱 -
Posted by ブクログ
音声と小説を融合させた「体験型ミステリ」
作中に二次元コードが登場して、それを再生すると、ある音や映像が流れてきて、物語の真相が分かるという仕掛けの短編集。
道尾さんの小説で最後の一枚の写真で真相がわかる「いけない」シリーズがあるけど、それと同じくらいわくわく感があった。しかし、肝心のオチがどういうこと…?となる話が多くてちょっと惜しいと思った。もっと面白くできそうなのに。
二話目の「にんげん玉(表記は鏡文字)」が今回の手法にがっちりはまった感じで一番面白かった。動画だから突然大きな音が出たりびっくり映像みたいなのがないかびくびくしてたけどそれはなかったのでよかった。ただ音声をよく聞きとろう