道尾秀介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ両親の離婚、クラスに馴染めず不登校、母が出会い系で別の男を探してた、わたしの中学生時代の何もかも嫌になった時期を思い出した。
1つ嫌なことがあると、他のことも上手くいかないって思ってどんどんネガティブ思考になって抜け出せないんだよなぁ。周りの些細な表情や言葉も敏感に感じ取っちゃって生きづらかったあの頃は...。
「何か、粘着質の音が聞こえた。鳴海の父親の、微かな声。同じくらい微かな、純江の声。そしてふたたび静かになった。その静けさの中に、先ほどと同じような粘着質の音が、また聞こえた」(P222)
慎一が車にて、母と鳴海の父の密会現場に潜むシーン。口付けを「粘着質の音」と表現してるの -
Posted by ブクログ
それぞれが暗い現状に悩まされている少年少女の慎一、春也、鳴海。彼らは理不尽を打破するために、海と山に囲まれた小さな町でヤドカリを使った神様を作り出す…!
小学生の抱える闇を圧倒的な筆致で描いた青春小説とでも言えるだろうか。心理描写には息を呑むものがあるが、話は終始暗い雰囲気が漂う。
道尾秀介さんはラストに伏線が次々回収される技巧派のイメージがあったので、それとは対を成すといえる。
自分の勝手な期待でしかないのは重々承知しているが、もっとどんでん返しのような展開を期待してしまった。
ただ、心理描写をメインにした純文学作品としては楽しめると思う。直木賞受賞作と聞いていたのだが、エンタメに全振りした -
Posted by ブクログ
母親を癌で亡くした小学五年生の我茂凰介。父の洋一郎と二人だけの暮らしが始まった。そんな我茂家に様々な気遣いをしてくれたのが水城一家で、父同士、母同士、子供同士が同級生の両家は深い関係で結ばれていた。一方、水城家も問題を抱えており、凰介の同級生亜紀の母親が自殺を遂げる。さらには亜紀が交通事故に遭ってしまい…
多視点描写によって真実を上手く覆い隠しながら、数多く散りばめられた伏線によるミスリードが巧み。ダブルミーニングを用いて、行間を読む読者をまんまと罠に嵌めつつ、終盤にかけて二転三転たたみかける展開は著者の十八番。しかしながら、精神障害(サイコ)を扱ったこの手の作品は先例が数多くあり、新鮮味に -