道尾秀介のレビュー一覧
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小学四年の利一とその友達の半年を描いた物語。
写真家の父を持ち、金持ちをちょっと鼻にかけた宏樹。
離婚した母を小学二年で失い、祖母に育てられている清孝。
お調子者で不器用だが憎めない慎司。
そして慎司の二つ上の姉で、利一の憧れの人悦子。
この五人が女恋湖の伝説をめぐる冒険をしたり、アンモナイトの化石のレプリカを作ろうとしたり。
人魚伝説、冬の花火大会、アンモナイトの化石など、子ども時代ならではのエピソードの数々が楽しい。
五人のグループは…実際の子ども集団にはそれくらいの人数のことだってあるけれど、物語での子どもグループとしては多すぎはしないか?と最初思った。
ドラえもんだって、のび太、ジ -
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「好きとは言えないのに読んでしまう作家」のうちのひとりが道尾秀介なのですが、本作を読むと、私やっぱり彼が好きなのかもしれないと思うのでした。
裏表紙から想像したのは、ちょっとオカルトの入ったミステリー。遺影専門の写真館が舞台で、死んだはずの人が写っているとなればそう思いませんか。
だけどちがった。いったい各章の登場人物はどう繋がっているのか。とってもややこしいので、500頁弱のボリュームでもとっとと読むことを勧めます。でないと、誰が誰かわからなくなる。
どの人もいろいろある人生だったけれど、いろいろあったからこそ今がある。あなたがいる。よかった。 -
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ネタバレ5編からなる真備シリーズ初の短編集。
トリックやロジックというよりも、心の動きや叙情性を噛みしめるような作品が多く、3人の内面も窺える。
道尾秀介はやはり伏線回収が巧く、そしてミステリとしての謎‐解決が文学性と一体化しているところが大きな魅力。
『花と流れ星』
夜の海岸のどこか怪しげで、どこか儚げな雰囲気が、少年の不思議な語りとマッチしている。”流れ星のつくり方”というのは、少年は明るさは感じることができ、光がにじんで見えるから可能なのだろうか。自然と目が見えると思い込まされてしまうが、実は目が見えない伏線だったというのは見事。
『箱の中の隼』
コーヒー、咳、看護婦、太陽...相変わらず伏 -
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普段、あまり恋愛小説は読まないんだけど
道尾秀介さん作品は好きなので挑戦
面白かったけど、やっぱり道尾さんはミステリーかな、という感想なので星は4つ
すんごいリメイクされまくりの映像化があるらしいけど
意外と恋愛ものも、映像より活字で読む方が実は何倍も面白いのかも…と思った
登場人物の言動や行動は
それこそドラマに出てくるようなセリフや行動まんまで
終始これだけのお話なら非現実的なおとぎ話な気がするんだけど
ゲンゴロウのロナウドだとか
おんちゃんの巨大明太子おにぎりだとか
細かい設定がなんか現実的過ぎてしっかり頭の中で映像化されるし、
最初はかっこつけに見えてた蓮介がだんだんと魅力的な -
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2021年、16冊目は、追いかけてる作家の一人、道尾秀介。
下上(しもあげ)町、上上(かみあげ)町、そして、二つの町の間を流れ、海へと注ぐ西取川。約40年前の西取川の護岸工事に端を発する、幾つかの出来事と、それに関わる様々な人々が交錯して行く。
道尾らしい作品。実に上手いこと、伏線回収していった感がある。読後感も悪くない。
さらに「解説」を読んで驚いたのは、第二章『口笛鳥』が中編として発表され、それに肉付けする形で、第一章。第三、四章が加えられ長編となった事実。確かに、連作短編的触感はあったが、独立した一編からとは。
第四章では、カーテンコール的にオールキャスト勢揃いも、今回は何だか「 -
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ネタバレ☆4ではあるが、☆5に近い。
多種多様なトリックが用いられており、前作とは違って霊はあまり関わってこないものの、「仏像」という神秘的な小道具がそれに代わる役目を果たしている。
まず、トリックとしては、
立像→隆三、釜→釜、といった作者が読者に仕掛けるわけではないが、一種の叙述トリックともいえるものや、赤い血が実はダニだった、というトリック。
そして、やはり一番驚いたのが、「死体に漆を塗り、仏像にしてしまう」というトリックだ。
どれも見事。
幽霊の言葉ではなく、浄めのための経であった。
仏像が笑ったのではなく、それは仏像が裏返されて現れた12個目の面であった。
部屋の仏像が動いた気がしたの