道尾秀介のレビュー一覧
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ネタバレ似た人に出会ったことで、忘れかけていた初恋の人を思い出した主人公の昏いいまが描かれる。初恋のサヨを「ある意味」殺した主人公が出会った智子の存在。性的倒錯をもたらす智子はサヨの過去と繋がりがあった可能性があり、彼女の罪もサヨの罪も「あったかもしれない話」として描かれていて、誰が「悪」かはっきりさせないところが魅力的だ。しかし事件を最も複雑にしているのはナヲ(サヨの妹で主人公の同居人)の存在であり、一番「真人間」のような彼女の正義感、(想い人が主人公なら自然な感情としての)嫉妬が絡まることで真相にモヤがかかる部分が皮肉めいていて面白い。
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ネタバレ
薬によって見る悪夢のターンと現実が交差してる構成やけどとにかくどっちも暗い。笑
三ツ森はいいひと過ぎて絶対なんか怪しいと思ってたら…。
でも基本的にはいいひとなんかな。
お金持ちの家に生まれながらもその家の父や兄が見向きもしなかったような家の子供である主人公・辰男のことを昔から可愛がって世話焼いてくれてたわけで。
そこには何の損得感情も無かった。
…もしかしたら自分がある種盲目的に愛してた美禰子の命を救った男の息子やった辰男やからこそ恩を返すような気持ちやったとか?
そしてその後美禰子は失踪して世の中的には辰男の父が殺害したと思われてたけど美禰子と隠れ暮らしてた三ツ森は真実を知ってたから恨む -
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ネタバレ主人公は大学生。大学の先生の子が目の前で亡くなり、主人公は真相を探る。鍵は犬。
■よかったところ
・道尾秀介ワールドです。文が読みやすく、物語にグングン引き込まれます。一気読みしました。
・後半怒涛の畳み掛けです。真実が明らかになっていくのが気持ちいいです。これぞミステリーのカタルシス。
・良作の条件、2回以上のどんでん返しは当然含まれています。冒頭を終盤で回収するのも心地よいです。
■うーんなところ
・子どもが死ぬのは最近個人的に心に来ます。
・基本的にはグッドエンドですが、ある家庭だけには救いが無いです。そこだけは苦しいです。
・終盤の犬登場シーンへの理由づけが若干苦しいかなぁと思いま -
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積読してたので読んでみた。
大ベテラン漁師のささいな嘘が、女子高生と若き息子漁師の運命を変える-「心中花」
まめ&でっかち、小5の2人が「鏡影館」で遭遇した事件-「口笛鳥」
自らの死を前に、老女の社長は過去の許されざる罪を打ち明ける-「無常風」
各章で出てくる登場人物達が、時代を超えて繋がり合う、まあそれはそれはあちこちでつながり合うので、読んでいて「あぁ、この場面はこういうことだったのか!」と何度もなります。
「上上町」と「下上町」の間にら流れる「西取川」の護岸工事にて、有害物質が川に流れ、隠蔽が発覚してしまう事件が発生。
下町に住む家族、遺影専門店「鏡影館」、有害物質隠蔽してしまっ -
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『合理化』
受け入れがたい現象やストレスを軽くするために、自分にとって都合の良い理由を考え、行動を正当化すること。
高校時代からの結成14年アマチュアロックバンドのメンバーに巻き起こる不可解な事件を紐解いていく物語。
最初、読む時は音楽関係の用語がたくさん出てきて話についていけるか不安でしたが大丈夫だった笑
それよりも第二章からは一気読みでした…
主人公の幼い頃の事件にもスポットライトを照らしつつ、登場人物たちを巻き込んでいく展開はさながら小説でこそ作り出せるエンターテインメント性があった。
また、道尾作品の中では恋愛色が強めに出ていたこの小説。でも同時に、大人の恋愛を少しノゾキ見?できたよ -
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ネタバレ移動デリを経営する女性とその甥っ子、塾の先生、タレント中学生とその親衛隊
奇天烈なメンバーがゴタゴタに巻き込まれていく話
一つの目的に向かっているように見せかけて、全員がそれぞれの別の目的のためにひた走る
やばそうな相手に対して手の内を明かしまくってしまうところとか、作戦の詰めの甘さが子どもらしく、危なっかしい
お金と名声を持ってる大人にはもっと慎重に当たった方が良い、本当に怖い人じゃなくてよかった
どんなに冷静で物分かりが良いように見えても、子どもは親(親代わり)がそばに居て自分に関心を寄せ続けてくれることを求めてるのかも
"毒親"という言葉が病気のように流行ってしま