道尾秀介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
これも友人Kからお下がりでもらった一冊。
久しぶりに道尾秀介の作品を読んで思ったことは、道尾秀介の情景描写の美しさ。
その場の音や色や空気がまるでここにあるかのように感じられる彼の文章がやっぱり好きだと思った。
構成は、6つの短編集。
それぞれは独立しているけれど、パラレルワールドのようでどこか繋がっているような気がしてしまう不思議な書き方をしている。全ての章に何気なく登場する鴉は「不穏」の具現のように思えた。
道尾秀介の作品には、タイトルも含め生き物がよく登場する。何か特別な思いがあるのか、はたまた単純に生き物が好きなのか。そんなことを聞いてみたくなった。 -
匿名
ネタバレにんげん玉
私が他の方の意見を見て思った事です。
みなさんが「にんげん玉」というタイトルはどういう意味なのかと言っているのを拝見しました。
私の考察にはなるのですが、途中で100円玉の話が出てきました。そこで主人公が100円玉の表裏がどちらかを知らなかったとありました。私は最後の音声を聞いた後にこの部分がパッと頭に思いつき、どちらがどっちの「先生」かがミスリードされているということと似ていると気づきました。なので、「にんげん玉」というのは100円玉になぞらえられた2人の「先生」のことで、タイトルの文字が反転させられているのも表裏という伏線のように感じました。
初めてのコメントで拙くなっており伝わりづら -
Posted by ブクログ
ネタバレ友人Kからお下がりでもらった一冊。
読み始めの印象としては、「これまで読んできた道尾秀介の小説とはちょっと色が違う」だった。
特に前半は大きな波があるわけでなく、緩やかに時間を読んでいるような感覚。
後半(後ろ1/3くらい?)に差し掛かり、物語はぐらっと動きを見せた。
そこからのテンポ感に「これこれ!」と思わされ、一気に最後のページまで読み切った。
謎の館の謎の人間たちが一体何者なのか、思ったほど詳しく描かれることはなかったけれど、そのファジーさが物語の広がりを作り、そんな世界がこの世界のどこかにあるように感じる。
生きているのか死んでいるのかわからない登場人物達の「生きていく」姿