道尾秀介のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
「龍神の雨」「雷神」と合わせて神三部作と呼ばれている作品。だけど、中身の繋がりは特に無く、ただ神という文字が付く作品ってだけ。
中身は連作小説で、中身はどの話も"遺影専門の写真屋"にまつわる話。で、この遺影専門の写真屋さんっていうのが個人的にすごい好きな設定で、そのお店はその名の通り、利用者は生前に自身の遺影を撮りに来るわけやけど、撮影後大体どの人も最後の二枚でどちらにするか迷うんだとか。その時にお店から「もし迷われているようでしたらこちらがお決めいたしましょうか?」って提案して、選ばれなかった方をお店に並ばせてもらうんよ。だからお店は色んな方の遺影候補だった写真が並んで -
Posted by ブクログ
ほんタメで「感動どんでん返し」として紹介されていたこの作品。
主人公はめちゃくちゃええ声やけど外見は残念なラジオDJ。
そのDJが行きつけのバーで常連さんと飲んでいたら急に扉が開かれ、知らない女性が立っていた。そして一言。
「…コースター」
全員「コースター?」
コースターを受け取ると女性はどこかへ立ち去った。
そして誰かが気付く「さっきのって『…コースター』じゃなくって『…殺した』って言ったんじゃない…?」
みたいな感じのあらすじ。ここだけ見るとちょっとホラーというかシリアスな感じがするかもやけど、中身は結構ポップな感じで描かれていて、序盤からすごい文章も読みやすく軽快。そのまま最後の方 -
Posted by ブクログ
題名になっている『ラットマン』とは、思い込みにより同じ絵なのに人によって別のものに見えるという錯視を利用した有名な騙し絵のこと。
高校時代に結成し活動を続けるアマチュアバンド“Sundowner”、ライブに向けスタジオで練習中に事件が起きる。事故か?作為によるものか?
バンドのギタリストである主人公の姫川は平常を装いつつ淡々と無機質な生活を送っている。それは23年前に起きた父と姉の死に起因している。
父の遺した最後の言葉『俺は正しいことをした…』
その言葉を自分に言い聞かせ、父の行動を模倣する。姫川は何を正しいと考え、何をしたのか?
物語の核心となる23年前の過去の真実を小出しにしつつ、現 -
Posted by ブクログ
「本書は6つの章で構成されていますが、読む順番は自由です」
物語のかたちは720通り。あなただけの物語を体験する、前代未聞の一冊。
読者それぞれの読む順によって、それぞれの読者体験を得られる短編集。
大きな括りで言えば連作短編集なんですが、「どこから読んでも良く」て、「読む順によって物語の始まりや謎となる箇所が変化する」という構成は、この気持ちでこの章を読むのは私だけなのではないか、という気分にさせてくれます。読書ではあまり感じない不思議な感覚。面白いです。
私は結果的にではありますが、CONTENTSと書いてあるページの『落ちない魔球と鳥』から反時計回りの順で読んだのですが、未だに別の