道尾秀介のレビュー一覧
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めっちゃ面白かった「カラスの親指」の続編。
前作が良すぎて星5、それと比べると、って感じでほぼ星5に近い4.4四捨五入で星4。
星5にしたくせに、カラスをほぼ忘れてしまってたので、あの面白いと思ったテンションでカエルを読めば星5だったかな、、もったいない。
でも相変わらずスピード感と、良くも裏切られる爽快感と、時々ホロっとでき、趣味読書の醍醐味。
若さゆえの大胆さもありつつ、純粋で、祖父母に隠れて泣くキョウを抱きしめてあげたい。
彼女が幸せに、少しでも笑っていられる人生になるように、私も一員になって、手伝いたい。
そして、やっぱり主人公タケさんのキャラが良い。
続編あるといいなぁ。 -
Posted by ブクログ
「向日葵の咲かない夏」「N」「いけない」など、巧みな文章力で読者を翻弄しあっと驚かせる名手といわれる道尾秀介だが、この作品では彼の豊かな表現力と描写の美しさに圧倒された。
純文学の情景・心理描写も美しいし的確で強い共感を得られるが、回りくどいというか、正直共感するまでに結構頭を使う。一方道尾先生の描写は端的でわかりやすく、過不足なくガチっとハマっる感覚がある。ミステリ作家ならではの、ストーリーの邪魔にならない適度な描写。しかし決して手を抜いているわけではなく、もっと書きたいところを抑えてちょうどいい塩梅に収めているところがすごいと思った。
幼年期のトラウマを抱えたまま屈折した思春期を経て青年へと成長する主人公。これだけみると純文学にありがちなストーリーだが、もちろんお家芸?のどんでん返しもあるしミステリとしても完成している。
どんだけ能力の高い作家なんだ!?と驚いた。
東野圭吾の後を継ぐのは道尾秀介かもしれない -
Posted by ブクログ
ネタバレ安定の道尾秀介さんの物語だった。ラットマンとは、「見る人の先入観や前後関係によって、人間の顔にもネズミにも見える有名な「錯視の騙し絵(ラットマンの実験)」、およびそれをモチーフにした作品や言葉など」。意味は全然知らずに読み始めた。
ただ、最後のタイトル回収がすごい。みんながみんな先入観や思い込みでズレて認識してたことが重なり合い、行動してきたことである今。そして、それらの事実にはそんなに深い理由もなくシンプルだった。人間の思いがこう思いたい。こうしなきゃいけないっていうのに支配される感情は強いんだと思った。それにて、悪者は大していない。なのに、色んなことが重なり合ってみんなが不幸になる感じがなんとも言えない。向日葵が咲かない夏を読んだ時もこんな気持ちになったなぁと思った。
血だと思ったものが絵の具だった。ただの自分の怪我だった。誰かがやったと思ったのがただの事故だった。勝手な思い込みだった。守るためにやらなきゃと思った。昔と光景が重なった。
そう見えたって怖い。噂に近いところがあるような。
解説であった道尾作品の登場人物は、特別力があったり、派手であったりする訳ではない。だけど、それぞれ人間らしさがあり、みんな自分の想いをもって前を見て生きてる。生きてる体温を感じ、想像できる。だからもってる冷静さなどもあるのかもしれない。のめり込んでしまう理由の一つのような気がする。すごいなぁ。
エレベーターの部分や各章のはじめに小さく書かれている言葉については、ちょっと解説を読んでみないと分からないかも。調べてみたい。
ただ、登場人物たちがしたように、読み手が思い込めばいいと思って、仕組まれたこともたくさんありそうだなと思うと、読み終わってからもよりワクワクする本だった。 -
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ネタバレちゃんと理解したかどうか一抹の不安は残っていますが、『殺戮にいたる病』や『HUNTER×HUNTERキメラアント編』や『消失!』辺りを一挙に味わったような怪作でビックリしました!
お爺さんが多少間抜けながら年甲斐なくワガママ悪魔なアレで、岩村先生が終わってみればただの変態作家兼教員ってのは、やっぱり作中の、何度も出てくる『物語』って語彙をメタに受け取って、作者的にもミチオ君的にも、プロット錬成段階とかにあっては、先生が単なるミスリード要員ではなく、真犯人になってた物語的世界線もあり得たと受け取るべきなんですかね?誰に当たることやら。
"輪廻転生"世界観恐ろしや。ラストでお母さんの態度が真逆だってのはやっぱそういうことだよね。 -
Posted by ブクログ
6本のストーリーから構成される短編集。
冒頭にそれぞれの話のプロローグが連続して書かれており、どの話から読んでも良いという珍しい構成となっている、実験的なシステムの挑戦作。
自分はサイコロを振って決めたので、
眠らない刑事と犬→笑わない少女の死→名のない毒液と花→消えない硝子の星→飛べない雄蜂の嘘→落ちない魔球と鳥
の順番でした。
複数の話にまたがる登場人物や出来事に関する情報を「初めて見る」or「前もって知っている」。
読んだ順番だけでこの差が生まれ、ストーリーに受ける印象に大きな影響を与えるという新鮮さがありました。
また、流れで続けて読むことを防止するためか、偶数番の話のみ逆さに印刷されており、本をひっくり返して読むという独創的な作りに驚かされました。
計720通りの組み合わせは階乗の「n」、逆さまでも変わらない点対称のタイトル「N」にも洒落が効いています。
内容自体は尖りすぎず緩すぎず。
短編ゆえにボリューム感が薄いので、若干駆け足気味なものや、繋ぎ目を意識したような違和感を覚えた部分も僅かながらあるため、全てを通して秀逸というほどではないですが優良な作品です。