道尾秀介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
道尾秀介の長篇ミステリ作品『風神の手』を読みました。
『いけない』に続き、道尾秀介の作品です。
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遺影専門の写真館・鏡影館。
そこに飾られた一枚の写真が、絡まり合った嘘と誤解を解きほぐす。
幾重もの?が奇跡へと鮮やかに変貌する超絶技巧ミステリ。
あの日、風が吹かなければ、私は生まれてこなかった――。
藤下歩実は母の奈津実とともに遺影専門の写真館・鏡影館を訪れた。
病を抱えた母の撮影のために。
そこに飾られた一枚の写真を目にして、奈津実はひどく動揺した様子を見せる。
小学五年生の男子二人組、入院中の高齢女性。
川沿いの町に暮らす人々の幾重もの?が、思いもよらぬ場所へと流れ込み……。
奇跡の本当の意味を知るミステリ。
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2014年(平成26年)から2017年(平成29年)にかけて『朝日新聞夕刊』や朝日新聞出版が発行する季刊小説誌『小説トリッパー』に掲載された作品を収録して2018年(平成30年)に刊行された作品……神シリーズとか神三部作と呼ばれているシリーズの第2作、本シリーズは7年以上前に読んだ第1作の『龍神の雨』以来なので久し振りですね。
■第一章 心中花
■第二章 口笛鳥
■第三章 無常風
■エピローグ 待宵月
■解説 香山二三郎
彼/彼女らの人生は重なり、つながる……隠された“因果律(めぐりあわせ)”の鍵を握るのは、一体誰なのか、、、
遺影専門の写真館「鏡影館」、その街を舞台に、男子小学生から死を目前に控えた老女まで、様々な人物たちの人生が交差していく……数十年にわたる歳月をミステリに結晶化する、技巧と世界観。
朝日新聞連載の「口笛鳥」を含む、道尾秀介にしか描けない、その集大成といえる傑作長編小説……読み進めるごとに出来事の〈意味〉が反転しながらつながっていき、数十年の歳月が流れていく、、、
ささいな嘘が、女子高校生と若き漁師の運命を変える――『心中花』
まめ&でっかち、小学5年生の2人が遭遇した“事件”――『口笛鳥』
自らの死を前に、彼女は許されざる“罪”を打ち明ける――『無常風』
各章の登場人物たちが運命にいざなわれて一堂に集う――『待宵月』
道尾秀介にしか描けない世界観の傑作ミステリ。
松明の火で鮎を網に追い込む火振り漁が有名な海辺の町……西取川を境にした、上上町(かみあげちょう)と下上町(しもあげちょう)を舞台に、遺影専門の写真館・鏡影館を訪れた人々の数奇な運命を綴った物語でした、、、
『第一章 心中花』では、漁師の父がケガを負い、跡を継ぐために帰ってきた青年・崎村源人と、高校生の中江間奈津実の切ない恋、奈津実の経営する中江間建設がある事件をきっかけに倒産し、一家が町を去るまでが描かれ、
『第二章 口笛鳥』では、小柄なまめ(茂下駄昴)と転校してきた大柄のでっかち(佐々原學)がカメラ店の万引き事件をきっかけに知り合い、子どもらしく他愛のない法螺話をしながら友情を深め、ささやかな冒険を繰り広げ、
『第三章 無常風』では、、崎村源人の息子・源哉と奈津実の娘・藤下歩美、そして中江間建設倒産後、護岸工事を引き継いだ野方建設社長・野方逸子が登場することで、新たな事実が判明、
『エピローグ 待宵月』では、物語を通じた謎が解き明かされ、全ての伏線が回収される……そんな展開でしたね。
物語を通じて"嘘"が重要な役割を果たしており、嘘や偶然といった日常の齟齬から生み出される悲喜劇が巧く描かれていたと思いました……幾多の嘘が見たこともない奇跡を呼び起こす物語でしたね、、、
物語のワンシーン、ワンシーンに、懐かしい気持ちを感じながら読めたことが印象的でした……切ない恋心や子ども同士のわたいのない嘘 等、自分にも心当たりがあって、登場人物に感情移入しながら読めたからなんでしょうね。
悲しい過去をもつ人々が数奇な巡り合わせに翻弄される物語……愉しめました。 -
Posted by ブクログ
風神とか雷神、鬼とかいう題名に、弱いのです。
手にとって、読んでみたくなる、キーワードのようです。
はじめから、遺影専門の写真館という、不可思議な場所があることで、物語にグイッと引きこまれます。
けれど、その後しばらくは、女子高校生の、夏休みの何気ない、ちょっと甘酸っぱいドキドキの話が続いて、安心してしまうのです。
物語は、ダレかが投げた小石のように、はじめはただゆっくりと飛びはじめ、だんだんと風を集めてぐんぐんスピードをあげ、最後にストンと落ちていきます。
第一章を読んで、なんとなく話が上手くまとまって終わったので、第二章はべつの話かと思ったくらいなのです。
第二章から第三章へと、謎を追う加速度が増していきます。
謎が、広がっているようでもあり、ある一点に向かっているようでもあり。
偶然が絡まりあった結果のできごとは、最終的にそれぞれの人生に影響をあたえたという事なのか。
ミステリーかもしれないけれど、殺人や刑事事件の謎を解くわけではない。人が生きていたら、もしかしたらあるかもしれないような、偶然の重なりあいをときあかす、そんな話です。
少しだけ、そこまでの偶然は、あるものなの?と思わないでもないのです。
第二章の話、嘘をつくことがどういった事なのかを考えさせる内容で、そこだけでも十分という気がすることを考えると。
ここまで積みかさねる必要があったのか?
風神を題名にするのは、少しムリがあるのではないか?
と、思うこともあるのですが、きっと、コレはコレで良いのでしょうね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ笑子さんの「とにかく全部忘れて、今日が一日目って気持ちでやり直すの」という言葉が印象に残りました。
私情ですが、最近仕事で嫌なことが続いたので、もし次にそのようなことがあっても、この言葉を思い出してリセットしていきたいです。
また、絹田さんの「十を三で割ったあと、三をかけても元に戻らない。機械がやる計算なんて信用できない」というお話も興味深かったです。
もし次に機械は信用できないって、人に諭すことがあれば参考にしたいです(あるかなぁ…)。
ストーリー自体は面白かったです。敦子が自殺していなくて本当によかった…!
個人的にどんでん返しを期待してしまっていたけれど、それが無いまま終わったため、☆5ではなく☆4になりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ夢と現実、過去と現在を行き来しているような(実際そうなのかもしれないけど)作品だった。
閉鎖的な村、子どもの時に起きた事件、見てしまったモノ、見てなかったモノ。それぞれの登場人物が知ってる事実と知らない事実が複雑に重なって、起きてしまった事件。
道尾作品はこういう『ちょっとの掛け違いで起きた不幸』『そんなつもりじゃなかったのに他者に与えてしまった不幸』みたいなの多いな。ネガティブアンジャッシュと名付けよう(笑)
イヤミス好きにはたまらない。
前半なんとなく雰囲気が『テセウスの船』を彷彿とさせ(ドラマを見ていたので)、想像がそちらに寄ってしまった。
それにしたって嫌な方、嫌な方に流れていく物語(笑)息子が唯一の癒しだったので、最後まで無事で良かった。
放水はこれ映画とかドラマでぜひ見てみたい演出。中のシーンは閉所狭所恐怖症気味なので読みながらすごく怖かったけども。
アヤネさんは先に別作品(雷神かな?)で存じてたのでテンションがあがりました。今後また道尾作品に出てくるのだろうか。田舎写真家探偵アヤネシリーズみたいになるんだろうか(ならなそう)
夢(幻覚?)の描写はまさしく夢ってこんなんだよなってくらい抽象的で不条理で違和感だらけで、1字1句読んで意味を考えたり想像してしまうと頭おかしくなりそうだってので流し読みした。物語にここまでひつようか?とも思ったけど、主人公の内面の現状を読者に伝えるのには最適だったに違いない。
この手のシリーズにしては珍しく一気読みとならず(なぜか眠くなった)だったので星4で。
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Posted by ブクログ
本作は、6篇の短編、そのどれもがミステリーでもホラーでもある独特の世界観をもっています。
また、なぜかシンプルに犯罪を追っていくストーリーなだけなのに、ミステリーとしての要素があるから、これがまた不思議なんです。
どの短編も、殺人や詐欺などの「犯罪」がでてきてそれに至った理由や背景、感情がリアルに描写されています。
そして、読み進めれば進めるほど「オレでもそうするな…」と他人事ではいられなくなります。
決して犯罪は犯してはいけないけれど、そうしないければならなくなった理由というのは案外、身近に転がっていているものなんです。
それが意味するのは、あなたもその可能性を有しているということ。心に巣食う欲望の鬼にまだ打ち勝てているだけ、ということ。
だれにでも鬼になりえる……。自分であっても。
そんな危機感を感じさせてくれる、ヒリヒリする作品でした。おもしろい。
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Posted by ブクログ
久しぶりに、夜更かししてまで読み続けてしまいました!
不穏な空気をまとった人がちらほら…でも、人前ではそうでもなくて…
面白くて夢中になって読んでいる割には、なんかピンと掴めない感じ。
でもそれって人間だからしょうがないよなー、この人はこの性格!この気持ち!この感情!ってはっきり決められるものでもないよなーと、納得しながら、
このぼんやり感も含めて楽しむことができました。
心理学、精神科医、そういうの結構好きです。
人の気持ちって説明できないからこそ、少しでも近づいてはっきりさせたくなります。
でも、最後は少し無理矢理感。
なので⭐︎4
あと、話の中で共感した部分
子供が父親の支えになれてなくて哀しむ場面
「君はまだ我茂くんにとって、『守るべき存在』だったんだ。意志を持ち、自分を支えてくれる存在ではなかった」
「僕がいても、お父さんは1人だったってことですか?」
「1人ではないが、2人でもなかった」
ここ、あーー、分かる。
私も母親として、子供は心の支えではあるし、大切な存在だけど、守るべき存在であり、子供の前では「こうあるべき」とどうしても思ってしまい、心から安心して力を抜けるわけではないんだよね。
分かるよー、と思いながら読みました。
もう一つ。
家庭で、子供が両親のいたわり合う姿、触れ合いを見ることが大切なことなんだなぁと、改めて思いました。自分もいずれ、そういった相手を見つけるのだと、無意識的に考えるんだそうです。
確かに……
じゃあ…家庭で歪みあってる両親の姿を子供が見るのはどれだけの影響を与えてしまうのか。改めて考えさせられます。