道尾秀介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ6つの短編集
ハンコ屋、橋のエピソードなど所々で繋がりがある。光ったり翳ったりしながら動いているこの世界を蝶を通して表現している。
第1章隠れ鬼
ハンコ屋さん、認知症の母。中学生の時の回顧、愛と憎悪は紙一重。
第2章虫送り
小学生の兄弟、橋のエピソード。良いホームレスと悪いホームレス。
第3章冬の蝶
2に出てきた良いホームレスさんの中学生の時の話。淡い青春、毒親。
第4章春の蝶
3に出てきた女の子が大人になってからの話。耳が聞こえなくなってしまった女の子、お爺さんの家に泥棒。
第5章風媒花
父をなくした家族の話。息子目線、姉の入院、母と仲直り
第6章
5で出てきた姉の小学生教師としての話。 -
Posted by ブクログ
──世の中にすでに存在する写真に文を添えることでまったくあたらしい物語がうまれた──道尾秀介による危険な悪戯── カバー折り返し文より
道尾秀介VSフリー画像!なのだと思うのだけど、違うのかな?
人畜無害に思える写真にあの道尾秀介さんが文を添えることで、写真の意味合いが最初見たときと大きく変わるショートショートミステリ。
道尾さんの作品は『向日葵の咲かない夏』以来で実に約二十年ぶり。
『向日葵〜』はとにかくインパクトの強い作品でオチは今でも覚えている。
その『向日葵〜』を読んだ印象と違わず、暗くて怖くて変でイケズなお話が多かったように思う。
意味のわからない作品もあり、わかったと思った作品も勘違いの場合も考えられるがネットの解説はシャクなので見ない。
一篇ほっこり系に思えるものがあるが、騙されているのかもしれない…。
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Posted by ブクログ
ネタバレ両親の離婚、クラスに馴染めず不登校、母が出会い系で別の男を探してた、わたしの中学生時代の何もかも嫌になった時期を思い出した。
1つ嫌なことがあると、他のことも上手くいかないって思ってどんどんネガティブ思考になって抜け出せないんだよなぁ。周りの些細な表情や言葉も敏感に感じ取っちゃって生きづらかったあの頃は...。
「何か、粘着質の音が聞こえた。鳴海の父親の、微かな声。同じくらい微かな、純江の声。そしてふたたび静かになった。その静けさの中に、先ほどと同じような粘着質の音が、また聞こえた」(P222)
慎一が車にて、母と鳴海の父の密会現場に潜むシーン。口付けを「粘着質の音」と表現してるのが印象的。母が他の男と性的行為をしてるのを想像するだけでもゾッとするのに、慎一は現場に居合わせちゃうんだからすごい度胸。俺だったらその後、まともに母と顔合わせられないかも。
「鳴海は昼寝から覚めたように、しばし春也に顔を向けていたが、さっと恥ずかしそうに身体を硬くし、それから相手に笑いかけた。前髪で隠れた額は軽く汗ばみ、耳たぶが熱ってピンク色になっていた」(P259)
慎一、春也、鳴海の三角関係は台詞を使わず表情や仕草だけで、照れ、嫉妬、ショックなどを表現してるのが上手い。鳴海と春也の距離がだんだん近づき、慎一が可哀想になってきて切ない。
「『ね』って、逃げてく奴をロープか何かで捕まえとるみたいやろ。このほら、縦の棒が人やとして、首んとこからぐるぐる巻いて、ぎゅっと掴んで」(P34)
春也が「ね」を書きまくる場面が狂気を感じで怖い。他にもヤドカリを躊躇なく潰したり「あ、こいつサイコパスや...」って序盤から感じた。慎一宛のイタズラ手紙はなんとなく「春也が書いたんだろうなー」と予想してたので、慎一が春也が書いたのだと見破るシーンの驚きは少なかった。
最後鳴海の車に乗ってたのは春也なのかヤドカリ神なのか気になる。でも父親を結局殺せなかった春也が慎一のためとはいえ、鳴海の父を殺そうとするかなぁ。モヤモヤして気になる。 -
Posted by ブクログ
それぞれが暗い現状に悩まされている少年少女の慎一、春也、鳴海。彼らは理不尽を打破するために、海と山に囲まれた小さな町でヤドカリを使った神様を作り出す…!
小学生の抱える闇を圧倒的な筆致で描いた青春小説とでも言えるだろうか。心理描写には息を呑むものがあるが、話は終始暗い雰囲気が漂う。
道尾秀介さんはラストに伏線が次々回収される技巧派のイメージがあったので、それとは対を成すといえる。
自分の勝手な期待でしかないのは重々承知しているが、もっとどんでん返しのような展開を期待してしまった。
ただ、心理描写をメインにした純文学作品としては楽しめると思う。直木賞受賞作と聞いていたのだが、エンタメに全振りしたものだけが直木賞ではないようだ、不勉強を痛感…。