道尾秀介のレビュー一覧
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どちらかと言うと文学・文芸作品。
ミステリーではないと思いますが、とりあえずミステリーに分類。
なぜなら、大きな叙述トリックが使われていたから..
平凡な毎日を憂う主人公逸夫の成長物語。
苛められて自殺を考えている同級生の敦子。
過去に深い悲しみを持っていた祖母のいく。
この3人のある意味再生の物語です。
ある日逸夫は、敦子から小学校の時埋めたタイムカプセルの手紙を取り換えたいとお願いされます。
なぜ、手紙を取り換えたいのか?
手紙は敦子を苛めた人たちをさらす内容。
敦子が自殺した時にさらすためのものですが、それを取り換えるとのこと。
この苛めふくめて、敦子の家庭環境は辛い物です。
さらに -
Posted by ブクログ
さてさて、この物語は昭和の香り漂う古ぼけたアパートから始まる......。
「平成十八年生まれやもんな、私もりくちゃんも」。
??
しー坊、今なんて言った?
平成、十八年?
ということは、この物語は現代も現代、現代の話だった!
物語は自分の失態で一人娘のりくをなくした男、凸貝(とつがい)と姪の汐子、そしてボロアパートの住人と顔見知りの警官(剛ノ宮)たちで進められる。
凸貝が酔っ払って見た光景は殺人事件(?)へと発展し、どんどん広がって、最後に......。
物語の進み方はのんびりしている。
ものすごく恐ろしいこと(子供を亡くす事以外には)も起きない。
なんだかこの著者にしては珍しいなあ、と -
Posted by ブクログ
ネタバレ6つの物語からなる連作短編集。
(本レビュー最初からネタバレしてます、以下要注意)
1編1編で誰かが死んでいる、その次の話ではその人は生きているけど別の誰かが死んでいるというパラレルワールド構成で話が進み、最後の話で…という展開なんだが、うーんちょっとモヤモヤするなぁ。
謎解きにもなっておらず、パラレルワールドだけどSFにもなっていない。作者の名前だけでそういう展開を望んだ俺の身勝手な失望なんだけど、これって情景小説なんだよなぁ。
1編目でなくなっている人に対する気持ちにけじめをつけているのに、2編目ではその人生きてて別の人死んでるからけじめをつけ治す…の繰り返しは、俺にとっては苦行だった -
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夜中に泥酔した男が見た「事件」は本物だったのか…。
複雑な過去により自堕落な生活を送る男と面倒を見ることになった姪。二人の生活は夏のその事件をきっかけに思いがけない面倒事へと巻き込まれていく…、重く断ち切れない過去を深奥に秘めた人物ばかりながらも、表面的にはそんな人たちが大人数でどたばた知略を巡らせたり巻き込まれたり巻き込んだりの物語が展開します。
ミステリ風味より、人情味のほうが強く、人物たちのそれぞれの同じ場所での違う想いを受け取ると複雑な味わいがあります。哀しくもおかしくて、やりきれないこともあるけれど、それでも前に進みたい。その前に進むための力をお互いが補完しあっているのが、良いよ -
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2017年、46冊目は、今年もお世話になりましたの、道尾秀介。
『光の箱』『暗がりの子供』『物語の夕暮れ』3つの中編とエピローグの連作構成。そして、3つの中編には、童話的物語内物語が存在します。
タイトル的にも、クリスマス前のこの時期には、ピッタリの一冊。
ミステリーのフォーマットで描かれたハート・ウォーミングもの。ただし、イジメ、ハンディキャップを持った児童、孤独、疎外感……、といった、道尾的読む者に負荷をかける要素も多分にあります。
『光媒の花』『水の柩』『笑うハーレキン』辺りが好きな方向き。真備シリーズ、『シャドウ』好きには微妙。『向日葵の咲かない夏』『鬼の跫音』を期待すると…… -
Posted by ブクログ
夏読書の一冊(もう11月です)。
夏の文庫フェアでランダムに選んだ本で、作家やジャンルの新規開拓になればと思って読みました。現代日本のエンターテイメントはあまり読まないので全然知らん作家やったけど、この人ミステリーの人なんやね。こないだテレビに出とったー!これはミステリーではなかったけども。
話は、同じパターンの短編が続いて途中で飽きた。それで時間がかかった。それでも最後どうつながるんやろうか、と期待しながら読んだけどたいしたことはなかった。すまん。メッセージ性は強いし分かりやすい部類なんだろうか。でもせっかくこういう舞台を用意したんなら、そういう部分は抜きにして違う部分を読みたかった。鏡な