道尾秀介のレビュー一覧
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死んだ妻に会うために霊現象探求所を構えている真備。
真備とその助手の凛、売れない作家の道尾が様々な事件を解決していく。
真備庄介シリーズの短編集。
前作のように霊現象を探究するようなエピソードは無いけども、真相から読者の視線を逸らして誤った方向に促し、最後に謎が解かれた時にものがなしい物語が浮かび上がる、というミステリのようなサスペンスのような、「奇妙な味」が冴えわたる短編集となっています。
一番心に残ったのは最後に据えられた「花と氷」。
優しい余韻を残す、作者のまなざしが暖かいお話でした。
弱く哀しい人間心理を鮮やかに紐解いて見せる手腕が見事で、上質なミステリへと昇華させています。
真 -
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2018年、21冊目は、ライト感覚(という噂の)ミステリ調の、道尾秀介。
リサイクルショップ・カササギを舞台に、店長、華沙々木、副店長、日暮、入り浸る女子中学生、南見の周りに起こった四つの事件。探偵気取りの華沙々木が事件を解決して行くが、真相は……。四季を追いながら展開される、連作短編。
確かに、自分の既読の、道尾作品と比べるとライトです。起こる事件も殺人事件ではなく、主に、窃盗や器物損壊だし……。
ただ、全体的に軽めながらも、描写や比喩は秀逸。また、中国や、ギリシャの神話の引用的なモノも上手く機能している。
そして、裏テーマは、家族の形かな(❔)。
『向日葵の咲かない夏』の対極的一 -
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どちらかと言うと文学・文芸作品。
ミステリーではないと思いますが、とりあえずミステリーに分類。
なぜなら、大きな叙述トリックが使われていたから..
平凡な毎日を憂う主人公逸夫の成長物語。
苛められて自殺を考えている同級生の敦子。
過去に深い悲しみを持っていた祖母のいく。
この3人のある意味再生の物語です。
ある日逸夫は、敦子から小学校の時埋めたタイムカプセルの手紙を取り換えたいとお願いされます。
なぜ、手紙を取り換えたいのか?
手紙は敦子を苛めた人たちをさらす内容。
敦子が自殺した時にさらすためのものですが、それを取り換えるとのこと。
この苛めふくめて、敦子の家庭環境は辛い物です。
さらに -
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さてさて、この物語は昭和の香り漂う古ぼけたアパートから始まる......。
「平成十八年生まれやもんな、私もりくちゃんも」。
??
しー坊、今なんて言った?
平成、十八年?
ということは、この物語は現代も現代、現代の話だった!
物語は自分の失態で一人娘のりくをなくした男、凸貝(とつがい)と姪の汐子、そしてボロアパートの住人と顔見知りの警官(剛ノ宮)たちで進められる。
凸貝が酔っ払って見た光景は殺人事件(?)へと発展し、どんどん広がって、最後に......。
物語の進み方はのんびりしている。
ものすごく恐ろしいこと(子供を亡くす事以外には)も起きない。
なんだかこの著者にしては珍しいなあ、と -
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ネタバレ6つの物語からなる連作短編集。
(本レビュー最初からネタバレしてます、以下要注意)
1編1編で誰かが死んでいる、その次の話ではその人は生きているけど別の誰かが死んでいるというパラレルワールド構成で話が進み、最後の話で…という展開なんだが、うーんちょっとモヤモヤするなぁ。
謎解きにもなっておらず、パラレルワールドだけどSFにもなっていない。作者の名前だけでそういう展開を望んだ俺の身勝手な失望なんだけど、これって情景小説なんだよなぁ。
1編目でなくなっている人に対する気持ちにけじめをつけているのに、2編目ではその人生きてて別の人死んでるからけじめをつけ治す…の繰り返しは、俺にとっては苦行だった