道尾秀介のレビュー一覧
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母親を癌で亡くした小学五年生の我茂凰介。父の洋一郎と二人だけの暮らしが始まった。そんな我茂家に様々な気遣いをしてくれたのが水城一家で、父同士、母同士、子供同士が同級生の両家は深い関係で結ばれていた。一方、水城家も問題を抱えており、凰介の同級生亜紀の母親が自殺を遂げる。さらには亜紀が交通事故に遭ってしまい…
多視点描写によって真実を上手く覆い隠しながら、数多く散りばめられた伏線によるミスリードが巧み。ダブルミーニングを用いて、行間を読む読者をまんまと罠に嵌めつつ、終盤にかけて二転三転たたみかける展開は著者の十八番。しかしながら、精神障害(サイコ)を扱ったこの手の作品は先例が数多くあり、新鮮味に欠ける。犯行プロセスもいささか強引で、警察が真相に辿り着けなかった点も疑問。小学生は辿り着けるのに。。。
週刊文春ミステリーベスト10 10位
このミステリーがすごい! 3位
本格ミステリ・ベスト10 6位
本格ミステリ大賞 受賞(2007年) -
Posted by ブクログ
ネタバレ道尾秀介の短編集。
知的で幻想的、じっとりと仄暗い。全編にわたり、文体が醸し出す雰囲気がとても素敵でした。道尾さんって、いつもこんな感じだっけ?
特に好きだったのは、「ケモノ」。
猟奇殺人の足跡を辿りつつ、最後にはそれが主人公と重なるという衝撃のラスト。
文字を用いた面白い構成だったし、叙述トリックにも上手く騙されたし、凄く好みでした!
他の作品も素敵で、奇抜な設定や妖しげな雰囲気が読む手を止めず、退屈しなかったです。
ただ、オチの説明が省かれて、こちらに投げかけてくるテイストのものが多く、やや難しい印象も。
「箱詰めの文字」については、オチの意味をあまり汲み取れませんでした…。
面白かったですが、不思議な設定であるが故、感情移入がしにくかったり、必要以上に第三者的な目で読んでしまう部分もあったかと思います。
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それぞれの章では逃れられない不幸や登場人物の些細な行動をきっかけとして、大切な存在が失われてしまった家族の話が描かれる。
あと一歩早ければ。あんな言葉をかけなければ。どうすることもできない自分。そんな起きてしまった誰のせいでもない不幸に苦悩し、悶々とした日々を過ごす登場人物たち。そんな彼らの人生を6つのパラレルワールドを通して見ていくことになる。
この作品をより深くより難しいものにしているのは、残酷な分岐が必ずしも悪い方向だけに作用してはいないということ。
不幸が起きたからこそ、他の世界線ではなんともない関係だった姉の友達に特別な感情を抱くことになったり、不幸が起きなかったからこそ、遠い未来で別の大切な存在を失うことになってしまったり。
人として生きている以上、いつか訪れることになる等身大の不幸から目を背けず、押し寄せる欠落感と折り合いをつけている登場人物たちは、悲壮感に溢れていつつもどこか気高く、美しかった。
他人との交流は世界をぐっと広げたり、逆にぎゅっと狭めたり、自分にとてつもない影響を与えているのに、どれだけ影響を受けているかを自分で把握することは難しい。だからこそ日常の中で訪れる小さな選択も、できるだけ悔いのないものにしようと思わせてくれた作品だった。 -
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ラジオパーソナリティを務める素敵な声と冴えない容姿の持ち主・桐畑恭太郎は、仕事終わりにいつもの仲間たちと飲みかわすべく、行きつけのバー『if』へ訪れる。大雨のその夜、びしょ濡れになった美女・三梶恵がバーに迷い込んだことをきっかけとして、『if』に集うメンバーは彼女の殺害計画を手伝わされることに。
恵の計画に振り回される愉快な飲み仲間たちと恭太郎。恭太郎は傍若無人な恵に呆れつつも次第に心惹かれていき……。そんな道尾秀介先生の描くドタバタコメディと思いきや、最後にはまさかの結末が。テンポよく進んでいくギャグのような掛け合いも、このラストのためだったのかと思えるほど。
気になって読み返すと、いたるところに伏線があるのなんの。この作品を読み終えたあと、読者はきっと主人公の恭太郎が大好きになっていると思う。
どこか初恋の人の面影を感じる恵に恋をし、些細な勘違いから自己嫌悪に浸る、そんなガラスハートのチキン男。それでいて多くの人が立ち竦んでしまうような状況下でも、大好きな人のために立ち上がる姿が本当に愛おしい。愛すべきバカという言葉がこれほど似合う男がいるだろうか。こんな人になりたいと思える人物像を示してくれた。