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ロボット
猛烈な嵐の中、太平洋上で乗っていた船が突然まっぷたつに裂け、少年ジョウは数人のクルーとともに近くの無人島に緊急上陸した。だが、上陸した仲間は、ひとり死に、ふたり死に、ジョウは最後にひとりぼっちで残されてしまったのだった。そんなときジョウが、船の残骸から発見したのは、「完全自動式思考・作業ロボット」の精巧な組み立てキットだった。ジョウは、ロボットの組み立てに夢中になったのだが……。無人島に少年とロボット――。孤独に耐えて生き抜く、ロマンチックで勇敢な冒険物語。『孤島ひとりぼっち』収録の同名短編を長編化した作品。 -
「たのしみ」な生き方 歌人・橘曙覧の生活法
たのしみは/朝おきいでて/昨日まで/無かりし花の/咲ける見る時。平成六年六月、アメリカを訪問された天皇・皇后両陛下を歓迎する席で、クリントン大統領は一篇の歌を紹介した。その歌の作者、福井の歌人・橘曙覧は、一切の仕官や利欲を断ち、市井において歌と自然と家族を愛し続けた幕末・福井の歌人である。貧しい中でも日常のすべてを「たのしみ」に変えてしまう彼の生き方は、藩主・松平春嶽の共感を呼び、アメリカ大統領をも魅了した。人生の達人・曙覧が教える本当の幸せとは何なのか、心の豊かさを忘れた現代人に与うる書! ※本書は、96年2月に主婦と生活社より刊行された「橘曙覧『たのしみ』の思想」を改題して加筆・訂正し、文庫化したものです。 -
さまよえる騎士団の伝説
中世の騎士団の幽霊が、ヨーロッパの村にあらわれるという。彼らは四年に一度、閏年の二月二十九日の霧の濃い真夜中に、角笛が鳴るとともに甲冑姿のまま現れ、村の大通りを進んでゆくらしい…。ぼくはドイツ人の恋人とともに、勇んでその伝説の村へとやってきた。――奇跡は起こった! ぼくは茫然と立ちつくし、恋人も熱病にかかったようにふるえはじめた。が、なんということだ! そのときぼくの恋人が、ふらふらと彼らの後について歩きはじめ、そのまま姿を消してしまったのだ……。現実から夢幻へと広がるメルヘンと冒険の世界を描く表題作を含む全5編を収録。 -
ゴンドー・ゴロー・シリーズ
西暦2026年、トウキョウのギンザ。そこに、ちょっと馬鹿正直で、意外に優秀な、ゴンドー・ゴロー弁護士事務所があった。秘書は、なんと、美人で魅力いっぱいのヤーナ。さて、わが、ゴンドー・ゴローは、ある殺人事件に巻き込まれた。コールガールの調査に行って誘惑されそうになり、その上ブン殴られて気絶してしまったのだ。しかも、身に覚えのない裸の写真まで撮られて――。憧れのヤーナには何と言い訳をしたらいいのだ……。しかしこれが、あの「月世界生首事件」であった。第2話「トウキョウの黒い靄」、第3話「裁くのはだれか」と難問をペリイ・メイスンばりに解決する、SFタッチの弁護士シリーズ! その他「決戦・ムー大陸」と「妄想の戦士」を同時収録。 -
皇帝陛下の戦場
僕はたしか、七十歳を超す、老いた地球人のはずだった。ところが、ところがである……気付いたときには若い女の身体にされ、次には筋骨隆々の若き青年の肉体にされていた。僕は、アンドロメダ人の手によって、クローン再生された肉体にはめ込まれてしまったのだ。そして、あげくの果て、230万光年も離れたアンドロメダ宇宙へと連れてこられ、宇宙連邦軍機動歩兵隊員にされてしまったのだ! 果たして、僕を待ちうける運命は……?! SFファンならニヤリとせずにはいられない、往年の名作SFへのオマージュに満ちたユーモアあふれる冒険SF長編! -
時の顔
僕は40世紀の「時間局員」だ。自由自在に何世紀にもわたって、過去未来へ行き来できる超能力時代に生きている。そんな僕の親友のカズミが、ある一定の周期で、激しい疼痛感と痙攣発作に襲われている。特殊病理学者もサジをなげてしまった奇病だった。苦しみもがく彼をどうしても救ってやりたい。僕は、あてずっぽうに19世紀の幕末に病因解明の手がかりを求めた。しかし、大飢饉の余波が残っていた江戸の街で、僕はカズミの陰惨な過去、双生児にまつわる呪われた影を目撃してしまった――! 40世紀の人間の、呪われた複雑な過去を見つめる表題作のほか、デビュー直後の作品を含め、初期に発表された短編全7編を収録。書き下ろし解説つき。 -
短小浦島
浦島太郎のお伽話は、誰でも知っているに違いない。でも、ここに出てくる太郎はひと味もふた味も違います。たくましい海女たちにいじめられ、浦島太郎は極度のおんな恐怖症にかかっている。それもそのはず。太郎の悩みはかなり深刻。理由は、ひとなみはずれた「あれ」の短さ小ささお粗末さのせい。医者にたのめば銭がかかるし、もういっそ、死んでしまいたい……。そんなある夜、声がしてふと目覚めると、股ぐらに巨大な「倅」がそそりたち、昼間助けられた亀からのお礼だと言う。さあ、巨大な息子の持ち主になった太郎が向かった先は――?! 奇想奇抜、ユニークな視点と鋭い風刺で描く、小松左京の芸道小説集! 書き下ろし解説つき。 -
三本腕の男
ぼくは、いわばやとわれ調査員だ。相手の視線をとらえると、何でも喋らせてしまう特技を買われて、この仕事を引き受けた。今も、酒好きの退役アメリカ陸軍大佐からアメリカについての情報を聞き出している。話の途中、ふと何かの気配を感じて外をのぞくと、人通りの絶えた暗がりに乗用車がとまっている。どうもつけられていたらしい。今まで取材と称して、有力上院議員や「黒い回教徒」のメンバーに会って、必要以上に喋らせたのがまずかったようだ。ついにぼくは、世界中の諜報機関から追われる身となった――。だが、取材データをこんなにも欲しがる理由は何なのだろうか……? あっと驚くどんでんがえしが待ち受ける表題作の他、「フラフラ国始末記」「時間エージェント」八話を収録。解説:モンキー・パンチ。小松左京ライブラリによる書き下ろし補足解説つき。 -
御先祖様万歳
たった一枚の古ぼけた写真が、この大騒動の発端だった――。僕は失業して故郷へ帰っていたが、納戸で見つけた100年前の曾祖父の写真を見て驚いてしまった。こともあろうに「新幹線」が写っている!これが刺激になって、僕は我が家の持ち山の通称「神隠しの山」の麓にある洞窟に入ってみた。洞窟のあちら側では、100年前に僕の家で謀議がこらされていた。ちょんまげを結った侍姿の壮漢たちに見つかったので、あわてて洞窟を抜け逃げ帰ってきたが、村じゅう驚天動地の大騒ぎ。早速、新聞社の音頭取りで学者をまじえて「調査隊」があちら側を調べることになったが……。傑作痛快短編全12作。小松左京と山上たつひこの意外なつながりを明かした書き下ろし解説も収録。 -
牙の時代
楽しい渓流釣りは、一瞬で悪夢に変わった。釣り糸の先にあらわれたのは、思わず悲鳴を飲み込むほどの「怒れる魚」の顔だった。釣り上げられたそのヤマメは大口をあけ、いきなり指に噛みついた。魚が人間に襲いかかるなどという話は、ほら話にしても聞いたことがない。しかし、それだけではなかった。雄猫三匹が幼女を襲い、飼い犬が鰻に絞め殺された。スズメバチは人間を攻撃し肉を喰い、一日のうちに骨だけにした。生きものはすべて、虫ケラから人間にいたるまで、染色体の異常で巨大化し狂暴になっていった――。この不気味な変動の陰で、何かが静かに起こりつつあった。恐怖の時代の前兆を描いた表題作のほか、読者を荒涼たる混乱の世界におとしいれる全6編。書き下ろし解説を収録。 -
青ひげと鬼
その男は「青ひげ」と呼ばれた。過去6人の妻たちは、みな死んでいた。「妻殺し」の容疑で警察に調べられたこともあるが、犯罪の痕跡は発見できなかった。しかし、全員が同じ状況で、同じ症状で亡くなっていた。みな妊娠中毒症を起こしていたのだ――。その男がホテルのバーで知り合った7人目の女は「あなたの子を産むわ」と言い放つと「青ひげ」の7人目の妻となった。おれの子を孕むと死ぬ、という男の忠告もなんのその、しばらくして女は妊娠した。女は次第に生活の主導権をにぎり、ある種の危険な兆候をみせはじめた……。種の保存の本能の、新しい形が戦慄を呼ぶ表題作の他、全8編をおさめたSF短編集。書き下ろし解説を収録。 -
模型の時代
みんなをアッといわせるものをつくらなきゃ! 今や世の中は総模型づくりの時代。ぼくは顕微鏡をのぞきながら、長さ0.5ミリのロールスロイスの精密モデルをつくるのが生きがいだった。だが、上には上がいるものだ。戦艦大和の原寸大モデルをつくったやつがいた! しかも、これがほんものそっくりに動くのだ。でも、みんなが道楽でつくった模型が、それぞれ「実用性」を持ちはじめて、やがて途方もないことに……。根っからのプラモ好きだった横顔を持つ小松左京ならではの表題作「模型の時代」のほか、奇想天外な傑作SF全12編。小松左京ライブラリによる詳細な解説を収録。 -
明日の明日の夢の果て
寒気が訪れ雪が降り始めた。誰もいない林の中で、縄文期の老人が静かに息をひきとろうとしていた。その時老人は、奇妙な夢を見ていた。それは、ずっとずっと先の世の夢で、暮らしむきは今より少しはましになっていたようだった。その夢の中で、またその先の未来の夢の続きをみていると、さらに暮らしは楽になっていたようだったが――。明日こそは住みよい社会が来ると信じて、見果てぬ夢を追い続けた人間を待っていたものとは? 小松左京が京都大学の学生時代に発表した漫画の一部を始め、貴重な資料とともに、作品の深い理解を助ける詳細な解説を付した決定版。 -
青い宇宙の冒険
夜の11時になると、まもるの家の下から怪しい震動音が聞こえてくる――。調査に乗り出したまもるは、古文書などから、この地域には何百年も前から60年ごとに不思議な現象がおきていたことを知る。怪現象の中心地に調査にむかうまもるたちの前に、古い子守歌どおりのねじれた松葉や強い磁性をおびたくぎがあらわれ、謎はますます深まっていく。冒険、友情、そしてほのかな恋を、宇宙と人類という壮大なスケールの中で描く、小学生でも楽しめるSFエンターテインメント大作。小松左京がモリミノル名義で出版した漫画『ぼくらの地球』のワンシーンを引用した詳細解説つき。 -
ガラスの絆
美しい蔓薔薇と高麗芝の敷かれた洋館で、治子は五歳になる一人息子の信之と建材メーカーの社長である夫と明るい家庭を築いていた。だが、この家庭にも不安があった。それは、結婚後、数年たっても妊娠のきざしがないことから人工授精を受けて生まれた信之の本当の父親は、夫なのかドナー(精子提供者)なのか不明なことだった。そして、ある日――ドナーと名乗る男の出現によって平穏な家庭に大きな亀裂が生じていった……。治子の心を支えたのは脆い一本の試験管につながれた母と子の強い絆だった。表題作ほか日常生活のなかで遭遇する事件をテーマに、女性の微妙な心理を描いた作品集。 -
老人と狩りをしない猟犬物語
南アルプスの荒涼とした岩山を中心に、ひとりの老猟師が“荒野の王者”と名付ける三頭の獣が棲息していた。巨大な犬鷲、狂猛な巨熊、長大な牙を誇る猪……老猟師は、いつしかすべての王者たちと闘う日が来るとは思っていた。が、とりわけ怨敵と考えていたのは、可愛い嫁や孫をはじめ猟犬の“隼”までも鋭爪にかけた巨熊だった。そんな折、老猟師は一匹の仔犬を拾い、二代目“隼”と名付けた。王者たちとの対決の日は刻一刻と近づいてくる……。最後の闘いに残り少ない命を燃やす老猟師と、一匹の犬との交流を描き、生命の不思議と悲しさを謳い上げた壮大なドラマ。作家・西村寿行の幻の処女長編であり、原点ともいえる名作。 -
咆哮は消えた
逃亡中の犯罪人・徳蔵は、山中で死にかけた仔犬をひろい、ゴロと名付けた。しかし、ゴロは骨肉しか喰わず、長ずるにつれて不敵な面持ちを備え始めた。四肢は異様に太く、眼窩は裂け、切れ長の目には底知れぬ青い光をたたえていた……。そして村の犬はゴロを避け、山からは鹿や猪が姿を消した。そんなある冬の夜、徳蔵は、悲壮感のこもったすさまじい咆哮をきいた。それ以来、徳蔵はゴロの姿を見なくなった。――徳蔵は新聞記事で、“猟師に追われた最後の日本狼”の話を知ったのは、それからしばらく後のことであった……。動物と人間との葛藤と交流を描く、西村寿行の感動の動物小説! 全6篇収録。 -
陽炎の街
放浪無頼の鉈割瓢と斧割糺は蔵王五色岳山麓で事もあろうに巨大な虎に出喰した。それは来日中の中国遼東雑技団から逃げ出した体長4メートルを超すアムール虎で、名は剛剛。剛剛には台湾側の手で中国の核ミサイル配置に関する極秘情報がボディランゲージとして憶え込ませてあるという。国際軍事バランスの鍵を握る巨大虎を手中にせんと台中米ソの精鋭部隊が大挙日本に乗り込む―。奇縁によって結ばれた城岬涼子と鉈割・斧割の三人は、アムール虎をめぐる血で血を洗う凄絶な攻防に巻き込まれ、遂には海を渡る。暴力と性の極限、男女の愛憎の相克を描いた比類なきハードロマン。 -
雲から贈る死
世界初の小型電卓の開発で驚異的な成長をとげたOAメーカー〈ルコー〉は白藤三兄弟を中心とする同族によって経営されていたが、今日の繁栄をもたらした最大の功労者である天才的研究家・末弟の起人の不可解な死の後、次々と惨劇に襲われる。社長・隆太の自ら操縦する軽飛行機が墜落、死亡。その葬儀の席で、起人のかつての愛人で最近は隆太と親しかった常務の弥栄子が変死――。不吉な予感のなか、一族につながる女子大生・透子は起人の息子・秋人との出会いに運命的なものを感じ、急速に傾斜してゆく――。“死後の完全犯罪”の謎と悲劇的な愛が交錯する、会心のロマンティック・ミステリー。 -
さらばモスクワ愚連隊
社会主義体制下のはみだし者、スチャリーガの少年たちとジャズの結びつきを「裏側の歴史」として、鋭い時代感覚、リズミックな文体と見事な構成で描き切る。絶賛と注目をあびた、作家の鮮やかなデビュー作。他に「GIブルース」「白夜のオルフェ」「霧のカレリア」「艶歌」を収録。 -
哀しき檸檬色の密室
そこは赤と黄色の密室だった! 上司のセクハラを訴えるために実名で記者会見をしたOL幸田美代子が、1DKのマンションで殺された。後頭部をブロンズ像で殴られたうえ、包丁で喉をかき切られたのだ。鮮血で赤く染まった室内にはなぜか百個のレモン。おまけに現場は、内側から完全にロックされていた。洋室の窓ガラスは割られていたが、そこから犯人が侵入するのは可能でも、出た形跡がない! 奇妙な密室の謎に挑む捜査一課烏丸ひろみを待ち受ける意外な真相とは…!? 『三色の悲劇』シリーズ第二弾。 ※本書は九三年四月、実業之日本社ジョイ・ノベルスより刊行された『檸檬色の悲劇』を改題したものが底本です。 -
罪つくりなからだ
交通事故で心が親友・健介の身体に入ってしまった俺。そうとは知らない健介の妻・静香は、童貞の俺に迫ってくる。いいのか、俺?揺れ動く男女の姿を描いた青春官能ファンタジー小説第2弾。 -
ずっと、触ってほしかった
奥手な純の恋の手ほどきをするのは、死んだばかりの幼馴染みの凪。幽霊に助けてもらった純は無事に童貞を卒業できるのか?笑えてエッチでちょっぴり切ないニュータイプの青春官能ファンタジー。特別附録として、1月25日刊行予定の“青春官能ファンタジー”シリーズ第二弾『罪つくりなからだ』の冒頭部分を収録!
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