歴史・時代小説 - 講談社作品一覧

  • 異域の人 幽鬼 井上靖歴史小説集
    値引きあり
    4.0
    半生を西域に捧げた後漢の人・班超の苦難に満ちた道と孤独な魂の彷徨を追った「異域の人」、留学僧・行賀の在唐31年の軌跡と、入唐した日本人のさまざまな生の選択を描いた「僧行賀の涙」、謀反へと明智光秀を導く心の闇に巣くった亡者に迫る「幽鬼」など、歴史小説の名作8篇を収録。時代の激動を生きぬいた人間の姿を比類なき語りの力で描破する井上文学の魅力溢れる1冊。
  • 本覚坊遺文
    4.3
    師千利休は何故太閤様より死を賜り、一言の申し開きもせず従容と死に赴いたのか? 弟子の本覚坊は、師の縁の人々を尋ね語らい、又冷え枯れた磧の道を行く師に夢の中でまみえる。本覚坊の手記の形で利休自刃の謎に迫り、狭い茶室で命を突きつけあう乱世の侘茶に、死をも貫徹する芸術精神を描く。文化勲章はじめ現世の名誉を得た晩年にあって、なお已み難い作家精神の耀きを示した名作。日本文学大賞受賞作。
  • おろおろ草紙
    値引きあり
    4.0
    天明の大飢饉に見舞われた奥州八戸藩での凄惨な人肉食を鉄砲隊足軽小十郎の日録を追いながら苛烈に描写。飢饉による死者たちの嘆き、生に執着する人々の業を直視し、人間存在の根本に迫る代表作「おろおろ草紙」。ほかに、「暁闇の海」「北の砦」「海村異聞」の歴史小説3篇を収録。著者の郷里に材を得、庶民の強靱な生きざまを鮮やかに描いた傑作小説集。
  • 冬の蝶 梟与力吟味帳
    3.6
    暗い世相に目を光らせ、闇に潜む悪を捕らえる北町奉行吟味方与力の藤堂逸馬は“梟”の異名で知られていた。同じ寺子屋で学んだ幼なじみの、計算が得意で神経質な八助、根っからの助平だが憎めない信三郎、性格も生活もバラバラの2人とともに、逸馬は世直しに立ち向かう。文庫書下ろし痛快連作時代小説のシリーズ第1弾。(講談社文庫)
  • 原典抄訳「三国志」(上) 胸躍る英雄たちの活躍と運命の赤壁
    -
    今からおよそ1800年前、漢の王室の力が弱まった中国では、群雄が割拠し、それぞれが覇権を握ろうとしていた。漢の王室を守らんとする劉備、幼い皇帝を操る曹操、江東の覇者孫権がやがて天下を3つに分けてにらみ合うストーリーは、昔から多くの人々を惹きつけてやまない。長い物語を上下2巻に、物語の面白さを生かしつつコンパクトにまとめ、三国志からうまれた諺や基礎知識もわかりやすく解説! 入門に最適!!
  • 新装版 和宮様御留
    4.1
    攘夷か開国かで二分された国論を調停するために、皇妹・和宮は徳川将軍家に降嫁せよと勅命を受ける。彼女の身代りとされた少女フキは何も知らされないまま江戸へ向かう輿に乗せられる――。大義によって人生を翻弄された女たちの矜持を描き、犠牲になった者への思いをこめた、有吉文学を代表する不朽の名作。
  • ザビエルとその弟子
    -
    日本に初めてキリスト教を伝道したフランシスコ・ザビエル。中国への布教を熱烈に夢見ながら、目前のサンチャン島で熱病に斃れた彼の最晩年を、3人の弟子を通じて描く。貴族出身で現世的なフェレイラ、日本人のアンジロウ、そして最期を看取ったアントニオ。聖ザビエルの激しい魂が活写された、衝撃作。(講談社文庫)
  • 悪党の戦
    3.5
    後醍醐帝に請われ正成は倒幕の兵を挙げた。悪党の戦を世に示し力を結集するために。真言の真理を社会に実現するには、「悪党の世」を築かねばならぬのだ。――希代の英雄を描く本格長編歴史小説。
  • 北天の巨星
    -
    若き信長と盟友の契りを交わし、乱世の奥州を切り従えるはずだったが……。自らを逆賊の子孫と語り、北方貿易で国を富ませ、戦につぐ戦で羽州(うしゅう)に本格的な戦国大名の名乗りを上げた安東愛季。この男がいたから、羽州の民は生かされた。
  • お江戸日本橋(上)
    -
    江戸天保の頃、世相は政治の腐敗を映し、汚職・悪徳商・盗人(ぬすっと)がばっこし、とりわけ幕府財政は窮迫を極めていた。公儀自ら密かに抜荷を!? 密輸は天下のご法度。法の番人、洒脱で粋な江戸っ子奉行遠山景元は、かつて遊んだ八百八町を縦横無尽に一暴れ、公儀の“悪”に挑んだ。柴錬面目躍如の時代ロマン(講談社文庫)
  • 新装版 顔十郎罷り通る(上)
    -
    おそろしく長い顔とその中央に盛りあがった巨大な鼻、一度見たら忘れられない顔である。本名は誰も知らない。自称・顔十郎。酒と女をこよなく愛し、名誉や義理は大嫌い。金のためにはどんな危険な仕事も引き受ける、浮世の常識の埒外で生きる素浪人だ! ダーティーヒーローの剣が冴えまくる痛快大活劇。(講談社文庫)
  • 御書物同心日記
    3.8
    将軍家の蔵書を守れ! 新米同心の奮闘記。本の知識では誰にもひけをとらない丈太郎は、天下の稀本珍本が集められた将軍家の御文庫に勤める新米同心。その使命は一にも二にも本を大切に保管すること。個性豊かな先輩同心がそろう御文庫に、同じく新米同心として角一郎がやって来たときから、奇妙な事件が相次いだ――。江戸情緒あふれる連作集。(講談社文庫)
  • 続 御書物同心日記
    3.7
    嫁入り道具の絵巻物を担保に、大名家が古本屋に金を借りにきた。目利きを頼まれた御書物同心の丈太郎は、極彩色の春画にうろたえる。一方、将軍家の書物を管理する御文庫では将軍遺愛の本が紛失した。書名を聞いた途端、丈太郎は驚愕する。そして「事件」は意外な展開をみせた・・・。江戸情緒あふれる連作集。(講談社文庫)
  • 土龍
    3.0
    口入れ屋の紹介で御台場普請に雇われた国太郎と百蔵。2人がそこで見たものは、死人続出の怪しい穴掘り作業だった。一体、誰が何の目的で穴を掘らせるのか? 不審な男たちが跋扈(ばっこ)する中、真相をつきとめようとする国太郎たちの身に数々の危機が。黒船と地震に江戸の町が揺れるとき、城内までも揺れだした! (講談社文庫)
  • 真・甲陽軍鑑 武田信玄の秘密
    -
    直木賞作家が書き下ろす、新境地の時代小説。名将・武田信玄に重用され、武田四名臣の1人に数えられた高坂弾正忠昌信。美童の頃から仕え始め、宿老として息を引き取るまで武田家に人生を捧げた高坂が、今まで守り通してきた信玄の恐るべき秘密をここに明かす――エンターテインメントの巨匠が満を持して放つ、異形の新戦国時代小説。<文庫書下ろし>(講談社文庫)
  • 独眼竜政宗 最後の野望
    -
    徳川憎し! 独眼竜政宗がみた夢とは!? 伊達政宗の忠臣片倉景綱の子・小十郎が語る、政宗の野望。遣欧使節に託された打倒徳川へ密命。直木賞作家が書き下ろす迫力と興奮のエンターテイメント時代小説。(講談社文庫)
  • 南海の首領クニマツ
    -
    大坂夏の陣後に首を刎(は)ねられたはずの秀頼の遺児・国松は、天草の大矢野島に逃れ、鎖国へと向かう徳川幕府を尻目に、交易の盛んな南海を縦横無尽に駆けめぐっていた。たまたま山田長政の子息を海賊船団から救い、高山右近が豊家再興のために秘かに持ち出した財宝の存在を知ってアユタヤへ。(講談社文庫)
  • 彼も人の子 ナポレオン
    3.0
    世界史の上で、最も強烈な光を放った男、ナポレオン。勇敢さと人並み外れた集中力で、仏皇帝の座に就いた彼もまた人の子であった。幼児性を残し、自己正当化の果てに破滅していく生涯。少年兵の体験を持つ著者が、矛盾する大号令を臆面もなくかけ続けた男の素顔に、現地取材して迫る。(講談社文庫)
  • 天女湯おれん 春色恋ぐるい
    4.0
    人気戯作者のストーカーとなってしまった後家の恋煩いを治したり、義理の父親から虐待を受けていた娘を救ったり。はたまた、湯屋の中に拵えた知られちゃまずい男女密通の隠し部屋に忍び込まれたり。天女湯の女将おれんは、今日も大忙し。そんな、おれんにも久しぶりの恋の予感が。艶と人情の七編を収録。
  • 小倫敦の幽霊 居留地同心・凌之介秘帖
    -
    幕末、四方を海に囲まれた出島のような横浜外国人居留地。同心・草間凌之助のもとに厄介な事件が持ち込まれる。イギリス人の居住地区、リトル・ロンドンの屋敷で女の悲鳴が聞こえるという。その悲鳴は原因不明で死んだ前の持ち主のメイドの幽霊なのか!? それから程なくして日本人がピストルで撃たれて殺される。死体の脇に転がっていたのが羊羹のように甘い固形物。異国情緒漂う幕末横浜で謎が謎をよび、事件は拡大していく!
  • 股旅探偵 上州呪い村
    3.1
    ねじれたシダしか生えぬ土地、滝壺に吊された女の死体、底なしの井戸、棺から消えた死体がモウリョウとなり村人を襲う・・・渡世人三次郎が足を踏み入れた上州の山奥、火嘗村は、名状しがたいものに彩られていた。そもそも倉賀野宿で看取った病人が、村の災厄と名主屋敷の三姉妹の死を予言して果てたのだった。三度笠の三次郎は「あっしには関わりのねえ」事件に次々巻き込まれてゆく。本格ミステリと痛快股旅小説、奇跡の出会い!
  • 骨董屋征次郎手控
    3.5
    幕末動乱の京都で小さな骨董屋を営む征次郎には2つの裏の顔があった。世間に出せないいわくつきの品物を取引する“六道(ろくどう)闇ノ市”の一員であること。長尾流体術、鞍馬楊心流(ようしんりゅう)剣術を修めた武士の身分を捨てたこと。闇の骨董鑑定人・征次郎が、魔道に巣くう贋作(がんさく)師に立ち向かい、時代を揺るがす難事件に挑む!(講談社文庫)
  • 随筆三国志
    値引きあり
    3.0
    流行りの梁父吟(ロカビリー)が大好きな諸葛孔明は当時のアプレ・ゲール! 強靱なレトリックと博覧強記で縦横に古典を論じ、同じく乱世の修羅にある現代の貌を浮き彫りにする花田流三国志論。戦争中に書かれた比類なき抵抗の書『復興期の精神』から最後の著作『日本のルネッサンス人』まで首尾一貫、転形期の人間像を描き続けた花田清輝が、三国志に託して今の世界を、さらに歴史の未来を透視する知的興奮に満ちた1冊。
  • 囚人道路
    3.0
    明治24年、1000人の囚人達の手で人跡未踏の網走・旭川間に巨大道路が建設された。180キロにも及ぶ当時は不要不急の道路のために政府はなぜこの難工事を強行したのか。また完成後生き残ったはずの700人もの囚人はどこへ消えたのか。塀の中を知る著者だから気づいた歴史の闇。近代史の謎に挑む。(講談社文庫)
  • 日の果てから
    値引きあり
    -
    1945年4月、アメリカ軍沖縄本島に上陸。凄絶な地上戦の〈地獄絵〉の中、逃げ惑う住民。刑務所も遊廓も、そこに縛られる人々も何もかも、沖縄は死の渦のなかで回転しやがて敗戦とともに浄化される。神女殿内(のろどんち)の家柄である神屋家を絡め、文化、歴史、風土を背景に太平洋戦争末期の沖縄戦を神話的世界にまで昇華させた傑作長篇。平林たい子賞受賞。
  • 勝山心中
    5.0
    湯女(ゆな)あがりながら、抜群の美貌と才覚で吉原随一の太夫となった花魁勝山(おいらんかつやま)には、人には言えない秘密があった。遊女の身で、男を受けつけられない煉獄の日々。ただ1人心を許した町奴(まちやっこ)の幡随院長兵衛(ばんずいいんちょうべえ)も、水野十郎左衛門の屋敷で凶刃に……。明暦の大火、親友の謀殺。波乱に満ちた遊女の生涯を描く哀切の吉原絵巻。(講談社文庫)
  • 大奥二人道成寺 お狂言師歌吉うきよ暦
    -
    大名家の奥向きで踊りをお見せする狂言師の一座に加わって間もない歌吉に、上様の御前で「道成寺」の連れ舞を披露するという大役が。相方の坂東流名取の照代は上様のお手つきで、三年前に宿さがりしながら再び召し出されることになり、命を狙われているという。大奥におもむく二人を嫉妬の渦が待ち受ける! (講談社文庫)
  • 蝶々さん(上)
    4.3
    明治初頭、長崎港外の深堀に士族の娘として生まれた蝶は、父の形見の『学問のすゝめ』を読んで育つ。かくれキリシタンの少女ユリとも仲良しになり、文明開化の夢がふくらむものの、コレラの流行で母と祖母を失って運命は一変。小学校を卒業すると同時に丸山遊郭「水月楼」の女将の養女となって長崎へ向かう。(講談社文庫)
  • 新装版 柳生刺客状
    3.3
    関ヶ原の合戦で徳川家康は死んでいた! 以降は影武者だった世良田二郎三郎が家康を演じるも、秘事を知った柳生宗矩は、対立する二代将軍秀忠にいち早く伝えて信頼を得る。権力者に取り入り、暗殺という汚れ仕事を請け負う側近となった宗矩の顛末を描いた表題作ほか、最後の短編などを収録した、傑作短編集。
  • 新装版 柳生非情剣
    4.5
    剣に生きる一族として、将軍家指南役となった柳生。連也斎、友矩、宗冬、十兵衛、新次郎、五郎右衛門。尋常でない修行による技、将軍家と関わることによって起こる惨憺たる一族の相克、死を見据えてなお剣の道に生きざるを得ない激烈な生きざまを、乾いた筆で描き切る。作者が生前に世に問うた唯一の短編集。
  • 雁金屋草紙
    -
    慕情を胸に異才尾形光琳を見つめる女の心裡。奈津が雁金屋の次男と出会ったのは光琳八歳、奈津十歳のときだった。早くも逸材の片鱗を見せる光琳に奈津は胸をときめかすが、それは果たせぬ恋の始まりだった。(講談社文庫)
  • 花競べ 向嶋なずな屋繁盛記
    4.0
    花競(はなくら)べ――最も優れた名花名木に与えられる称号・玄妙を目指し、江戸中の花師が育種の技を競い合う三年に一度の“祭”。恩ある人に懇願されて出品した「なずな屋」の新次は、そこでかつて共に修業した理世と再会する。江戸市井の春夏秋冬をいきいきと描く傑作「職人小説」。(講談社文庫)
  • 一葉
    4.0
    15歳で戸主になり、貧しさゆえ作家になる決意をした樋口一葉。小説の師・半井桃水(なからいとうすい)への恋情、歌塾・萩の舎での屈託を抱え、極度の借金に追われながらも、わずか十数ヵ月で鴎外、露伴らから絶讃され近代文学の頂点に立つ。24年の生涯を全力で生ききった、稀有な天才作家の儚(はかな)くも美しい足跡を綴る、感動の長編小説。(講談社文庫)
  • あがの夕話
    4.0
    朝鮮人陶工・上野喜蔵尊楷と妻・可奈の一生豊前小倉細川藩の国窯を開いた上野喜蔵尊楷の陶芸にかける情熱と、現実の今にこだわる妻・可奈の夫婦愛と葛藤を流れるような筆致で描く。時代小説大賞受賞後第一作!
  • 建礼門院徳子
    3.5
    平清盛の娘、許されぬ愛の遊戯。「あなたがいたから、死ねなかったのです」。清盛の娘・徳子が、平家でただ一人生き残ったのは偶然ではなかった。禁忌を恐れず、憎むべき相手を愛してしまった女の懊悩とは――。後白河法皇の強さに惹かれた女の生涯。長編歴史ロマンス。
  • 波枕 おりょう秘抄
    3.3
    忘れえぬ龍馬の面影。残された妻・おりょうの怒濤の後半生とは。――おりょうらしく生きたい。松兵衛のために、自分のしてやれることをやり通そう。「それでこそ、おりょうや」と、龍馬が手を打って喜んでくれるよう。おりょうらしく生きてみよう。龍馬の人生をわが裡の規矩として。夜通し考えて、おりょうは1つの結論を得た。いや、考えたのではなく、心に熱く感じたのだ。
  • 五五五文字の巡礼 魏志倭人伝トーク 地理篇
    4.0
    『魏志倭人伝』を構成する漢字をひとつひとつ徹底的に解読・分解すると、今まで誰も気がつかなかった秘密が立ち上がる。たとえば(至)と(到)の使い分けから、途中経過地と目的地の違いを知ることができる。魏の使節団の倭人国への航海と陸行の足跡を、全く新しい手法で辿った仰天の異色歴史小説。<文庫書下ろし> (講談社文庫)
  • 柳生大戦争
    4.0
    高麗の高僧・晦然(かいねん)が得意の絶頂にあったその日、彼を待ち受けていたのは2度の元寇(げんこう)で散った高麗の兵士たちの霊であった。供養のため倭国に渡った晦然は「一然書翰(いちねんしょかん)」を書き記す。この奇書が、345年の時を経て、徳川幕府と李朝を揺るがし、柳生一族をも混乱に陥れたのだった。衝撃の時代小説、文庫化。(講談社文庫)
  • 武者とゆく(一)
    4.3
    剣術指南役を解かれ、手習い所を開いた桜井俊吾。大火で妻子を失い、今は拾った子犬とつましい暮らしを送っていた。だが男にさらわれる寸前、川に飛び込んだ女を助けたことで生活は一変。執拗な男は、周囲の人間の命を容赦なく奪いながら2人の身近に迫ってくる。時代小説に新しい風が吹く!
  • 手跡指南 神山慎吾
    3.0
    公金横領の罪で父が切腹、失意のうちに故郷を捨て、江戸で手習師匠となった神山慎吾。だが幽閉された当主の丹波守から遣わされた使者・加奈の言により、心ならずも暴政吹き荒れる修羅場へ舞い戻る羽目に。奸計、嫉妬の渦巻く中、奮闘する慎吾の前に明らかになった父の死の意外な真相とは!? 痛快時代長編。(講談社文庫)
  • 千世と与一郎の関ヶ原
    4.0
    細川忠興(ただおき)の嫡子与一郎は秀吉の仲立ちで前田利家の七女千世を娶った。睦まじい夫婦ぶりも束の間、秀吉の死後家康から前田家との縁切りを迫られる。姑の玉も石田三成が人質にとろうとするのを拒んで自害し、追い詰められた千世は屋敷を逃れて落魄(らくはく)の身に……。関ヶ原の思わぬ実像を描き出した傑作歴史小説。(講談社文庫)
  • 十五万両の代償 十一代将軍家斉の生涯
    3.8
    寛政の改革から爛熟の化政文化へ――御三卿の一橋家から思いがけず将軍となり、53人もの子をなし、孝心篤く実父治済(はるさだ)と自身に官位を望んだ家斉。政治の実権を握っていた松平定信を追い落とし、老中首座となった水野忠成(ただあきら)とともに舵を切ったインフレ政策の先見性と思わぬ陥穽(かんせい)。目から鱗が落ちる歴史小説。(講談社文庫)
  • 新地橋 深川澪通り木戸番小屋
    値引きあり
    3.8
    江戸・深川澪(みお)通りの木戸番小屋に住まう夫婦、笑兵衛とお捨。そこには、人々の悲しみ、愁いを癒してくれる灯がある。訪れる人の心の奥を、そっと照らしてくれる。労り、助け合う市井の人情。人の世の機微を穿(うが)った逸品揃い。思わず挫けそうな、いつの間にか冷めかけた心を優しく温めてくれる珠玉の時代小説集。(講談社文庫)
  • 南天
    -
    主君浅野内匠頭(たくみのかみ)の仇・吉良を討つべく策を巡らせる浪士たち。片岡源五右衛門の下僕元助(もとすけ)は、上野介(こうずけのすけ)討伐の密命を帯び、山伏の形(なり)にて上野山中へと向かう。仇討ちを巡るもうひとつの攻防を描いた表題作ほか、「試し胴」「小笠原ミゲル始末」「へそくらへ」「牢人噺」「枝もゆるがず」の6編を収録した、歴史異聞短編集。 (講談社文庫)
  • 深川澪通り木戸番小屋
    4.1
    川沿いの澪通りの木戸番夫婦は、人に言えない苦労の末に、深川に流れて来たと噂されている。思い通りにならない暮らしに苦しむ人々は、この2人を訪れて知恵を借り、生きる力を取りもどしてゆく。傷つきながらも、まっとうに生きようとつとめる市井の男女を、こまやかに暖かく描く、泉鏡花賞受賞の名作集。(講談社文庫)
  • 直江兼続と関ヶ原の戦いの謎 〈徹底検証〉
    5.0
    秀吉、家康ら戦国武将に、最も畏怖された男の生涯。関ヶ原の戦い前夜、正々堂々、家康のやり口を批判し、6万9千余からなる家康の上杉征伐軍を迎え撃って、あくまでも“義戦”を貫徹しようとした男、直江兼続。謙信に学び、長じて景勝に仕え、越後・上杉家の家宰として“利”を求める戦国乱世の時代に、“義”を貫いた生き様を描く。〈文庫書下ろし〉(講談社文庫)
  • 白洲次郎 占領を背負った男(上)
    4.2
    日本でいちばん格好いいといわれている男・白洲次郎。明治35年に兵庫県で生まれ、英国へ留学。戦後、吉田茂の側近として日本国憲法制定の現場に立会い大きく関与した。しかし、彼は表舞台には立たずに、在野精神というダンディズムを貫き通すのであった。初めて知る方にもお勧めの白洲次郎評伝決定版。(講談社文庫)
  • 銃士伝
    -
    戦わざるをえなかった“銃と日本人”の物語! 日本史上初めて鉄砲が有効に使われた戦といわれる長篠の合戦、関ヶ原の戦いでの島津勢の決死の退却、坂本龍馬の命を護ったスミス・アンド・ウエッソン、新政府軍と戦った二本松少年隊の悲劇、南太平洋の孤島で繰り広げられた名もなき日本人狙撃兵の孤独な戦い……。“銃器と日本人”を描いた傑作短篇集! (講談社文庫)
  • 大砲松
    -
    神田和泉橋の五兵衛店(だな)に住む締出し松こと松三は、故あっての長屋暮らしだが贅沢三昧。実は大名家お出入りを許された槍屋「槍丹」の息子である。時は幕末、慶応4年、背中の傷(いれずみ)を見こまれて上野彰義隊へ入隊、大砲掛を仰せつけられたまではよかったが……。吉川英治文学新人賞受賞の破天荒な痛快時代小説。(講談社文庫)
  • 一所懸命
    3.3
    “領地を治め米の収穫を増やし家庭を守っていたいのに配下を連れて出陣しなければならぬとは”“戦乱を利用すれば琵琶湖の魚を高値で売りさばく絶好の機会が”“紙商人になりすまし掟破りの交易で荒稼ぎ”――たとえ戦に巻き込まれても、よりよい暮らしを求めて必死にしぶとく生き抜く人々を描いた傑作戦国短編集。(講談社文庫)
  • 銀閣建立
    3.7
    室町末期、応仁の乱で疲弊した京。5年ぶりに都へ呼び戻された番匠・橘三郎右衛門は、公方御大工の父から、足利義政が隠居所として東山に山荘をつくることを聞かされる。同業者たちとの駆け引きや、口うるさい上様の注文をしのぎつつ、棟梁として技の限りを注いだ、三郎右衛門の最上級の建物を造る闘いが始まった。(講談社文庫)
  • 村を助くは誰ぞ
    4.3
    尾張が美濃に攻め寄せるという。軍勢が村へ入れば村人たちには生き死にの大問題だ。オトナ衆の次郎衛門は戦火から村を守るため、織田勢から自軍の乱妨と略奪を禁止する命令書をとりつけようとするが……。戦乱の中で奔走する村人たちの、たくましさとせつなさを描いた表題作を始め、全6本の粒ぞろい歴史短編集。※本書は、2004年12月に新人物往来社より刊行されたものを文庫化にあたり加筆修正したものです。
  • 竹千代を盗め
    -
    駿府の今川家の人質となっている松平元康(もとやす)の子・竹千代と奥方らを救い出す依頼が、甲賀の忍びの頭目・伴与七郎(ばんよしちろう)に舞いこんだ。綿密な算盤(そろばん)をはじき、銭四百貫文で商談は成立したのだが、乗り込んだ駿府で予期せぬ困難が続出する。窮地に追い込まれた与七郎は、甲賀に伝わる「大きな瓶(かめ)」の話に光明を見出した。(講談社文庫)
  • 横濱 唐人お吉異聞
    値引きあり
    3.8
    あの女が戻ってきた途端…謎の女お吉の正体は? 明治初年の横浜を鮮烈に描いた意欲作。御薬師様の日に瑠璃の前に現れた伝説の女・お吉は、横浜と瑠璃の周囲に黒い噂を振りまいて、ある日、忽然と消えた。お吉が本当の母なのか? 母・紀代とお吉には、どんな関係があるのか? 瑠璃の心は騒ぐ。
  • 深川澪通り燈ともし頃
    3.8
    江戸で5指に入る狂歌師となった政吉は、野心のあまり落ちこぼれて行くが、唯一救いの燈がともっていて・・・。幼い頃親を失ったお若は、腕のよい仕立屋になれたが、1人の心細さがつのる時は、まっすぐに深川澪通りに向って・・・。辛い者、淋しい者に、無条件に手をさしのべる木戸番夫婦を描く、傑作時代長編。(講談社文庫)
  • 逆ろうて候
    3.0
    「信長に仕えるくらいなら、浪人したほうがましや」。美濃にその人ありと知られた武将・日根野弘就(ひねのひろなり)は「信長を討つ」という決意のもと、新たな主を求め東国に向かった。が、苦労して仕官した今川家での待遇は、美濃の五千貫文に対してわずか百貫文。弘就の波乱と忍耐の人生が始まった。〈『浪々を選びて候』改題〉(講談社文庫)
  • 道祖土家の猿嫁
    3.7
    失われた故郷への鎮魂歌! 明治の中ごろ、土佐・火振(ひぶり)村の名家、道祖土(さいど)家に嫁いできた蕗。その容貌から“猿嫁”と揶揄されながらも、蕗は天真爛漫な性格で名家に溶け込んでいった。やがて日露戦争や太平洋戦争の戦渦は、道祖土家を巻き込み、各々の人生も翻弄していく。百年の時を通じ、日本人が来た道、行く先を描く壮大な歴史ロマン。
  • 戦国連歌師
    4.3
    時は戦国、天下一の連歌師・宗牧と、その息子・無為と共に、弟子の友軌は東国を歴訪する旅に出ることになった。そこへ朝廷から、尾張の織田、三河の松平、相模の北条に宛てた書簡を託されてしまう。数人が集まって百韻の句を詠む連歌の興行を催しながら、数多の困難をかきわけ進む一行を描いた異色ロードノベル。※本書は2002年11月、小社より刊行された『連歌師幽艶行』を改題し、一部改訂したものです。(講談社文庫)
  • 覇天の歌
    3.7
    力はなくとも権力に近づけるのが連歌師だ。父の敵・戦国の世への復讐のため、野村紹巴は連歌の道を突き進み、秀吉はじめ名だたる権力者とつながりを持って、天下一の連歌師へと駆け上ったのだが・・・。
  • 天女湯おれん これがはじまり
    -
    人気作『天女湯おれん』の前夜を生き生きと描く。文政十二年、江戸の町を焼き尽くす大火によって、おれんは、義父も湯屋も失ってしまう。幕府が作ったお救い小屋で生活を始めるおれん。しかし、気風の良さで天女と慕われる彼女のもとには、ここでも次々と厄介事が持ち込まれるのだった。湯屋と裏長屋の再建のため、懸命に走るおれんを描く、爽快な人情話(講談社文庫)
  • 其の一日
    4.0
    吉川英治文学新人賞に輝いた傑作短編集。安政7年3月3日、井伊家の密偵・可寿江(かずえ)は水戸浪士の不穏な動きを察知し、主君でかつて恋人でもあった直弼に通報しようとするが。「桜田門外の変」「箕輪心中」などの事件を題材に、江戸市中で懸命に生きる人々の、運命を変えた1日を描いた時代小説短編集。全4編を収録。<第24回吉川英治文学新人賞受賞作>
  • 暖鳥 見届け人秋月伊織事件帖
    3.5
    見届け人・秋月伊織は、笛の音で女を誘い出そうとする男と、それを阻む老夫の修羅場を目撃した。例幣使(れいへいし)に関わるという笛の男を、父の敵として追っている足袋屋に会った伊織は、許されざる町人の敵討ちを見届けることになるのか? 凍えた心をやさしく溶かす人の情けの温もりに触れる、話題集中の文庫書下ろしシリーズ第3弾。(講談社文庫)
  • 日月めぐる
    4.0
    江戸末期、駿河(するが)の小藩。その岩場からは、美しくも怪しい紺碧(こんぺき)の渦が川面(かわも)に見えた。流れゆく時と川と人。男女は渦に巻き込まれるように人生を移ろわせ、時に後悔し、時に鬱屈を抱え、あるいは平凡でも底光りするような日常を過ごし、いつしか果てていく。それもあり、これもあり。しみじみと美しい7つの物語。(講談社文庫)
  • 鳴子守 見届け人秋月伊織事件帖
    3.5
    悲運の姉弟の絆を想い、哀しく田に響く鳴子守の音。南原(なんばら)家の埋蔵金騒動に絡んで、穴掘り人足が次々と殺される。真相の見届けにあたっている秋月伊織は、数日前に縄暖簾で「穀潰し」と罵られていた貧相な若い人足・仙吉の豹変ぶりを不審に思い、探索を開始した。苦界に身を沈めた姉と、貧しさに翻弄された弟の運命を描く、大人気文庫書下ろしシリーズ第5弾。(講談社文庫)
  • 霧の路 見届け人秋月伊織事件帖
    4.0
    元女郎おひろから、東北訛りの侍の用心棒を頼まれた見届け人・秋月伊織は、他国に逃げる資金をはたいておひろを身請けした侍の背景に、ただならぬ事情を察する。藩主襲撃事件をきっかけに対立する陸奥広岡藩と盛山藩の遺恨が、江戸に舞台を移して燻っているのか――。文庫書き下ろしシリーズ、待望の第4弾。(講談社文庫)
  • 空っ風
    3.0
    5尺そこそこの体に3尺余の長脇差。抜群の喧嘩度胸と居合抜の腕で「清水一家の狂犬」と恐れられる小政こと音五郎。すさんだ心の傷を埋めるのは、幼なじみ・てるへの想い。だが、そのために大喧嘩に間に合わなかった小政は、一家の中で孤立してゆく。時代に牙をむく男の生涯を描く、新世代股旅物の傑作。(講談社文庫)
  • 遠花火 見届け人秋月伊織事件帖
    3.0
    「八歳の女子が赤子を生んだ」。「他人の墓石を勝手に磨いて回る何者かが出現」。江戸旅篭町の古本屋「だるま屋」には公儀の裏事情から町の噂まで、さまざまな風聞が集まる。噂の出所や行く末を追って秋月伊織が“見届ける”抜き差しならない男女の通い合い、心に響く親子の情愛。人情あふれる書下ろし時代小説新シリーズ。(講談社文庫)
  • 春疾風 見届け人秋月伊織事件帖
    4.3
    市井の噂話から千代田のお城の秘密まで。硬軟とりまぜた事件の顛末を情報として商っている「だるま屋」の秋月伊織は、関所を破って江戸に入った女のその後を調べるため、岡場所へ向かった。苦界に生きる女の矜恃と、思いもよらぬ大事とは? 心に迫る表題作他4編、人気沸騰の文庫書下ろしシリーズ第2弾。(講談社文庫)
  • 笠雲
    -
    明治維新後、富士山麓の開拓にのりだした清水次郎長。一の子分の大政こと政五郎は新時代の中で「夏火鉢」扱いに甘んじていたが、現場を任され一筋縄ではいかない男どもをまとめあげてゆく。だが動員された囚人の脱走騒ぎに続き、古参の子分・相撲常(すもうつね)が変死。事件のからくりに気づいた政五郎の怒りが爆発する(講談社文庫)
  • 鬼あざみ
    4.0
    強盗、追いはぎ何でもござれ。白昼堂々、金品を強奪する荒稼ぎで八百八町を騒がせる凶賊、鬼坊主一味。だが、頭の清吉と情婦のおもんを始め、はみ出し者の若者たちは強い絆で結ばれていた。悪に魅入られし者の破滅的な生き様を描く大江戸ピカレスクロマン。(講談社文庫)
  • 緋色の空
    -
    つけ火のせいで左腕に火傷を負い大工の夢を捨てた清吉は、自棄になって喧嘩を売った香具師(やし)の親分に叩きのめされ、そのまま香具師として生きることに。跡目相続をめぐる疑惑、対立する一家との抗争、親分の息子の失踪、幼馴染みのおとし、与助との強い絆。清吉は一度はあきらめかけた人生に再び全身で立ち向かう。(講談社文庫)
  • 長州シックス 夢をかなえた白熊
    値引きあり
    3.3
    1863年、長州藩の欧州遠征。これは内輪の者しか知らぬが世に云う「長州ファイヴ」――ロンドンに向かう5人の他に実はもう一人いた。つまり「長州シックス」だったのだ。生麦事件、蛤御門(はまぐりごもん)の変、天誅組(てんちゅうぐみ)……幕末の大事件の陰に、知られざる者たちの存在あり。激動の時代を生きた男たちを、笑いと涙で描く5つの異聞。語り口と結末はまるで落語の味わい。名人・荒山徹の幕末異聞集!
  • 雲を斬る
    -
    父の仇を江戸の町に追う由比三四郎は、ある日、女郎屋に売られる娘おさとを助けた。しかし人買いの恨みを買い、首に五十両の賞金をかけられてしまう。次々と挑んでくる刺客、盟友の僧・快延、鳥舟で空を飛ぼうとする若者、妙に人なつっこい人買い―-。多彩な人間模様の中から、やがて仇討ち相手が見え隠れし始める。(講談社文庫)
  • コルトM1851残月
    3.9
    江戸の裏世界で存在感を増す男、残月の異名を持つ郎次は、さらなる力を得んと欲するが──。壮絶なアクションと重厚なドラマの融合が好評の「機龍警察」シリーズで文学賞を立て続けに手にしている著者が、月村印エンターテインメントのもうひとつの柱として力を入れている、時代小説。時代小説なのに「コルト」という拳銃をメインアイテムとし、著者ならではのユニークかつ読みごたえたっぷりの娯楽小説を完成させた。
  • 義経いづこにありや
    3.0
    義経をもって天下を制す――。「物の怪」と蔑まれ、野心と利害にまみれた男が求めたのは、「源氏の血」を掲げての天下取りであった。武蔵坊弁慶の名を得た男は、義経を御旗とし、一気に世に躍り出る。だが、それは偽りの旗であった……。敵は平家、そして頼朝。虐げられし者どもが乾坤一擲の大博打! 『戯史三國志 我が槍は覇道の翼』で2012年度吉川英治文学新人賞候補。最注目の新鋭による痛快時代長編!
  • 艶女犬草紙
    3.7
    文政年間の大坂。武士を捨て貸本屋泰平堂(たいへいどう)を営む町之介(まちのすけ)は、犬が縁で下宿(したやど)の若女将(わかおかみ)リサと愛しあう仲になる。町之介は魚屋の多助と共に「犬の口入屋(くちいれや)」を始めて評判となるが、それがきっかけで父の仇(かたき)の豪商・石田屋と手を組むはめに。ところが街に謎の「犬さらい」が現れて!? 色と欲を大胆に描く、書下ろし時代小説。(講談社文庫)
  • 狂い咲き正宗 刀剣商ちょうじ屋光三郎
    3.4
    命をやりとりする刀に魅せられた光三郎。駆け引きたっぷりの裏世界、町人たちの人情、心意気を直木賞作家が描く。幼いころから、刀がもつ摩訶不思議な美しさに憑かれてきた光三郎。将軍家の刀管理を司る御腰物奉行の長男に生まれながら、名刀・正宗を巡って父・勝義と大喧嘩をし、刀剣商に婿入りする。ある日、絶縁したはずの父が弱り果てて訪ねてくるが……。親子、夫婦、師弟の人情をじっくり描く時代小説。(講談社文庫)
  • 迷子石
    3.4
    本業は医師(見習い)、副業はおまけ絵描き。そんな男がお家騒動を解決? 薬売りに託した絵が藩の命運をにぎる!見習い医師・孝之助は、趣味で版画絵を描いている。「富山の薬売り」が売る薬に付けるおまけ絵だ。絵で小遣いを稼ぐ、宙ぶらりんのおまけ者のつもりが、偶然、富山藩の存亡に関わるお家騒動に巻き込まれる。江戸家老の大陰謀を国許に知らせなければ、お国が乗っ取られる!?(講談社文庫)
  • 東京影同心
    3.0
    金子弥一郎は慶応3年に異例の若さで定町回(じょうまちまわ)り同心となったものの、幕府は瓦解して町奉行も消滅。新政府に仕官した同僚の誘いにも気が進まず、元岡っ引の始めた料理茶屋に居候を決め込んだが、ひょんな縁で佐幕派の「中外新聞」で種取り記者として探索にあたることに。元「八丁堀」同心の矜持を描く傑作長編。(講談社文庫)
  • 新装版 白い航跡(上)
    4.0
    薩摩藩の軍医として戊辰戦役に従軍した高木兼寛は、西洋医術を学んだ医師たちが傷病兵たちの肉を切り開き弾丸を取り出す姿を見聞し、自らの無力さを痛感すると同時に、まばゆい別世界にあこがれる。やがて海軍に入った兼寛は海外留学生としてイギリスに派遣され、抜群の成績で最新の医学を修め帰国した。(講談社文庫)
  • 暁の旅人
    3.9
    幕末の長崎、オランダの医官ポンぺから実証的な西洋医学を、日本人として初めて学んだ松本良順。幕府の西洋医学所頭取を務め、新撰組に屯所の改築を勧め、会津藩で戦傷者の治療を指南、さらに榎本武揚に蝦夷行きを誘われる。幕末、そして維新の波にもまれながらも、信念を貫いた医家を描く感動の歴史長編。(講談社文庫)
  • 官兵衛、駆ける。
    4.5
    2014年大河ドラマに決まった黒田官兵衛。天才軍師・黒田官兵衛の原点とは何か?その少年時代から青年時代を、野間児童文芸賞受賞作家の吉橋通夫が鮮烈に描きます。御着城(現在の兵庫県姫路市)を中心に播州の国で勢力を持っていた大名・小寺政職に仕える黒田職隆の嫡男として、1546年に生まれた萬吉(のちの官兵衛)。母親の死。妹の失明。友との約束。父とともに戦った初陣。後に妻となる光姫との出会いとすれちがい。
  • 親鸞全三冊合本版
    4.5
    講談社吉川英治歴史時代文庫を底本にした、一気に読める全三冊合本版。義経が牛若といって鞍馬にあった頃、同じ源氏の血をうけて十八公麿(まつまろ)(親鸞)は生れた。平家全盛の世、落ちぶれ藤家(とうけ)の倖として育った彼は、平家一門のだだっ子寿童丸の思うままの乱暴をうける。9歳で得度を許された親繋の最初の法名は範宴。師の慈円僧正が新座主となる叡山へのぼった範宴を待っていたのは、俗界以上の汚濁であった。
  • 新・水滸伝全四冊合本版
    4.0
    講談社吉川英治歴史時代文庫を底本にした、一気に読める全四冊合本版。中国は宋朝の時代、勅使として龍虎山に派遣された洪信は、厳しく禁じられた石窟の中を掘ったため、封じられた108の魔星はどっと地上に踊り出た。やがて、その一星一星が人間と化して、梁山泊をつくり、天下を揺さぶる。
  • 私本太平記全八冊合本版
    4.5
    講談社吉川英治歴史時代文庫を底本にした、一気に読める全八冊合本版。古代末期から中世へ――もはや王朝のみやびは影をひそめ、人間のどす黒さがあらわに出てきた時代、しかも歴史的には空白の時代である。史林の闇に分け入るとき、若者は使命感と創作意欲の高まりを禁じえなかった。開巻第1、足利又太郎(尊氏)が颯爽と京に登場する。
  • 新書太閤記全十一冊合本版
    5.0
    講談社吉川英治歴史時代文庫を底本にした、一気に読める全十一冊合本版。動乱の中世に終止符を打ち、新世紀を開いた豊臣秀吉の生涯を描く、規模雄大な出世物語が本書である。民衆の上にあるのではなく、民衆の中に伍してゆく英雄として、秀吉は古来、誰からも愛されてきた。――奔放な少年時代を過ごした日吉が、世間を見る眼も肥え、生涯の主君として選んだのが、うつけで知られる織田信長であった。 【収録作品】 新書太閤記(一) 新書太閤記(二) 新書太閤記(三) 新書太閤記(四) 新書太閤記(五) 新書太閤記(六) 新書太閤記(七) 新書太閤記(八)  新書太閤記(九) 新書太閤記(十) 新書太閤記(十一)
  • 新・平家物語全十六冊合本版
    4.7
    講談社吉川英治歴史時代文庫を底本にした、一気に読める全十六冊合本版。12世紀の初め、藤原政権の退廃は、武門の両統“源平”の擡頭をもたらした。しかし、強者は倶に天を戴かず。その争覇興亡が古典平家の世界である・平。古典のふくらんだ虚像を正し、従来無視された庶民の相(すがた)にも力点を置く。――100年の人間世界の興亡、流転、愛憎を主題に、7年の歳月を傾けた、著書鏤骨の超大作。
  • 刺客の花道
    -
    忠臣蔵の死に損ないが江戸の闇を斬る! 吉良家の用心棒であった朽木主膳(くちきしゅぜん)は正念場の赤穂浪士討ち入り当夜、女の家で一夜を過ごし、武士の面目を失った。賭場の主小吉に拾われた主膳には、闇の刺客の道しかなくなった。対するは、娘を庇う手負いの大道武芸者を餌食にする棒術の悪僧、生類憐みの世に人喰い犬を嗾(けしか)ける悪旗本。主膳に死に場所はあるか? (講談社文庫)
  • 悪道 西国謀反
    4.0
    吉川英治文学賞に輝く『悪道』、シリーズ第二弾! 西国雄藩浅尾家に御家騒動が勃発。幕府をも揺るがす事態に、名君となった影将軍は、伊賀忍者の末裔・流英次郎一統を安芸に遣わした。立ちはだかるは、奸臣・外村監物が放つ暗殺忍軍・風炎衆! だがなんと風炎衆は、江戸城の将軍暗殺の密命を帯びていた。大胆な構想で描く、これぞエンターテインメント時代小説。
  • 虹の刺客(上) 小説・伊達騒動
    -
    若き藩主を巡る策謀。権勢の行方はいずこに。仙台藩六十二万石。伊達政宗を超える大器と期待された3代藩主綱宗は、幕閣大老酒井忠清と共謀した有力家臣伊達兵部に陥れられ、二十歳にして隠居の身となった。幼い亀千代を擁立し、大藩を壟断する兵部。伊達家の重臣原田甲斐は、密かに起死回生を図っていたが!?史上有名な伊達騒動の真実に迫る圧巻! ※本書は1999年11月に朝日文庫より刊行されたものです。(講談社文庫)
  • 戯史三國志 我が糸は誰を操る
    4.0
    董卓(とうたく)に想い人を奪われた若き日の陳宮。己の無力に打ちひしがれていた時「俺の臣になれ」と言う男・曹操が現れ、彼の人生を変えた。名将に重用されながら、呂布(りょふ)に寝返った謀将。その愚行の裏には知られざる熱い友情と真心の物語があった。「小説現代長編新人賞」奨励賞受賞作。(講談社文庫)
  • 漂民宇三郎
    値引きあり
    1.5
    天保9年、金六、宇三郎兄弟は、松前を出帆、江戸に回航途中、西風に遭い、漂流6ヵ月、天保10年、米捕鯨船に救助され、ハワイ群島オワフ島に着く。兄と仲間3人を失った宇三郎達生残りは、ロシア領カムチャツカ、オホーツク、シトカを経て、エトロフに送られ、天保14年9月上旬、宇三郎をのぞいて、松前城下に着いた。"自選全集"版未収録の芸術院賞受賞の鏤骨の名品。
  • 江戸文学掌記 現代日本のエッセイ
    値引きあり
    4.0
    狂歌師・宿屋飯盛はその族籍を四民の外の「遊民」に区分けられたという。名称に潜む軽侮、対する反骨。文学の毒を練り風雅の妙を極めた「遊民」たる江戸文人たちの人、生活、作品を論じ、江戸文学の根幹に迫って精髄を伝える石川淳の真骨頂8篇。「山東京伝」「横井也有」「其角」「長嘯子雑記」ほか。読売文学賞受賞。
  • 神州日月変(上)
    1.0
    江戸で評判の美女が次々神隠しにあった。娘達はすべて十八歳で人気絵師清春の姿絵になったという共通点があった。事件を追う同心古河雷四郎を取巻く妖気の正体は。(講談社文庫)
  • 貧乏同心御用帳
    5.0
    剣は強いが情けに弱い。江戸町奉行所の町方同心・大和川喜八郎は32歳、独身なのに6歳から14歳までの孤児を9人同居させているかわりもの。黒羽二重の着流しに博多の帯を小粋に締めて、今日も悪を追って町を行く! 人情の機微と喜八郎の活躍をたくみに描く、連作短編4本を収録した柴錬の痛快捕物帳。(講談社文庫)
  • 巨海に出んと欲す
    -
    陸の掟にとらわれず、遠い海の彼方を見据えた男・藤原純友。大きすぎる器ゆえに、闘いを宿命づけられた男・平将門。京都朝廷が腐敗の極みに達した十世紀。瀬戸内の海を闊歩する海賊衆を束ねた藤原純友は、遊女、傀儡(くぐつ)衆、碧眼の美しい兵(つわもの)など、律令の枠からはみ出した「異端」たちを、不穏な空気が渦巻く東の国に放つ。
  • 皐の民
    3.0
    遣唐使船に乗り込み唐に渡った日本僧・円仁は、海を自在に駆けめぐる皐の民の力に圧倒され、彼らの手を借りて受難を克服し密教をきわめる。新羅王をも震撼させた皐の民の首領・張保皐、妖艶さと知性を兼ね備えた妓生楼の主・蘭香、したたかな策士の僧・妙珍、最新戦闘船を次々に作り出す天才青年・兵六、美しくそして逞しい女船長・メーカナーなど、魅力的な登場人物が壮大な物語を織りなす。
  • 鳥獣戯話 小説平家
    値引きあり
    4.0
    一等史料、正史とやらに隠蔽された人物たちを、周到な論理と、痛快・奔放な推理力を駆使して復権し、常に未来に向けての力強いメッセージとして語る、"本物のアバンギャルド"花田清輝の毎日出版文化賞受賞の『鳥獣戯話』、"平家作者考"とも言うべき異色の秀作『小説平家』を併録。
  • 江戸の検屍官 闇女
    -
    「悪事を見落とさぬように、兎に帽子を被せぬように」。真相を求め、冤罪を嫌う、北町奉行所の同心にして検屍官、北沢彦太郎の前に、不可解な死体が続々現れる。自殺か他殺か、どちらとも取れる状況の中、女好きだが有能な医師の玄海、女絵師のお月らと共に、地道な探索の果て、辿り着いた驚愕の真実とは!? (講談社文庫)
  • 澪つくし 深川澪通り木戸番小屋
    4.4
    流れる川音に包まれた江戸・深川澪通りの木戸番小屋に住む笑兵衛(しょうべえ)とお捨(すて)の夫婦。押しつぶされそうな暮らしを嘆き、ままならない運命に向き合い、挫けそうな心を抱えた人々が、今日もふたりのもとを訪れる。さりげないやさしさに、誰もが心の張りを取り戻していく。人生の機微を端正な文章で描く傑作時代短篇集。(講談社文庫)

最近チェックした本