歴史・時代小説 - 講談社作品一覧
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-みごとな仕上がりで、思わず息をのませる短編の名品佳作。――江戸を荒しまわった揚句、上方に高飛びしてほとぼりの冷めるのを待っていた鼠小僧。ムズムズしてきた例の手くせと持ち前の義侠心が、女のことから暴発した表題作「治郎吉格子」。ほかに「増長天王」「醤油仏」「八寒道中」「野槌の百」「銀河まつり」「無宿人国記」「雲霧閻魔帳」の7編を精選して収録する短編名作集。
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4.0著者は終生、捕物帳には筆を染めなかった。しかし、捕物帳的な傾向の作品といえば、本書が筆頭であろう。十手捕縄をとって30年、捕物の神様とうたわれた名与力・塙江漢が、突如、暴風のように襲った悪魔により晩年の幸福を引きちぎられ、伜郁次郎を獄門に送らねばならぬ悶々の胸中。――これは捕物帳とは一線を劃す捕物帳である。
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4.0野に伏す獣の野性をもって孤剣をみがいた武蔵が、剣の精進、魂の求道を通して、鏡のように澄明な境地へ達する道程を描く、畢生の代表作。若い功名心に燃えて関ケ原の合戦にのぞんだ武蔵と又八は、敗軍の兵として落ちのびる途中、お甲・朱実母子の世話になる。それから一年、又八の母お杉と許婚のお通が、二人の安否を気づかっている作州宮本村へ、武蔵は一人で帰ってきた。
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3.7他国者は容易に近づけない、密国阿波に潜入した幕府隠密・甲賀の宗家、世阿弥が消息を絶って十年。家名の断絶を目前にして、悲嘆にくれる娘のお千絵を見かねて、二人の男が阿波渡海をはかった。だが夜魔昼魔、お十夜孫兵衛、見返りお綱が二人の邪魔に入る。――昭和初年に発表され、人気沸騰した名作「鳴門秘帖」は争って読まれ、虚無僧姿の法月弦之丞は銀幕のヒーローに。
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4.3血をみてはならぬ殿中で、内匠頭が上野介めがけて腰の小刀を一閃したとき、赤穂藩五万三千石は音もなく崩れた。太守は即日切腹、城は明け渡し。三百の藩士とその家族の驚愕と困惑。それは突如として襲う直下型の激震にも似ていたが、強烈な余震はまた世人を驚倒させた。――四十七士の吉良邸討入りである。赤穂事件を題材とした書は古来多い。そのなかに著者は「昭和定本」としての用意と情熱をもって描きあげたのが、この書である。
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3.6動乱の中世に終止符を打ち、新世紀を開いた豊臣秀吉の生涯を描く、規模雄大な出世物語。民衆の中に伍してゆく英雄として、秀吉は古来、誰からも愛されてきた。――奔放な少年時代を過ごした日吉が、世間を見る眼も肥え、生涯の主君として選んだのが、うつけで知られる織田信長。随身を機に名も木下藤吉郎と改め、着実に出世街道を歩んでいく。
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3.0名奉行といえば、第一に名前をあげられる大岡越前。だが、彼の前半生は決して人に誇れるものではなかった。元禄の悪風に染まり、水茶屋の女お袖との間に一女までなしたが、一緒にはなれない。やがて、江戸町奉行へ抜擢された時、お袖の復讐が彼を待っていた。――みずから蒔いた種をみずから裁く人間大岡越前の苦悩。戦後の混乱した世相に、深い想いを託して描いた意欲作。