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Posted by ブクログ
娘たちを捨てた父親が最後に娘たちのための一太刀が感動を呼ぶ「入墨」。とあるところでの武家の妻女との出会いから救うための算段をする町人・浅次郎と武士・塚本伊織の物語「穴熊」は爽やかさと、割り切れなさがそこはかとない叙情を感じる。従姉との心の絆が微笑ましく、色っぽさを感じさせる「恐喝」など。「冤罪」は道すがら会う女性に魅かれ、その父親の冤罪を追う源次郎。「暁のひかり」は病気から立ち上がろうとする小娘に会う都度優しい心になるやくざの市蔵。「遠方より来る」は招かざる客が押し掛けてきた何とも言えない滑稽な状況が可笑しい。主人公の人の良さが見事に描かれている。 表題作は血の繋がらない義妹との心の通い合いと、新しい世界へ跳ぶ決断のときを見事に描き出している。どれも登場する人物、特に女性たちの描きが秀逸で、魅力的。そしてそこはかとなく哀しい無常感が美しい。
Posted by ブクログ
本作は昭和48年〜51年にかけて「小説現代」にて発表された8篇の短編小説集。つまり、作者が48歳〜51歳頃の書き盛りの作品集でもある。
作者が生涯に発表した短編小説は数知れず、従って玉石混交があるのも致し方ない。とはいえ、完全な駄作というものが少ないのが作者の強み。
また、多くの出版社から短編集が編纂発行されているので、短編集によってはダブった作品もちらほら散見。私の様に、一度読んだものを忘れやすい人間には、再読のチャンスだとありがたく拝読させていただくが…
個人的に(藤沢周平作品の中で)本作の面白さに上中下をつけるなら、中の上かな。
特に「入墨」「冤罪」「暁のひかり」「雪明かり」の出来がよく、「遠方より来る」が再読でした~。
駒田信二氏の解説と巻末の年譜が充実しているのもありがたい。
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