あらすじ
貧しくも、明日への夢を持って健気に生きる女。深い心の闇を抱えて世間の片隅にうずくまる博徒。武家社会の終焉を予感する武士の慨嘆。立場、事情はさまざまでも、己の世界を懸命に生きる人々を、善人も、悪人も優しく見つめる著者の目が全編を貫き、巧みな構成と鮮やかな結末があいまった魅惑の短編集。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
頁を繰り初めて始めてしばらく、以前に読んだことがあるなと思い出したが本は閉じなかった。
やはり藤沢周平さんの作品は引き込まれる。
もちろん読書には読むたびに新しく得るところがあるということはよく聞くのですが、新しい発見でなく、以前も感じ取ったと同じ感動を得ることができるというのが藤沢周平作品の素晴らしさだと思いますね。
病に伏せる義理の妹を救い出し、彼女と後の人生を共にする決意をする表題作「雪明かり」、好きだなあ。
Posted by ブクログ
短編小説がいくつか。そのどれもが切なくて、やるせなさがこみ上げてくる。もの悲しい物語の中に、人の情がやっぱりあたたかくって、じんじんしました。
Posted by ブクログ
本作は昭和48年〜51年にかけて「小説現代」にて発表された8篇の短編小説集。つまり、作者が48歳〜51歳頃の書き盛りの作品集でもある。
作者が生涯に発表した短編小説は数知れず、従って玉石混交があるのも致し方ない。とはいえ、完全な駄作というものが少ないのが作者の強み。
また、多くの出版社から短編集が編纂発行されているので、短編集によってはダブった作品もちらほら散見。私の様に、一度読んだものを忘れやすい人間には、再読のチャンスだとありがたく拝読させていただくが…
個人的に(藤沢周平作品の中で)本作の面白さに上中下をつけるなら、中の上かな。
特に「入墨」「冤罪」「暁のひかり」「雪明かり」の出来がよく、「遠方より来る」が再読でした~。
駒田信二氏の解説と巻末の年譜が充実しているのもありがたい。
Posted by ブクログ
娘たちを捨てた父親が最後に娘たちのための一太刀が感動を呼ぶ「入墨」。とあるところでの武家の妻女との出会いから救うための算段をする町人・浅次郎と武士・塚本伊織の物語「穴熊」は爽やかさと、割り切れなさがそこはかとない叙情を感じる。従姉との心の絆が微笑ましく、色っぽさを感じさせる「恐喝」など。「冤罪」は道すがら会う女性に魅かれ、その父親の冤罪を追う源次郎。「暁のひかり」は病気から立ち上がろうとする小娘に会う都度優しい心になるやくざの市蔵。「遠方より来る」は招かざる客が押し掛けてきた何とも言えない滑稽な状況が可笑しい。主人公の人の良さが見事に描かれている。 表題作は血の繋がらない義妹との心の通い合いと、新しい世界へ跳ぶ決断のときを見事に描き出している。どれも登場する人物、特に女性たちの描きが秀逸で、魅力的。そしてそこはかとなく哀しい無常感が美しい。