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将軍家の蔵書を守れ! 新米同心の奮闘記。本の知識では誰にもひけをとらない丈太郎は、天下の稀本珍本が集められた将軍家の御文庫に勤める新米同心。その使命は一にも二にも本を大切に保管すること。個性豊かな先輩同心がそろう御文庫に、同じく新米同心として角一郎がやって来たときから、奇妙な事件が相次いだ――。江戸情緒あふれる連作集。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
江戸時代、本を管理する部署に配属された丈太郎、本にまつわるいざこざの数々!本の時代本といえる小説です。
将軍の書庫と書物を二交替制で守る奉行と同心たち…設定自体は著者の創作かと思って読んでいたのだが、あとがきでこんな職業が実際にあったと知り驚いた。お話自体はいつもの出久根さんの持ち味である書物の蘊蓄が適度にちりばめられながらもどことなく暢気な雰囲気で、肩の力を抜いて楽しめた。
小説だから事件は起こるが、退治した紙魚(しみ)の城外持ち出しをとがめられたり、お見合い相手に妹を恋人と勘違いされたり、支給された昼の弁当にあたったり、まあそんなところだ。そんなほのぼの感がますます出久根さんらしい。
いわゆる「日常の謎」系。とはいえ、ミステリというわけでもない。「謎」は解かれたり、解かれなかったりする。主人公の心のゆらぎが、静かな波紋となって読み手の心にまで押し寄せ、不思議な読後感をもたらす短編集。個人的に、とても好み。
将軍家の御文庫に勤める同心のお話。 捕り物とかじゃない人も「同心」なんだーと知りました。 珍本稀本がいっぱい出てきて大変おもしろい。
漸くきました。以前、哲学生なのに「紅葉山文庫について」なんて論文を15枚ほど書いて、方向性を失っていた私。いよいよ、あの論文が役に立ちました! 主人公は紅葉山御文庫に務める新米同心。本大好き人間、と聞き私は興味を惹かれるばかりです。内容は短編集。本の知識とか、彼らの仕事とかわかります。事件とゆぅほ...続きを読むどの大事件ではないけど、毎回何かしら騒動があったりと。 シリーズモノです。このシリーズも気になりますが、作者の出久根さんに私は興味を惹かれました。古書店経営者にして直木賞作家ですよ!
古書店営む傍ら、作家活動をしている人と聞いて、以前から一度読んでみたかった。 まさしく古書に絡む作品。 江戸時代の、徳川家の文庫(紅葉山文庫)を守る同心たちの物語。 公方様の本、神君家康公の御手沢本に万一のことがあっては、と、挟まっているごみのようなもの、汚れまで一々記録を残すお役所的な発想に、思...続きを読むわず苦笑。 と当時に、学生時代、大学の古典籍調査のバイトをしていた頃のことを思い出した。 たしかに、ネズミの糞とか、挟まっていたりしたよなあ(我々の仲間内では、「ロス・フンチョス」と、ふざけて呼んでいたっけ)。 持ち上げた瞬間、綴じ糸が切れて崩壊するとか。 私たち学生バイトが扱っていたのは、割と出回っている江戸期の版本で、それほど貴重でもなかったんだろうけど。 真っ黒になった指を思い出し、今さらながらちょっと身震いした。 異常な記憶力の持ち主で、御書物同心を嫌々勤めていた角一郎が、生きる道を見いだしたので、少し読後感はよくなったのだけれど。 一篇一篇の話は、モチーフが緊密に結びついていて、さすがだなあ、と思わされる。
なんだか、分かったような、よく分からないような、フワッとしたまま終わる感じの話が多い。ミステリ未満ミステリ? 当時のお役所がどのように貴重な本を扱っていたのかが分かって面白かった。本1冊でワクワクする丈太郎にはなんだか親近感がわく。
将軍様の本を守る同心たち 徳川家康は無類の愛書家で、集めた 珍本希本を大事に納めた ・・・紅葉山文庫の始まりであり 150年間連綿と本の修復・整理 そして虫干しが繰り返され、記録が 残っている 作者は古本屋のご主人のようですが なかなか読ませる一冊です
江戸時代の本の虫たちの、日常の中の些細な出来事を集めた連作集。 殺人事件を解決していくような話を求めている方にはお薦めしませんが、読みやすく、面白い話です。
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