澤村伊智のレビュー一覧
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夏だしサクッと読める怖い本を読みたいな〜と思い手に取りました。
こちらの本は「恐怖の根源が何か」という視点からホラーが細かくジャンル分けされていて、短編ごとにそれぞれの魅力がより分かりやすく伝わってくる珍しい構成になっていました。
そして怖いものは苦手だけどエンタメとしては楽しみたい!と思う自分がどのジャンルに一番惹かれるのか…その深掘りもできた気がします。特に芦花公園さんの『終わった町』は解説でもあった通り、未知のものに対する恐怖と好奇心がこれでもかと詰まっていて、まさに「怖がりなのにホラー好き」という矛盾を抱えた自分にぴったりのお話でした。また、シチュエーションホラーである『とざし念仏』も好みでした。特殊な状況から生み出される恐怖と人間の本質…その奥深さがより好奇心を駆り立てられるのかなと思いました。
お二人とも初読みでしたが、ぜひ他のお話も読んでみたくなりました。気軽に楽しくホラーを摂取したい人にはおすすめの本です。 -
Posted by ブクログ
『潰える』をテーマに、最恐の執筆陣が書き下ろした短編ホラーアンソロジーです。
今回の収録作品は、澤村伊智:ココノエ南新町店の真実、阿泉来堂:ニンゲン柱、鈴木光司:魂の飛翔、原浩:828の1、一穂ミチ:にえたかどうだか、小野不由美:風来たりて。それぞれの作者によって全く異なる色合いのホラー小説が展開される。
アンソロジーということで、未読のホラー作家さんの開拓の意味も含めて読んでみましたが、本来私は大層な偏食家だったことを思い出したという感じでした。全編頑張って読みましたが、鈴木光司さんの『魂の飛翔』は一読ではうまく話が理解できず、今一怖さを感じられませんでした。
今作品集で怖い!でも好き!と思うのは断然小野不由美さんの『風来たりて』でした。営繕かるかやシリーズの短編ということだったので、最後にはきっとなんとかなるだろうと思っていましたが、短編でありながらも流石のジェットコースター展開でした。小野不由美さんのお話は上って上って落ちるジェットコースターのような展開が非常にスリリングだと常日頃思っています。どこまで上るのかもわからないし、落ち始めたらどこまで落ちるかもわからない。周りの風景が事細かに描写されるからこそ上っている間も落ちている間も怖い。そんなお話でぞわぞわとした恐怖を丁寧にすり込んで下さるのが、怖いのですが大好きです。
このようなアンソロジーを読んでみるのも、読み口を変えるという意味ではいいかもしれませんが、今回は新規開拓には至りませんでした。またどこかのタイミングでチャレンジしたいと思います。 -
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短編集ということもあり、『ぼぎわんが、来る』『ずうのめ人形』と比べると怖さは少なめ。重くなりすぎず、読みやすかった。
中でも面白かったのは表題作の「などらきの首」。
これまで野崎が怪異に対して持っていた考え方や距離感は、こうした経験を経て形作られたものだったのだと分かるのが面白かった。
そして何より、最後に残るなんとも言えない「いや~な怖さ」が最高だった。派手に怖がらせるのではなく、読み終わってからじわじわと嫌なものが残る感じがとても好みだった。
もう一つ印象に残ったのが「悲鳴」。
最後に「お前かぁ!!」となった。
『ずうのめ人形』を読んだ時点では、里穂が自分の行動をどこまで理解していたのかについてまだ曖昧だったが、「悲鳴」を読むと、彼女には『ずうのめ人形』以前に、自分の能力のようなものをしっかり自覚する機会があったことが分かる。
そう考えると、『ずうのめ人形』で原稿を送った行為も、「もしかしたら」という程度ではなく、相手を呪うつもりでやったのだという悪意がよりはっきりと見えてきて、薄ら寒い気持ち悪さを感じた。
そして3冊読んできて、作品とは別にどうしても気になることが一つ。
このシリーズ、ものすごく「嫌な人間」が多い。
特に女性を見下したり、自分勝手な価値観を押しつけたりする、男尊女卑的な男性の描写がやたらと多く感じる。
もちろん、そういう人間の醜さや無自覚な加害性も含めて描いている作品なのだとは思う。
それでも、あまりにも何度も出てくるので、「作者自身がこういう考え方なのか?」と一瞬思ってしまうくらいで、読んでいてかなり嫌な気持ちになることがある。
怪異よりも人間の方が恐ろしい、というのはこのシリーズの好きなところでもあるのだけれど、この「嫌な人間」の生々しさについては、面白さとは別に少ししんどい。
短編集として読みやすいだけでなく、シリーズの人物や世界をさらに掘り下げてくれる一冊だった。 -
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ネタバレ澤村伊智さんのホラー小説!楽しみにしてました!
新興宗教で洗脳され殺人の後片付けを手伝わされることになる主人公。ここですでにヒトコワ的なホラー。洗脳が溶け逃げられた先で不可思議な出来事に巻き込まれ…今度はなにか不思議なものに追われているのではという恐怖。前半のこの畳み掛ける色々な恐怖がたまらないですね!
でも最終的にちゃんと異次元展開ホラーであまり恐怖感がなかったのが勿体なかったです。
むしろ最初の洗脳状態で、みんな人を追い詰めていくのを平然と行っていたほうが怖かったです。その段階がいっちゃんこわいしイヤ〜すぎる。
絶妙な人間の嫌なかたちを書くのが上手いですよね…。 -
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ネタバレあらすじは公式のがあるから割愛。
幽霊的怖さよりも人怖系ですね。途中までは篤を助けてくれた恭介含め、みんないい人たちに見えるけど、恭介がいなくなると段々と本来の姿が現れてくる。とても読みやすくて面白いですが、だいぶ胸糞です。差別ってのはどこにでも、どの時代にもあるものだよな。
おばあこと比嘉勝子がめちゃくちゃかっこいい。おばあと呼ばれて嫌な顔をしてるのは馴れ馴れしいからかと思ってたけど実は別の理由があったらしい。どうやら比嘉家をメインにしてるシリーズものがあるらしくて、そっちも気になってます。
ただねー。現代に戻ってきたときの篤の発言がどうにもひっかかりました。急に記者、ひいては読者を糾弾してくるんだけど、それがどうにも理不尽すぎるうえ、なんかキャラとしてというよりも作者の思想が出ちゃってる感じで。しかもここから盛り上がってくるよー! って展開で2~3ページを余計な話で埋めてくるもんだから興が削がれるしリズムも悪い。さらにいえば叙述トリックが弱い。確かに勘違いはしてたけど、カップルの件なんてあったっけ? レベルだったんだけど。