澤村伊智のレビュー一覧
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ネタバレいずれも雑誌『怪と幽』に掲載された短編。シリーズのレギュラー陣が顔を出す場面もありつつ、毎回テーマや切り口を変えて別の側面からのホラーが描かれる。民俗信仰、社会問題、異界の幻想など、多彩な恐怖が凝縮されています。
「たなわれしょうき」
土俗に絡めた怪異とヒトコワが交錯。オカルトライター・野崎が登場し、関西で屋根に祀られる魔除け「鐘馗(しょうき)さん」の習俗が題材となる。嘘を嫌う鐘馗の設定が効いているが、結末は不条理に切り落とされ、不気味な余韻を残す。
「戸栗魅姫の仕事」
迷路のように増改築を重ねた旅館が舞台。今では建築基準法や消防法の規制で少なくなったが、昔は実際に「新館と旧館の繋ぎ目で迷 -
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Posted by ブクログ
伴名練「押し入れの宇宙飛行士」★★★★★
隣家の少女に誘われて、少年はアパートの押し入れからガラクタだらけの宇宙船に乗る。彼女の故郷であるという母星に向けて宇宙旅行をするが、やがて二人に決定的な別れが……
少年期の思い出と小宇宙の輝き、それと対比される現実の無情を描いた(ホラーというよりも)SF短編。あどけなさとコケティッシュさの両義性をもった少女の造形、スリリングな宇宙旅行の描写が非常に楽しく読める。個人的には一番好き。
澤村伊智「しゃぐらどりの娘」★★★★★
引きこもりの幼馴染、学内新聞のネタ探しの日常が「しゃぐらどり」に塗り替えられていく。やがて主人公は町に潜む化物と対峙する……
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Posted by ブクログ
比嘉姉妹シリーズ
短編3編
「母と」
巫女的能力を持つ女性が運営に入った「子ども保護施設」
そこでは子どもたちが保護はされるが、彼女の呪的な支配下に置かれてしまう。
野崎と真琴は、施設の子供に助けを求められ、現場へと。
母の愛情は救いになるのか、それとも逃れられない呪縛なのか。
なーんて、1回目はラストがわからず、
読み直してしまいました。
最初からしっくり読めないなとは思っていたんですよ。
「あの日の光は今も」
子ども時代、二人の少年が「UFOを見た」としてマスコミに騒がれる。
体験談を語ることで一時は有名になるが、大人になっても「あの事件の子」として生きざるを得ない。
あの日の光は本 -
Posted by ブクログ
自分にしてはわりとめずらしく発売してすぐ書店で購入。好きな作家さんのほかに初読みの作家さんもあって、いい出会いになった。
【収録作品】
「オシャレ大好き」背筋
ハイブランドの女性店員が接客中遭遇する異変。なんとなくこうじゃないかなと解釈は出来るけど怪異とも言い難い話を書くのが本当にお上手。
「鶏」澤村伊智
雑誌編集者が深夜仕事中に訪ねてきた漫画家の男が語る不気味な話。唐突に衝撃の場面を差し込んでくるのが澤村さんらしい。
「金曜日のミッドナイト」コウイチ
お初の作家さん。高校生のときにYouTubeチャンネルを開始し、短編国際映画祭で特別賞受賞って経歴が今どきだね。
タイトルからして深夜の