あらすじ
みんな死ぬよ 誰も帰れない――。ホラー映画撮影スタッフを襲う悪夢のような事件。元アイドルのバスツアー参加者たちが語る戦慄の一夜。保育士と母親の連絡日記から浮かび上がる歪んだ日常。小学生時代の不穏な事件に隠された薄気味悪い符合。恐れと禍いの最高到達点。どこまでも不気味で、どうしようもなく愉しい、暗黒奇譚集。
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Posted by ブクログ
怪異と日常が混在する世界。
この手のホラー作品は塩梅が非常に難しいと思う。なぜなら、怪異表現が強すぎるとSFに化け、弱すぎるとファンタジーになるからだ。
化け物は人を襲う。それは至極当然のようだけど、挙動の辻褄が合ってしまうのは異例なのであって、大概は襲うことに理由なんてない。ここに理由を持たせるとSF化またはファンタジー化してしまうわけだ。
例えば、祠を壊したから呪われた、というエピソード自体は、掴みどころではあるものの、それはきっかけに過ぎず、化け物がどのような挙動を取るかとの関係がないのがホラーなのである。その証拠に、多くのホラーは、呪われた人がすぐに死ぬわけではなく、関係のない人も含めて周囲の人が行方不明になるなどの危害が始まり、その過程を経て、語り手に魔の手が忍び寄る展開が多いはずである。このことから、ホラーほど塩梅、火加減、換気が難しい作品はないと思う。
澤村伊智さんは、ホラーの骨子はそのままに、いかにも人間がしてしまいそうなミスリードを作品に落とし込む作家さんですが、今回の短編集はどれも肉付きの横幅を感じました。百貫ガチムチホラーって感じでした。
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にんげんの異形への愛が感じられる澤村伊智らしい本
以下短編タイトル
禍、またら2010年代の恐怖映画
ゾンビと間違える
縊、または或るバスツアーにまつわる五つの怪談
頭の大きな毛のないコウモリ
やまねこ、または怪談という名の作り話
くるまのうた
鬼、または終わりの始まりの物語
自作解説
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8つの短編集。タイトルに「異形短編集」とあるように、大半のお話の初出が「異形コレクション」でした。
「頭の大きな毛のないコウモリ」が好み。
「頭の〜」は子どもと共に歩む道を選んだ母親に気持ちが持っていかれた。
(最後のふたつの何かの表現のところで、そうなっても一緒にいられてることにほっとしました)
逆に「鬼 または終わりの始まりの物語」は
子どもに願いを託してしまった母親にちょっと嫌悪感。
圭さんがいなくなるまでは良かったんだけどね。
(例の力に頼ってしまうその状況、分からないでもないけど…でもやっぱり子どもに託したくはないなぁ)
どっちも本来の趣旨とは違うところに注目してしまった、的外れな感想だと思うけど…
そんな感じです。
Posted by ブクログ
異形のものにまつわるホラー短編集。
『ゾンビと間違える』はおぞましいのに爽快感のあるラストで好き。
『貍(やまねこ)〜』はいじめられっ子からの壮絶な復讐は怖いけど途中であの国民的漫画のオマージュに気付くと怖いのに面白さを感じてしまう謎の感情に陥った(笑
そして巻末の自作解説で、作者のあまりの書きぶりに不安になってなってから、これもホラーの一部だと気づいて安心して怖がれました。
全体を通してホラーなのにユーモアが感じられた。
Posted by ブクログ
最後の解説、必見!
ホラー小説の中でたくさん本を出しててだいたいおもしろくて、澤村さん好きだからこそ!
異形、ていうテーマがあんまり分かってなくて、これは異形なのか?て思う話もいくつかあったけど、ひとつひとつお話として満足度と安心感がある!
Posted by ブクログ
短編集だけども、ひとつひとつのお話の読み応えがあるので、満足感が大きい。
怪談を怪談として終わりってだけではなく、ホラーにして楽しませてくれる良作でした。
最後の自作解説にはかなりギョッとして、澤村伊智氏はこんな人なの…!?と驚かされました。
最後の最後に本当の自作解説がありホッとしました。
Posted by ブクログ
ホラー小説って久しぶりに読んだなー
小説というメディアだからこそ表現できる恐怖がありますよね
表題作の「頭の大きな毛のないコウモリ」と「くるまのうた」が特に怖くて面白かったです。
あと自作解説も良かったなあ
Posted by ブクログ
短編。ホラー映画を撮る時のホラー。バスツアー。話を繋ぎ合わせる。どれが真実?保育士と母親のノート。表題作。ドラえもん。桃太郎。どれもホラーだけど、悲しさと愛がある。最後の解説も良し。
Posted by ブクログ
1番面白くて1番ヒヤヒヤしたのが
まさかの「自作解説」だった!!!
本編よりもさらに面白いのびっくり!!!
作品としては、なんというか
ひっそりと後味の悪い作品達だなぁという印象。
どれもなんとも解決していないような終わり方なので、うわぁーーーこのままエンドなのーー!?
と思いながら短編達を読んでいた。
特に圭太郎くんがミステリでいう名探偵ぽくて
個人的に興味深かった!
この方、映画『来る。』の原作者さんなんだね!
また別の作品も読んでみたいなぁと
改めて(あの後書も創作と分かったので!笑)
思ったのでした。
Posted by ブクログ
表題作が特に好きだが、どの作品も面白みを感じるポイントがあって全体通して楽しめた。
『自作解説』には大いに騙された!全編通してなんだか毒が多いな?と感じていたこともあり、危うくそんな人だったとは!と最後まで読まずに投げ出すところだった。著者の作品を読むのが初めてだったら完全に騙されて離脱してたかも。
Posted by ブクログ
日常に潜む異形・怪異が詰まった作品。どれも好きだけれど「ゾンビと間違える」はスカッとしつつ言いようのない感情を植えつけられました。ゾンビものはあまり好きではないから自分でも意外。表題作もインパクト大!まさしく日常系ホラーといった感じで、じわじわ来る怖さがたまらないです。そしてぜひ、「自作解説」まで読んで…!
Posted by ブクログ
面白かった。4.3くらい。
「禍 または2010年代の恐怖映画」
映画の編集目線でホラー映画に取り込まれていくところが面白い。脚本に引っ張られるというか、本家に取り込まれるというか。
でも最後は結局全滅エンドなのが、なんかな。
「ゾンビと間違える」
冒頭の間違えたいってなんだ?と思ったけど、ゾンビなら殺してもオーケーという世界観。えぐい。国家単位でやったのがナチスだけど、この作品だと社会全体、個人の考えとしてもそれが根付いてしまってるのがえぐい。
「縊 または或るバスツアーにまつわる五つの怪談」
怪談話が繋がって一つの真相が見えてくるのが面白い。最初の人の話でなんか変な会話あったけど、臭さのせいかよ!という面白さ。
マネージャーもヤバい奴だとわかったし。
結局アイドルは死んで魂がさ迷って、別の魂またはナニカがアイドルに入った?
「頭の大きな毛のないコウモリ」
保育園での連絡ノート。途中、膨大な調査資料的文章が書かれて、これはヤバいなと思った。
結局親子で吸血鬼になったオチ。
面白い。
「貍 または怪談という名の作り話」
まさかのドラえもんに繋がるとは思わなかった。なんでN君とは思った。のび太だったのか。
みんな死に方がえげつない。
表題がタヌキの漢字なのにヤマネコと読ませるのもそういうわけか。
「くるまのうた」
ローカルな話で面白かった。でもうたが怖いというより、このうたを都市伝説にするぞ!という人間の気概のほうが怖い。
「鬼 または終わりの始まりの物語」
「あなたの人生の物語」を意識して作られたらしく、なるほどなと思う。
誰が誰に語りかけているのか不思議だったけど、なるほど桃太郎。
怪談を読んでたらSFになってて面白かった。
「自作解説」
こんなにわかりやすい嫌な文章が書いてある!と面白く読んだ。
本物の自作解説も嬉しい、助かる。作者本人が書いた時、なに考えていたのかわかるの楽しい。
本編の自作解説自体も面白かったけど、最後はかろうじて解説めいた体裁の文章で終わってるのが個人的には惜しい。でも読者としては、こうなったよ、というオチがわかるので助かるし面白かった。
このなかで好きなのはバスツアーかな。視点が変わることで、真相がわかって面白かった。
Posted by ブクログ
短編集なんですけど、この作家さんの世界観がこれでもかと濃縮されててすっごいゾワゾワ気持ち悪い怖さがあった。褒めてます。
題名の「頭の大きな毛のないコウモリ」が好み。結局ホラーは訳がわからないまま終わるのが一番面白い。
Posted by ブクログ
"異形"がこわいのは何故なんだろう
見慣れたものと異なること、グロテスクな見た目(グロテスクだと判断する基準は?)が恐怖を生むなら、人は未知のものに恐怖を感じるのかも
世の中の森羅万象を分析して研究して"分かる"ものにしていった人間の知性は、恐怖から遠ざかるために培ったものなのか
ただ、"分かる"ものが増えれば増えるほど"分からない"ものは稀少になり、そのこわさは増していくのでは
そしてその恐怖が殺戮を生むこともあるのでは
と、部屋に侵入してきた虫に殺虫剤を撒きながら思いました
異形が主軸なだけに現実からかけ離れた感を持ってしまったけど、最後の「自作解説」が一気に現実に近づいてきて、その遠近感が恐怖だった
「自作解説」まで読んで完食な短編小説集でした
Posted by ブクログ
面白かった。
頭の大きな毛のないコウモリと鬼 がよかった。
岸田先輩、いい人だと思ったのに。
コウモリは、2匹信号機にぶら下がっていたのがよかった。
Posted by ブクログ
もうタイトルのワードセンスが最高。
どこにもそう書いてないのに、明らかにフルボッコの残虐もの。
7篇の短編+自作解説の構成なのですが、
この7話の短編が、シングルB面集かと思うくらいになかなか盛り上がらない。
モキュメンタリー的な澤村さんにしてはチャレンジングな構成かもだが、なんかどっかにある話のようなものばかり。
表題作も、悪くはないけど…的な…
で、澤村伊智が終わるわけがない。
5話目からじわじわ上がってきて、最後の、
「鬼、あるいは終わりの始まり」
見事なマッシュアップ。読後感も最高。
タイトルが見事に回収。
川から流れてきたあいつが退治するのは…
そして、自作解説もまた良い。
毒とユーモアを併せ持たせた最後はやはりホラーの名手。
やはり澤村伊智はやめられん。
Posted by ブクログ
頭の大きな毛のないコウモリってゴロがいいよね。
口に出して読みたいタイトル。
とか思って読んだら、まぁ怖いこと、怖いこと。
また、表題作の保育士と母親の連絡ノートっていうのも、怖い仕掛け。最初は育児に悩んでるからお母さんノイローゼなのかなとか思うじゃん?
どの話も怖いけど、これが表題作なのってやっぱりインパクトの面でずば抜けてるからとかなんだろうな。
Posted by ブクログ
最後の短編「鬼」が、ファンタジーのようでよかった…圭太郎…つらい…
のだけど、
描かれる世界はまさに今の反吐が出るような社会だ。
こんな都合のいい“犠牲になってくれる敵討ち要員”がいるなら、使わない人はいるんだろうか。自分ならエゴでお願いしてしまうんだろうか。つらい。
Posted by ブクログ
小難しい新書も長編小説も読むエネルギーがないな、という時に丁度近くにいた。
短編で切り替え可能。様々なジャンルのホラー(怪談)で、それぞれ世界観にちゃんと浸れる。最後は「ん?」「うわーそういうことか」となるちょっとした仕掛けもあったように読めたので、とてもお得な気持ちになった。
短編は微妙と感じた時もあったけれど、読む時のテンションや環境もあるのか。今回はエンタメの意味合いでも楽しく消化できた。
Posted by ブクログ
比嘉姉妹シリーズは発売日当日に読むほど大好きです。
他の作品も一通り読んでいますが、やっぱり私は比嘉姉妹シリーズが好きです。
作者の方のXもいつも見ていて、自作解説が作者ご本人が嫌いそうなタイプの人間像だなと感じたのですぐにそれとわかりました(知ったような感想をすみません)
この短編集の中だと、鬼の話と自作解説のオチが好きでした
異形の物と人間が友好的(?)な交流をする話があるとなんだかワクワクしてしまいます。
Posted by ブクログ
澤村伊智先生の作品初読。
ゾンビが怖すぎて、中断しそうになったが、怖いもの見たさで最後まで読み切った。そして長い解説を読んだら、それが一番怖かった。
他の本も読んでみないことには語れないが、個性的な感じで気になる作家さん。
Posted by ブクログ
確かにどこまでも不気味ではありました。後味が悪いものも…。
でも「鬼 または終わりの始まりの物語」は良かったです。桃太郎なんですね。こういう桃太郎がいてもいいですね。
Posted by ブクログ
いやぁ
全ての話し
ドキドキしたけど
1番ドキドキしたの
本人による考察でしょ
え?
本人なの?
これ本当なの?
え?
もうこの人の本読むの
やめた方いいかな
って何行か読んで
焦ってしまったよ
Posted by ブクログ
異形シリーズに収録された作品を集めたもの。
掲載元がその度にテーマがあるからか、どの作品もそれぞれ大きく違って面白いし、違うからこそスラスラと読めてしまう。
全体を通して思う、この作者の普通に差別を表現するいたたまれ無さとか嫌悪感がその後の怖さに風味を足しているのがよくわかる。
Posted by ブクログ
溢とくるまのうたは別の媒体で読んだ事がありました。
やはりこの二篇が好きです。日常の中からだんだんと不可思議な出来事に気づいていき不穏になっていくのが好きなので。
貍は、読んでいて例えた元ネタの漫画ないしアニメに関して、う〜んとなる部分もありましたが、最後の ──ここんとこ大長編はお涙頂戴が露骨やから に関しては、そうだよ、そうなんだよな。とかなり共感しました。
鬼、は圭太郎が帰ってしまうまでは、とても良かったです。願いを叶えて終わりになっても、まだ圭太郎として居続けたかったという思いと、その繋がりを生み出した、昌とのマカロンを挟んでのやり取りがあったからこそ、しんみりと切ない気持ちになりました。だけどそこからは蛇足かなぁと急に流れが変わり、政治批判に持っていったなぁと(小説家が政治批判をするなという訳ではありません)
切ない気持ちが急に冷めてしまいました。
自作解説は、コメント欄やSNSに来た意見に対しての回答が読んでいて自分のことでは無いのに、この著者の解説は読者に向けているにしては傲慢だし言い方も攻撃的だ、と腹を立ててしまったので、それが本著者の狙いならばまんまと私は引っかかってしまった訳です。
全体的に、現代の社会問題やネタを取り入れながらホラーに落とし込むのが上手かつ読みやすかったです。
Posted by ブクログ
日常に潜む異形のもの。人間の心の隙間を突くように、気づけばすぐ近くに来ている。
そんな異形の存在が人間社会にもたらすものを描くオカルトホラー短編集。
◇
「あれ?」
僕は思わずノートPCのディスプレイに顔を近づける。映画の粗編集をしている最中、画面に真っ黒い影のような頭部が映り込んでいたからだ。台本やコンテを確認してみても、そんな演出ありとは書かれていない。
戸惑っていると、「澤木ぃ、手ぇ止まってるぞ」と後ろから声がした。カメラマンの小石川さんだ。
「実はですね」
そう言って、さきほどの映像を小石川さんにも見てもらう。
「ホームレスですかね」と尋ねた僕に小石川さんは「あの時、こんなのいなかったぞ」と言い切った。
この新宿駅東口のアルタ前で撮影を担当したのが、他ならぬ小石川さんだったからだ。
( 第1話「禍 または2010年代の恐怖映画」)
※全8話。
* * * * *
澤村伊智さんのオカルトホラー異形短編集です。怪談話が中心なので、怪異についての究明や怪異との戦いもありません。比嘉姉妹シリーズの好きな身としてはやはり少しばかり物足りませんでした。
8話中、おもしろかったのは最後の2話です。少し触れておきます。
第7話「鬼 または終わりの始まりの物語」。
川で拾われた子どもが成長し、好意的に接してくれた人たちのためにひと肌脱ぐ、というヒーローストーリーです。
ヒーローの名は圭太郎。圭太郎と行動をともにするのは、昌(まさる)、岸田、乾。
ここまででおわかりでしょうが、桃太郎伝説をモチーフにした御伽話的な内容です。
ただし「桃太郎」のように、めでたしめでたしとは……。
でもおもしろかったです。
第8話「自作解説」
ホラー作家が自作についての解説を語り、SNSでも発信するのですが、体調不良もあってやがて炎上するような内容になっていきます。
前半に張られた伏線がラストをみごとに彩るという、お手本のような短編です。
その他では、第6話「くるまのうた」で怪談めいた迷信というか都市伝説がいくつか紹介されていて、妙に印象に残っています。
特に、焼芋屋さんが軽トラで売り歩く際の「いしやーきいもー、やきいもー」
という節のついた売り声。それがときおり
「きりさーきひとー、やきひとー」
と聞こえることがあるそうです。 ( 収録地は兵庫県中三田市 ※三田市ですね、きっと )
これを外で聞いたらすぐ逃げ帰らないと、捕まって連れ去られ、切り裂かれて焼かれた上に売られてしまうのだというのです。
初めは笑ってしまいましたが、自分がもし子どもだったらやっぱり震え上がるだろうなと思いました。
1つずつは短い話ですし、エグい描写があるわりには読みやすいので、眠りにつく前の読書にいかがでしょうか。