あらすじ
たった数ページで、あなたの日常が蝕まれる……恐怖の深淵を覗く物語21編!
ホラー小説の旗手が贈る、戦慄の初ショート・ショート集
「得体が知れないからこそ怖く、面白い。」――野水伊織(声優)
◆「どパァん!……って感じやねん、飛び降り自殺の音って」
自宅マンションからの飛び降り件数が異常に多い理由とは?(「名所」)
◆とある町の小学生たちは、夏休みにも登校するという。「かみさま」を作るために。
僕にはそれがどういう意味を持つのかはわからないが、先生も、親も、その親もずっと続けてきたからだ――。(「かみさまとにんげん」)
◆愚鈍なバイト仲間の人生相談に乗ることになったバイトリーダーの私。
善意で引き受けただけだったが、雲行きはどんどん怪しい方向へ――その衝撃の結末とは?(「さきのばし」)
ほか
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なんやかんやで、澤村伊智さんの本領が発揮されるのは短編ホラーなんです。
短いストーリーの中にいかに歪さを残し、思考を混濁させ、読み手の考察意欲を削ぐか。
一寸先は闇、ではなく。
一寸先の闇、です。
触れるも触れないも境界も曖昧な、目と鼻の先に広がる闇。気づけば包まれているような寒気を伴う物語です。
ホラー考察なんて、意味ないよ。
Posted by ブクログ
読みたくて探しまくってた一冊
ショートショートホラー集
ゾッとする話も切なくなる話も盛り込まれていて大満足
読む前は何とも思わなかった表紙の路地裏みたいな写真が、読み終わって本を閉じた時にはすごく怖いものに感じたり
何となく部屋の電気を点けてまわってしまったり
恐怖が本を飛び出してくる感じ
覚悟が決まらず長編を避けて澤村作品の中の短編ばかり読み漁っていたけど、いよいよ長編にも挑もうかという気持ちになった
Posted by ブクログ
ヒトコワも、得体の知れないものが起こす怪異も、まんべんなく組み込まれておりバラエティに富んだホラーを体験できる。
澤村伊智の“すご~く嫌な人間”を創造する能力が凄まじく、特に「冷たい時間」の読後の落ち込みがすごい。
「冷たい時間」では妻と幼い子供に日常的に暴力をふるっている男性が出てくるのだが、調子を崩している妻の「代わりにごみを出しに行ってほしい」という精一杯のお願いに「家事はお前の担当だろ」と言い捨てるだけでなく、妻を殴って会社へ行く。その時点で既に憤りを感じるのに、その後の男の「大切な妻を殴ってしまった。帰りにケーキでも買っていこう」という見当違いのフォローには「ケーキを買いに行くんじゃなくて、ごみを出せ!!!!」と呻いてしまったし、男が会社の帰りに“コンビニ”でケーキを買っている姿に、私は完全にとどめを刺されてしまった。
澤村伊智の人間の描写は凄まじい。
Posted by ブクログ
そんなに怖いわけじゃなかったけれど、ずっと不思議が側にある感じ。ぞっと一気にくるものもあれば、ぞわぞわと来るものも、意味が分からず取り残されるようなものまで。やっぱりホラーとショートショートは相性が良い。題材が良いから中編で読みたくなる様なタイトルもあったりしたけれど、満足。
Posted by ブクログ
オカルトありヒトコワありのホラー短編集。
個人的には『さきのばし』が面白かった。途中までコントみたいに会話が笑えて「あれ?この話だけギャグ?」って思ってたけどラストでゾッとなれてしっかりホラーでした。
1つの話が10ページ前後くらいなので隙間時間にちょっとずつ読み進められるところもグッド。
Posted by ブクログ
怪談ショートショート集。
気味の悪いすっきりしないお話が沢山読めてたのしい…。
いろんな手法の怪談が読めるので、なるほどなるほどと唸ってました
Posted by ブクログ
どの話もじわじわと怖くなってきた。短編だから、読みやすく満足感もあるから良い本だと思う。個人的に一番好きだった話は「保護者各位」という題名のものだった。他の物語と少し違って、実際に配られるプリントのように書かれているのが余計怖かった。
Posted by ブクログ
掌編集なのでとても読みやすかったです。
どの話も想像を掻き立てる得体の知れないものばかり出てきます。
学校のプリントの話が特に印象的でした。
あと『 血』という話のなにが血なのか気になって夜しか眠れない
Posted by ブクログ
読みやすく、丁度良い怖さとイヤな感じとを味わえる掌編集。
この作家は差別的な目線、居心地の悪さ、予測が確定した恐怖みたいなにがらがある中で、意図がわからない繋がりがわからないものへの恐怖に自分が入ることのありふれた怖さを、別角度で読めたような気がする。
こちら側とあちら側というのが正しい見方かはわからないけれど、片一方で腰を据えねばならないと覚悟した者の意地の悪さはやはり怖い。話の根幹の部分よりも怖かったりする。
好きな話は
さきのばし
無題
夢殺
Posted by ブクログ
ある自殺スポットについて語られる『名所』、愚鈍なバイト仲間との会話から洒落にならない事態になる『さきのばし』、最初と最後で印象がガラッと変わる『冷たい時間』などショートショートの怪談が21編収録されていて、どの話も短いながらも読者の恐怖を煽るものばかりで充分満足感があった。
Posted by ブクログ
1日で読み切ってしまいました。ただちょっと不気味でぞっとする話が好きな私にとって、描写が少しグロテスクに感じてしまう部分も…それで星が1つへってます。でも全体的に引き込まれてしまうオススメの1冊です。
Posted by ブクログ
得体のしれないもの(モノ)を淡々と描くのが、この人は本当に上手い。そして怖い、おぞましい。
語り口調もリアルで自然体だから、読みやすくすぐに話に没入できる。
怪談を集めたこの掌編集もまた、他作に劣らずヒヤリとするものばかり。
なかにはメンタルにくる話もあるから、個人的に一気読みはできなかった。
それでもやっぱり澤村作品は面白くてやめられない。
【全21編】
Posted by ブクログ
1話目の1行目で、もうコワイ。
人が落ちた時の音が、どパァん!て‥。
実際に聞いた事あるんだろうか。
この話のコワイは、人だけど、この世ならざる者がコワイ話も、もちろんある。
ちょっと変わった感じで怖かったのは、「さきのばし」。わりと終盤近くまで、コメディか?という感じだったのが、急に不穏になって、ああ、さきのばしね‥となる。
このオチはどういう意味だろう?と、すっきりしない話もあり、読み終わった後は、なんかざらざらした気持ちになる。さすが、澤村伊智。
Posted by ブクログ
物語21編が掲載されているホラーショート集で有りまして、一気に読みました。
特に帯裏にも紹介されている最初の「名所」は、たった数ページに極上の驚きと恐怖が詰まっておりまして、非常に怖かったです。
Posted by ブクログ
初めて読む作家さん。他の読書アプリで話題になっていたので、興味を持っていた。ひとつひとつが短いので進みが早い。怪談、というより、都市伝説?みたいに感じた。昔、夢中になって読んだ「新耳袋」を思い出した。
「名所」 なるほど、こうきたか。人間が怖い、というオチだな。
「みぞ」 少し閉所恐怖症のところがあるので、とても怖い。人物入れ替わりについては不思議な感じしかしない。
「せんせいあのね」子どもが純粋っていうのは思い込みだと思う。
「君島くん」洒落怖で有名になった「コトリバコ」に関連した話で、昔は持ち回りで集落で回していたものがあった、という話がちょっと出てきたことがある。そんなことを思い出した。
「保護者各位」この本で一番食いついたのがこの話。間違い探しのように前回との違いを探した。「かにく」がなんなのかは分からないけれど、ブルーノ・マーズとコラボしている「APT」のリズムで「かーにく、かにく」と頭の中で回ってしまった。
「血」怖いというより、エロより。
「かみさまとにんげん」信じる人がいなくなれば神も死ぬのか、と考えてしまう。
「ねぼすけオットセイQ町店301号室のノート」 すべてに意味があるわけではないのだろうけれど、すべてに意味づけを考えてしまいがちなる。
「さきのばし」オチはなんとなく、途中から気づいたけれど、その前まではギャグなのか?と思ってしまった。矢島さんがいい人過ぎる。
「深夜長距離バス」ひょっとしたら実話かも、なんて思える話。
「内見」…いったい誰なんだろう。その意味も含めて怖い。
「満員電車」顔見知りじゃないけれど、顔を知っている関係。体験した人は多いと思う。でもこれは迷惑千万。
「空白」後のほうの話でもあるが、見栄を張る、という話がいくつかある。そして受け入れられないことを記憶から抹消する。哀しい。
「はしのした」えーっと、頭がこんがらがってきた。息子は本当の息子?
「青黒き死の仮面」新郎新婦だけが害されるのだったらいいけど、他の人にも影響与えすぎ。
「通夜の帰り」人には親切にしようと心から思いました。馬鹿にしちゃいけない。
「喫茶店の窓から」自分が見ているものに自信がなくなる、のはこういう時。
「無題」奥さんが無事だったのか、教えて欲しい…
「夢殺」これは、怖い。本人の立場になると、めちゃめちゃ怖い。
「冷たい時間」くみたんの境遇はなんとなく予測できたけれど、ヤノッチとタケル君は予想外。まさかの両方ともクズ。しおりんはどうして死んだ、と聞くが、死にたくなる気持ちは分かるように思う。それでも未練があるんだよなあ。しおりんの特殊能力?は身近な人に働くと辛かろうなあ。
「残された日記」人の不幸せばかり追いかけて嗤っても、自分が幸せになるわけじゃないよなあ。それに気づけないと不幸になる。
ひょっとしたら、分かってないオチがあるのかもしれないけれど、まずまず面白かった。
Posted by ブクログ
幽霊、怪奇現象、人怖、モキュメンタリーなど、様々なホラーの掌編が集められた作品集でした。短いのでサクッと読めます。
今作の中で一番好きだったのは『さきのばし』という話です。
トロくてなかなか言いたいことを言えない肥後ちゃんという女性が出てきます。
肥後ちゃんは、中一のときのテストの採点ミスを先生に言おうとしながら、やっと言えたのが中三の卒業式だった…という、とんでもなくトロい性格です。主人公は最初は肥後ちゃんになんとか親切にしようとしますが、とあるきっかけで、肥後ちゃんのあまりのトロさに怒りが爆発してしまいます。ここまでは、まさにコントのような展開なのですが、油断して笑っていると、ラストに向けて急転直下ホラーになるのです。予想外のラスト。そして、笑いから恐怖へと転落するその落差にゾクっとしました。
Posted by ブクログ
サクッと読める掌編小説集なので、ちょっとした気分転換に読むのに良い。
そして短いけどホラー特有の何とも言えない嫌な感じも有り、本当に飽きずに読めました。
Posted by ブクログ
さまざまなジャンルのホラーを集めた掌編小説集。
掌編集だけあって一つ一つのボリュームはそれほどではありませんが、その分色々な味わいがあっていいですね。
ヒトコワもあれば怪異もあり、多種多様な恐怖を味わえました。
個人的なお気に入りは「通夜の帰り」ですかね。
Posted by ブクログ
程良い程度の怪談を読むことができて良かった。最初の物語の名所は特に面白かった。ショートショートのいい所はスキマ時間でサクッと読めるところ。忙しい人などにも超おすすめです!!さきのばしという短編は最初は本当にホラーなのかと疑いましたが最後はゾクッとしてしましたね。
Posted by ブクログ
怪談だったり、人怖だったり、幽霊と人怖が組み合わさっていたり、はたまた奇妙だったり。
薄気味悪く、狂気を感じる短い話が21話。
一つ一つがダラダラせず端的に纏められているので読みやすかった。
Posted by ブクログ
「名所」こういうテイスト好き
「保護者各位」これも好き。校長がお気の毒ですが・・・
「血」これはいまいちでした
「さきのばし」笑う話?と思ったらそんなはずなかったですね
「深夜長距離バス」後ろのお兄さんどうなっちゃったんでしょう
「満員電車」身近で起こりそうで怖い
「無題」「はしのした」もそうだけど何と入れ替わっちゃった?
Posted by ブクログ
怪談掌編集。「さきのばし」が共感した上に振り回されてうわぁってなる。こんな奴おりそうでそれがまたやだ。あと「満員電車」の共感させといて一気にんな馬鹿なってなる展開、こんな奴おったら嫌すぎる。色んなタイプのゾッとするような短編集って感じ。
Posted by ブクログ
せんせいあのね、さきのばし、冷たい時間は好きだった。
さきのばしはシュールギャグっぽい感じで解説でも触れていたけど世にもみたいな感じ。
中長編の方が好きかな。
Posted by ブクログ
心霊的な怖い話だけかと思ったら、人怖な話もありショートショート集でありながら読み応えはとてもありました。
何話かはオチがどういう事なのかわからない話があり、何度か読み返したりもしましたが結局わからず終いのままなのですが「わからない」という事が不気味さや不安を煽るというオチなのかな...と勝手に解釈しました。
それでも、終始ゾクゾクする話や最後のオチでゾッとする話などが多くてこの季節にはピッタリでした。
特に「みぞ」「せんせいあのね」「君島くん」など序盤に載っていた話が個人的には好きでした。
Posted by ブクログ
※
各話短いのにしっかり怖い。
得体の知れなさや、
なんとも言い表しにくい嫌な感じが
恐怖なんだた痛感。
ーーーーー
名所★
みぞ
せんせいあのね
君島くん
保護者各位
血
かみさまとにんげん
ねぼすけオットセイQ町店301号室のノート
さきのばし
深夜長距離バス
内見★
満員電車
空白
はしのした
青黒き死の仮面
通夜の帰り★
喫茶店の窓から
無題
夢殺
冷たい時間★
残された日記
Posted by ブクログ
平凡な日常の一寸先に潜む闇を描くオカルトホラー掌編集。
◇
小学校高学年らしい少女が友だちを連れてニュータウンに建つマンションの階段を昇っている。このマンション・サンビレッジは自殺の名所として知られ、いろいろなところに住む人が夜間に身投げしに訪れるという。
少女は観光案内のように、人が地面に叩きつけられたときの様子や音を説明しながら、飛び降り地点に選ばれる13階と14階の間の階段踊り場まで昇ってきた。
( 第1話「名所」)※全21話。
* * * * *
実はショートショートにはさほど興味がなくて、星新一さんや阿刀田高さんなどレジェンドと言われる方の作品でもあまり読んで来なかったのだけれど、澤村伊智さんの初ショートショートとあって読む気になりました。
結論から言うと、短すぎるものはやはり物足りなく感じました。かなり綿密に伏線を張り巡らせておいて、きれいに回収していく澤村さんの作風が好きなので、そのように感じるのかも知れません。
21話中おもしろいと思ったのは2つです。
1つ目は第9話「さきのばし」。
オカルトではなくブラックジョーク的な内容で、前半から中盤にかけてコミカルな場面が多くて楽しめました。そして雲行きが怪しくなる終盤に差し掛かり結末の予想もついたのだけれど、 40ページを費やしただけの満足感はありました。
ただ肥後ちゃんは、親密な彼氏が常にいるような女性に見えないので、そのへんの違和感が強く残りました。
2つ目は第18話「無題」。
これは14ページもので、作品中ではやや多め程度のページ数なのですが、なんとなくあの名作『ぼぎわんが、来る』を連想させる作りで、読み終わってうれしくなりました。
ミステリーなどにも活躍の場を広げていらっしゃるようですが、やはり澤村さんにはオカルトホラーがよく似合うと、改めて感じさせてくれる作品でした。