あらすじ
怖いのにおもしろい! 大人気比嘉姉妹シリーズ、短編集第3弾!
◆たなわれしょうき
いじめによって不登校になった中学2年生の翔太は、父の仕事の関係者である野崎昆の滋賀県での取材に同行することに。その土地では鍾馗の像を門柱に置く習俗があり、手が四本あるその独特な鍾馗は「たなわれしょうき」と呼ばれていた。翔太は取材中に不気味な影を目撃し、その夜、物言わぬ影に襲われる。この地には「ナニカ」がいるのだろうか――。
◆火曜夕方の客
比嘉真琴に持ち込まれた相談事。とあるカレー専門店に、毎週火曜日に不思議な客がやってくるという。彼女は1000円札でカレーを二人前買い、一口だけ食べるとすべてを持ち帰るらしい。不思議に思った店主が後をつけると、彼女は墓地の近くで姿を消した。この客の正体は、“幽霊”なのか――。
◆すみせごの贄
ある日「外出する」と言ったまま失踪した高級料亭の元料理長の男。彼の教室に通っていた生徒たちや、アシスタントを務める娘によると、失踪前から奇妙な“予兆”があったらしい。生け垣から覗く不気味な人影、傷つけられた門柱の表札、男が教室で零した「すみせご」という譫言。代理の講師として教室にやってきた一人の女が解き明かす真相とは――。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大好きな比嘉姉妹シリーズ!短編が5編入っていて、どれもじんわり怖く、まとまっていて読み易い。著者の澤村さんが好きな特撮ネタなども盛り込まれていて思わずニヤリとしちゃう。
切なく、後味の悪さの残る絶妙さがとても良いです✨
表題作の「すみせごの贄」は比嘉姉妹出てこなかった?にしても凄く読み易く楽しめました!
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比嘉姉妹シリーズの短編集
安定の恐怖
怖いだけではなくて哀れみや悲しみも
澤村先生の作品はビジュアルでくる
「すみせごの贄」は寒気がした
そしてひらがなのタイトルも恐怖をかき立てる
小学生のとき琴子の同級生だったらしい新キャラのエセ霊媒師、戸栗魅姫の今後の活躍に期待
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口伝や民俗学、フォークロアを日常に落とし込んで
ゾワッとする怖さの演出がほんとにおもしろい
短編集だと読みやすさもあるので、シリーズとして
登場人物がふえてきたなぁ、
時系列はいつなんだろうと想像するのもまた面白く。
琴子さんがだんだん丸くなっている気がするのも
野崎と真琴の影響なのか。
そして、お料理研究家の辻村の話もじわじわきます。
この人シリーズ中いちばん怖いと思います。
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比嘉姉妹シリーズの短編集。
今回は恐怖と言うよりも、ちょっとしんみりする話が詰め込まれていました。救いようがないことでもないけれど、人によっては許せないことをしてしまった人とか、助けを求められなかった人とかが、悪さと言うよりも、死にすがりついている。そんな感じの物語でした。
ぼぎわんやずうのめが『人が結局怖い』などと評されがちだが、今回改めて思った。怪異が認められている世界設定で人間が怖いはありえない。なぜなら怪異そのものは自然現象から外れた超常現象なので、なまじ人の姿をしている怪異は話が通じないからだ。それなのに「人が怖い」と脳死でうそぶくのはやめようぜ、という澤村伊智さんからのメッセージ、今作からも頂きました。
澤村伊智さんの手掛ける比嘉姉妹シリーズは「すみせごの贄」が最新刊です。まだ続編やスピンオフはあると思うので、楽しみです。
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比嘉姉妹シリーズ7作目。
6篇が入った短篇集。
比嘉姉妹と野崎が主役だとしたら準主役はあの人なのではと思うくらい登場する。
そして、推理能力が高いのが面白い。
シリーズ全部読んでしまったので少し寂しいが、次回作を楽しみにして待ちたい。
怖かった
とこよだけは、ばくうどの悪夢の後のお話ですかね。それぞれの短編は時間軸が違うようです。最後のすみせごの贄は怖かった。やはり、辻村さんの霊能力の正体は具現化?個人的には琴子が活躍する話が面白かった。
怖かった・・・
待望の比嘉姉妹シリーズ!
怖かったです。でも、今回は「怖い」より「哀しい」が多いめでした。
今回は短編でした。
5話目の「とこよだけ」では、いつも頼りになる琴子さん登場!この人が出てくると安心しますわ。
でも、気になる事が・・・真琴ちゃん・・・どうしたん?
この話には続きがあるの?
それとも、私が忘れているエピソードが?
次の巻を待てばいいのかな?
心配だわー
雨が降ると…
霊能力者・比嘉姉妹の真琴さんは、その能力を隠す為に、日中は雨の日でないと、出歩かない。
彼女は頼りになる優しい人。
その人が、雨が降ると動き出す。
雨が降ると…
イヤな事が起こる場合がある…
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6つの短編集
これが現時点で最新で琴子は未だ眠り続けてます
短編は時系列がわからないので内容からいつ頃なのか推察するのだけど…難しい
まんまと騙される話もあり、琴子が祓う話ありで相変わらずバラエティにとんだ短編集でした
「火曜夕方の客」はとても悲しいホラー(゚´Д`゚)゚。
「戸栗魅姫の仕事」インチキ霊能者の魅姫は琴子の小学校のクラスメイトで今後も登場する予感笑
タイトルの「すみせごの贄」はまたお前か!
辻村ゆかり!!お前は金田一か!!
不幸を嗅ぎつけるのか連れてくるのか…ゆかりが謎すぎる(꒪⌓︎꒪)
次は長編待ってますよ〜早く真琴を目覚めさせてくださいね:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。
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短編集であるが登場人物は過去作品の人々なのでなかなかユニバース感が出てきてファンとしては嬉しい限り。カレー屋の話は昔の怪談を現代風にアレンジした要素もあり楽しめる。表題作はあまり印象に残らなかった・・・。
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比賀姉妹シリーズの短編集。
短編なのでストーリーの重厚さはあまりないけれど、色々な面白さがある一冊だった。
後味がすっきりしているものもあり、じっとりと嫌な感覚が続くものもあり。どの話がどうとはいえないけれど、それぞれなかなか面白かったなぁと思う。
一番インパクトが強かったのはタイトルの「すみせごの贄」かなぁ。りーたんが出てきた時点でもう嫌な予感がするよね……
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短編集。
戸栗魅姫の仕事は最後の最後まで琴子さんを思い出せずに終わってしまったな。
琴子さんはなぜ彼女のYouTubeを観てたんだろうと気なる。
火曜夕方の客は悲しすぎるし、くろがねのわざも複雑な気持ちになる話だった。
どうにかして真相を暴きたい、その理由が偉そうな特オタを黙らせるためってのが浅くて残念
とこよだけで真琴が意識不明で入院してることが分かったけど、何があった...?
長編の方でその辺りの話あったかな??
すみせごではまたゆかりさんが場を引っ掻き回すし、彼女の洞察力本当にどうなっているのか。
Posted by ブクログ
オムニバス形式だけれど、比嘉姉妹、野崎大活躍で読みやすい。
どれを取っても「え?」って思う捻りが効いててすんごい読みやすい。
最初の1本目の子供を連れてくやつとか、長編で読みたいし、怖かった。手が裂けられてる銅像の話。澤村さんの民族ホラーはやっぱおもろい。ちょっと後味悪いのも良い!
あと、火曜にカレー屋さん来るやつも女性幽霊だと思ってたらネグレクトで死んでしまった子供達の霊だったっていうの、すんごい切なくて良い!
毎回、野崎も比嘉も体調崩しすぎてて。
ただし、がっつり長編を読みたくなるのも事実ではある。
Posted by ブクログ
表紙の造形制作萬歳淑氏。この個性は凄いなぁ。。
6つの短編。
今回は割と謎が解けてわかりやすい話が多いような。。
真琴さん、どうなるだろう?琴子はどういう心理状況の中過ごしているのだろう。
そして野崎氏は本当、生き残る。。
たなわれしょうき
→ラスト、まさかの。。言霊ってあるんだろうなぁ。。
戸栗魅姫の仕事
→琴子の知り合い登場。女の子、ホントにどっちだったのだろう??でも彼女でないとその最期ではなかったので、お払いってある意味一期一会なのだなぁ。。
火曜夕方の客
→真相の題材が辛い。。 店主のその後がリアル。。
『被虐待児は虐待されている自覚がない。あったとしても隠そうとする。往々にして親に口止めされているか、そうでなくても自分に不当な罪悪感を抱いているからだ。』
『子育て幽霊の事を「リアルじゃない」と批判していたのを思い出した。今回の件はその点で実にリアルだが、だから何だというのだろう。辻褄が合う事の何が素晴らしいのだろう。』
くろがねのわざ
→芸術家の最期の心境がわからないなぁ。。女優もどうなったのだろう。 未練があっても、または残したいものがあっても、霊として実行できるのってオリンピック選手みたいに一握りの人間だったりするのだろうか。。
とこよだけ
→時系列が気になりつつ読み進める。そして現在の真琴の状況を知る。。
いじりといじめの絶妙な、という表現。自分ってどういう存在だっただろう?いじりがエスカレートしていなかっただろうか。。
いじめられている子がタッグを組めばひとりぼっちじゃない、というのは机上の空論なのだろな。。
すみせごの贄
→タイトルの短編。だが主人公は例の彼女で、もう最期を迎えているが、よく登場するなぁ。。
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世界観
比嘉姉妹シリーズ。
このシリーズは謎プラス怪異というのが魅力だが、本短編集はどちらかというと謎よりも怪異のほうが強めのような気がした。
テーマ
比嘉姉妹シリーズに共通しているが、ただ怪異を描くだけでなく、そこに謎を取り入れて、なぜ怪異が発生しているのか、というところをミステリー仕立てにしている。
そのため、モヤモヤ感は少なく、どの短編も、割とスッキリした読後感となっている(あくまで読後感だけで、ストーリー自体はホラー故に暗いものとなっている)。
感想
シリーズものではあるが、本短編集は、比嘉姉妹を中心としたキャラクター重視というよりは、あくまで描かれているのはホラー小説であり、比嘉姉妹はそこに付随するオプションという感じ。
そのため、比嘉姉妹や野崎の登場回数はそこまで多くないような気がする。
個人的には比嘉琴子が好きなため、多く登場してほしいと思ってしまうが、しかしそれはそれでマンネリ化してしまうかもしれない。
そう考えると、本作は、キャラクター頼りではなく、一つのホラー小説として成立しているとも言えるだろう。
個人的なお気に入りは『戸栗魅姫の仕事』。
嘘つきがテーマの短編だが、ホラー要素だけでなく、最後のオチまで自分好みのストーリー展開であり、読後感も満足できるものだった。
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ホラー作家・澤村伊智による比嘉姉妹シリーズ8冊目は、『などらきの首』、『ぜんしゅの跫』に続く短編集第3弾。
収録されているのは、「たなわれしょうき」、「戸栗魅姫の仕事」、「火曜夕方の客」、「くろがねのわざ」、「とこよだけ」、「すみせごの贄」の6編。
難解さはない、ある意味オーソドックスなホラー短編集。オーソドックスではあるが、短い尺の中で読者を「はっ」とさせるような意外性が上手に組み込まれており、流石の澤村伊智といったところ。個人的には、比嘉姉妹シリーズの既刊短編集の中で一番楽しめた。
表題作「すみせごの贄」では、料理研究家の辻村ゆかりが再登場しているが・・・どんなキャラだったか忘れてしまっている!『ずうのめ人形』、もう一回読まないといけないなぁ。。。
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風変わりな瓦を門柱に置く風習ーたなわれしょうき
迷って迷って出られないー戸栗魅姫の仕事
毎週現れる不審な女ー火曜夕方の客
褒めると頭が痛くなる映画ーくろがねのわざ
その島に行ったら戻れないーとこよだけ
料理教室の講師である父が消えたーすみせごの贄
比嘉姉妹シリーズ7弾!
5弾6弾すっとばして7弾にいきましたが短編読みきりなので問題なし(と言いたいところですが何やら変化があった模様でした)
一番おもしろかったのは「すみせごの贄」でした
行いの良くない人が悪いのか、人でないものが悪さをしているのか くるくる様相がかわったりして飽きない。
ホラーは自分を戒めるものとしてわたしにとって必要なもの。こういう理屈でないなにかも受け入れつつ人間の非道さも認めてるのがいいなーって思います。
比嘉姉妹シリーズしか読んでませんが、完全なる傍観者として読んでいられる淡々とした描写のおかげで苦しくならずに読めるホラーです。
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出たら直ちに読みたいシリーズなのに、半年以上も出版に気づかなかったとはなんたる不覚。
気持ち悪くないですか、この表紙の絵。粒々ぶつぶつ、それだけで怖さが増すよと思いながら頁を開く。
もとはホラーが苦手な私にはちょうど良いおぞましさで、時には切なくもある澤村さんの話が好きです。
本作では特に「火曜夕方の客」が悲しくて、ネグレクトを受けていた子どもたちのことを思うと居たたまれず。
「たなわれしょうき」を読み終わった直後に「鍾馗」という名前のラーメン屋の前を通過し、その偶然にちょっとドキッとしました。
短編もいいけれど、そろそろ長編をお願いします。
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比嘉姉妹シリーズ、短編集。
シリーズを読んでいなくても楽しめる作品もあるけれど、読んでいないとわかりにくい作品もある。
シリーズに登場人物が被るため。
辻村ゆかりとは『ずうのめ人形』の重要キャラだったはず。。
『ずうのめ人形』を再読してみたくなった。
強さ系統は作者も言及されている通り『リング』です。
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「たなわれしょうき」がいい塩梅に怖くてよかったです。「とこよだけ」で真琴の現状が語られましたが、何があったか知りたいなと思いました。まだ読んでいない作品があるのかな。
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霊能者姉妹の比嘉琴子と真琴、そして真琴の夫である野崎昆が関わる怪異を描くオカルトホラー短編集。シリーズ8作目。
◇
林に囲まれた広い空き地まで来て車は停まった。
助手席から降り7月の強い日差しに眉をしかめていると、運転席から出てきた野崎さんに「半ドアだよ」と注意された。慌ててドアを締め直した僕は不機嫌そうに煙草を吸う野崎さん見て、やっぱり迷惑だったのかと胸が痛んだ。
僕は中学校に上がってすぐ、いじめにあった。9ヶ月間がんばったものの、とうとう耐えられなくなった僕は、もう学校には行きたくないと両親に打ち明けた。
叱られたり嘆かれたりするだろうという僕の予想に反し、両親の反応は優しく理解あるものだった。こうして中1の3学期から中2の今まで、僕は不登校を続けている。
最初は外に出ることに恐怖を感じてしまい引きこもり状態だったけど、室内でできることに飽きた頃を見計らって父が連れ出してくれるようになった。
渓流釣りを楽しみ印刷工場で書籍が出来上がる過程を見学しと、知らなかった世界を見せてもらった僕は、少しずつ胸のつかえが取れていく気がした。
そして夏を迎えたある日、父の勤める出版社を見学させてもらっていたときに偶然出会ったのが、フリーライターの野崎さんという人だ。ちょうど滋賀県に取材旅行に行くという野崎さんに、父は僕の同行を頼んでくれたのだった。
こうして僕は今、野崎さんと2人で滋賀県T町を訪れているのである。
僕たちは到着早々から、この過疎化が進む山村で「たなわれしょうき」について取材するうちに……。
( 第1話「たなわれしょうき」) ※全6話。
* * * * *
怪異現象について、その因果が解き明かされ解決して終わるもの、因果は判明するものの事態は解決しないもの、因果もよくわからず事態も手つかずのものと、話のパターンがいろいろあっておもしろかった。
もっとも印象に残ったのは第1話「たなわれしょうき」で、「鍾馗様」が魔除けとして瓦や門飾りとして作られることになった因縁をうまく取り込んだ展開が、とても興味深いものでした。
そして不登校中学生の翔太や野崎が襲われるという事件は、野崎の仕事ぶりを妬む人間が起こしたものだった代わりに、終盤にゾワッとするオカルトシーンが……。
この場には比嘉姉妹がいないので仕方ないのでしょうが、この怪異が手つかずで残ることになったのが怖い。鍾馗様の魔除けの焼き物は実際に多賀町の伝統工芸品なので訪れてみたいと思うものの、ちょっと尻込みしてしまいます。 ( 鍾馗様の根付でも身につけていけばいいかな……。)
その他では、
第2話「戸栗魅姫の仕事」 ( 比嘉琴子もの )、第3話「火曜夕方の客」( 比嘉真琴もの )
も印象的です。
この2話は、きれいに解決して怪異も収まるというメデタシメデタシパターンなので、安心して読み終えました。
逆に第4話から第6話については何も解決せず、スッキリしない気持ちだけ残っています。
特に第4話「くろがねのわざ」は因果が全くわからないうえ、その後の展開の予想すらつかないため消化不良です。
最後に、第6話「すみせごの贄」について触れておきます。
事件の謎解きに登場するのは比嘉姉妹でも野崎でもなく、なんと辻村ゆかりです。
時系列で言えば、この表題作は『ずうのめ人形』終盤以前の出来事を描いたものと捉えていいのでしょうか。まさか死んではいなかったなんてことはないですよね。 ( そうだとすれば余計に恐ろしい……。)
それにしても、ゆかりは何のために事件に首を突っ込んできたのか、もうひとつ理解できません。でもそれだけにラストの惨劇 ( の予感 ) が不穏で、却って怖かった。
ともあれ、さすが澤村さんです。6話ともゾクゾクしながら楽しめました。
Posted by ブクログ
澤村さんのはだんだんわかってきたのでどこで反転するのか考える癖がついてきた。今回は短編なので予測しやすい。ドロリとした終わりが少なめなのがちょっと残念だった。
Posted by ブクログ
いずれも雑誌『怪と幽』に掲載された短編。シリーズのレギュラー陣が顔を出す場面もありつつ、毎回テーマや切り口を変えて別の側面からのホラーが描かれる。民俗信仰、社会問題、異界の幻想など、多彩な恐怖が凝縮されています。
「たなわれしょうき」
土俗に絡めた怪異とヒトコワが交錯。オカルトライター・野崎が登場し、関西で屋根に祀られる魔除け「鐘馗(しょうき)さん」の習俗が題材となる。嘘を嫌う鐘馗の設定が効いているが、結末は不条理に切り落とされ、不気味な余韻を残す。
「戸栗魅姫の仕事」
迷路のように増改築を重ねた旅館が舞台。今では建築基準法や消防法の規制で少なくなったが、昔は実際に「新館と旧館の繋ぎ目で迷う宿」がありました。今もあるのかしら?
そうした空間の不安を土台に怪異が広がっていく。シリーズおなじみの華子さんも登場。
「火曜夕方の客」
火曜の夕方にだけ現れる、カレー屋の奇妙な客。真琴と野崎がその儚い足跡を追い、ようやく辿り着く、哀しさと切なさに満ちた怪異譚、でありながら、社会問題の影も織り込み、静かな訴えを含んでいる。
「くろがねのわざ」
映画制作現場での秘密裏の撮影をめぐる一編。その“秘密”のために怪異が続く。ここにあるのは怨念ではなく、プロとしての矜持と執着が形を変えて現れたもの。
「とこよだけ」
「常世茸」と理解して良いと思う。
常世の胞子を撒き散らすのか、それに触れた者に幻想を見せるのか―その正体は曖昧なまま。不思議な島や山村に迷い込んだら、決して口にしてはならないと感じさせる一編。
「すみせごの贄」
表題作。贄のごとく、父親の配下にいた娘。彼女は父親の支配から脱却を試みるが、果たして逃れられるのか―。民俗儀礼と家族の呪縛が重なり、読後に強い余韻を残す一編。
Posted by ブクログ
やはり中編より短編の方が分かりやすく怖いし、話がまとまっているように感じた。その分長編でじっくり読みたい熱も高まったけれど。
時系列が行ったり来たりしているのか。今比嘉姉妹ってどうなっているんだっけか?
Posted by ブクログ
どんだけ怖い話持ってるの?
今回は5つの短編集でしたね!
民族、嘘、子供、茸、辻村。
今回も様々な世界を味わいましたが
個人的にインパクトはそれほど感じなかったのが
正直な感想です、ただ面白い作品はありました。
"戸栗魅姫の仕事"
何もしらないから"悪意"なく、ポロポロと。。
同じ境遇だった波多野さんが成功していくお話。
そこそこにヒューマンを感じてしまい、その先を
見続けたくなりますね。
"火曜夕方の客"
これは切ない。
「幽霊であって欲しかった」と思えてしまう。
しかし、人間の目もごまかせる程の精工な幽霊。
リアルな目線で見ると「気づくでしょ(笑)」って
読んでて思いましたし、奇妙なバランスで行動するから。。
だけど、最後のオチをそこに持っていく?
昼休憩中に読んでましたが、箸が止まった。
"とこよだけ"
僕の耳元で「ばくうどの悪夢」って囁いている!
やめろ!やめてくれぇ!まだ読んでいないのだぁぁ!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
"すみせごの贄"
天与呪縛・辻村。出オチが凄い。
澤村先生、長編作品を待っております!
短編集が得意かもしれないですが、
僕はいつまでも待ちますよ!
Posted by ブクログ
短編6つを収録。どの話もサクッと読めてサクッと怖くて面白い。はじめの「たなわれしょうき」が想像するに中々不気味なビジュアルが怖かった。掌が割れるって。。あと「火曜夕方の客」もカレー屋に通う幽霊って不思議だなぁと思いつつも、その存在に納得できるラストで結構好きだった。
ただ、全体的に面白かったけど、やっぱり長編の方が好きだなあ。待ってます。
Posted by ブクログ
たなわれしょうき
野崎がガッツリ出てきて嬉しかったし野崎まじかっこいい、、
たなわれしょうきのビジュ怖すぎでしょ。流石すぎる
戸栗魅姫の仕事
迷い込んで出れない系。嘘つきってこわい
火曜夕方の客
めちゃくちゃ切ない話すぎた
くろがねのわざ
野崎は売れっ子ライターなんだ
とこよだけ
相変わらず怪異のビジュ表現がエグすぎて怖い!
野崎が無事でほんとに良かったけど、やっぱり真琴は寝たきり状態なのか、、辛すぎる何があったんだろう
すみせごの贄
みんなが鈴菜を落として貶す様子があまりにすぎて、、
またも辻村ゆかり登場。辻村ゆかりは嫌いだけど嫌いになりきれないとこがある、、
解像度が上がる
今まではそんなこと無かったのに、全体的に検索しないと分からない常用されない言葉がしばしばだった
Posted by ブクログ
「たなわれしょうき」と「戸栗魅姫の仕事」が面白かった。後者は「怪と幽」に掲載されていたのを読んでいた。琴子が出てくると安心感がすごい。琴子にはできないけどインチキ霊能者にしかできないことがある理由を上手く落とし込んでいると思う。
「火曜夕方の客」はなんとなく予想できる展開だったので可もなく不可もなく…「くろがねのわざ」は現実感なくて微妙。霊とか怪異とかで怖いと思うのは「本当にありそうな理由があってこういう現象が起きている」ということなのでそれがなかった。自殺した人の理由に共感できなかっただけかもしれない。
この本を読む前にすみせごを検索すると「真琴 死亡」って出てきて恐々読み始めたのだけど、真琴まだ死んでないよね…?ばくうど以降は眠ってるだけだよね?
「とこよだけ」で最後に琴子が言っていた「もうあっちに行ってしまった(うろ覚え)」っていうのは藤井さんのことだよね…?と思っているのだがどうなんだろう。野崎の反応もそこまで落ち込んでいるようには思えなかったんだけどな。というか真琴と野崎がいないとこのシリーズは成り立たないので死んでないと思っているよ…頼む…
最後の最後にまた出たよりーたん。くふふ笑いやめろ!!六道骸かお前は!!(ならどきの「悲鳴」読んでて同じこと思ってた)
過去の自分と同じ境遇の人を見抜いてしまうのは流石だが、余計なことに首を突っ込みすぎる。哀れに思うなら他にできることがあるだろうが。その結果親子共々りーたんの言霊から生まれた怪異にやられてしまうんだから本当にどうしようもない奴だ。
終わり方に澤村ホラーらしさがあってそれは良かった。早くずうのめに行ってくれと思ってしまうくらいには多分りーたんが好きじゃないんだな。クズ役としてはこの上ないからそれはそれとしていいキャラだとは思うけど。
やっぱり長編で読みたいな…
Posted by ブクログ
姉妹シリーズの短編集。
姉妹も出てくるけれど以前のキャラクターそれぞれ登場の感が強い。
ホラー感は薄くミステリー色の強さを感じる。ただ最後の1行があることでホラーへと連れ戻された。嫌な想像とまではいかない予感ぐらいのものをふっと湧かせることはやはりうまい。
好きなのはとこよだけとすみせごの贄。
とこよだけの何故にひらがな?の違和感と会話の噛み合わなさからくる気持ちの悪さから湧き上がる怖さへと移り変わりは気持ちよささへある。
すみせごの狭いグループの中でのヒエラルキーと丁寧な口調での悪口、昔話と現実がジッパーのように噛み合い破裂するのはこの作者の持ち味で大好き。
Posted by ブクログ
オカルトライターの野崎と、比嘉姉妹が出てくる短編集。
1話目の「たなわれしょうき」がいちばん怖かった。ある地方に伝わる昔話、善良な村人が、文字にするのを躊躇うほどの理不尽な目に遭った‥その怨念が、村人を1人ずつ呪い殺していく。野崎の同業者が犠牲になり、特に解決せずに話が終わってしまい、私はドキドキ感を残したまま、読み進めていく。
しばらくは、まあ怖いけど普通かな、と、おやつを食べながらのほほんと読んでいく。最後から2つ目の「とこよだけ」は、無人島で幻影を見てしまう話。野崎は危機一髪のところを琴子に救われるのだけど、一緒に無人島に来たと思っていた真琴が幻影だったとは!(野崎は自覚してた。読者が騙されていた!)しかも真琴は入院しているらしい。
野崎に同行を頼んだ先輩ライターが幻影に捕まり、体が朽ちていく描写が恐ろしかった。
最後の、表題作である「すみせごの贄」。
野崎も比嘉姉妹も出てこなくて、料理研究家の辻村ゆかりなる人物が、謎解きをする。この人を私は知らなくて、読んでない話に出てきたのかな〜?覚えてないだけ??まあ、仕方ない。
話は、元高級料亭の料理長である父親に屈託を抱える娘が、父親を失踪したように見せかけて自宅地下に監禁。ところが、ただの言い伝えだと思っていた怪異に、父親は喰われていた。そして娘も‥。最後の、地下室のハッチがバタンと閉まる描写、なんとなく予想はしてても、やっぱりコワイ。ふう、とため息をついて読み終わった。
この短編集は、コワイ度で言えば濃淡はあったので、評価は星3つ。澤村伊智には、どうしても期待してしまうので。