あらすじ
怖いのにおもしろい! 大人気比嘉姉妹シリーズ、短編集第3弾!
◆たなわれしょうき
いじめによって不登校になった中学2年生の翔太は、父の仕事の関係者である野崎昆の滋賀県での取材に同行することに。その土地では鍾馗の像を門柱に置く習俗があり、手が四本あるその独特な鍾馗は「たなわれしょうき」と呼ばれていた。翔太は取材中に不気味な影を目撃し、その夜、物言わぬ影に襲われる。この地には「ナニカ」がいるのだろうか――。
◆火曜夕方の客
比嘉真琴に持ち込まれた相談事。とあるカレー専門店に、毎週火曜日に不思議な客がやってくるという。彼女は1000円札でカレーを二人前買い、一口だけ食べるとすべてを持ち帰るらしい。不思議に思った店主が後をつけると、彼女は墓地の近くで姿を消した。この客の正体は、“幽霊”なのか――。
◆すみせごの贄
ある日「外出する」と言ったまま失踪した高級料亭の元料理長の男。彼の教室に通っていた生徒たちや、アシスタントを務める娘によると、失踪前から奇妙な“予兆”があったらしい。生け垣から覗く不気味な人影、傷つけられた門柱の表札、男が教室で零した「すみせご」という譫言。代理の講師として教室にやってきた一人の女が解き明かす真相とは――。
感情タグBEST3
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怖かった・・・
待望の比嘉姉妹シリーズ!
怖かったです。でも、今回は「怖い」より「哀しい」が多いめでした。
今回は短編でした。
5話目の「とこよだけ」では、いつも頼りになる琴子さん登場!この人が出てくると安心しますわ。
でも、気になる事が・・・真琴ちゃん・・・どうしたん?
この話には続きがあるの?
それとも、私が忘れているエピソードが?
次の巻を待てばいいのかな?
心配だわー
Posted by ブクログ
短編集。
戸栗魅姫の仕事は最後の最後まで琴子さんを思い出せずに終わってしまったな。
琴子さんはなぜ彼女のYouTubeを観てたんだろうと気なる。
火曜夕方の客は悲しすぎるし、くろがねのわざも複雑な気持ちになる話だった。
どうにかして真相を暴きたい、その理由が偉そうな特オタを黙らせるためってのが浅くて残念
とこよだけで真琴が意識不明で入院してることが分かったけど、何があった...?
長編の方でその辺りの話あったかな??
すみせごではまたゆかりさんが場を引っ掻き回すし、彼女の洞察力本当にどうなっているのか。
Posted by ブクログ
オムニバス形式だけれど、比嘉姉妹、野崎大活躍で読みやすい。
どれを取っても「え?」って思う捻りが効いててすんごい読みやすい。
最初の1本目の子供を連れてくやつとか、長編で読みたいし、怖かった。手が裂けられてる銅像の話。澤村さんの民族ホラーはやっぱおもろい。ちょっと後味悪いのも良い!
あと、火曜にカレー屋さん来るやつも女性幽霊だと思ってたらネグレクトで死んでしまった子供達の霊だったっていうの、すんごい切なくて良い!
毎回、野崎も比嘉も体調崩しすぎてて。
ただし、がっつり長編を読みたくなるのも事実ではある。
Posted by ブクログ
表紙の造形制作萬歳淑氏。この個性は凄いなぁ。。
6つの短編。
今回は割と謎が解けてわかりやすい話が多いような。。
真琴さん、どうなるだろう?琴子はどういう心理状況の中過ごしているのだろう。
そして野崎氏は本当、生き残る。。
たなわれしょうき
→ラスト、まさかの。。言霊ってあるんだろうなぁ。。
戸栗魅姫の仕事
→琴子の知り合い登場。女の子、ホントにどっちだったのだろう??でも彼女でないとその最期ではなかったので、お払いってある意味一期一会なのだなぁ。。
火曜夕方の客
→真相の題材が辛い。。 店主のその後がリアル。。
『被虐待児は虐待されている自覚がない。あったとしても隠そうとする。往々にして親に口止めされているか、そうでなくても自分に不当な罪悪感を抱いているからだ。』
『子育て幽霊の事を「リアルじゃない」と批判していたのを思い出した。今回の件はその点で実にリアルだが、だから何だというのだろう。辻褄が合う事の何が素晴らしいのだろう。』
くろがねのわざ
→芸術家の最期の心境がわからないなぁ。。女優もどうなったのだろう。 未練があっても、または残したいものがあっても、霊として実行できるのってオリンピック選手みたいに一握りの人間だったりするのだろうか。。
とこよだけ
→時系列が気になりつつ読み進める。そして現在の真琴の状況を知る。。
いじりといじめの絶妙な、という表現。自分ってどういう存在だっただろう?いじりがエスカレートしていなかっただろうか。。
いじめられている子がタッグを組めばひとりぼっちじゃない、というのは机上の空論なのだろな。。
すみせごの贄
→タイトルの短編。だが主人公は例の彼女で、もう最期を迎えているが、よく登場するなぁ。。
Posted by ブクログ
出たら直ちに読みたいシリーズなのに、半年以上も出版に気づかなかったとはなんたる不覚。
気持ち悪くないですか、この表紙の絵。粒々ぶつぶつ、それだけで怖さが増すよと思いながら頁を開く。
もとはホラーが苦手な私にはちょうど良いおぞましさで、時には切なくもある澤村さんの話が好きです。
本作では特に「火曜夕方の客」が悲しくて、ネグレクトを受けていた子どもたちのことを思うと居たたまれず。
「たなわれしょうき」を読み終わった直後に「鍾馗」という名前のラーメン屋の前を通過し、その偶然にちょっとドキッとしました。
短編もいいけれど、そろそろ長編をお願いします。
Posted by ブクログ
いずれも雑誌『怪と幽』に掲載された短編。シリーズのレギュラー陣が顔を出す場面もありつつ、毎回テーマや切り口を変えて別の側面からのホラーが描かれる。民俗信仰、社会問題、異界の幻想など、多彩な恐怖が凝縮されています。
「たなわれしょうき」
土俗に絡めた怪異とヒトコワが交錯。オカルトライター・野崎が登場し、関西で屋根に祀られる魔除け「鐘馗(しょうき)さん」の習俗が題材となる。嘘を嫌う鐘馗の設定が効いているが、結末は不条理に切り落とされ、不気味な余韻を残す。
「戸栗魅姫の仕事」
迷路のように増改築を重ねた旅館が舞台。今では建築基準法や消防法の規制で少なくなったが、昔は実際に「新館と旧館の繋ぎ目で迷う宿」がありました。今もあるのかしら?
そうした空間の不安を土台に怪異が広がっていく。シリーズおなじみの華子さんも登場。
「火曜夕方の客」
火曜の夕方にだけ現れる、カレー屋の奇妙な客。真琴と野崎がその儚い足跡を追い、ようやく辿り着く、哀しさと切なさに満ちた怪異譚、でありながら、社会問題の影も織り込み、静かな訴えを含んでいる。
「くろがねのわざ」
映画制作現場での秘密裏の撮影をめぐる一編。その“秘密”のために怪異が続く。ここにあるのは怨念ではなく、プロとしての矜持と執着が形を変えて現れたもの。
「とこよだけ」
「常世茸」と理解して良いと思う。
常世の胞子を撒き散らすのか、それに触れた者に幻想を見せるのか―その正体は曖昧なまま。不思議な島や山村に迷い込んだら、決して口にしてはならないと感じさせる一編。
「すみせごの贄」
表題作。贄のごとく、父親の配下にいた娘。彼女は父親の支配から脱却を試みるが、果たして逃れられるのか―。民俗儀礼と家族の呪縛が重なり、読後に強い余韻を残す一編。
Posted by ブクログ
「たなわれしょうき」と「戸栗魅姫の仕事」が面白かった。後者は「怪と幽」に掲載されていたのを読んでいた。琴子が出てくると安心感がすごい。琴子にはできないけどインチキ霊能者にしかできないことがある理由を上手く落とし込んでいると思う。
「火曜夕方の客」はなんとなく予想できる展開だったので可もなく不可もなく…「くろがねのわざ」は現実感なくて微妙。霊とか怪異とかで怖いと思うのは「本当にありそうな理由があってこういう現象が起きている」ということなのでそれがなかった。自殺した人の理由に共感できなかっただけかもしれない。
この本を読む前にすみせごを検索すると「真琴 死亡」って出てきて恐々読み始めたのだけど、真琴まだ死んでないよね…?ばくうど以降は眠ってるだけだよね?
「とこよだけ」で最後に琴子が言っていた「もうあっちに行ってしまった(うろ覚え)」っていうのは藤井さんのことだよね…?と思っているのだがどうなんだろう。野崎の反応もそこまで落ち込んでいるようには思えなかったんだけどな。というか真琴と野崎がいないとこのシリーズは成り立たないので死んでないと思っているよ…頼む…
最後の最後にまた出たよりーたん。くふふ笑いやめろ!!六道骸かお前は!!(ならどきの「悲鳴」読んでて同じこと思ってた)
過去の自分と同じ境遇の人を見抜いてしまうのは流石だが、余計なことに首を突っ込みすぎる。哀れに思うなら他にできることがあるだろうが。その結果親子共々りーたんの言霊から生まれた怪異にやられてしまうんだから本当にどうしようもない奴だ。
終わり方に澤村ホラーらしさがあってそれは良かった。早くずうのめに行ってくれと思ってしまうくらいには多分りーたんが好きじゃないんだな。クズ役としてはこの上ないからそれはそれとしていいキャラだとは思うけど。
やっぱり長編で読みたいな…
Posted by ブクログ
オカルトライターの野崎と、比嘉姉妹が出てくる短編集。
1話目の「たなわれしょうき」がいちばん怖かった。ある地方に伝わる昔話、善良な村人が、文字にするのを躊躇うほどの理不尽な目に遭った‥その怨念が、村人を1人ずつ呪い殺していく。野崎の同業者が犠牲になり、特に解決せずに話が終わってしまい、私はドキドキ感を残したまま、読み進めていく。
しばらくは、まあ怖いけど普通かな、と、おやつを食べながらのほほんと読んでいく。最後から2つ目の「とこよだけ」は、無人島で幻影を見てしまう話。野崎は危機一髪のところを琴子に救われるのだけど、一緒に無人島に来たと思っていた真琴が幻影だったとは!(野崎は自覚してた。読者が騙されていた!)しかも真琴は入院しているらしい。
野崎に同行を頼んだ先輩ライターが幻影に捕まり、体が朽ちていく描写が恐ろしかった。
最後の、表題作である「すみせごの贄」。
野崎も比嘉姉妹も出てこなくて、料理研究家の辻村ゆかりなる人物が、謎解きをする。この人を私は知らなくて、読んでない話に出てきたのかな〜?覚えてないだけ??まあ、仕方ない。
話は、元高級料亭の料理長である父親に屈託を抱える娘が、父親を失踪したように見せかけて自宅地下に監禁。ところが、ただの言い伝えだと思っていた怪異に、父親は喰われていた。そして娘も‥。最後の、地下室のハッチがバタンと閉まる描写、なんとなく予想はしてても、やっぱりコワイ。ふう、とため息をついて読み終わった。
この短編集は、コワイ度で言えば濃淡はあったので、評価は星3つ。澤村伊智には、どうしても期待してしまうので。