島本理生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
島本さんの作品って私が読んだ中では日常がキラキラしてる光のような作品が多いけど、たまに人間の本質に目を向けたどこか危うい闇のような作品がある。
今回は後者だったけど、少し自分の生い立ちや抱えてる闇とリンクするところがあってすごく考えさせられた。
幼少期の経験、親の人柄ってその人の人格形成に大きく関わるってのは分かってて。それが春にとって闇を生み出してた。それを認めること、向き合うこと、知ることってすごく必要なんだな。
私は常にいい子でいたい。幼いときからのその感情がずっと消えない。だから他人の顔色を伺いすぎるし自分の思いなんて押し殺しちゃう。
何を言っても自分の意見が罷り通らない環境で自分の -
Posted by ブクログ
思うまま、自分の意思だけを通して生きることは難しい。というか、ほとんどの人は不可能だと思う。
自分の選択が、誰かの人生にも影響を与えてしまうことも、多々あるから。
大人のままならない感情や恋愛を綴った6篇の短篇集。作品の登場人物が共通している連作めいた要素もあり。
「罪悪感」って時にとても便利でずるい感情で、それを持つことによって、自分がしていることが多少赦されるのではないかという思いが無意識の片隅にあったりする。
不倫しながら「パートナーには悪いと思ってるんだけど」などと言う。
知られないように配慮するのは、けして「罪悪感」が痛むから、ではない。自分にとって都合が悪いからだ。
愛情が伴 -
Posted by ブクログ
この物語の主人公の葵は、なかなか厄介だ。男には頼りたくないと思いながらも恋をしやすく、女臭くはないタイプだけど男を惹きつけやすい。
ワインバーを営んでいた母が突然事故死してから、葵の生活は一変する。遺された店を継ぐのか、そして同棲しているのに会話をすることもなくなった引きこもりの恋人との関係はどうするのか。
というスタート。
強く決意して進んでいくというよりは、流れに身を委ねつつ、ある程度ドライに物事を決めていく、葵はおそらくそういう女性。
だからこそ恋愛にも男にもそれほど執着はしないのだけど(むしろ男から執着されやすい)恋愛をしないと決めている様子もなく、さらりと流れるように恋愛を重ねてい -
Posted by ブクログ
愛とは〇〇だと明確にわかればいいのにと思っていた頃があった。
今は不明確だからこそ自分で育てていかないといけない感情なんだと思ってる。
来年、5年後にはまた変わってるのかもしれないけど。
激情の関係にも、
静かな関係にも、
自分本位に伝えてしまった日も、
ぴたりと会う人に出会えたときも、
その時々で愛はあったけれど
誰とどんな自分を重ねてゴールを見つけたいのかを考えたら
平気でサヨナラできる関係もあった。
結婚(異性愛)が一番わかりやすい。
この人だと決めて選んだ最善の道だったのに、
うまくいかないことなんてよくあること。
どの物語にも共通してるのは、
結局は自分自身を育てるしかないっ -
Posted by ブクログ
風光る
真琴と一緒に住んでた哲。哲との別れる直前の話。
七月の通り雨
大学の劇団でひとめぼれされた佐伯瑛子。相手にそっけない。
青い夜、緑のフェンス
プニプニの針谷と可愛い一紗。漫才みたいな掛け合い。
夏の終わる部屋
他人に執着しない長月くん。付き合った彼女との出会いから別れ。
屋根裏から海へ
真琴の元カレ加納くん。家庭教師の教え子の姉との関わり。
新しい旅の終わりに
昔付き合ってた2人で旅行。男女の関係になるのか!?
夏めく日
女子高生だった「佐伯瑛子」。転勤する前の男性教諭とのやり取り。
島本理生さんの作品にしては、ポップな感じがしたなー!!
「青い夜、緑のフェンス」がいつ -
Posted by ブクログ
良くも悪くもコンプレックスとかって、他人に気付かされるものなんだなと思った。
この本に出てくる女性は、生まれつき顔にアザがあり授業中に同級生からそのアザをみて、琵琶湖そっくりだと言われる。それを聞いた先生が、何でひどいことを言うんだと怒りみんな謝る。彼女にとってそれまで何とも思ってなかったアザが、これは恥ずかしいものなんだと認識してしまうことが、女性が生きづらくなる発端となった。
それから男性に恋をして、他人の気持ち、行動などの機微や心情を考えれるようになっていく。
自分では気にしていなかったことが、他人からすると気にすべきことって確かにけっこうあるな、みんな何かしら経験してきたんじゃないか -
-
Posted by ブクログ
ちょっと重たい気分になった。婚約したから、申し分のないパートナーがいるから、愛情というものが満たされている訳では無いと感じさせられた。自分も本当は満たされていないのではないか?と胸に手を当てて考えてしまうような、けれどちゃんと充実していると実感できるような。人妻や婚約者がいると、倫理観的に絶対踏み出せない、踏み出してはいけないけれど、興味を持たずにはいられない一歩をこの本は踏み出してくれて、経験できない気持ちを経験させてくれる。ただ、約束されたパートナーがいることを、とても嬉しくて満たされたことなのに重たいことだと感じてしまう一冊でした。
-
Posted by ブクログ
島本さんって、おとなしくて真面目な感じなのかなって勝手に思ってたんですが、こんなに面白い人やったん?!ってイメージが覆りました。
とにかくユーモアのある言い回しで、いろんな経験をしておられて、クスッと?いやハハッ!って感じで笑いながら読みました。特にご主人とお母様のエピソードは、かなりぶっ飛んでてオススメです!(解説はご主人が書かれています)
島本さんって、とても芯がしっかりされていて、自分の気持ちに正直に生きておられる方なんだろうなと思いました。そして、内に秘めてある爆発力みたいなのが、すごい人なんだと思います。
ラーメンをはじめ島本さんの好きなものや、小説に出てくる食べ物のお話など、いろん