島本理生のレビュー一覧

  • 星のように離れて雨のように散った

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    面白かった。小説としてストーリーが面白いし、この作家の書く文章が好きだと思った。
    ただ取り扱っているテーマとして、宗教だったり神だったり少し考えることが必要だったりもする。
    また再読したい。

    個人的には、ノルウェイの森の考察を売野さんが語る場面が好きだった。

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    2024年04月14日
  • 星のように離れて雨のように散った

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    島本さんの作品って私が読んだ中では日常がキラキラしてる光のような作品が多いけど、たまに人間の本質に目を向けたどこか危うい闇のような作品がある。
    今回は後者だったけど、少し自分の生い立ちや抱えてる闇とリンクするところがあってすごく考えさせられた。

    幼少期の経験、親の人柄ってその人の人格形成に大きく関わるってのは分かってて。それが春にとって闇を生み出してた。それを認めること、向き合うこと、知ることってすごく必要なんだな。
    私は常にいい子でいたい。幼いときからのその感情がずっと消えない。だから他人の顔色を伺いすぎるし自分の思いなんて押し殺しちゃう。
    何を言っても自分の意見が罷り通らない環境で自分の

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    2024年04月07日
  • あなたの愛人の名前は

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    思うまま、自分の意思だけを通して生きることは難しい。というか、ほとんどの人は不可能だと思う。
    自分の選択が、誰かの人生にも影響を与えてしまうことも、多々あるから。

    大人のままならない感情や恋愛を綴った6篇の短篇集。作品の登場人物が共通している連作めいた要素もあり。

    「罪悪感」って時にとても便利でずるい感情で、それを持つことによって、自分がしていることが多少赦されるのではないかという思いが無意識の片隅にあったりする。
    不倫しながら「パートナーには悪いと思ってるんだけど」などと言う。
    知られないように配慮するのは、けして「罪悪感」が痛むから、ではない。自分にとって都合が悪いからだ。

    愛情が伴

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    2024年04月06日
  • 2020年の恋人たち

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    この物語の主人公の葵は、なかなか厄介だ。男には頼りたくないと思いながらも恋をしやすく、女臭くはないタイプだけど男を惹きつけやすい。

    ワインバーを営んでいた母が突然事故死してから、葵の生活は一変する。遺された店を継ぐのか、そして同棲しているのに会話をすることもなくなった引きこもりの恋人との関係はどうするのか。
    というスタート。
    強く決意して進んでいくというよりは、流れに身を委ねつつ、ある程度ドライに物事を決めていく、葵はおそらくそういう女性。
    だからこそ恋愛にも男にもそれほど執着はしないのだけど(むしろ男から執着されやすい)恋愛をしないと決めている様子もなく、さらりと流れるように恋愛を重ねてい

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    2024年04月07日
  • B級恋愛グルメのすすめ

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    自分と同じくらいの年齢で共感しながら読めた。食べ物の描写がおいしそうで読んでるだけで食べたくなりました。リフレイン婚めずらしいし解説が旦那さんなのも面白かった。

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    2024年04月06日
  • あられもない祈り

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    ネタバレ

    「出会ったとき…ちょっと堅苦しい印象を受けた」
    「君が席を立って…後ろ姿が綺麗だということに気付いた」
    「君が戸惑ったようにこちらを振り返った…ふっと力が抜けたように微笑んだ」
    「まるで世界から救われたみたいに」
    僕もこんなふうに話してみたい。
    この先、望むべくもないことだけれども。

    読ませるなあ、と第一印象。興味深くて、僕の好み。登場人物のイメージが、なかなか浮かんで来なかった…これは僕の責任だろう。

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    2024年03月25日
  • シルエット

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    透明感があって、静かで、そして切ない感じがする3つの短編。
    それぞれ15才、16才、17才の時に書かれたものだそう。
    作品の中に、ブラッドベリ、宮沢賢治、ヴォネガット、カポーティ、といずれも短編の名手の作品が書かれているのも興味深い。

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    2024年03月21日
  • 二周目の恋

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    「誰も軽視しないから、誰からも軽視されない。」p121


    波のおとをきいているような感覚の文。
    繊細で力強くて身を預けてしまいたくなる

    「カーマンライン」と「無事に、行きなさい」「海鳴り遠くに」がアンソロジーのテーマに合っている感じがしてよかった。

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    2024年03月18日
  • あなたの愛人の名前は

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    「間違ってはいないという誰かの多数決だけで日々を送り続ける。」

    瞳と浅野さんの話が良すぎる
    引き込まれた
    人生はタイミング

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    2024年02月29日
  • あなたの愛人の名前は

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    愛とは〇〇だと明確にわかればいいのにと思っていた頃があった。
    今は不明確だからこそ自分で育てていかないといけない感情なんだと思ってる。
    来年、5年後にはまた変わってるのかもしれないけど。

    激情の関係にも、
    静かな関係にも、
    自分本位に伝えてしまった日も、
    ぴたりと会う人に出会えたときも、

    その時々で愛はあったけれど
    誰とどんな自分を重ねてゴールを見つけたいのかを考えたら
    平気でサヨナラできる関係もあった。

    結婚(異性愛)が一番わかりやすい。
    この人だと決めて選んだ最善の道だったのに、
    うまくいかないことなんてよくあること。

    どの物語にも共通してるのは、
    結局は自分自身を育てるしかないっ

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    2024年02月24日
  • 星のように離れて雨のように散った

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    ネタバレ

    若い頃の不安定な心の描写がリアルだった。ずっと一緒にいたいという彼には躊躇するけど、元カノの話をされると嫉妬したりする。上手いなあ。
    銀河鉄道の夜をもっと読み込んでからこの本を読むと、もっと良かったかも。

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    2024年02月16日
  • 星のように離れて雨のように散った

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    修士論文に取り組む春は、彼から結婚を迫られるがどこか躊躇する。子供の頃に、父親が宗教にはまった末に失踪するという過去があるからか、どこか危ういところのある春だが、クラスメートやバイト先の作家と話をすることで、意識の下に埋もれていた自分の本心に気付く。

    宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と、その背後にある賢治の思想、そして、春の過去が緩やかに繋がっていく、不思議なストーリー。

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    2024年02月14日
  • 一千一秒の日々

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    風光る
     真琴と一緒に住んでた哲。哲との別れる直前の話。
    七月の通り雨
     大学の劇団でひとめぼれされた佐伯瑛子。相手にそっけない。
    青い夜、緑のフェンス
     プニプニの針谷と可愛い一紗。漫才みたいな掛け合い。
    夏の終わる部屋
     他人に執着しない長月くん。付き合った彼女との出会いから別れ。
    屋根裏から海へ
     真琴の元カレ加納くん。家庭教師の教え子の姉との関わり。
    新しい旅の終わりに
     昔付き合ってた2人で旅行。男女の関係になるのか!?
    夏めく日
     女子高生だった「佐伯瑛子」。転勤する前の男性教諭とのやり取り。

    島本理生さんの作品にしては、ポップな感じがしたなー!!
    「青い夜、緑のフェンス」がいつ

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    2024年01月18日
  • よだかの片想い

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    良くも悪くもコンプレックスとかって、他人に気付かされるものなんだなと思った。
    この本に出てくる女性は、生まれつき顔にアザがあり授業中に同級生からそのアザをみて、琵琶湖そっくりだと言われる。それを聞いた先生が、何でひどいことを言うんだと怒りみんな謝る。彼女にとってそれまで何とも思ってなかったアザが、これは恥ずかしいものなんだと認識してしまうことが、女性が生きづらくなる発端となった。
    それから男性に恋をして、他人の気持ち、行動などの機微や心情を考えれるようになっていく。

    自分では気にしていなかったことが、他人からすると気にすべきことって確かにけっこうあるな、みんな何かしら経験してきたんじゃないか

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    2024年01月08日
  • よだかの片想い

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    新年一発目は島本理生の恋愛ものが読みたいと思い読みました。歳上の男性との片想いという構図は『ナラタージュ』と似ていて、今回も飛坂の「一緒にいるっていうのは、相手を肯定しながら同じ場所にいることなんだからさ。それは立派な理由だし責任だ。」という台詞にグッときました。ただ良くも悪くもいつもよりアッサリ読めてしまいました。私の感受性が老いてきた?

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    2024年01月01日
  • こどものころにみた夢

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    文章と絵で綴られた「こどものころに見た夢」をテーマにした短編アンソロジー。夢の世界は辻褄が合わないような不思議な光景、場面展開が見られるけれど、現実とぜんぜん関連がないわけではないですよね?その夢と現実との繋げ方というか絡め方が12人の作家ごとに違うのが面白いです。これは夢の中?と読んでいて戸惑うものもあり。え!これ現実に起きたこと?というものも。ミステリーあり、サスペンスあり、ロマンスあり、回顧録あり、お笑いあり…一つ一つは短いけれど、なかなかに濃い内容でありました。歌人の穂村弘さんのお話が一番印象に残りました(爆笑でした)。

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    2023年12月26日
  • よだかの片想い

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    ネタバレ

    薄い本ですぐ読めた、

    宮沢賢治のよだかの星から来てる本、大人になってからだとよだかの星も受け取り方が違う

    自分が擦り減る人付き合いは、頑丈でも、周りの人にはして欲しくないし、したくない

    顔のあざは極端だけど、触れて良いのかわからなくて、結局何も言えなくってもやもやすることある、距離感って難しい

    肩書きとか結果に拘って、それが無くなったら空っぽだなあと思ってずっと走ってる感じもする、フィルターがあるから見えるものもあれば、ないから見えるものもあって難しい

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    2023年12月18日
  • あなたの愛人の名前は

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    ちょっと重たい気分になった。婚約したから、申し分のないパートナーがいるから、愛情というものが満たされている訳では無いと感じさせられた。自分も本当は満たされていないのではないか?と胸に手を当てて考えてしまうような、けれどちゃんと充実していると実感できるような。人妻や婚約者がいると、倫理観的に絶対踏み出せない、踏み出してはいけないけれど、興味を持たずにはいられない一歩をこの本は踏み出してくれて、経験できない気持ちを経験させてくれる。ただ、約束されたパートナーがいることを、とても嬉しくて満たされたことなのに重たいことだと感じてしまう一冊でした。

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    2023年12月12日
  • B級恋愛グルメのすすめ

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    島本さんって、おとなしくて真面目な感じなのかなって勝手に思ってたんですが、こんなに面白い人やったん?!ってイメージが覆りました。
    とにかくユーモアのある言い回しで、いろんな経験をしておられて、クスッと?いやハハッ!って感じで笑いながら読みました。特にご主人とお母様のエピソードは、かなりぶっ飛んでてオススメです!(解説はご主人が書かれています)
    島本さんって、とても芯がしっかりされていて、自分の気持ちに正直に生きておられる方なんだろうなと思いました。そして、内に秘めてある爆発力みたいなのが、すごい人なんだと思います。
    ラーメンをはじめ島本さんの好きなものや、小説に出てくる食べ物のお話など、いろん

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    2023年12月10日
  • 星のように離れて雨のように散った

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    ファーストラブがよかったのでこの本を読む前からすごくドキドキしていた。

    読んでみるとやっぱりいい。宗教とか論文とかテーマが難しかったけど、時々すごくいい文章だなって思う箇所があって。

    春が最後には過去と向き合えてよかった。

    銀河鉄道の夜、まだ読んだことがないのでまた読んでからこの本を読むとさらに楽しくなるんだろうな。

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    2023年12月05日