島本理生のレビュー一覧
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女性作家の自身の身体にまつわるエッセイ集。特に30,40代の今人気の作家さんたちだけを集めたというのが面白い。自身の身長について書かれている方もいたが、自ずと性にまつわる話が多かった。
個人的に感動したのは村田沙耶香さんと能町みね子さん。こちらの感想で、女性なのに自慰について書かれている方が多くて引いた、という感想が少なくないのは正直ちょっと残念だなと思った。村田沙耶香さんは幼少期から行っていた自慰について、いやらしいものという周囲との認識の差に未だに慣れない、ということを書かれていたのだが、子供の頃の自分の王国という表現でその感覚について本当に美しい描写をされており、涙が出そうなほど感動し -
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作中に出てくる作品や宗教的な話がちょっと難しくて予備知識がほしかった。
過去の記憶、受けた傷、抱えた闇、こういったものを特別な自己開示をせずに流れるように生きていける人もいるけれど。
私自身が春と同じように解いていくタイプで随分長く苦しんだ、だから後半はどこかリンクするたびに息をつきながら読ませてもらった。
解説にもあるけれど「自分の傷と向き合うことから逃げて、誰かを救うことにすり替える」こと。
これは本当に多いと思うし。
かわいそうな誰か、かわいそうな私、この共依存は他者との距離感をおかしくして関係性を歪ませる。
ここから抜け出す一歩、こういった女性の姿を描くのが島本さんは本当におじょう -
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本のカバーデザインにちょっと驚きつつ、、
読んでみると島本さんのちょっと新しい女性の描き方に満ちていたと思う
これまで拝読した物語の女性たちは、切ない傷から涙を流すような主人公だったけど、
本書(といっても短編集)の主人公は前へ進むパワーがちょっと違っていた。
タイトル「一撃のお姫さま」の睡、リスクを冒して危なっかしく感じるけど、ちゃんと前を向いている、他のストーリーも同じだ、
女性として男性との関わり方、向き合い方、そして目の前の問題の乗り越え方がとてもポジティブだ。
上手くいかない事があっても「なんとかしてやる!」ってポジティブな気持ちになりたい人にお勧めの本だった。 -
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01|感想
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いや~~~濃密。とにかく息が詰まるほど濃かったです。文字で映像を浮かび上がらせる表現力と構成力の高さに脱帽です。全体を通して、主人公よりも夫や姑の感情描写に共感しました。夫〜私は分かるよ、経験と学習がないだけなんだよね。官能描写が刺激的すぎて読みが滞る部分ありましたが、読んで良かったと思います。
性描写もそうですが、いたる箇所で巧さが際立っていました。
仕事を始めたというのに、夫が体を求めて来たので、仕事で疲れてるからと拒むと、「男みたいなこと言うんだな」と呟いた夫に対しては、「心臓がまた少し水分を失って固くなった気がした」
そ -
Posted by ブクログ
映画見てからの原作でした!
島本さんの本は3冊目で、やはり大人の女性目線の恋愛を描くのがうまいなーと。
島本さんの描く男性って、本当魅力的なんですよね。めちゃくちゃリアルに想像できて惹かれてしまう。こういうのは女性作家さんならではだなと。
扱っているテーマやざっくりのストーリーラインは、割と定番なものなのに、人物の描き方が上手くてつい先が気になる。鞍田さんも小鷹さんも、夫の真も、なぜ惹かれるのか、何に惹かれるのか、惹かれないけどなぜ選ぶのかが手を取るようにわかる。うんうん、わかるわかると頷きながら読んだ。
恋愛不足の時には島本さんの小説を読みたい。夢物語ではなく、現実の延長の先にある理想 -
Posted by ブクログ
迦葉の存在が大きかった。
迦葉の生い立ち、環奈の生い立ちが読んでいて胸が苦しかった。
環奈の本を出版するため由紀が臨床心理士の立場からヒアリングをしていく中で、由紀自身が自分のこれまでの人生を振り返る。そこで見えてきたもの。由紀の過去、環奈の過去。2本の柱で進んでいく。環奈の母親のような話し方をする人はどうしても苦手である。環奈はむしろ無罪になるより有罪になって、法律上の罪を償ってから世の中に出た方が過去と決別できるように思う。
直木賞作品だからという理由で読んだが、さほど心に沁みる話ではなかった。面白かったけど。
印象に残った、セリフは文章を記録しておく。
↓以下ネタバレです。
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