島本理生のレビュー一覧
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久しぶりの島本理生さん。
6編少しずつ繋がっていて
とても読みやすい小説であったことはいつものこと、
2作目の『蛇猫奇譚』の
1行で大泣きしてしまった。
主人公の出産によって変化する気持ちと
それにただ純粋に寄り添いたいチータの
気持ちの両方が、痛いほどわかって、
時に鬱陶しく思ってしまう自分に対して
真っ直ぐな目で見つめる我が子と重なり
ただただ号泣でした。(笑)
表題作である、
『あなたの愛人の名前は』は
購入を決めた時に察した意味とは
全く違って、6作目の主人公藍の
過去の自分に問いかけるような一言
だったんだな、と納得。
どうして島本さんの小説は
シンプルで真っ白なのに痛くもない傷を
いつも心につけるんだろうと思っていた答えが
解説を読んで少し解決した。
いつも過去にフェーズを当て、
家族の因果関係や男女の関係によって
引き起こされる物語にひどく共感するから、だ。 -
Posted by ブクログ
大人の少し歪んだ愛の話。僕にとってはまだもう少し先に納得できるようになるものかもしれない。特に、浅野(兄)が嫌いだった。
でも、どこか穴の空いた大人たちが満たされたくて、受け入れられたくて、愛されたくて、誰かに何かを求めていて、切なかった。忙しい日々の中で巡り合うものに自分の存在を委ねていたのかもしれない。
心が疲れていて、すり減っていて、その時にはその人じゃないと駄目だった。その行為をしなければ駄目だった。未来から見れば愚かなことでも、当時はその不純な恋が必要だったのだろう。
とはいえ、愛人というものが、これからも僕にとって縁のないものでありますように。笑 -
Posted by ブクログ
乃里子三部作がすごく好きだったんだけど、それ以降何を読んだらいいかわからなかった田辺聖子作品、島本理生セレクトなんて絶対面白いじゃん!と読んでみた。
軽快でご機嫌な関西弁がどの作品も心地いい。
あと登場人物がいい意味でふてぶてしく、六十過ぎてからこそ人間はまともになるとうそぶいて、「精神力」で若々しさを維持し、さっぱりした恋をしていたりして、頼もしい。わたしなんてまだまだ!と背筋を伸ばす気になる。
エッセイで「このニッポンにあるのは、男と女のオトナの世界ではなく、お袋と息子の親子の世界がすべての心情を支配している。」「男と女が対立し、いがみ合い、仲直りし、理解し合うという、オトナの基盤がないと、真の自由も幸福もない。性の本当の喜びも解放もありはしない。」と看破してるのもすごい。めっちゃかっこいい。
特に好きなのは『女流作家をくどく法』『愛の周り』『シクラメンの窓』。 -
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生まれつき顔にアザがある大学院生のアイコと、映画監督の飛坂さん。
アザのせいで恋愛や遊びとは距離をとって生きていたけれど、まっすぐで世間ずれしていないアイコがまぶしい。
”今日だけは仕事を放り出して私を優先して。
一度きりでいいから、一番にしてくれたら、あとはもうずっと待つから。
一生だって待ち続けるから。
そんな本音を、前に進むために呑み込んで、私は壁に額を押し付けて、声を殺して泣いた。”(p230)
今日会わないともうダメになってしまう、そんな約束の日に遅れないためにシャワー室のガラス窓を叩き割ってまで駆けつけようとしたアイコと、仕事の予定が入ったから、と断りを入れてくる飛坂さん。
過去の恋人飛坂さんに対しても、次の恋人になるかどうかはまだわからない原田くんに対してもフラットなアイコのことを、やっぱりいいなと思う。
”あなたを好きになって本当に良かった。”
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ネタバレ共テの予想問題集にあり、
〝わたしはあの人に幸せになってもらいたかったんです。眠る前に新しい朝が来ることを楽しみに思うような、そんなふうになってもらいたかった。〟
〝幸せにしたいと思うことは、おそらく相手にとっても救いになる。けど、幸せにできるはずだと確信するのは、僕は傲慢だと思う〟
という文に惹かれて全部読みたいと思い、手に取りました。
私は未だ身を焦がすほどの恋をしたことが無いのですが、主人公が深い森の中で途方に暮れている様子が少し痛々しく見えました。雪生が言うように、私はとても〝危うい〟のだと思います。ただ、〝危うい〟のは雪生やサイトウも同じで、〝危うい〟人同士が惹かれ合っているのを見ると、これが一番の結末だったのだと感じます。主人公にキクちゃんという友達がいて本当に良かった!最後に主人公が森から抜け出せたのはキクちゃんの影響も大きいと思います。
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主人公、春の修士論文のテーマは、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と、幼い頃失踪した父親をモデルにした小説。
結婚を前提に同棲してほしいという恋人。
大学院の友人、篠田君と売田さん。
アルバイト先のミステリー作家、吉沢さん。
島本理生さんらしい主人公だなと思った。
儚くて、危うげで、影があって。
ぱっと見はか弱くも芯がある孤高のひと、のような印象を受けるけれど、
本当はただただ自信がなくて、気づかないままに自分を誤魔化して他人に媚びたり、おもねったりする。
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売田さんの語る「ノルウェイの森」がよかった。
”私がもっと知りたいのは、そういう危うい女の子たちが本当に救われたら男の子たちはどうするのかなっていうことかもしれない”
売田さんみたいなお友達が欲しい。一緒にホテルでだらだらケンタッキーとTopsのチョコレートケーキ食べたい。
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”私は根本的な思い違いをしていた。
それは、相手の意に沿わなければ、その相手を否定したことになると思っていたことだ。”
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島本理生さんの描くメンヘラ炸裂主人公、全然嫌いではないのだけれど、読んでいるうちにモヤモヤするのはきっと、嫉妬だろうなと思う。
人はそんなにきれいにまっすぐメンヘラできないし、売田さんみたいにまっすぐ意見を言ってくれる友達も、吉沢さんみたいに正しいことを率直な言葉で教えてくれる大人も、いない。 -
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若林さんは不思議な人だ。
めっちゃ自意識過剰で自己防衛本能が強くて、見栄っ張りでカッコつけ。本音は言わない。
だけどスッと人の懐に入ってくる可愛げもあるんだなぁ。
この本では、若林さんのそんな部分が遺憾無く発揮されていて、終始ほっこり見守る気持ちで読むことができる。
人が死ぬ本ばっかり読んでたアタマが癒される〜。
私が好きなのは、羽田圭介さん&藤沢周さんの回。
この回は、若林さんが話すボリュームも多くて、羽田さん、藤沢さんとの相性の良さを感じる。話してることもほどよくカタくて、良い意味で、男同士っぽい感じ。小気味よくてずっと読んでたい。一冊丸ごとコレでもいいなぁ。
あとは角田光代さん回。角田さんがおっしゃることがいちいち納得感がある。難しいことは一切言ってないのに。伝わる言葉でなるべく正しく考えを伝えようとされてるのが分かる。
そしてこの回でも、若林さんが良く話す。
ホストがノッてる方が対談は面白くなるよね。
西加奈子がやたら作中で〈セックス〉という言葉を使うのはそういうことか。説明したがりだと言う朝井リョウは実際どれくらい読者を縛り付けてくるんだろう。羽田圭介、やっぱり(人間として)好き。そのイメージを崩したくなくて彼の本はあんまり読んでないのは内緒だ。中村航の〈100回泣くこと〉再読したいなぁ。でも中村文則の〈教団X〉再読はしんどいなぁ⋯
エッセイを通じて作家さんのキャラクターを垣間見ることはあっても、話す言葉を聞く機会はなかなかないので、そういう意味でもなんか新鮮。
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Posted by ブクログ
新刊情報で見掛けて、気になっていた作品。
タイトル、あらすじ、帯、推薦文、島本理生さんのコメント…全てが気になりすぎて、書店で見掛けて迷わず手に取った。
岩倉しおりさんによる装画も素敵。
結婚して3年経つ永遠子は夫との関係を保ちながらも、年の離れた叔父との逢瀬をやめられない。あることがきっかけで彼女は幼い頃から抱いている歪な欲望と向き合うことを決意する。
島本理生さんの作品はすごく読んでいるわけではないけれど(全作品の半分も読んでなかった… )私にとって、好みの振り幅が結構大きい作家さん。
本書の題材は嫌悪感を覚える方や生理的に受け付けない方もいると思うけれど、私はとても好きだった。
叔父が好きだということに後ろ暗い気持ちを抱きながらも、自分の気持ちに抗えない永遠子の心情がすごく伝わってきた。
本気の恋愛感情って、こんなにもコントロールができないものなんだと改めて気付かされた。
叔父への気持ちを加速させるごとに、永遠子自身が変わっていく姿も印象的だった。
道ならぬ恋をしたことで失ったものも多いけれど、得たものもあって、それは2人にとってはきっと救いだったのだろうなと思う。
ラストの展開が胸にグッときた。