島本理生のレビュー一覧
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読み終わった今、なんだか不思議な体験をした感じ。ドラマを一気見したような、、表現力が相まって映像として脳内再生されていたような、、そんな感じ。
島本理生さんの作品は初めて読んだ。春も亜紀もそれぞれに抱えてるものがあって、お互い見て見ぬ振りをして相手に寄りかかってしまっていて、やってること若いなって思った。だけど、そういう自分の弱いところを認めたり消化したりすることって歳とれば自然とできることではなくて、周りからの声があったり、自分自身と向き合う何かきっかけがないと難しいことだと思う。
銀河鉄道の夜と宮沢賢治の話があることで、よりその部分が強調されていた気がする。
親しい人との距離感は、お互いに近寄ってみたり引いてみたりしないことには、ちょうど良さはわからない。だからこそ、恋愛って難しいのかなって思った。 -
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ネタバレ【あらすじ】
「はじめて」は、いつも痛くて、少し優しい。
日本エンターテインメントの最前線&最高峰!
日本を代表する4人の直木賞作家と、“小説を音楽にするユニット”YOASOBIが奇跡のコラボレーション!
小説のテーマは、「はじめて〇〇したときに読む物語」。
これらの小説を原作としたYOASOBIの楽曲が、2022年中に順次配信リリースされます。
「『私だけの所有者』ーーはじめて人を好きになったときに読む物語」(島本理生)
「『ユーレイ』ーーはじめて家出したときに読む物語」(辻村深月)
「『色違いのトランプ』ーーはじめて容疑者になったときに読む物語」(宮部みゆき)
「『ヒカリノタネ』ーーはじめて告白したときに読む物語」(森絵都)
【個人的な感想】
『私だけの所有者』と『ユーレイ』が好きだった。
『私だけの所有者』はアンドロイドと所有者との絆が切なかった。
この小説を読んで私は、SF系と青春系?の小説が苦手なことを再確認した。 -
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物語の核心にあるのは、他者に向ける「かわいそう」という感情――すなわち「憐憫」の危うさです。「優しさの正体を突きつけられるようで怖い」という感覚。綺麗な言葉で綴られるからこそ、そこに潜む毒が深く浸透してくる感覚を覚えました。
ただ、主人公の沙良については、どうしても素直に共感しきれない部分が残ります。彼女が抱える空虚さや、他者に依存しながらもどこか冷ややかな視線は、読み手によっては「理解しがたい」「自分勝手だ」と感じさせてしまう危うさがあるのかもしれません。
私自身も、彼女の選択や心の揺れに寄り添いきれないもどかしさを感じながら読み進めていました。
しかし、その「共感できない」という違和感こそが、作者の狙いなのではないかとも感じます。
以前拝読した作品でも感じましたが、島本理生さんの比喩表現の巧みさは唯一無二です。触れれば壊れてしまいそうな危うい関係性が、五感を刺激する瑞々しい言葉で表現されており、今回もその圧倒的な文章力には脱帽するばかりでした。
愛と呼ぶには鋭く、憐れみと呼ぶには重い。読み終えた後、自分の中にある「憐憫」という感情を、二度と以前と同じようには見られなくなる。そんな余韻を残す作品です。 -
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子どもの頃のある出来事をきっかけに、実の叔父を愛してしまった女性弁護士永遠子が主人公。
タブーとされる恋愛だから、苦手だと感じる人もいると思う。ただ、この本はドラマチックに書かれているわけではなく、どちらかというと淡々とした、どこか俯瞰的な視点で書かれているので、スルスルと読める気がする。
永遠子は実の父母との関係が希薄な分、優しくしてくれた叔父にのめり込んだ側面はあると思う。そしてこの恋愛がタブーだからこそ、より執着するのかな?とも感じた。どこか人を信じず、ひとりで強がっていた永遠子が、最後の最後、周囲の人と少しずつ繋がろうとしていて、物語としてはハッピーエンドなんだけど、変わり始めた永遠子がこの先も、叔父に対して同じ気持ちでいられるのな?その先の永遠子がどうなっていくのかを知りたくなる終わり方でした -
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読書が初めて、久しぶりの人でも、YOASOBIさんの素晴らしい楽曲と共に気軽に読める、素晴らしいコンセプトの作品です。読書体験というより、エンタメ体験です。
読書慣れしてる人でも短い文字数の中での各作家さんの表現力や個性を味わいながら、音楽とのコラボという新鮮さは他にないので、お勧めしたい。
この本をプレゼントしてくれる人がいたら、死ぬほどセンスが良いと思います。
Ayaseさんが凄すぎることを認識できるのでYOASOBIファンは絶対読むべきです(私はファンクラブ入ってないですが、入りたくなりました)
私だけの所有者は、
島本理生さんが普段重ための恋愛小説で書くような、所有されることを求める女性の気持ちをアンドロイドに置き換えている、面白い構成だと思いました。
手紙の主がどこかで繋がっていたり、必ずしもハッピーエンドにならないことも、島本さんらしさを感じました。最近の島本さんよりも、駆け出しの頃の重さを感じで、女性が好きな感じかもしれません。
ユーレイは、
辻村深月さんらしい少年少女の心理をたった30-40ページで丁寧に描写して、かつ、プチオカルト、プチミステリーの要素や、明日への活力にもつながる前向きさもある、子供達にオススメの作品でした。この作品を読んだら、ちょっと小説を好きになってくれるんじゃないかなと。教科書に載せて欲しい作品です。
色違いのトランプは、
異世界系は最近漫画でもめちゃくちゃ多いジャンルになりましたが個人的には正直うまく頭でイメージを作れず避けていました。でも作品を読んだ後にYOASOBIさんの「セブンティーン」のMVを見てからもう一度読み返してそのイメージを元に読んでみたらめちゃくちゃ面白かった。こうやって、頭のなかだけで考えずに音楽を先に聴くスタイルがあるんだと思わせてくれたのはこの作品でした。
ヒカリノタネは、
タイムスリップ恋愛という王道を扱いながらも、登場人物がみんな知的で行動も言葉も面白くて、ロマンチックだけじゃないのがよかったです。
今自分自身も、恋の告白ではないけど大事な人に大事であることを伝えるシーンを控えていたので勇気をもらいました。
YOASOBIさんの「好きだ」が好きな人は、絶対に読むべきです。 -
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十代にも満たない時から叔父に惹かれ、叔父を欲していた弁護士の永遠子。
合理的な判断で別の男性と結婚したが、夫が別の女との間に子どもができたことを機に離婚。
唯一無二の叔父への愛に気づいた永遠子は・・・
叔父と姪が関係をもつというだけで、生理的に嫌悪感を抱く人も多い題材だと思う。
作中、二人の関係性を何度も「気持ち悪い」と表現されるのがまさにそれだ。
弁護士という職業をもち、社会的に絶対的強者でありながらも、一つの愛に執着し、女性としての生き方を模索して悩み生きる永遠子の姿には、不安定な危うさを感じた。
この内と外の対象的なギャップの根底にあるのは、幼少期に育った環境の影響が大きいと思う。
特に両親の夫婦関係から、永遠子の極端な反骨精神がうまれ、それが叔父への愛に変化してしまったようにも感じた。
読んでいても、この2人の関係への受け入れ難さが残る。安全圏にいながら、マイノリティを非難しているような居心地の悪さを感じた。
ただ、その読者の気持ちを上手く救ってくれるのが、永遠子の親友である萌の存在。
ラストは思いがけず涙が溢れてしまった。
歪な愛の形だけでなく、親子関係、男女格差、職業差別をうまく絡ませながら、精力的に描ききった島本さんの筆力に圧倒される作品だった。
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大人の恋愛模様を、さまざまな角度から描いた短編集。
途中から二編でひとつの物語となり、「あなたは知らない」「俺だけが知らない」では、同じ関係を男女それぞれの視点から追体験する構成になっています。
お互いの感情は驚くほど似ているのに、気持ちだけがすれ違い続ける関係性が、静かな緊張感とともに描かれていきます。
わからないから惹かれ合うのか、それとも惹かれているからわからなくなるのか。
島本理生さんは初読みでしたが、言葉の選び方の美しさに何度も立ち止まらされます。
「濡れた食用菊を口に含んだときのように頼りない感触」という表現は、その象徴のような一文。感情を直接語らず、触感や温度で伝えてくる文章力に思わず唸ってしまいました。
派手な展開はありませんが、読み終えたあと、静かに余韻が残る一冊。
大人だからこそ抱えてしまう曖昧さや、名前をつけられない関係に心当たりのある人ほど、深く刺さる作品だと思います。